日本語教育
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158 巻
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
【特集】「やさしい日本語」の諸相
寄稿論文
  • 野田 尚史
    原稿種別: 寄稿論文
    2014 年 158 巻 p. 4-18
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     この論文では,現実のコミュニケーションという観点から「やさしい日本語」をとらえ直し,(a)と(b)のような主張を行う。

     (a)「やさしい日本語」は,非母語話者にどのような日本語を教えるのがよいかという日本語教育の問題ではない。母語話者が非母語話者にどのような日本語で話したり書いたりするのがよいかという「国語教育」の問題である。

     (b)母語話者が非母語話者に日本語で話したり書いたりするとき,文法や語彙など,言語的な面だけを考える傾向が強い「やさしい日本語」を意識するだけでは十分ではない。図表やイラストの使用,伝える情報の取捨選択など,情報伝達の面も考える「ユニバーサルな日本語コミュニケーション」を意識しなければならない。

  • 光元 聰江
    原稿種別: 寄稿論文
    2014 年 158 巻 p. 19-35
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     本稿は,日本語指導が必要な児童生徒(以下:「子ども」)の学校現場での「やさしい日本語」使用に関して,日本語教室とその「子ども」が在籍する学級(以下:在籍学級)との関係性の中で考えた。この両者を結ぶ教材として,「やさしい日本語」に書き換えた国語の「教科書と共に使えるリライト教材」(以下:「リライト教材」)の活用について提案した。まず,「子ども」の教科教育についてのこれまでの動向について述べた。次にリライト教材について,作成の理念,基本的な作成法等を記述した。そして,「リライト教材」を活用した授業―取り出し授業と在籍学級の授業―において,「子ども」がどのように授業に取り組んだかを紹介した。「リライト教材」の活用は,「子ども」に在籍学級での対等な「参加」を促し,自らの学びを自らの言葉で「語り直す」という質の高い学びをもたらした。今後,「特別の教育課程」実施にあたり,日本語での教科学習参加に資する一方法として,「リライト教材」の活用による授業を提案した。

  • 岩田 一成
    原稿種別: 寄稿論文
    2014 年 158 巻 p. 36-48
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     近年,日本語学習者の教育内容を議論するような文脈で「やさしい日本語」という概念が用いられるようになっている。本稿で扱うのは看護師候補者に対する教育内容である。看護師国家試験受験の目安となりつつある日本語能力試験2級レベルを基準として文法や語彙を分析した。データとして過去の看護師国家試験問題7回分を用いた。文法に関しては,一試験に1回以上出現する可能性がある2級文法はせいぜい15程度であり,2級文法170項目の一部にすぎない。名詞語彙に関しては,65%が級外または1級語彙であり,2級語彙では全く対応できない。つまり,2級を目指すのではなく,文法内容を最小限に絞って語彙を増やしていく指導が必要になる。また本稿では,1233の必修問題用名詞語彙に519を追加すれば,一般・状況設定問題の約80%が理解でき,1624を追加すれば約90%が理解できるようになることを指摘し,語彙指導の道筋を示した。

  • 柴崎 秀子
    原稿種別: 寄稿論文
    2014 年 158 巻 p. 49-65
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     本稿では,まず,リーダビリティー研究が始まった背景とその定義について紹介し,次に,リーダビリティーを測定するツールの使い方と内容を説明した。さらに,リーダビリティー研究成果の国内外における応用例を挙げ,日本語教育においては日本語能力試験を土台にしたリーダビリティー研究の可能性があることを論じた。同時に,リーダビリティー研究はテキスト要因のみを対象とするものであり,守備範囲には限界があることも加えた。最後に,今後の可能性として,新たなリーダビリティー判定式の構築よりも,社会的応用に着目すべきであることを述べた。

一般論文
調査報告
  • 松本 剛次
    原稿種別: 調査報告
    2014 年 158 巻 p. 97-111
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     インドネシアの中等教育では,2004年発表の「普通高校・宗教高校カリキュラム」以降,「能力を基盤とするカリキュラム」という考え方が唱えられてきた。そこでは「変化や複雑さ,不確実さに対応できる能力の育成」が重視され,日本語の授業もそれに貢献するものとされた。

     しかしこのような考え方は,実際の授業に取り入れられることはあまりなかった。それが近年になり,教育系大学による新たな教師研修・教師養成制度の開始や,それに伴う「PAIKEM(活動・革新・創造・効果的で楽しい授業)」・「科学的アプローチ」といった方法論の紹介などを通して,次第に現場の教師にも理解されるようになってきている。アクション・リサーチ,レッスン・スタディなどの報告も増えている。

     「能力の育成に貢献する日本語教育」という考え方はインドネシアの中等教育に限定されるものではない。今後それらが連携していくことで,さらなる進展が期待できる。

  • S.M.D.T. ランブクピティヤ
    原稿種別: 調査報告
    2014 年 158 巻 p. 112-130
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/17
    ジャーナル フリー

     本研究では,日本語母語話者(JNS)とスリランカ人シンハラ語母語話者(SNS)が感謝の送り手と受け手の「親疎関係」及び「同位・上位関係」を基に感謝場面をどのように理解し,どのような感謝表現を使用するかを調べた。調査方法では,JNSとSNS,各10組ずつを対象に,「友達が忘れ物を渡す」,「見知らぬ人が忘れ物を渡す」,「友達の家を訪問する」,「先生の家を訪問する」という4つの場面でロールプレイを行ってもらった後,フォローアップインタビューに応えてもらった。調査の結果,SNSは感謝の送り手と受け手の関係が親しいと認識した場合,相手に距離を感じさせないように感謝の表出をしないことと,感謝の受け手が先生の場合,上位関係に対する尊敬の念を込めて感謝を表出することがわかった。一方JNSは,互いの関係性の「親疎」及び「同位・上位」という要素を認識してはいるが,どの場面においても感謝を「定型表現」で表出することがわかった。

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