日本語教育
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150 巻
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【特集】関連領域の動向と日本語教育
寄稿論文
  • 砂川 有里子
    原稿種別: 寄稿論文
    2011 年 150 巻 p. 4-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     日本語教育でのコーパスの活用は,英語教育に比べると遅れてはいるが,昨今のパソコン性能の向上や大規模コーパスの構築といった動きに伴って,ここ数年で飛躍的に研究が進展し,応用への試みも数多くなされるようになった。本稿ではコーパスとは何かを概観し,コーパスを活用することの意義を日本語学と日本語教育において確認した上で,日本語教育にコーパスを活用した事例について,①シラバス・デザインに役立つ語彙や文型の研究,②学習辞書や参考書に役立つコロケーション研究,③日本語学習者コーパスを利用したレベル判定指標の研究,④コーパスを活用した学習者支援のためのツールや参考書の4つに分けて紹介し日本語教育でのコーパス活用に関する可能性と課題について述べる。

  • 三宅 和子
    原稿種別: 寄稿論文
    2011 年 150 巻 p. 19-33
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     メディアは人間の身体感,世界観,コミュニケーションのあり方を変容させる力をもっている。近年の電子メディアの急速な浸透により,日常の様々な局面でメディアの影響が実感され,メディアへの関心や研究の機運が高まっている。日本語教育においても,「メディアの介在」を意識し検証することや,メディアを利用して自己表現や発信力を高めることが求められている。

     メディア言語研究は,メディアを分析の枠組みの中に組み入れて研究する。本稿ではまず,メディアとことばが互いに関わってきた歴史から説き起こし,隣接領域のメディア研究を概観する。そして近年のメディア言語研究の流れを追いながら,対象となってきたメディアやトピックの変化を振り返る。その上で,研究の具体例として,放送談話における「はい」の機能を考察した研究と,日韓の漫画の役割語を比較対照した研究を取り上げ,メディア言語研究の意義と日本語教育への応用可能性について考える。

  • 金水 敏
    原稿種別: 寄稿論文
    2011 年 150 巻 p. 34-41
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     日本語教育,あるいは日本語教師養成のカリキュラムに役割語は必要ないという意見がある。これに対し本稿では,次の点から,日本語教師にとって役割語の知識は有用であることを示す。

     1.役割語は「マンガやアニメ等にのみ現れる特殊な言語」ではない。われわれは特定の人物像(キャラクタ)と結びついた話し方の類型(=役割語)をステレオタイプ的な知識として身につける。その意味ではすべての話し言葉は役割語としての性質を帯びているものと捉えることができる。

     2.日本語学習者は,いわば“日本語学習者”という役割のロールプレイングを現実社会の中で遂行していると見ることができる。日本語教師は,学習者のキャラクタ作りを支援する立場にあり,そのことを自覚しながら指導に当たる必要がある。

  • ファン サウクエン
    原稿種別: 寄稿論文
    2011 年 150 巻 p. 42-55
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     本稿では,グローバリゼーションの浸透とともに進展していく多言語化・多文化化の流れの中で,現代日本社会における日本語学習者の言語使用の一面を紹介し,日本語教育との関連性を考察する。まずポストモダニズムから生まれてきた接触場面の概念を整理したあと,次に積極的な接触場面への参加によって豊かな言語生活,ひいては生活全体の計画を実現しようとする日本語学習者の事例を紹介する。特に彼らの日本での言語生活を支えるのに重要な役割をもつ外国人同士による日本語使用の場面に注目し,そこからポストモダン社会としての日本における日本語教育の意義と可能性を考える。

  • 嶋津 拓
    原稿種別: 寄稿論文
    2011 年 150 巻 p. 56-70
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     この20年ほどの間に,言語教育の世界において,「言語政策」と言われるものが注目を集めるようになってきた。その背景には,単一言語主義や単一言語状態を是認する考え方への反発,さらには,そのような考え方を追認するような新自由主義的発想への異議申立があるものと考えることができるのだが,言語政策が注目を集めるようになったのと並行して,「言語政策研究」というディシプリンも認知されるようになってきた。本稿では,かかる言語政策研究について,なかでも日本語教育に関連する言語政策研究について,その現状を概観する。また,将来的な課題について考えてみたい。

一般論文
研究論文
  • 大澤 公一
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 150 巻 p. 71-85
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     大学修学能力試験(CSAT),日本留学試験(改定前EJU),日本語能力試験(改定前JLPT)に出題された非音声領域の既出757項目,および日本語Can-do-statements(CDS)尺度60項目によるモニター試験を韓国内で実施した(N=4,647)。項目反応理論の2母数ロジスティックモデルを適用して3試験に共通する一次元の日本語能力を尺度化した結果,各試験の項目困難度の分布の中央値を基準としてCSAT,JLPT4級,3級,2級,1級,EJUのように難易度の序列が付与された。次にCDSの達成困難度と3試験の難易度との対応付けを一般化部分得点モデルによって行った。その結果,韓国語母語話者においては「話す,聴く」課題より「読む,書く」課題の方が達成困難であると考えられていることが判明した。これに加え,3試験の難易度を質的に解釈するための言語4技能別のCDS達成困難度パラメタが付与された。

  • 松田 文子, 白石 知代
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 150 巻 p. 86-100
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     L2学習者は複合動詞の意味を理解しようとするとき,前項動詞(V1)の意味と後項動詞(V2)の意味を組み合わせて理解する方略(「V1+V2ストラテジー」)を用いる傾向が強いが,それは必ずしもうまくいかないとする指摘(松田,2004)を踏まえ,本稿ではL2学習者の使用する「V1+V2ストラテジー」に働きかけられるような複合動詞の意味記述を試みた。事例として多義動詞「かける」を後項とする複合動詞「V-かける」(V=前項動詞)を取り上げた。「V-かける」は,「壁に絵を立てかける」のようにどこかに何かを斜めに依拠させる用法,「相手に水を浴びせかける」のように覆うようなイメージが強調される用法,また「赤ちゃんに語りかける」のように相手に向けてというニュアンスが強い用法などがあるが,本稿ではすべての「V-かける」の意味に本動詞「かける」の意味が反映していると捉え,それがどのように反映しているかを考察した。

調査報告
  • 三好 裕子
    原稿種別: 調査報告
    2011 年 150 巻 p. 101-115
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     本研究は,一文中において統語的な関係にある語と語の結びつきを共起表現と称し,動詞の指導方法として,動詞および動詞と共起する語とからなる共起表現を複数例示し,共起する語の共通点を考えさせることでそのカテゴリー化を促し,動詞の意味と共起関係の理解を図る指導方法(Categorize法,CA法と略す)を考案した。CA法を,提示した個々の共起表現を覚えさせる方法と比べる実験を行い,有効性を検証した。実験では,二つの方法での動詞の学習の後ポストテストとして短文の共起表現部分の正誤判断問題をさせ,アンケートと遅延テストも行った。

     当日テストでは提示しなかった共起表現の問題で,CA法は覚えさせる方法より成績が良く,提示した共起表現の問題でも同等の成績で,効果が証明された。効果の要因として,共起する語のカテゴリーや母語との相違への気付きが挙げられた。一方,遅延テストでは,統計上の差が認められなかった。

実践報告
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