神経心理学
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会長講演
  • 佐藤 睦子
    2021 年 37 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル 認証あり

    日本神経心理学会誕生の経緯を紹介しつつ「書く」ことの神経心理学的変遷について述べた.かつて書字障害は手書きの症状を示したが,その後,「書く」という行為形態はタイプライターキーボード入力やスマートフォン入力などへと変遷し,それらの症状も散見されるようになった.本邦のタイピングではローマ字変換が用いられる一方,スマートフォンではローマ字変換不要のフリック入力が用いられることが多い.これらは別々に障害されうる機能であり,自験例を紹介して発現機序について論じた.本学会は神経心理学懇話会として1978年に誕生した.今後も日々「ふしぎ」を感じ「なるほど!」と納得する神経心理学の醍醐味を会員と共に分かち合いたい.

特別教育講演1
  • ―その発現機序を考える―
    田川 皓一
    2021 年 37 巻 1 号 p. 10-20
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル 認証あり

    脳血管障害における失語症の発現機序を論じるときは,各臨床病型の病態生理の相違について理解しておく必要がある.脳塞栓では脳動脈灌流域に一致した梗塞巣を生じる.言語領域へと灌流する皮質枝が塞栓性に急性に閉塞したときに,各失語症の典型像が出現してくると考えている.動脈硬化性変化を基盤とするアテローム血栓性脳血栓でも種々のタイプの失語症が出現してくる.この場合,CTやMRIによる梗塞巣の周囲に,機能画像による脳血流代謝の障害部位を観察することがあり,このような病態が失語症の発現に関与している可能性がある.被殻出血は大脳基底核部を中心に血腫を形成する空間占拠性の病巣であり,血腫が大きくなると周囲に影響を与えてくる.血腫が大きくなると,周囲の言語領野にも障害を及ぼし失語症が出現してくる.

教育講演1
  • 新妻 邦泰, 冨永 悌二
    2021 年 37 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル 認証あり

    脳梗塞は脳卒中全体の約6割を占め,高齢化に伴い患者数は増加傾向である.既存の如何なる治療法を用いても脳梗塞に陥った組織を回復させられないため,脳組織自体を再生させ得る幹細胞治療に期待が集まっている.Muse細胞は生体に存在する自然の多能性幹細胞であり,腫瘍形成のリスクが低く,安全性が高いと考えられている.Muse細胞は血管内や局所に投与するだけで傷害部位を認識して生着し,組織に応じた細胞に自発的に分化して修復することと合わせ,有力な幹細胞治療のソースと考えられている.本稿では脳梗塞に対する幹細胞治療の現状と,Muse細胞を用いた新規治療開発につき概説する.

原著
  • 千葉 朋子, 佐藤 睦子, 佐藤 伊久生
    2021 年 37 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/23
    [早期公開] 公開日: 2021/01/27
    ジャーナル 認証あり

    症例は69歳の右利き男性.右後大脳動脈領域梗塞後に,左同名半盲と視覚保続・変形視・運動視異常を呈した.本例の視覚保続は,視覚対象から目をそらした後も左視野に数秒間見え続け,2週にわたり間欠的に生じた.変形視は,左視野で見た文字が実際よりも大きく見えることが1度あり,片側大視症であると思われた.また,正面から歩いてくる人が,本例から見て左に曲がる際に実際よりも速く動いて見えることが数回あり,時間加速現象に相当すると思われた.MRIでは右後大脳脈領域に出血性梗塞を認めた.これらの症状には,出血性梗塞後に生じた病変部周囲の機能不安定や血流動態の変動などが,刺激性機序として作用したと考えられた.

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