日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
Print ISSN : 1341-8270
38 巻
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  • 村串 仁三郎
    2001 年 38 巻 p. 1-10
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2023/05/26
    ジャーナル オープンアクセス
    今日、観光による自然破壊、環境汚染の問題は、観光の大規模化によって深刻になっている。小論は、日本の国立公園における観光と自然保護の確執が、すでに明治の国立公園思想の萌芽に、不十分ではあったが存在したことを明らかにする。1911年(明治44)の帝国議会に日光市から「日光山ヲ大日本帝国公園卜為スノ請願」と静岡県出身の議員から富士山を中心とする「国設大公園設置二関スル建議」が提出され、後者は委員会が組織されて論議がたたかわされた。しかし政府は、提案の趣旨に賛意を示しつつも、国立公園の設置には反対し、今後、調査することを課題とするとの意見表明にとどまった。この国立公園思想の萌芽においても、実は国立公園による自然保護思想は、明確には主張されず、観光開発と自然保護の関係については、問題が指摘されただけで、深く検討されるにはいたらなかった。国立公園思想は、萌芽の段階において、すでに大きな弱点を抱えていたことになる。
  • 塹江 隆
    2001 年 38 巻 p. 11-23
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2023/05/26
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国の海外渡航自由化以来、日本人旅行者が海外において幾多のトラブル(病気・けが・死亡事故・盜難・詐欺・その他)に遭遇している。その状況は今なお渡航者の増加と共に増える傾向ある。 この実態を外務省の「海外邦人援護統計」により推察する。これにより、この稿では①旅行業者の「特別補償」の適用範囲、②クレジットカードに付帯されている「海外旅行傷害保険」、③旅行者自身が任意に加入する「海外旅行傷害保険」および、事故遭遇時における救済システムを調査し、それらの問題点を考察する。さらに、海外旅行の安全性を高めるために、関係する業界(旅行・クレジットカード・損害保険などの各業界)が、共同で多機能なI Cカードを開発することを提唱している。 これにより、旅行者の“危機管理” “自己防衛”に関する意識向上の基盤となると同時に、関係業界の発展に貢献すると結論づけている。
  • 堀 和秀
    2001 年 38 巻 p. 24-38
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2023/05/26
    ジャーナル オープンアクセス
    米国では1978年に航空規制緩和が実施され、それ以降「地域航空」は大きな発展を遂げた。しかし、航空規制緩和により路線からの撤退が自由になると、採算の取れない「生活路線」から航空サービスが無くなってしまうのではないかとの懸念が生じ、「EAS補助金制度」が導入されて「不可欠運航路線」の維持が図られた。 一方日本では、米国から22年遅れて2000年2月に最終的な航空規制緩和が実施された。 米国と比較するとインフラ整備が遅れている中での自由化であるが、米国の地域航空における「EAS補助金制度」の詳細を検証することにより、日本における規制緩和以降のあり方について本稿で提言を試みたものである。 日本では1999年から「離島航空路線維持対策」が「離島路線」に導入されているが、需要が小さくて採算が取りにくい「都市間路線」にも同様の補助金が導入されるべきと考える。
  • 広田 政一
    2001 年 38 巻 p. 39-46
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2023/05/26
    ジャーナル オープンアクセス
    最近、開発途上国「以下, 途上国」において、観光開発が様々な即効的な経済効果を発揮することが少しずつ理解されてきたようである。石油代替として外貨獲得を期待する中近東諸国、対外債務の返済に苦悩しているラテンアメリカ諸国から、従来のアジア諸国に加え、我が国に対し観光協力の要請が高まっている。多くの途上国は外貨不足、失業問題、財政赤字の諸間題を抱え、これが発展の足枷となっている。これらの問題解決には観光資源の開発が重要な役割を果たしているところ、これまでの観光の乱開発やマスツーリズムの方法による開発は過去のものとなり、これらの開発方法はいまや環境を配慮した「持続可能な観光開発」に取って替わった。 一方、我が国の観光開発に対するODAの流れを見ると、これまでの「単体型」から「複合型」(地域開発)への移行が見られ、地域開発と併せた持続可能な観光開発を目指している。持続可能な観光開発を実現させるのは、途上国側の自助努力であるが、そこには自ずと限界があり、「人造り」をはじめとする我が国の観光協力の必要性が今後、一層高まるものと考えられる。
  • 金 賢志
    2001 年 38 巻 p. 47-62
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2023/05/26
    ジャーナル オープンアクセス
