本研究では,中学高校教科書から選定された「経済の基礎的専門連語」の専門学習における有効性の検討を目的に,経済関係学部の専門基礎科目教科書3冊を資料として使用状況を調査した。その結果,「経済の基礎的専門連語」527種は,資料に同形式が使用された184種,類義形式が使用された115種,いずれも不使用の228種に大別された。
同形式使用の184種では,専門語の共起語の品詞は動詞と名詞がほぼ同数で,語種は漢語が和語の3倍近く多かった。類義形式使用の115種は,共起語の品詞や語種などが中学高校教科書から選定された「経済の基礎的専門連語」とは異なる連語88種と複合語27種とに対応した。いずれも不使用の228種は,資料とは別の社会科学の書籍のコーパスに同形式が180種使用され,資料以外の専門科目の教科書に使用される可能性があることが確認された。以上から,「経済の基礎的専門連語」527種は,経済分野の専門学習に有効といえる。
抄録全体を表示