日本語教育
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寄稿論文
一般論文
調査報告
  • ―習熟度の差はどのように反映されるのか―
    村田 裕美子
    原稿種別: 調査報告
    2019 年 173 巻 p. 16-30
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2021/08/28
    ジャーナル フリー

     本調査は『多言語母語の日本語学習者横断コーパス (I-JAS)』を用いて同一被験者が同一テーマを異なる作業課題 (「話す」課題と「書く」課題) で産出したときの言語使用の実態をテキストマイニングの手法を用いて量的に比較分析したものである。分析の結果,1) 延べ語数の比較からは,「書き言葉」は「話し言葉」よりも産出語数が少ないこと,2) 異なり語数の比較からは,習熟度があがるにつれて,「書き言葉」において多様な語が用いられていること,3) 特徴語の比較からは,習熟度があがるにつれて,「話し言葉」と「書き言葉」で産出される言語形式が似てくることがわかった。本研究の特徴は,言語形式に注目し,質的に分析を行ってきたこれまでの研究をふまえ,600名分以上からなる学習者データ全体を俯瞰的に捉えたときに現れる言語的特徴を量的に明らかにしたところにある。

  • ―世代別データに注目して―
    深尾 まどか
    原稿種別: 調査報告
    2019 年 173 巻 p. 31-45
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2021/08/28
    ジャーナル フリー

     『名大会話コーパス』を対象に終助詞「わ」の使用の実態を見た。世代別データの分析を通して次のことが明らかになった。60歳以上の女性の94%が「わ」類を使用し,「わ」「わね」「わよ」の1人あたりの使用頻度も高い。一方,10代~50代の女性の約70%~80%に「わ」類の使用が見られたが,1人あたりの使用頻度が60歳以上の女性に比べ低い。「わ」類の中で,10代~50代の女性は「わ」の使用が最も多く,次に「わね」,そして「わよ」と少なくなる。男性の「わ」類の使用率は20代が67%と高く,使用頻度も同世代の女性よりやや高い。若い世代では,単に感情を表出したり,事実や話し手の主張を伝える発話だけではなく,反論する,共感する,軽口をたたく,冗談を言うなど様々な場面で「わ」が単独で選択,使用され,会話が活発にやり取りされている様子が観察された。

  • ―複線径路・等至性アプローチを用いて―
    布施 悠子
    原稿種別: 調査報告
    2019 年 173 巻 p. 46-60
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2021/08/28
    ジャーナル フリー

     本研究は,前職を退職して養成講座に入学し,日本語教師の職に就いた者4名を対象に,養成講座入学時から2年目終了時までのキャリア形成過程の可視化を試みたものである。調査方法として,複線径路・等至性アプローチを用いた。まず,4名個々のTEM図を作成し,人生径路や必須通過点,分岐点,径路選択の支えや妨げになる環境的要因について検討した。その後,TEM図を統合し,4名の類似性の高い共通径路と異なる展開を示す相違径路を見出した。その結果,4名とも養成講座修了時,周囲の就職サポートや新たな価値観の発生により,迷いなく日本語教師として働き始める共通径路をたどったが,その後,各教師の所属校の状況が径路選択の支えや妨げの環境的要因として大きく影響することで,教師によりたどった径路が2つに分かれた。そして2年目終了時,4名の径路自体は多様であったが,全員が将来の日本語教師としてのキャリア展望を見据えた径路をたどった。

研究ノート
  • ―日本語の発達段階における位置づけ―
    峯 布由紀
    原稿種別: 研究ノート
    2019 年 173 巻 p. 61-68
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2021/08/28
    ジャーナル フリー

     本稿では,学習者の発話における文脈の時間の流れを表すテイ (ル) の習得に注目し、日本語の発達段階におけるその位置づけを検証する。峯 (2015) は,文脈の時間の流れを表すテイ (ル) は複文処理が可能なレベルで使用できるようになる形式であるとし,かなり熟達した学習者にもその誤用が見られると報告している。しかし,峯 (2015) では誤用が分析されており,学習者が使用するようになる時期についてはデータで確認されていない。

     そこで,本研究では,学習者コーパスに所収されているストーリーテリングの発話を分析し,文脈の時間の流れを表すテイ (ル) と,複文処理を必要とする接続辞の使用の分布分析を行った。Implicational Scalingを用いて検定を行ったところ,この二つの使用に含意的な階層は認められなかった。これは文脈の時間の流れを表すテイ (ル) は複文処理が可能なレベルで使用可能となる項目であることを支持する結果と考えられる。

  • ―視覚的な受容的活動の各レベルの分析―
    伊藤 秀明
    原稿種別: 研究ノート
    2019 年 173 巻 p. 69-76
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2021/08/28
    ジャーナル フリー

     2001年に欧州評議会が発表したCommon European Framework of Reference for Languagesは近年,様々な外国語教育で受け入れられてきているが,これらの取り組みの多くは言語参照レベルに注目が集まっており,それぞれの言語参照レベルにおいてどのような能力が重視されているのかについては理解が深められていない。そこで本稿では,視覚的な受容的活動でどのような能力が重視されているかを明らかにするために,視覚的な受容的活動のCan-doに書かれているテキストを計量的に分析し,各レベルの語の共起関係から考察をおこなった。その結果,A1レベルからB1レベルまではテキストの種類とその読み方が重視されているが,B2レベルからはテキストの内容をどの程度理解しているのか,ということが重視されていることが明らかとなった。

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