日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1973 巻, 12 号
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  • 久保山 昭, 松崎 早苗
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2249-2252
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    77 Kにおいて,各種の結晶性溶液中で測定したアセナフテンキノソのリソ光スペク5ルは,いずれもその短い寿命(12~16ミリ秒),振動構造および溶媒効果に基づいて,π nスペクトルに帰属された。n-パラフィン中では,鋭いリン光バンドが観測された。 n-ヘキサンの場合は,たがいに接近した二つのリン光スペクトル(両者の間隔は約180 cm-i)が観測されたが,一方, n-ヘプタンの場合は,n-ヘキサンの場合の短波長のスペクトルに相当するスペクトルのみが観測された。このことから,Shpo1'skii効果の規則にしたがって,短波長と長波長のスペクトルはそれぞれ, n-ヘキサン結晶中で,その同称軸をn-ヘキサン分子の平面ジグザグ形の長軸方向に平行および垂直にして配位したアセナフテンキノン分子によるものと考えられるeジオキサンと四塩化炭素中のリソ光スペクトルは,アセナフテソキノソと溶媒間の強い電荷移動相互作用(四塩化炭素はO-アクセプターとなる)により,n-パラフィン中のそれにくらべて大きくブルーシフト(それぞれ約1100および700cm-目)し,かつ,幅が広い。
  • 増田 勇三, 池田 博昭, 村田 則夫, 梶原 利郎
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2252-2257
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    臨界温度上で,臨界2成分溶液における超音波吸収係数の周波数依存性について検討した。測定系はアセト トリル-水,トリエチルアミン上水,ジエチレングリコールジエチル テル-水,n-ヘキサンーニトベンゼンおよびII-頃クタンーニトロベンゼンの5系である。
    得られた結果はFixmanによる多重緩和模型の予測とよく一致した。 Fixman理論によって解析して得られた緩和パラメーターの結果は臨界2成分水溶液における濃度ゆらぎの崩壊速度に基づく特性振動数が非水溶液のものよりも小さいことを示した。このことは音波吸収の温度依存性に基づく分子パラメーターによっても裏づけられた。
  • 久保 俊彦, 日野 隆, 冨永 博夫, 功刀 泰碩
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2257-2263
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    X,Yおよびモルデナイト系ゼオライトのナトリウムイオンを遷移金属イオンでイオン交換して調製した触媒を使用して,180~290 Cの温度範囲でシクロヘキサソの酸化脱水素反応を行なった,この研究に急雨た金属イオンeX Cr(II), Cr(III),Fe(II),C,(ll),Cu(I),Cu(ll)およびT1(I)である。ナトリウムおよびカルシウム型Yゼオライト触媒によってもこの反応は進行するが,シクロヘキセンまたはべソゼソよりも 二酸化炭素が優先的に生成した。酸化脱水素反応は酸素を吸着する遷移金属イオン,とくにFe()で交換することによって促進される。侮の金属イオンで交換したゼオライト触媒はNaYゼオライトと同様の触媒的挙動を示したが,むしろ低い活憐を示した。 Fe(E)でイオン交換したXまたはYゼオライトを使用すると,スチーム存在下でシクロヘキサソからシクロヘキセソへの部分脱水素反応がかなりよい選択率で進行した。モルデナイト系触媒はこの反応に対しては触媒活性を示さなかった.Fe()X触媒はこの研兜で使用した触媒の中でもっともすぐれた活性を示し,シクロヘキサンからシクロヘキセンまたはべソゼソへの脱水素反応の選択性はイオン交換率の増加とともに上昇した。一方,燃焼反応は減少の傾向を示した。
  • 田中 啓一
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2264-2268
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化金(III)酸のゼラチン溶液中での紫外吸収スペクトル(風。x=314 nm)の変化を測定することによって,ゼラチンと金(III)イオンの相互作用を検討した。
    塩化金(III)酸の吸収スペクトルに対する官能基を修飾したゼラチンと数種のアミノ酸の影響を調べることによって,金(III)イオンとの反応における官能基の役割を検討した。平衡透析実験から金(III)イオンとゼラチンの結合体が生成していることが示唆された。
    以上の結果からつぎのような結論が得られた。ゼラチンの濃度が低い場合には金(III)イオンはヒスチジン,メチオニン,アスパラギン酸あるいはグルタミン酸残基と結合する。そしてこの結合は主としてキレートの生成によると思われる。
