日本社会は、世界で初めての急速な人口減少と高齢化の波に晒され、とりわけ地方都市には、その傾向が顕著
に現れている。本研究では、観光を地方振興の手段として捉え、地方都市への観光、とりわけインバウンド観光
誘致に力を入れるべきと主張する。
その一つの事例として、地方都市の中から、兵庫県豊岡市の城崎町のインバウンド観光への取り組みについて
の事例を調査し、研究する。現在の地方観光振興の担い手は、自治体外郭団体の観光協会等である。観光協会等では、従来の経験知を中心とした観光施策が主流であったが、現在のインターネットからの情報を重視する観光客、とりわけインバウンド旅客に対応するためには、ICTを利活用したプロモーション、及びマーケティング戦略
が重要である。小規模の観光協会等では、ホームページ等の情報更新が長年放置されたままの機能不全の所さえ少なくない。国は、201 4年に地域観光振興の新しい担い手として、日本版DMOの創設を閣議決定した。この研究では、豊岡市城崎町の豊岡版DMOについての現地での聞き取り調査を行い考察する。城崎町では、日本版DMの導入により、マーケティング戦略を取り入れた民間手法の利活用により大きな成果を挙げている。その特徴は、
地域のアイデンティティを重視し、敢えてインバウンド旅客の中の少数派である欧米のFITをターゲットに成果を
挙げている。自治体主導の観光協会等から欧米型の地域経営の専門家集団によるDMOへの速やかな移行が必要であることをこの研究を通じて、明らかにしたい。
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