ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
特集号: ネットワークポリマー論文集
41 巻, 1 号
ネットワークポリマーをベースとするポリマーブレンド
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
総説
  • 小椎尾 謙
    原稿種別: 総説
    2020 年 41 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2020/01/10
    公開日: 2020/04/06
    ジャーナル フリー

    ポリウレタンは,高い極性を有するウレタン基を有しており,構造の自己組織性を示す材料である。また,分子鎖内で極性が高い領域と低い領域を併せ持っている場合が多いため,さまざまなポリマー材料と相溶することが多い。本稿では,ポリウレタンを用いたブレンドについて,相分離状態の評価例,相溶化剤の開発,実用的なブレンド系の例を挙げて紹介した。フーリエ変換赤外吸収分光測定に基づくウレタン結合のカルボニル基およびNH 基の水素結合状態からの相分離状態の推定,ウレタン結合との反応性相溶化剤の分子設計例,ポリ乳酸とのブレンドを中心としたバルク試料の強靭化などについて概説した。

  • 岸 肇
    原稿種別: 総説
    2020 年 41 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2020/01/10
    公開日: 2020/04/06
    ジャーナル フリー

    機能性向上を目的とし,エポキシ樹脂には種々の改質剤(エラストマー,熱可塑性樹脂,無機フィラー等)が添加されてきた。改質剤種・添加量が同じであっても,相手のエポキシ/硬化剤との組み合わせにより強靭化効果に差が生じる。ポリマーブレンドによるエポキシ樹脂強靭化技術について靭性発現メカニズムを基に分類し解説する。エラストマーブレンドによる強靭化はエポキシマトリックスの塑性変形能力に大きく依存する。一方,熱可塑性樹脂ブレンドによる強靭化は添加ポリマー物性および形成される相構造に依存する。ブロック共重合体ブレンドの場合,強靭化メカニズムはエラストマーブレンドに近い。多様な形状の数十ナノサイズのエラストマー相形成が報告された。ナノ相構造形態による強靭化効果の差について述べる。

  • 古川 信之, 市瀬 英明, 竹市 力
    原稿種別: 総説
    2020 年 41 巻 1 号 p. 18-25
    発行日: 2020/01/10
    公開日: 2020/04/06
    ジャーナル フリー

    ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は,加熱により開環架橋反応が進行し,ネットワーク構造を形成する。これらは,耐熱性,低硬化収縮性,等のさまざまな優れた特性を有することが報告されている。しかしながら,ベンゾオキサジン樹脂単独では,高い硬化温度(200 ℃以上)が必要なこと,硬化反応過程で分解ガス(イミン誘導体)が発生すること,可とう性に劣ること等の理由で,実用材料としての利用は限定的であった。近年,ベンゾオキサジンの反応過程が詳細に解明され,開環重合を促進する優れた触媒も開発されている。本稿では,二官能性ベンゾオキサジン樹脂の機械的特性や耐熱性向上等を図るためのベンゾオキサジン系ポリマーアロイについて概説する。

  • 大山 俊幸
    原稿種別: 総説
    2020 年 41 巻 1 号 p. 26-38
    発行日: 2020/01/10
    公開日: 2020/04/06
    ジャーナル フリー

    改質剤ポリマーをモノマーの状態で熱硬化性樹脂に溶解したのちに,樹脂の硬化反応と並行して改質剤モノマーの重合を行うことによって硬化物の強靭化を達成する「in situ 重合法」について,最近の研究成果を紹介する。In situ 重合法では,改質剤をモノマーの状態で添加するため硬化前の樹脂の粘度が低下し成形性が向上する。また,硬化初期の相容性が高くなることにより,改質剤をポリマーとして添加した系よりも樹脂硬化物/改質剤の相分離構造がより細かい状態で固定されること,およびこの微細な相構造に基づいた強靭性の向上が達成されることが期待される。高耐熱性ビニルポリマーであるN- フェニルマレイミド-スチレン共重合体(PMS)などのin situ 生成により,エポキシ樹脂/硬化剤からなる硬化物のみならず,カチオン重合硬化脂環式エポキシ樹脂やシアナート樹脂,ベンゾオキサジン樹脂などの強靭化が達成されており,本稿ではそれらの成果について紹介する。

  • 堀田 透
    原稿種別: 総説
    2020 年 41 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2020/01/10
    公開日: 2020/04/06
    ジャーナル フリー

    製品の機能・特性を向上させるために行うポリマーブレンドの目的(改善項目と改善特性)を整理してあげ,実例として自動者用タイヤ各パーツで実施されているポリマーを紹介する。ポリマーブレンドの各種ポリマー組合せを過去の文献・書籍からひろい一覧表で紹介し市販されている架橋ゴムブレンド製品の一覧表を記したので,読者がすぐに購入できると考える。最後に著者が実際に製品開発時に検討を行ったポリマーブレンドを3 点あげ,その配合と各種物性を示して,目的とした改善された物性と低下した物性(デメリット)の両面について解説をする。おわりに,ポリマーブレンドは特性改良のために行うが,常に他特性の低下(デメリット)を伴うために,これを考慮した検討が必要となることを繰返し述べる。

feedback
Top