日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
66 巻, 4 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
特集・日本文学協会第71回大会(第二日目)「語り」をめぐる断層と創造
  • ――「関屋」巻を例に――
    陣野 英則
    2017 年 66 巻 4 号 p. 2-11
    発行日: 2017/04/10
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    「物語音読論」以降、『源氏物語』では作中の女房(たち)の見聞にもとづく口頭の「語り」が筆記・編纂されている、という一種の物語生成の機構が読みとられてきた。しかし、それは「蓬生」巻のように典型的なケースにもとづく推論であった、たとえばその次の巻、「関屋」に注目してみると、「語りnarrative」に関しては「蓬生」と対照的な性格が際だっている。さらに「関屋」巻の巻末の言葉にも注意して、『源氏物語』のつくられた「語り」と、その実験的な叙述の一端を明らかにする。

  • ――小川洋子「ハキリアリ」「トランジット」など――
    中村 三春
    2017 年 66 巻 4 号 p. 12-22
    発行日: 2017/04/10
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    物語世界は物語文の原因として作られ、同時に物語文は物語世界を原因として作られたものと想定される。従って物語文が物語世界の次元に対して第二次の位置づけとなる局面が考えられる。その時、物語文は自己同一的なものではなく、媒介され引用されたものと見なされる。小川洋子の「ハキリアリ」および「トランジット」を例として、語りによる媒介の局面をとらえてみる。語りこそ、言語の〈トランジット〉(乗り継ぎ)にほかならない。

  • ――第三項論が拓く〈語り〉の地平――
    李 勇華
    2017 年 66 巻 4 号 p. 23-36
    発行日: 2017/04/10
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    魯迅の『故郷』は日中両国で半世紀以上読まれた名作である。本論の前半では『故郷』をめぐる藤井省三と田中実の読みを比較検討し、世界観認識の違いが「読み方」に決定的な違いをもたらすことについて論じた。田中実によって展開されている第三項論は「語ることの虚偽」との闘いを内包しており、それによって〈近代小説〉を〈近代の物語文学〉から峻別できる。『故郷』の場合は、〈語り手〉の「私」を相対化する〈語り手を超えるもの〉を読者が構造化することが必須である。また、第三項論の方向性はテクスト概念の提起以後、さらに転換していったバルトの理論の方向性に極めて近いと私には思われる。そのため本論の後半では『明るい部屋』というバルトの最後の著作を取り上げて、田中実との間にある相同性についても論じた。

  • 金子 明雄, 松岡 智之
    2017 年 66 巻 4 号 p. 37-50
    発行日: 2017/04/10
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー
子午線(大会印象記)
 
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