日本語教育
Online ISSN : 2424-2039
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160 巻
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一般論文
研究論文
  • 滑川 恵理子
    原稿種別: 研究論文
    2015 年 160 巻 p. 49-63
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

     言語少数派の子どもに対し教科学習を支えるための言語能力育成が議論されているが,表面的な理解や丸暗記ではない概念学習が必要である。本稿では概念形成の過程に注目し,子ども自身や親の生活に関わる知識や体験を抽象概念と結びつける,母語と日本語による国語の支援授業におけるやり取りをヴィゴツキー理論および言語生態学の視点から質的に分析した。事例において,母親や支援者という身近な大人が働きかけ,子どもが応答する中で,生活体験に裏打ちされながら概念が変化し,広がっていく過程が認められた。この結果から,豊かな体験を積むこと,体験(具体)と抽象とを結びつけるため他者との十分な交流が確保されることの重要性が示された。言語少数派の子どもに対しては母語と日本語の両言語を介して体験と交流が得られる学習環境の整備が必要である。今後の課題として複数言語に通じた人材育成の必要性と所属クラスでの概念学習の検討が挙げられる。

  • 西川 朋美, 青木 由香, 細野 尚子, 樋口 万喜子
    原稿種別: 研究論文
    2015 年 160 巻 p. 64-78
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

     本研究では,日本で(生まれ)育った日本語を第二言語とする(以下,JSL)子どもの和語動詞の産出について,記述式調査票を用い,量的に調査した。調査対象とする動詞は,日本語モノリンガルが母語習得過程で自然に身につけると考えられる31語である。本稿では,比較対象とする同年齢のモノリンガルの点数が安定する小学4年生以上に的を絞り,結果を報告する(モノリンガル n=924;JSL n=124)。分散分析の結果,全ての学年において,JSLとモノリンガルの得点には有意差があり,効果量も大きいことが分かった。一部の「できない子」は,JSLとモノリンガルのどちらにも存在するが,最下位層と位置付けられた子どもの割合は,JSLとモノリンガルでは5~10倍程度の違いが見られた。また,誤答の詳細を分析した結果,JSLでは学校場面で用いられることの少ない動詞・用法の産出が弱く,動詞の意味範囲を間違って適用したケースや母語の影響と考えられる誤用も見られた。

  • 大平 幸
    原稿種別: 研究論文
    2015 年 160 巻 p. 79-93
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

     日本に住む外国人の多様化が進む中,ことばの教育や学習を生活の中において捉えようという取り組みが進んでいる。本稿(1)では異なる文脈における語り直しを経て,自動車整備に関する専門用語が研究協力者の「生活においてなくてはならない重要なことば」になっていく様子を記述する。そして,このことによって生活におけることばの学習の様相を捉え,ことばの学習のひとつのかたちを提示する。

  • 山本 富美子, 二通 信子
    原稿種別: 研究論文
    2015 年 160 巻 p. 94-109
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

     人文・社会科学系に多い「資料分析型」論文で,論文筆者が資料をどのように引用・解釈して結論へと導いているのか,論理展開のための解釈構造を分析した。その結果,引用・解釈に関わる文には「A中立的引用文」,「B解釈的引用文」,「C引用解釈的叙述文」,「D解釈文」の4種があり,それぞれ独自の機能を果たしていることが判明した。Aは資料の着目点を中立的立場から引用・提示し,Bは資料を論文筆者の立場から引用して解釈構造の軌道に乗せる。Cは資料との内容的関連性を持たせつつ論文の解釈構造の中で引用叙述し,Dは資料には一定の距離を置いて読み手を論文の解釈構造の中に巻き込み,主張・結論へと導く。論理展開パターンにはDの論点提示からA,B,Cの引用・解釈,Dの論文筆者独自の議論を経て,重要な論理展開要素の認定または内容の小括で締めくくられる。量的特徴からもB,C,Dの効果的指導が求められる。

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