    金(III)イオンをゼラチンおよび酸化ゼラチンで滴定することによって,ゼラチンの高い濃度では金(III)イオンはメチオニンおよびその他の還元性の官能基によって還元されることがわかった。そしてこの滴定の当量点はゼラチンにふくまれるメチオニンとチロシンの量の和に近い。金(III)イオンによって酸化されたゼラチンをアミノ酸分析するとメチオニンとチシソが減少していたので,これらの残基が金(III)イオンの還元に関与していることがわかった。
  • 佐々木 和夫, 木谷 晧, 坪井 誠
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2269-2274
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    それぞれ11種のか置換アニリン誘導体とアニソール誘導体について,酸化電位と電子移動速度を 検討した。回転白金極による通常のDCポーラグラフィーによる半波電位と,ポテンシャルステップ法から定まる標準酸化電位とはほぼ平行関係にあり,したがって,半波電位と標準電位のいずれをとつても,置換基定数や最高被占準位のエネルギーとの相関関係は,同程度の直線関係を示した。
    アニリン類,アニソール類いずれの場合も,Hammettの置換基定数よりはBrown一岡本の定数(o+) に対して作図する方が,より直線性を示す。とくにアニソール誘導体の場合には,反応に関与する電子数が1か2かによってそれぞれ勾配を異にする二つの直線上に分布し,二つの直線の勾配の比は2となつた。これは,電子数に無関係に反応定数ρは共通であることを示すものであろう。アニリン類ではすべての化合物について電子数が1であり,したがって直線はただ1本である。
    ポテンシャルステップ法で定めた速度定数を,置換基定数に対して図示すると,アニリン類はわずかに負の勾配を(負の反応定数)をもつ程度であるが,アニソール類では明らかに置換基の効果をうける。
  • 泉谷 雅清, 田村 哲平, 永山 政一
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2275-2282
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クロム酸のカソード還元機構を明らかにするため,クロム酸溶液および硫酸を含むクPtム酸溶液中でPtのカソード分極曲線を測定した。分極曲線には一般に三つの電流波(それぞれII,IIIおよびIV波)が認められたが,これらの各電流波においてどのような反応が起こっているかを調べ,それらの分担電 流の電位による変化をも検討した。硫酸を含むクロム酸溶液中については, IIおよびIII波の反応は それぞれ(Cr(VI)-Cr(III)。q, H+-H2),(Cr(VI)-Cr(III)。q, H+-H2, Cr(W)-Cr(0))および (Cr(VI)-Cr(III)。q, H÷-H2, Cr(VI)-Cr(0))であり,アンダーラインは電流の下降部でのみ起こる。硫酸を含まないクロム酸溶液の場合にはII波は存在せず,III波で起こる反応はH÷-H2のみであり,高波後半からN波にわたっては黒色物質の析出が認められた。このような複雑な電流波の現われる 理由について,いろいろ検討した結果,電極表面のクロミック,クロメート皮膜およびその溶解反応, 皮膜内におけるCr(II)の生成反応が重要な役割を果たしていることを見いだした。硫酸イナンの役割をも含めてクロムの電析反応の機構を説明した。
  • 圓堂 稔, 土井 章, 加藤 忠蔵
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2283-2287
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    CO2, N2,空気および減圧雰囲気下におけるCu(OH)2の脱水過程,および脱水生成物CuOの熱特性についてDTAを基にしてTG, DSC, X線,比表面積測定などにより考察した。
    Cu(OH)2の常圧下における熱分解はつぎのように進行すると思われた。
    (a) Cu(OH)2 a CuO+H20t 157eC AH=11.4kcal/mo1
    (b)脱水生成物CuOの結晶化 200 r-10000c
    (c) 2CuO n Cu,O +1/2 O,t 10140C
    (d) Cu,O(S) pt Cu,O(L) 11760C
    試料として用いたCu(OH)2の粒径を比表面積から求めた結果250 Aとなった。脱水反応(a)む脱水率98%において粒径は最小値44Aとなり,脱水終了時で52 Aに増加した。さらec CuOの結晶化段階(b)を経て950℃で635Aに成長した。
  • 吉村 昌弘, 佐多 敏之, 中村 哲朗
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2287-2294
