筆者らは, 陽極酸化版の汚れを陽極酸化皮膜の表面構造に起因した感光剤の溶出に関係があると推定し, その現像性に着目して研究を行なった。
すなわち, リン酸系陽極酸化皮膜上の光分解した感光層の現像時間による変化を接触角, 表面電位, ならびに赤外偏光反射スペクトル (IRRS) により調べ, さらにそれらの結果を現像状態と対応させて検討した。
その結果, 光分解型感光層を設けた陽極酸化板において, 露光, アルカリ現像後, 現像時間に関係なく, 明瞭な可視像が得られたが, インキ着肉試験の結果からは現像時間によってインキング画像の再現が相違しており, 現像不足, 適正, 過度の状態が観察された。
他方, 接触角, 表面電位, IRRSなどの測定結果から, 現像時間による版面の変化が認められた。
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