中国でビジネス日本語を学ぶ日本語学習者(JFL)を対象に,ビジネスにおいて必須業務である電話会話に焦点をあて,人間関係を維持するために重要であるといわれる終結部でどのようなやりとりが行われるかを観察した。
クレーム場面の応対という設定でロールプレイを実施し,先行研究で学習者の問題点として指摘されてきた,(1)終結の前触れとして現れる終結のメタメッセージを理解することができるか。(2)人間関係を再確認する機能を持つ発話にはどのような表現が現れるか。(3)自ら円滑に別れの最終確認が行えるかについて日本語母語話者との比較から分析を行った。
その結果,段階を踏まず唐突に終結したり,なかなか別れを切り出せない傾向が示された。また,人間関係を再確認する機能発話がないケースや特徴的な表現が見られた。
これに対し,本研究では先行研究で指摘されてきた理由に加え,人間関係を再確認する発話に対する社会文化的規範の相違の可能性を指摘した。
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