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸素中,空気中およびアルゴン中(Pe2=10-5 at:m)におけるCeO2,とWO,との反応生成物をTG-DTAおよび急冷法によって検討した。その結果, Ce208-WO,系に従来報告されていたCe20懲,3WO3のほかに,新たに2Ce208,9 WO3:およびCe20,2WO,の存在が確認された。これらの複合酸化物を粉末X線回折,化学および磁:気分析,示差熱分析などにより調べた。2 Ce20s,9 WOsの融点は1026±10℃,Ce203,3 WO,の融点は1070土10eC, Ce20s,2 WO8の融点は1395±10。Cであった。Ce20s,3 WO3とCe208,2WO3は高温で可逆転移を示し,転移点はそれぞれ1005±10。Cおよび1105±10℃であった。
    これらの複合酸化物の生成反応および分解反応の温度,出発組成,雰囲気に対する依存性から,複合酸化物の生成は以下の平衡反応によっていることが明らかになった。
    4CeO2 +9WOs=2CezOg 9 WOs+O2 (1)
    4CeO2 +4(2 Ce20s,9 WOs)=6(Ce20s.3 WOs) + 02 (2)
    4CeO2 + 4(Ce20s,3 WOs)=6(Ce20s,2 WOs) + 02 (3)
    これらの反応の平衡酸素分圧およびそれぞれの複合酸化物の安定域が決定された。
  • 潮 真澄, 住吉 義博
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2295-2301
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ZrO,22 wt%とNa3AIF6フラックス78 wt %eの混合物を用い,単斜型ZrO2単結晶を温度差付徐冷法により合成した。出発混合物を100 ml白金ルツボに充テンし,1010~1080℃で一度保持し,それから1~10℃/hrの一定速度で徐冷した。比較的大きなZrO2単結晶は,より高温で保持したとき,かつ徐冷速度が速い場合に得られたelo24。Cから,約200。c/hrの速度で空冷した場合,非常に小さいZrO2単結晶しか合成できなかった。単斜型の合成ZrO2単結晶の大部分は板状であり,一般に{100},{110}と{111}面が発達した。その最大のものは6.7x4.0x1.4m瓢8であり,双晶や平行連晶も少量生成した。くぼみはほとんど認められず,また発光分光分析結果から単結晶の純度は高かった。使用ルツボの断面積にもよるが,NasAIF6フラヅクスの蒸発量は約7.591day(1050℃)であった。多くの単結晶は,{100}面上には"どん栗"ようの成長丘が,{010}では菱形,{i11}では円形の成長丘が認められた。46%の温HFを用い,合成ZrO,単結晶をエッチすると,数時間処理では細長い六角形,長時間処理では菱形のエッチピットが{100}面上に認められた。
  • 岩崎 鈴子, 古沢 源久, 佐野 守
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2302-2304
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アントラキノンをヒドロサルファイトナトリウムの水酸化ナトリウム水溶液で還元して,アントラヒドロキノンのジナトリウム塩の赤色溶液を生成させて定量する方法を検討した。試料をキシレンに溶解するとアントラセジが徐々に酸化され誤差の原因とな:るが,P-メトキシフェノールを添加すれば防止しうることを見いだし,O.02%eまで定量可能な操作法を確立した。
    試料約50 mgを分液漏斗中にとり, P-メトキシフェノール10mgを含むキシレン約10 m1を加えて溶解する。ヒドロサルファイトナトリウム300mgと0.5molμ水酸化ナトリウム水溶液10 m1を加える,分液漏斗内の空気を窒素で置換したのち,40℃に加温し,15分間ふりまぜて発色させる。500 nmにおける吸光度を測定して定量する。試料中に通常存在する不純物は影響を示さない。
  • 長谷部 清, 森 均, 神原 富民
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2305-2308
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    8-ヒドロキシ-5-キノリンスルポソ酸(H2QS)と亜鉛(III)の陰イオン錯体は,ゼフィラミン(Z+Cl-)の存存でクロロホルムに抽出される。この抽出された黄色の三元錯体は395nmに吸収極大を示す。抽出pH範囲は, pH 8.5~9.2において最適である。有機相中での亜鉛(II)の濃度が2, 63~52,6μ9/10 mlの範囲で, Beerの法則にしたがい,モル吸光係数は,1.16x10' cm-i,tmol-1*lである。抽出した三元錯体の組成は,水相中のゼフィラミンの濃度により異なり,ゼフィラミンが少量過剰の場合は,[Zn2'(QS2Z")2.(HQSm"Z÷)]。であり,一定大過剰においては,[Zn2÷(QS2-Z+)2,(Z'QS2-Z+)]。であると推定された。[Zn2÷(QS2Z÷)2 ti(HQS"Z+)]。の抽出平衡定数Kは,

    により与えられ,109 K=25.40土0.09であった。
  • 筬島 豊, 松本 清, 梅木 勉
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2309-2314
