日本観光学会誌

観光消費の波及効果に関する確率的動学モデルと観光政策立案のアルゴリズム

赤壁弘康

2010 年 51 巻 p. 1-15
発行日: 2010/11/01
公開日: 2022/06/13

DOIhttps://doi.org/10.51059/nihonkanko.51.0_1

ジャーナルオープンアクセス

抄録を表示する抄録を非表示にする

本稿は、観光消費の波及効果モデルとして、単純で解釈の自由度と操作性が高いロジスティック方程式を提案する。第２節では、（確定的）ロジスティック方程式とその応用に関する先行研究を紹介する。第３節では、ロジスティック方程式の説明力を見るために、現実の観測データによる実証研究の一端を紹介する。さらに、データ分析のために必要となる離散化とカオスの問題を紹介する。第４節が本研究の中心である確率的ロジスティック方程式による観光消費普及モデルの提案である。長期的に持続可能な観光需要を維持することは観光地・施設にとってきわめて重要な政策課題となる。このような政策課題を克服するためのアルゴリズムも、モデルの提案とあわせて提示する。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (3006K)
公共交通の時間制約を考慮した観光周遊行動モデルの構築 ―観光地・日光での適用例―

有賀敏典

2010 年 51 巻 p. 16-29
発行日: 2010/11/01
公開日: 2022/06/13

DOIhttps://doi.org/10.51059/nihonkanko.51.0_16

ジャーナルオープンアクセス

抄録を表示する抄録を非表示にする

観光行動は通勤行動と異なり自由度が大きく複雑であり、公共交通は自動車より制約条件が多く複雑なため、公共交通で行う観光周遊行動をアクティビティ・ベースト・アプローチに基づき、旅行の詳細な分析・予測を行った研究は少ない。また既存研究においては道路混雑の改善を主眼に置いた自動車の交通行動モデルが多く、公共交通の時刻制約を表現したモデルが筆者の知る限り存在しないことが挙げられる。そこで本研究は非都市型観光地域内で公共交通の便の確保が望ましいという立場にたち、利用者の満足のゆく公共交通提供のために必要となる、周遊旅行者の交通行動分析・予測モデルを構築することを目的とする。構築にあたっては、既存研究で主流になっている効用理論を用い、各旅行者が日帰りという時間制約の中で、公共交通で複数観光地を周遊する際に、総効用が最大になるプランを抽出し、活動場所と活動時間を求めるモデルの構築を行った。なお適用において選択肢集合が膨大になる問題に関しては、観光地数を限定することで単純化した。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (1553K)
食文化をいかした県境地域の観光活性化に関する研究

高橋大輔

2010 年 51 巻 p. 30-44
発行日: 2010/11/01
公開日: 2022/06/14

DOIhttps://doi.org/10.51059/nihonkanko.51.0_30

ジャーナルオープンアクセス

抄録を表示する抄録を非表示にする

本稿は、地域資源活用が分断される県境地域において「食」の観光振興に関する地域一体的な取組の実態を把握するとともに、具体事例として両毛地域における取組の詳細を明らかにしたものである。アンケート・ヒアリング調査から、県境地域では地域活性化を目的として観光振興策への展開がされやすい「食」の取組が各地域で実施されていることが明らかとなった。県境を越えて取り組む地域は１１県境地域が把握され、食の地域資源の相互補完や融合によって様々な取組が展開されていることがわかった。事例として取り上げた両毛地域では「麺」を活用した取組が行われており、当初は個別自治体での取組であったものが県境を越えた組織化によって料理を組み合わせながらイベントを展開することで集客効果を得ていることが明らかとなった。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (3320K)
国際観光ホテル整備法の現状と課題 ―観光立国推進に向けて―

平野典男

2010 年 51 巻 p. 45-54
発行日: 2010/11/01
公開日: 2022/06/14

DOIhttps://doi.org/10.51059/nihonkanko.51.0_45

ジャーナルオープンアクセス

抄録を表示する抄録を非表示にする

日本のホテルは戦後大衆化、国内化の道をたどってきた。その間、国際観光ホテル整備法登録ホテルも外客宿泊施設としての特質を希薄化し、増加する訪日外国人客、とりわけアジア地域からの宿泊需要の受け皿として十分な機能を果たせなくなっている。観光立国の実現に向けて、登録ホテル・旅館事業者には、収益性を確保しつつ、外国人旅客の宿泊ニーズに応え、その満足度を高めるための経営努力が求められる。一方、行政側も、インバウンド観光振興に向けて更に法整備を進めてゆく必要がある。国際観光ホテル整備法についても、他の関連法と連動を図りつつ、より実効性のあるものに見直してゆく必要があるだろう。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (1130K)
ホテルの分類 ―基準整理の試み―

