日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
Print ISSN : 1341-8270
55 巻
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  • 加藤 好雄, 神頭 広好
    2014 年 55 巻 p. 1-9
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    まず空間的な広がりを考慮した都市化の集積の経済効果を組み入れたホテル立地モデルを構築した。そこでは、 都市化が進んだ都市圏において、その都心に料金の高いホテルを立地しようとすることが分かった。さらに、そ のモデルから非都心におけるホテル立地の付け値地代にもとづいて副都心の立地点が導かれることを示めした。 そこでは、都市化の集積経済効果が高い都市圏ほど都心に近いところに副都心が形成されることが分かった。つ いで、空き室率を考慮したホテル立地モデルを構築した。そこでは、空き室率が高い都市圏ほど、料金の高いホ テルが都心に立地することが分かった。また、アルバイト従業員の雇用率を組み入れたホテル立地モデルを構築 した。そこでは、宿泊者数が多く、雇用率が高いホテルほど都心の近くに立地する傾向があることなどが考察さ れた。最後に、私学共済直営のホテル立地モデルでは、実際に都心と副都心の中間当たりか副都心周辺に立地す る傾向があることが分かった。
  • 石井 里枝
    2014 年 55 巻 p. 10-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/02/22
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿の課題は、名古屋鉄道が開発した観光施設のなかで、特に博物館明治村(以下、明治村と記す)の事例を 中心にとりあげて、その建設の過程、開設の意義、開設後の施設運営のあり方について明らかにすることである。 明治村は、名古屋鉄道による経営事業の多角化、観光および文化における開発事業の一環として、1965年 3 月18 日に開設された。もともとは、1960年に名古屋鉄道副社長(当時)土川元夫が、旧制高校時代の同級生である東 京工業大学教授(当時)谷口吉郎との間で、壊されていく明治建築の移築・保存を目的とする野外博物館の構想 について話し合ったことがそのきっかけであった。1963年 9 月から移築建築工事が着手され、1964年11 月 4 日に は博物館法による博物館登録が認可された。翌1965年 3 月18日には開村式が行われ、移築建造物14件を公開展示 し、財団法人博物館明治村は野外博物館として開村した。明治村の開村は、観光のみならず社会的・文化的意義 をもつものであり、文化的・学術的事業と観光開発事業との融和がとれた事業計画・展開という点に、名古屋鉄 道における観光開発事業の特色の一端を垣間見ることができるといえよう。
  • 武田 竜弥
    2014 年 55 巻 p. 21-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/02/22
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    19世紀以降、ルール地域はドイツを代表する石炭・鉄鋼の産地としてドイツ経済の牽引役を務めてきた。しか し1950 年代末の石炭危機を境にこの地の産業は急速に衰え、あとには多くの負の遺産が残されることとなった。 この状況を打開するため、地元ノルトライン=ヴェストファーレン州は1989年から10 年をかけてエムシャーパー ク国際建築博覧会というプロジェクトを実施した。これは州が資本金を全額出資する公社を設立し、そのもとで 市民参加によるコンペやワークショップなどを積み重ねて地域の環境改善と産業構造の転換を図っていくという ものだった。このプロジェクトは大きな成果を挙げ、2010 年にはルールの中心に位置するエッセン市がEUの選定 するヨーロッパ文化首都に選ばれた。この経緯についてはこれまでにもわが国で少なからず研究・報告がなされ てきたが、その中心は都市再生や環境改善といった面にあり、観光という点からは必ずしも十分に論じられてこ なかった。そこで本稿では、独自の現地調査の結果をもとに産業遺産観光の推進という観点からルールの取り組 みを整理し、その成果について評価を試みた。
  • 長谷川 高則, 竹澤 直哉
    2014 年 55 巻 p. 32-45
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/02/22
    ジャーナル フリー
    本論文では和歌山県を訪れる観光客の宿泊動向と和歌山県の観光地クラスターを分析することで、どのように 観光客を誘致し、宿泊客として囲い込むかについて検討した。和歌山県の観光施設は半島の海岸線沿いに点在す るため、交通のアクセスが不便であり、観光地ごとにその特徴が大きく異なる。この観光地固有の影響を観測す るため、観光地をクラスター分析によって「社寺参詣」、「観光施設」、「温泉休養・自然観賞」の 3 つに分類した。 そして、クラスター属性が観光客の宿泊先に与える影響を測定するために回帰分析を行った。2000 年代に行われ た高速道路の延伸、東日本大震災、世界遺産登録などの事象による影響を定量的に測定するため、宿泊客数をそ の 1 ラグ項、イベントを表すダミー変数、経済状況を表す家計支出変数、宿泊地の宿泊定員を加えた時系列モデ ルによる分析を行った。その結果、経済状況は宿泊客よりも日帰客に大きな影響を与えることがわかった。高速 道路の延伸は観光地による差が大きく、観光目的の属性と異なる宿泊先として選択する傾向が見られた。
  • 安田 純子, 三橋 勇
