エポキシ樹脂にメタクリルモノマーをブレンドしin-situ 重合および重合誘起型相分離を活用した低粘度・低銀含有導電性複合材の創出を目指した。エポキシ樹脂(ビスフェノールF 型ジグリシジルエーテル)にブレンドするメタクリルモノマーを2 種(イソボニルメタクリレート,ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート)比較し,速度論支配による構造形成過程の違いを明らかにした。また,銀フィラーを複合化し,共連続相構造の体積比の小さい相へ銀フィラーを選択配置させることで導電パス形成のテンプレートとして活用した。結果,銀フィラー連続化により低銀含有率での導電性発現に成功し,銀フィラー含有率わずか2 vol.%で導電性発現するメタクリルモノマーブレンド種を見出した。ハンセン溶解度パラメーター(HSP)より,エポキシ/ メタクリルポリマーブレンドの相構造中において銀フィラーは相対的に親和性が高いメタクリルリッチ相へ選択配置したと考えられる。
ノボラック–ヘキサメチレンテトラミン(HMTA)硬化系フェノール樹脂/シリカ界面構造制御のため,HMTA 濃度,ノボラック分子量分布,シリカ表面濡れ性が,ナノ界面構造形成に及ぼす影響を中性子反射率法により解析した。ノボラック吸着層として観察される界面層厚さは,HMTA 濃度やノボラック分子量分布の影響を受けにくいが,シリカ表面が疎水性になるほど厚い界面が形成される傾向が確認された。また,分子量分布の多分散度が小さいノボラックを用いるほど,ラフネスの小さなフラットな界面構造が形成されることが明らかとなった。一方,シリカ表面が疎水性になるほど界面層のラフネスが大きくなり,界面層とバルク層の切り替わりが不明瞭な界面構造が形成されることも明らかとなった。
ポリメチルメタクリレート(PMMA)は,剛性が高く加工性も良いため様々な分野で使用されている。しかし,PMMA は脆性材料であるため,用途に応じゴム粒子添加などによる強靭化が必要となる。著者らはこれまでメタクリルモノマーとウレタンプレポリマーを同時に重合する手法を用い,メタクリル/ウレタンポリマーブレンドの強靭化研究を行った。本ポリマーブレンドには100 nm の相分離構造と数µm の球晶が共存し,マトリックスポリマーにマルチプルクレーズやせん断降伏が生じ強靭化することを見出した。本論文では,100 nm 相と数µm の球晶の形成過程を追跡し,高次構造形成メカニズムを調べた。100 nm 相はメタクリル成分とウレタン成分の重合過程で形成されることが示された。また,メタクリルポリマーのガラス状領域にあたる温度で等温保持する過程で小さな結晶核が形成され,ガラス転移温度付近まで昇温させると結晶核が成長し,数µm の球晶に至ることが明らかとなった。
近年,CO2 削減や,SDGs の高まり,原油価格の高騰により,内燃機関の燃費改善,発電効率の向上などが求められている。特にエネルギー効率に影響する高耐熱性材料,軽量強度材料の開発が進められた。これまで,高強度,軽量な炭素化合物が提案されてきたが,炭素自体が容易に酸化されるため,同族のケイ素化合物が注目されてきた。ケイ素化合物は,高強度,軽量を満たし,炭素化合物では対応できなかった高耐熱性を実現することから,航空機エンジンの高耐熱性部材や火力発電でのタービン部材への活用が進められている。 本総説では,ケイ素の特徴を説明し,次に使用例を示しながら,高耐熱性を主体にケイ素化合物の機能性について解説する。
硫黄は石油精製の際に副産物として生成され,毎年700 万トンが地上投棄されている余剰資源である。硫黄含有ポリマーは,その余剰資源である硫黄から合成できるため,持続可能な開発目標(SDGs)の観点から注目されている。さらに,硫黄含有ポリマーはこれまでの石油由来のポリマーとは異なり,硫黄由来の高容量・高屈折率・可逆的な結合形成-解離などの特異な性質を示すため,電池材料やレンズ,自己修復材料などへの応用が期待されている。硫黄含有ポリマーは,硫黄とビニル化合物を高温に加熱するだけで簡単に得ることができる。しかし,得られる硫黄含有ポリマーは不安定,高分子量化が困難など,問題点も多く、高機能材料の創出が可能であるにもかかわらず社会実装が困難である。本総合論文では、硫黄含有ポリマーに弱い相互作用を介して分子が自己集合する超分子科学の概念を導入することにより,これらの問題を解決するために著者らが開発した超分子含硫黄ポリマーについて紹介する。
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