本稿では,母語話者と学習者の意見文を分析し,ハズダの文末用法の使用傾向を探った。その結果,ハズダは主に以下の3タイプの機能として,それぞれの文章展開のパターンのもとに運用されることがわかった。
①αタイプ:<現状> ⇒提言・主張{(そう)すれば/これからは}ハズダ文
ハズダの機能=好ましい展望を示し,提言の正しさを支える
②βタイプ:<現状> ⇒ハズダ文{だから/なのに}提言・主張
ハズダの機能=判断に当然性を担わせ,結論を導く根拠とする
③γタイプ:ハズダ文{しかし}(ハズダ文と食い違う)現状 ⇒<意見・問題提起>
ハズダの機能=本来のあり方を述べ,現状を対比的に提示する
母語話者や習得の進んだ学習者に見られるこれらのパターンが,正しくハズダを使えない学習者には身についていない傾向がある。機能を明確にし,それを支える文章展開のパターンとともに,運用のなかで意味の理解を深めていくことが,表現教育のために必要なのではないかと考える。
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