前報の実験より,液体アンモニア-硫化水素ナトリウム系中では,ハロベンゼソのハロゲン原子がチオール基によって容易に求核置換されることを知った。本報告では,著者らの研究をハロニトロベンゼソとNaSHとの反応に拡張した。ペンタクロロニトロベンゼン[1]とNaSHとの反応を,液体アソモユアおよびメタノール中で行ない,2,3,4,5-テトラクロロ-6-ニトロベンゼンチオールとペソタクロロベンゼンチオールを得た。しかしながら生成物の収率は,前者の溶媒中ですぐれた結果を得た。そこで,さらにつぎのポリハロユトロベンゼン,すなわち,2,3,5,6-テトラクロロニトロベソゼン[2],2,3,4-[3],2,4,5-[4]および2,4,6-トリクロロニトロベンゼン[5],2,5-[6]および3,4-ジクロロニトロベソゼン[7],2-メチル-4,6-ジクロロニトロベンゼン[8],2-[9]および4-クロロニトロベソゼン[10]とNaSHの反応を液体アソモニア中で行なった。
その結果,つぎのようなことがわかった。1)[2]との反応では,2,3,5,6-テトラクロロベンゼンチオールが生成した2)[3],[4],[5],[6]および[8]のようなポリクロロニトロベソゼソとの反応では,o-塩素原子がチオール基によって優先的に置換された。[γ]との反応では,p-塩素原子が容易に置換された。3)[9]および[10]との反応では,相当するニトロベンゼンチオールが容易に生成した。
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