    韓国温泉法が最初に制定された1981年、温泉地区として指定された温泉地は15カ所に過ぎなかったが、2000年1月現在、その数は109カ所にのぼる。その他、大都市内で温泉開発が行われた温泉孔保護区域も全国に13カ所ある。このような活発な温泉開発は、1995年以後、地方自治制度が実施されたことによって、地方政府が積極的に観光開発を推進するようになった結果でもある。 本研究は、観光に対する人々の認識の変化と多様な観光需要に応じられるような温泉地の開発を進めるために、韓国温泉地の開発を政治経済的・観光政策的に分析し、その機能を時代的な区分を通じて把握するとともに、各自治体の積極的な温泉地開発の参加形態やあり方の特性および問題点を明らかにすることを目的としている。研究方法は、古文献や行政自治部資料・各地方政府資料・各種温泉関連資料などの文献資料を用いて分析したが、特に122カ所の温泉地区のうち、現在利用中の54カ所を対象として研究を行った。
  • 成沢 広幸
    2001 年 38 巻 p. 63-71
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2023/05/26
    ジャーナル オープンアクセス
    フランスで戦後に行われた国内観光政策は、実施主体の漸進的な多様化、三つの分野への適用、三つの時期が特徴となっている。すなわち第一の特徴は観光政策の実施主体が国以外に、州や県、コミューヌ、さらにはEUにまで拡大したことであり、第二の特徴は観光政策の適用分野が主として国土整備分野、規制分野、ソーシャル・ツーリズム分野の三種類に分類できることである。第三の特徴は大規模観光開発が行われた1960年代まで、環境と観光の折り合いが求められた1970年代から1980年代にかけて、そして地方分権化に伴って観光に関する権限が州や県、コミューヌにまでおろされた1980年代以降という三つの時期が区別されることである。このような政策の進展の中でフランスの国内観光はトップダウン型から地元の利害調整型へ、大規模開発から環境重視の持続可能な開発へと変化してきた。
  • 捧 富雄
    2001 年 38 巻 p. 72-79
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2023/05/26
    ジャーナル オープンアクセス
    岡山県内の観光地が、新幹線、高速自動車道といった高速交通体系の整備によってどのような影響を受けたかを、それぞれが整備された年もしくは翌年の観光利用者数の対前年比によってみると、近畿地方と結ぶ縦貫型の高速交通体系が整備された沿線地域では観光利用者が増加しているものの、そこから離れた地域ではかえって観光利用者が減少することもあることが明らかになった。しかし、横断型の高速自動車道の整備の影響は明確ではない。 また、岡山県観光の課題としては、①高速交通体系の整備による観光利用者の増加は長続きせず、一時的なブームに終わってしまっていること、②観光地間の連携が十分ではないこと、③観光統計が不十分なことがあげられ、既存の観光地の再整備、観光地のルート化、市町村レベルでの観光統計の充実などを提案している。
  • 工藤 泰子
    2001 年 38 巻 p. 80-84
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2023/05/26
    ジャーナル オープンアクセス
    After the ‘hand over’, Hong Kong faced a sudden decrease in the number of tourist arrivals. This was obviously due to the recoil of the ‘rush for hand over event’, but it was also due to the economic crisis in Asia. However, since the second quarter of 1999, the situation in Hong Kong has begun to improve. As it has also been announced that Asia’s second Disney Land will be opened in the year of 2005, this should help ensure that Hong Kong will remain one of the most popular tourist destinations in the world. Considering today's Hong Kong as a ‘world famous tourist destination’ the effort of the HKTA (Hong Kong Tourist Association) cannot be ignored. This paper examines the marketing strategies of tourism by the HKTA, with particular focus on the changes which took place around the ‘hand over’ period, and problems.
  • 石 暁玲, 山村 順次
    2001 年 38 巻 p. 85-94
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2023/05/26
    ジャーナル オープンアクセス
  • 鈴木 勝
    2001 年 38 巻 p. 95-102
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2023/05/26
    ジャーナル オープンアクセス
  • 小胡日査
    2001 年 38 巻 p. 103-115
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2023/05/26
    ジャーナル オープンアクセス
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