日本語教育
Online ISSN : 2424-2039
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145 巻
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
一般論文
研究論文
  • 烏 日哲
    原稿種別: 研究論文
    2010 年 145 巻 p. 1-12
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー

     本研究は,中国語を母語とする上級日本語学習者と日本語母語話者が絵本の説明を行うときに現れる語り方の違いを明らかにすることを目的としている。調査材料としては,ある種の文化リテラシーを必要とする漫画を避け,またダイナミックな談話展開を表現する語りの姿を知るために,字のない絵本を用いた。具体的には,絵本にかかれている絵と,話し手の発話とがどのくらい一致するのかという「語りと絵本の一致度」に着目し,個々の発話の表現的特徴を探った。その結果,語りの最初と最後に物語そのものの性格を解釈したり,ストーリーに対する感想を述べたりする点で,母語話者と異なることが観察された。また,学習者は絵本にかかれていない内容,特定の絵と照合できない内容や表現を語りに加えることが多く,解釈を含める傾向が強いことがわかった。

  • 柳田 直美
    原稿種別: 研究論文
    2010 年 145 巻 p. 13-24
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー

     日本の多文化化が進む現在,多文化共生社会に向けて,非母語話者の日本語学習への支援は活発だが,身近な非母語話者との意思疎通に困難を抱える母語話者への対応は不十分である。そこで本稿では,母語話者と非母語話者が参加する接触場面において母語話者が情報を提供する場面に着目し,母語話者のコミュニケーション方略に接触経験が及ぼす影響を分析した。分析の結果,(1)接触経験の多い母語話者は,情報の切れ目が明確な文単位の発話を多く用いていること,(2)接触経験の多い母語話者は,理解チェックを用いて,非母語話者に対して躊躇なく理解確認をしていること,(3)接触経験が自己発話の修正の種類に及ぼす影響は少ないが,接触経験の多い母語話者は,非母語話者からの不理解表明がなくても自発的に発話修正を行っていること,の3点が明らかになった。この分析を通して,母語話者に対する非母語話者とのコミュニケーション支援のあり方を示した。

  • 朱 桂栄, 砂川 有里子
    原稿種別: 研究論文
    2010 年 145 巻 p. 25-36
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー

     砂川・朱(2008)は,学術的コミュニケーション能力の向上を目指して中国の大学院で実践したジグソー学習法による授業を通じ,大多数の学生に「独習型」から「協働型」へ,「受身型」から「自主型」への意識の芽生えが確認できたことを報告している。

     本稿では,同じ学生に対して行ったインタビューデータを分析し,上記の意識変容が生じた要因を,活動間の有機的な連携という観点から考察する。分析の結果,以下の点が明らかとなった。①活動の過程で生じる情報差が学生の参加動機を強め,協力し合う環境作りに役立った。②活動間の有機的連携が個々の活動目的を明確にし,自主的な関わりの必要性を自覚させた。③活動中に生じた問題が次の活動の成果につながる要因として積極的な役割を果たした。すなわち,ジグソー学習法がもたらす活動間の有機的連携が,学生に自主的・協働的な研究態度の必要性を自覚させる要因となったことが判明した。

  • 菅谷 奈津恵
    原稿種別: 研究論文
    2010 年 145 巻 p. 37-48
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー

     日本語の動詞活用が項目学習であるのか,あるいは規則学習であるのかを検討するために,造語動詞と実在動詞を用いた活用テストを実施した。調査対象者は41名の留学生で(中国内モンゴル出身39名,韓国出身2名),日本語レベルにより上位,中位,下位に分けた。

     分析の結果,実在語の正答率は造語よりも有意に高く,どちらも日本語レベルが上がるに従って正答率も上がっていた。また,造語動詞では,語尾の一致する実在語がない「かぷ」が他の造語(「ほむ」「ほく」「むる」)よりも有意に低くなっていた。以上から,日本語の動詞活用においては,トップダウンで規則を適用する能力と,一つ一つの活用形を記憶する項目学習の働きの両者が関わっていると推測される。そして,Klafehn(2003)による日本語母語話者を対象とした調査と比較した結果,日本語学習者と日本語母語話者とは,動詞活用の処理方法が異なる可能性が示唆された。

  • 張 恵芳
    原稿種別: 研究論文
    2010 年 145 巻 p. 49-60
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー

     近年,「確認用法」諸表現形式の意味特徴と表現形式間の互換性の問題が盛んに論じられているが,主に単一の文が分析対象で,「確認用法」の対話の性質を重視する視点に欠ける問題点がある。本稿は,その下位用法の一つである「認識喚起」用法において互換性を持つ「ダロウ」と「デハナイカ」を取り上げ,両者の自然会話における表現機能の違いを考察した。話し手と聞き手のインターアクションに注目し,イントネーションも合わせて分析して,次のような結論を得た。「ダロウ」は必須の特定のイントネーションで聞き手に問いかけ,聞き手に情報の的確さについて確認するという機能を持っている。「デハナイカ」は下降調が多く話題と情報の提供に役立ち,またそのイントネーションを上昇調に変えることによって,話し手は聞き手とインターアクションを取りながら話を進めていくという姿勢を示す。この分析結果は両形式の意味特性と関連を持っている。

調査報告
  • 中川 健司
    原稿種別: 調査報告
    2010 年 145 巻 p. 61-71
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー

     『留学生のための二漢字語に基づく基礎医学術語学習辞典』は先行研究を基に選定した基礎医学術語(全7073語)の学習を目的としているが,基礎医学術語から抽出した二漢字語(漢字二字からなる熟語)を学ぶことによって基礎医学術語のより効率的な学習が期待できるという考えに基づいている。しかし,医療分野の漢字には難解なものも多く,二漢字語を介して基礎医学術語を学ぶ場合も高い漢字知識が必要とされる。本研究では,二漢字語を介して基礎医学術語を学ぶ場合に優先的に学習すべき漢字を選定することを目的として,二漢字語及び基礎医学術語中の出現漢字の頻度と傾向についての調査を行った。その結果,学習者に日本語能力試験2級までの漢字の知識がある場合,二漢字語中に出現する1級以上の漢字228字に加えて級外の38字及び第1水準削除分の1字を学べば基礎医学術語中の出現漢字の約96%と級外漢字の約90%がカバーできることが明らかとなった。

実践報告
  • 広谷 真紀
    原稿種別: 実践報告
    2010 年 145 巻 p. 72-83
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー

     第二言語習得研究において,学習者が母語話者と自分の言語表現の使い方の違いや間違いに気付くことは言語習得を促すものとして指摘されている。それをうけ,学習者のブログなどのComputer Mediated Communication(CMC)のデータの管理ができて,表現の分析ができる教師用のツールと,学習者側も自分の過去の言語データを模範例と比較しながら自分の表現を省みることができる学習者用のツールの開発をした。それらのツールを1学期にわたって実際のコースで使用したが,学習者たちがレビューを通じて模範例との違いに気付き,その後の表現の使用に生かすようになったのかどうかを検証する。

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