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    軍位規制高周波ポーラログラフ法によって得られる測定電流(波高)は電解系に直列に存する抵抗によっていちじるしい影響を受ける。電極過程が起こらない状態で高周波重畳電圧とそのとき流れる高周波電流を測定することにより,総インピーダンスを見積った。さらに外部から相当する抵抗を挿入することにより,支持塩濃度による波高の変化とまったく同じ曲線を得波高におよぼす支持塩濃度の影響はおもに支持塩の液抵抗によるものであることを実験的に明らかにした。
    高周波ポーラログラムとして得られる波形のうちもっとも典型的な3種の電解系について,波高,液抵抗,高周波重畳電圧の相互関係について検討した。この結果,波高と高周波重畳電圧の関係については,波高は単に高周波重畳電圧の平方に比例するのではないと思われた。波高と液抵抗どの関係に対しては,波高は液抵抗の平方に逆比例すると考えられた。
  • 中山 充, 平岡 三津子, 松尾 昭彦, 林 修一
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2314-2317
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポーラスポリマーである目立ゲル#3010を充テン剤とし,移動相にメタノールあるいはn-ヘキサンを用いてモノテルペン類の液体クロマトグラフィーを研究したeまた,カラムの内径および流速を変えて検討した。その結果,メタノールを移動相としてカラム50cm×9mm,流速60 ml/hrのときによい分離が得られた。この条件で,モノテルペン類のアルコール類,カルボニル化合物および炭化水素類を十分に分離できることを見いだした。
  • 竹田 一郎
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2317-2320
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ディジタル,インテグレーター(積分器)を用いるガスクロマトグラフの定量分析において,記録計の指針が大きくスケールアウトすると積分器での計数値に誤差を生ずるおそれがある。
    フィラメント型熱伝導度検出器では,記録計がスケールアウトし非平衡状態になったための電流による検出器回路での電圧降下が問題であり,島津製作所製GC-1C型ガスクマトグラフの場合,この原因による積分器の最大計数誤差は0.8%になった。
    また,熱伝導度検出器の回路によっては,減衰器の感度を切り換えたとき,記録計から見たインピーダンスをなるべく変えないための抵抗をもつものもある。そのさい,積分器をこの回路につなぐときに,最高感度にしたとき記録計と並列になるように接続すると,最高10%もの計数誤差を生ずることがあり,とくに注意を要する。
    水素炎イオン化検出器のときも,減衰器を高感度にして記録計の指針を大きくスケールアウトさせると,エレクトロメーターでの電流飽和により積分器での計数誤差を生じた。
  • 長谷川 肇, 大窪 成就, 宇佐美 好孝
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2321-2326
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シクロヘキセンと塩化オキサリルとの混合物に,常温で100W高圧水銀燈により紫外線を照射した のち,生成物をエステル化して分離すると,trans-2-クロロ-シクロヘキサン-1-カルボン酸エチル[1],cis-2-クロロ-シクロヘキサン-1-カルボン酸エチル[2]および1-エトキサリルシクロヘキセン[3]が得られた。過酸化物を触媒にした反応では[1]が多量に生成するが,光反応では[3]の生成が多いのが特異的である。シクロヘキセンと塩化オキサリルとの混合物の紫外吸収スペクトルを測定すると,293 nmに新しい吸収が見られた。連続変化法による吸光度の測定の結果,塩化オキサリルのモル分率 が0.3付近で極大値が得られた。したがってこの混合溶液中ではCT錯体が生威しているものと考えられる。また塩化オキサリルのモル分率を変化させて光反応を行なったところ,[3]の生成量は塩化オキサリルのモル分率0.3あたりで最高値となった。よってこの光反応ではCT錯体が重要な役割を,果たしているものと推定される。一方,落媒の極性を増加させることにより,[1],[2]および[3]の生成量が影響をうけることから,この光反応はCT錯体を経て進むものと思われる。また[3]の生成機構については,塩化オキサリルがシクロヘキセンにシス付加したのち,塩化水素のトランス脱離が起こり,これにより生成したものと推定され,この反応はCT錯体を経て起こり,シス付加に特異射であると考えられる。
  • 西脇 徹, 二宮 淳行, 山中 静夫, 案田 欣二
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2326-2331
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリクロロビフェニル(PCB)の中性およびアルカリ性アルコール溶液は,光照射によって脱塩素反応を生ずることを確認したが,中性の場合にくらべ,アルカリ性での反応はきわめて速く,連鎖的に反応演進行するものと思われた。またアルカリ性アルコール系について分解生成物の検討を行なった結果,ビフェニルのオルト位に塩素化された成分はその分解速度が遅く,反応終了液中に少量の2-クロロビフェニル,2,2-ジクロロビフェニル,2,6,2-トリクロロビフェニルが残存することが見いだされた。
