神経心理学
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最新号
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受賞記念論文
  • 柿沼 一雄, 大沢 伸一郎, 菊地 花, 鈴木 匡子
    原稿種別: 受賞記念論文
    2026 年42 巻1 号 p. 3-11
    発行日: 2026/03/25
    公開日: 2026/05/15
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    内側側頭葉てんかんに対する海馬切除において,術後の記憶障害は重要な課題である.機能リスク評価として,内頚動脈から麻酔投与するWadaテストが用いられてきたが,言語障害や意識障害を惹起する問題があった.著者らは,マイクロカテーテルを用いて領域選択的に麻酔投与する脳機能評価を「選択的麻酔による脳機能評価(SAFE)」として確立した.後大脳動脈を標的としたPCA-SAFEは,言語野への影響を避けつつ,海馬領域の記憶機能を評価できる.本手法により判明した言語と記憶の側性不一致例や,術後記憶転帰の予測における有用性を示し,てんかん外科における個別化された機能評価の重要性と今後の展望を論じる.

会長講演
  • ―抽象的態度の障害を通して考えること―
    橋本 衛
    原稿種別: 会長講演
    2026 年42 巻1 号 p. 12-20
    発行日: 2026/03/25
    公開日: 2026/05/15
    ジャーナル 認証あり HTML

    抽象的態度はGoldsteinが提唱した概念である.抽象的態度が障害されると,与えられた刺激の具体性にしばられて,その刺激の持つ一般的,抽象的属性を洞察できなくなるとされている.本稿では,「筆者が抽象的態度に注目したきっかけ」,「前頭側頭型認知症と意味性認知症における抽象的態度の障害」,「抽象的態度と意味記憶,コミュニケーション,状況判断との関係」「意味性認知症と自閉スペクトラム症の症候学的類似性」等について論じた.抽象的態度は,ヒトの認知や行動に幅広く関与する心的過程の一つである.本稿を通して抽象的態度に関心を持つ研究者が増え,その神経基盤が明らかになり,抽象的態度の障害に対する治療やリハビリテーション方法の開発につながることを期待している.

特別講演2
次代を担う若手研究者交流シンポジウム1 座長記
次代を担う若手研究者交流シンポジウム1
原著
  • 浦野 雅世, 吉岡 文, 加藤 千尋, 武藤 里佳, 三村 將
    原稿種別: 原著
    2026 年42 巻1 号 p. 69-78
    発行日: 2026/03/25
    公開日: 2026/05/15
    [早期公開] 公開日: 2026/01/23
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    右小脳出血により非失語性呼称障害を呈した50代男性を報告した.発話は新造語,無関連錯語,記号素性錯語により支離滅裂であったが,掘り下げ検査では意味/音韻/文法機能は良好に保持されていた.自発話における錯語は4カ月時には消失したが,「車椅子」のみ退院時まで一貫して「多目的乳母車」「リヤカー」と呼称した.当初より顕著であった記憶/見当識障害も4カ月時に消失したが,病識は経過を通じて不充分であった.発症1.5カ月時CTでは右小脳に低吸収域,4カ月時のIMP-SPECTでは右小脳および左前頭葉腹外側および左基底核から視床に血流低下を認めた.本例の症状の発現には左前頭葉機能低下の関与が推察された.

  • 山本 潤, 前田 眞治
    原稿種別: 原著
    2026 年42 巻1 号 p. 79-88
    発行日: 2026/03/25
    公開日: 2026/05/15
    [早期公開] 公開日: 2026/01/30
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    着衣障害は高次脳機能障害により生じ,主に頭頂葉の病変が指摘とされるが,小脳損傷後の報告例はない.本例は,左側頭頭頂葉の出血性梗塞後に左小脳の出血性梗塞を再発し,前開き型上衣の背部操作に特異的な着衣障害を呈した81歳右利き女性である.再発後に,メンタルローテーション障害および知的機能の低下を認めた.掘り下げ評価では,衣服や身体部位の認知,対応関係の理解,衣服操作に問題はなく,障害は視覚的確認が困難な背部操作に限局していた.

    以上より,本例の着衣障害は,左小脳損傷により非視覚的な空間認知処理が困難となり,経時的な形態変化を伴う衣服の操作に支障を来した結果と考えられた.

  • 吉田 唯, 林 広美, 前川 香苗, 林 浩嗣
    原稿種別: 原著
    2026 年42 巻1 号 p. 89-101
    発行日: 2026/03/25
    公開日: 2026/05/15
    [早期公開] 公開日: 2026/02/20
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    重症度の異なる意味性認知症(SD)患者2例に長期間のリハビリテーションを実施した.言語障害が進行した重度SD例においても,病識があり,家庭学習の定着化が可能な場合の語彙再獲得訓練は有効で,会話への般化は困難だが,訓練語の維持により心理的安定に繋がる可能性がある.また,言語障害がより重篤で語彙獲得訓練が困難なSD例においても,得意な能力を利用した作業活動を生活に組み込み,介護福祉サービスと併用することで,進行期にみられる行動障害を予防した.これらは家族の介護負担軽減や在宅生活の維持に貢献できた可能性がある.SD患者のリハビリテーションは,介入時から進行を見据え,病期に合わせた介入が重要である.

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