佐原秋生

2010 年 51 巻 p. 55-63
発行日: 2010/11/01
公開日: 2022/06/14

DOIhttps://doi.org/10.51059/nihonkanko.51.0_55

ジャーナルオープンアクセス

抄録を表示する抄録を非表示にする

ホテルの分類法は数多くあるが、それらには欠陥も見受けられる。分類基準に生産者側の方針や生産体制が用いられたり、分類結果の合計が全体に等しくなかったり、ある基準での分類の中に他の基準が混入したり、分け方に斉合性が欠けていたりするのが原因で、必ずしも説得的な分類でないものが多い。ホテル学の基礎の１つとして、本稿は分類基準を次のように整理する。１つ目は価格であり、高級・上級・中級・並級・格安級の５つに分ける。２つ目は立地であり、市街密着型・市街回避型・交通密着型・自然密着型・施設密着型の５つに分ける。３つ目は機能であり、宿泊重点型・料飲重点型・集会重点型・綜合型の４つに分ける。この基準での分類により、多様なホテルの態様把握が容易になるであろう。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (932K)
新たな手段による宇宙旅行の可能性 ―宇宙エレベータの構想と課題―

水野紀男

2010 年 51 巻 p. 64-75
発行日: 2010/11/01
公開日: 2022/06/15

DOIhttps://doi.org/10.51059/nihonkanko.51.0_64

ジャーナルオープンアクセス

抄録を表示する抄録を非表示にする

宇宙旅行は、ロケットが最適かつ唯一の交通手段と考えられてきた。しかし、本稿では今までと全く異なる手段による宇宙旅行が近い将来に実現する高い可能性について検証する。それは宇宙（軌道）エレベータと呼ばれる新しい発想である。宇宙旅行のコスト並びに安全性において、従来の手段と比較して大きな優位性が認められる。もちろん、建設に至るまでの技術的並びに法的課題を解決する過程で困難さは予想される。技術面においては、エレベータを昇降させるテザー（ケーブル）の開発とその高い強度が解決すべき最大の課題である。一方、宇宙エレベータの建設には、その宇宙構造物としての法的位置づけが必要である。そしてまた、その運行には現行の国際法や航空法等の関連諸法と宇宙関連諸法との調整並びに法制化が重要なもう一つの課題である。さらに、宇宙交通管理という新たな概念を導入した宇宙交通体系の確立が必要となる。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (1232K)
観光学専攻の学生のための英語語彙リスト作成の試み

藤田玲子

2010 年 51 巻 p. 76-83
発行日: 2010/11/01
公開日: 2022/06/14

DOIhttps://doi.org/10.51059/nihonkanko.51.0_76

ジャーナルオープンアクセス

抄録を表示する抄録を非表示にする

本研究においては、言語データをもとに、観光学を学ぶ学生にとって有用な英語語彙リストを抽出する試みを行った。まず、インターネットを利用して観光の職業分野で使用されている文書と観光学の学術分野で使用されている文書を別々に約14万語収集し、二つのコーパスを作成した。そして、コンコーダンサーという解析ツールを利用して、各コーパスのデータを分析し、特徴度の高い語彙を割り出した。そして、観光の職業分野の英語語彙リストと観光学という学術分野の英語語彙リストをそれぞれ作成した。二つの語彙リストには多くの異なる語が出現し、重複率は約14％で、大きな違いがあることが明確となった。また、JACET8000（2003）に基づき、語彙の難易度レベルの検証も行った結果、各リストの語彙の約半分は大学生にとって基本語と見なされる2000語に属していることがわかった。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (1814K)
”街道”をテーマとした学習型観光の可能性 ―野外講座「江戸の旅人と街道観光」の実践から―

天野景太

2010 年 51 巻 p. 84-89
発行日: 2010/11/01
公開日: 2022/06/14

DOIhttps://doi.org/10.51059/nihonkanko.51.0_84

ジャーナルオープンアクセス

PDF形式でダウンロード (1091K)
書評　角本伸晃著『都市と不動産の経済分析』椙山女学園大学４０成文堂２０１０年２月発行

神頭広好

2010 年 51 巻 p. 90
発行日: 2010/11/01
公開日: 2022/06/14

DOIhttps://doi.org/10.51059/nihonkanko.51.0_90

ジャーナルオープンアクセス

PDF形式でダウンロード (854K)
書評　深見聡・井出明編著『観光とまちづくり―地域を活かす新しい視点―』古今書院２０１０年４月発行

麻生憲一

2010 年 51 巻 p. 91-93
発行日: 2010/11/01
公開日: 2022/06/14

DOIhttps://doi.org/10.51059/nihonkanko.51.0_91

ジャーナルオープンアクセス

PDF形式でダウンロード (869K)

J-STAGEへの登録はこちら（無料）