人文科学,社会科学,工学の3領域9分野14学会誌合計270編の日本語学術論文を対象に,15の構成要素を設定して中間章の構造分析を行った。その結果,《実験/調査型》,《資料分析型》,《理論型》,《複合型》の4つの基本類型とその下位分類としての11の構造型が抽出された。これらの構造型の分野別の分布状況を調べたところ,工学領域では典型的なIMRAD形式を持つ《実験/調査型》が圧倒的であり,一部に《理論型》が存在することが確認された。一方,人文科学・社会科学の領域では,多様な構造型が混在する傾向が見られた。これらの領域では《資料分析型》が共通して認められたが,その出現率には分野によって大きな差があり,一部の分野では《実験/調査型》が優勢であった。論文の構造型は分野によって決まる場合もあるが,むしろ研究主題や研究方法に応じて選定されるものであり,留学生の論文作成・論文読解の支援を行う際にその点に留意する必要がある。
中国人日本語学習者は,異文化の社会や人々に対してどのような態度を持っているか,そこにはどんな特徴があるかを検討するため,日本語専攻の大学生(276名)を対象に,英語専攻,フランス語専攻,他文系専攻の学生(523名)と比較して,対日態度と一般的異文化態度の質問紙調査を行った。その結果,日本語専攻の学生は,①全体的に肯定的対日態度を持っていること,②学年が上がると,否定的対日態度と中立的対日態度が上昇し,対日認識が多面化する傾向があることが観察された。否定的対日態度については,特に対人関係の項目で数値が上昇した。また,一般的異文化態度に関しては,③異なる文化一般に対して相対的に高い敬意を持っていること,④学年の上昇に伴い,異文化接触の際の不安が解消され,異文化の人々とのコミュニケーションで,より柔軟な姿勢を取るようになる可能性が示唆された。
日本語には,名詞の単数形と複数形に文法上の対立がないため,英語母語話者が日本語を産出する際,名詞の単・複対立の誤用が起こることは少ないと考えられている。つまり,日本語母語話者が英語を産出する際に文法範疇としての「数number」についてかなり意識をしているのに対し,英語母語話者が日本語を産出する際は文法的現象としての「数」概念については考慮する必要がないとされている。しかし,実際には指示語による複数提示において,複数接辞や数量表現を伴わない単数での指示表現を使ってしまうこと,また類例として挙げた先行詞を指示詞単数形で示してしまうことにより,誤用が生じていることがわかった。英語母語話者が複数指示を明確にしたい場合には,複数を表す接尾辞か数量表現,または指示詞複数形等で明示する必要がある。
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