幼稚園児に宮沢賢治の童話をお話しているわたしは,いま小学校では賢治童話の何がどんな方法で教えられているかを見て,幼稚園での保育の参考にしたいと思った.そこで日文協関係中心にその教材研究を読んでみた.その結果,府川源一郎氏が画に描かせ,モれを言葉で解説させた方法,故小沢俊郎氏や関口安義氏の音読のすすめなどが有効な暗示を与えると知った.同時に小沢氏らの指摘する<幼い魂>に関連して,最近わたしが子どもたちにお話した「祭の晩」という作品は,まさにその<子どもの眼>の存在,性質を気づかせるものであり,そのことは賢治を教えることが結局わたしたちがわたしたちでありつづけることになる,ということを鶴見俊輔氏を介して論じた.
View full abstract