本研究の目的は,地理教育におけるシステム思考コンピテンシーとは何かを再定義し,その評価手法を開発することにある。
本研究では,ドイツにおける空間概念の考え方を基に,地理システムコンピテンシーを評価するためのルーブリックを開発した。関係構造図を用いてシステム思考を働かせるパフォーマンス課題を複数回実施し,ルーブリックを用いて評価し,フィードバックを繰り返すことで生徒のコンピテンシーの発達を分析した。また,複数回のアンケートを実施し,回答結果の分析を行った。本研究では,以下の3 つの成果が得られた。
1つ目に,開発したルーブリックによって生徒の地理システムコンピテンシーが可視化され,年間の学習を通じてコンピテンシーが大きく発達したことが明らかとなった。
2つ目に,生徒たちは他者の意見をシステム的に捉えることで,批判的かつ論理的に意見を交わし,改善点を指摘して協働的によりよい意見を作り上げていく姿があったことが明らかとなった。
3つ目に,生徒たちがシステム思考に取り組む際にどのような「難しさ」を感じ,困難に直面しているのかが明らかとなった。関係構造図を描くこと自体や,解決策を考えることに困難を感じていること,また,生徒がメタ認知していない困難の存在も明らかになった。
これらの発見は,より効果的な地理システムコンピテンシーの発達に向けた授業づくりや教師による手立てを模索することにつながるといえる。
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