    2014 年 55 巻 p. 46-60
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/02/28
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    オーストラリア政府は、21世紀に入り国をあげて観光を推進している。その一策として200 4年に先住民観光ビジ ネス準備プログラム(Indigenous Tourism Business Ready Program)を発足するなどアボリジニ観光に注目する ようになった。本稿では、彼らの生活文化を観光資源としたアボリジニ観光を考え、観光はアボリジニにとってど のように貢献できるか考察する。アボリジニ観光はアボリジニが主体となることができる事業であり、観光が盛んに なっている現代において収入という面でビジネス効果が大きいため、経済的地位の低さからの経済的自立に役立つ と考えられる。また、観光によって彼らの生活文化が価値あるものとして評価されることは、“誇り”高きこととし て受け継がれ、観光は文化継承という意味でも大きな役割を果たしている。また、観光を通して彼らの生活文化を 文化的財産として再考し文化慣習の異なりの理解を促すことは、彼らの社会的地位の改善につながるものと考える。 アボリジニ美術が注目を集めたと同様にアボリジニ観光は今後多くの可能性を秘めている。観光は、アボリジニの 人びとが平等な国民としてオーストラリア社会へ参入することを一層促進させるために力を発揮するだろう。
  • 林 良隆
    2014 年 55 巻 p. 61-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/02/22
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    観光庁は観光白書平成25 年に「MICE1)分野の国際競争力の強化」と題し、都市におけるマーケティング戦略の 高度化、およびMICE推進体制の構築を掲げている。そのなかで「競合相手となる海外主要都市を念頭に置いた マーケティングの視点からのアプローチが必要である。MICE競争力強化のためのマーケティング戦略の構築・高 度化を行い、それを実施していくことが急務である」とマーケティング活動とリサーチの強化を主張している。 本稿は、上海を中心に中国の展示会・見本市の状況を調査研究したものである。アジア各国の実績推移と動向、 日本と中国の展示会場の比較、上海において過去10年間に開催された実績およびそのなかでの国際的なものの件 数と使用面積、上海における展示会の設営と運営についての留意点、上海における今後の展示会の展望について の私見を挙げて、マーケティング研究として考察する。
  • 井手 信雄
    2014 年 55 巻 p. 67-72
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/02/22
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  • 松村 武
    2014 年 55 巻 p. 73-83
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/02/22
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     主に大都市から農村部へと移動して、定住することをさすいわゆる“Iターン”は、今日広く社会的な関心を 集めている現象である。このIターン現象がさまざまに議論されはじめた背景には、とくに過疎地域における担 い手不足の問題がある。これは、たんに地域農業の経営にかかわるだけでなく、その地域全体の活性化を推進し ていくための人的資源の調達に関する問題でもある。したがって、最近、多くの地方自治体はIターン対策事業 を重点課題としている。こうした地域に対して、特に、「観光」は不可欠であり、経済波及効果や雇用・生きがい の創出など、様々な効果が期待できることから、「観光」による地域づくりの担い手の養成が急務となっている。  地方で、このような気運が高まる中、観光と結びついた新たな農業の展開が期待されている。つまり、Iター ン者の観光への関わりが、地域主導の観光を推進する上で重要であることが明らかになった。
  • 金野 和人, 畠 秀治郎, 三橋 勇太, 三橋 勇
    2014 年 55 巻 p. 84-91
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/02/22
    ジャーナル オープンアクセス
     観光客の最初に出会うサービス業の 1 つであるタクシーは利用客との距離が近いため、そこに住む人や街の第 一印象を決める象徴とも言える。またサービス業は、利用客が不快な態度を示すような接客では、観光地へのリ ピーター創出には繋がらない。よって今後の被災地域内における観光産業発展の為に、タクシーのおもてなしが 重要となる。本調査では、タクシー利用客とドライバーの両側からアンケート調査を行い、タクシー業務におけ る行動によって満足度に深く関連しているかをカイ二乗検定により相関を出した。また、その相関から利用客が 求めるドライバーサービスは、調査でドライバーが苦手とする項目であるといった結果を得ることができた。結 果として、宮城県におけるタクシーの評判が良くないのは、利用客の求めているニーズにドライバーが対応しき れていないからである。
  • 渡邉 潤爾
    2014 年 55 巻 p. 92-93
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/02/22
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