着衣障害は高次脳機能障害により生じ,主に頭頂葉の病変が指摘とされるが,小脳損傷後の報告例はない.本例は,左側頭頭頂葉の出血性梗塞後に左小脳の出血性梗塞を再発し,前開き型上衣の背部操作に特異的な着衣障害を呈した81歳右利き女性である.再発後に,メンタルローテーション障害および知的機能の低下を認めた.掘り下げ評価では,衣服や身体部位の認知,対応関係の理解,衣服操作に問題はなく,障害は視覚的確認が困難な背部操作に限局していた.
以上より,本例の着衣障害は,左小脳損傷により非視覚的な空間認知処理が困難となり,経時的な形態変化を伴う衣服の操作に支障を来した結果と考えられた.
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