日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
63 巻, 12 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • ――六条院の秩序との関わりにおいて――
    堀江 マサ子
    2014 年 63 巻 12 号 p. 1-9
    発行日: 2014/12/10
    公開日: 2019/12/26
    ジャーナル フリー

    降嫁に伴い、六条院が女三の宮を頂点として再編されつつあるなかで、紫の上は女三の宮と寝殿の母屋を東西に区切る「中の戸」を開けて対面しようとした。実は、明石の女御と宮が挨拶する場を借りて、紫の上は対面しようとしたのである。紫の上が内面の痛みを隠して六条院を平穏に治めようとしたこの対面によって、上下関係が取り外され、女君たちがきらめきを持ちつつ連帯する六条院の秩序が、維持されたかに見えたのであった。

  • ――「蒲団」執筆の背景とモチーフ――
    小堀 洋平
    2014 年 63 巻 12 号 p. 10-21
    発行日: 2014/12/10
    公開日: 2019/12/26
    ジャーナル フリー

    本稿は、田山花袋「蒲団」執筆の背景とモチーフを、主として比較文学の観点から考察するものである。はじめに、「蒲団」執筆中の一九〇七年七月末から八月初めにかけて、花袋が編集に従事していた『文章世界』八月号の読者投稿欄を手がかりに、チェーホフの英訳短篇集『黒衣の僧』に対する花袋の関心を実証する。その上で、国木田独歩「都の友へ、B生より」をはじめとする同時代テクストとの比較を通して、「蒲団」における「暴風」というモチーフが、チェーホフの影響下に「狂気」の象徴として用いられた可能性を検証し、「蒲団」の新たな側面に光を当てることで、従来とは異なる読解の方向性を提示する。

  • ――大正活映による映画化の試みを手がかりとして――
    佐藤 未央子
    2014 年 63 巻 12 号 p. 22-32
    発行日: 2014/12/10
    公開日: 2019/12/26
    ジャーナル フリー

    大正活映による谷崎潤一郎「人面疽」映画化の試みを視座として、作品の批評性=〈純映画劇〉的可能性を分析した。同時代ハリウッドを反映した作中映画「執念」は一方で、欧米上位のイデオロギーを転倒させる意を孕んでいた。また「腫物」の映像化は映画鑑賞行為の幻想性を具体化する試みであった。欧米に比肩する映画を志した大正活映は、物語/表現における尖鋭性を「人面疽」に見出したと考えられる。また大正活映の試みは、怪奇的題材と視覚的アトラクション性を媒介として〈純映画劇〉と大衆を接続する契機となり得、映画と文学を結びつける営為としても意義深かったと結論付けた。

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