    各種アルコール中で分解反応を試み,2-プロパノール,2-ブタノールなどの門門アルコールを用いた場合良好な結果を得た。
    系内の水分の影響について検討した結果,全反応溶液に対してO, 5 vol%e以下の水は脱塩素速度にあまり影響を与えないが,1.5vo1%の水を添加した場合,その反応速度は約半分にまで低下するのが見られた。
  • 森田 穣, 佐藤 志美雄, 三原 滋, 山田 毅
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2332-2337
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-ブテンによるトルエンのアルキル化反慮から,パラ成分に窪むsec-ブチルトルエン(SBT)を合成するために,触媒探索とその合理的な反応操作条件などについていろいろ検討している。このうち,本報告では液根回分法による五酸化リン,金属塩化物などのFriedel-Craf嫡虫媒を用いた反応の結果について述べる。
    まず,従来の報告ではSBT各異性体の同定が正確に行なわれていないので,別途に各異性体をそれぞれ合成し,その構造確認を行なった。
    触媒として五酸化リンを用いた場合,触媒量反応物の仕込み量比など実験条件をいろいろ変化させ,そのときのSBT収率,異性体分布を検討した結果, P-SBTの選択率は50~60%の値を示した。他の触媒として硫1,リン酸,金属塩化物などのFriedel-Crafts触媒を用い,いろいろの条件について検討したが,かSBTの選択率は,五酸化リンを用いた場合におよばなかった。
    五酸化リン触媒下の反忘機構は,微量水分によって生ずるプロトン酸を触媒とするカルボニウムイオン機構と,1-ブテンが五酸化リンに直接配位して形成される錯体を経る機構とが並列して進行するものと考えた。
  • 佛願 保男, 川瀬 晃司, 佐伯 恭二, 武藤 正男, 尾藤 忠旦
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2338-2346
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アリルジフェニルポスファート(ADP)といろいろの芳香族炭化水素ならびにフェノール誘導体をLewis酸の存在下で反応させた。
    (1)ADPと大過剰のベンゼンとは無水塩化アルミニウムの存在下で1,1-および1,2-ジフェニルプロパンを生成する。三フッ化ホウ素,エーテラートの存在下では主としてモノアリル化合物が生成し,ADPに対するベソゼソの割合が少ないか,反応温度を上げるとジアリルベンゼソおよびトリアリルベンゼンが生成する。
    (2)電子供与基のついた芳香族炭化水素は三フッ化ホウ素=エーテラートの存在下でADPと反応し,モノアリル化合物を40~60%の収率で得た。電子吸引基のついた芳香族化合物は上記の条件では反応しなかった.
    (3)いろいろのフェノール誘導体も三ブッ化ホウ素=エーテラートの存在下でADPと反応し,もっぱらモノアリルフェノール誘導体を生成した。
  • 高橋 一公, 佐々木 和滋, 田辺 博昭, 山田 和俊, 飯田 弘忠
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2347-2350
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジメチルホルムアミド,ヘキサメチルポスホルアミド,テトラヒドロフラソなどの溶媒中でカリウム一代目キシドを塩基触媒とするアセトニトリルのP-アニスアルデヒドへの求核付加反応によって,2-シアノ-1-(4-メトキシフェニル)-1-ヒドPtキシエタン[2 c]と-メトキシケイ皮酸ニトリル[3 c]を高収率で合成できた。その生成物[2c]と[3c]の収率は用いた溶媒の種類や反応温度などの影響を受けた。また同一条件で,いろいろの置換ベンズァルデヒドとの反応についても検討した結果,2,4禰ジメトキシベソズァルデヒドを除き,ベンズァルデヒド類の置換基の電子供与生が大きいほど,[2]の収率は低下し,[3]の収率が増大する傾向がみられた。
  • 石川 延男, 落合 雅史
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2351-2356
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種置換ヨードベンゼンならびにa-およびB-ヨードナフタレンを,ジメチルホルムアミド中で銅の存在下2-ヨードヘプタフルオロプロパンと反応させ,ヘプタフルオロイソプロピル基をもつ芳香族化合物を合成する方法について検討した。
    O-およびP-ニトロ,O-計トキシカルボニル,0-フルオロなどの電子吸引性基をもつヨードベンゼンからはビアリールの産生が多く,目的物の収率は低かった。またe-トキシ,o-メチルヨードベンゼンおよびa-ヨードナフタレンの場合には立体障害のため反応速度がおそく,やはり低収率であった。またm-およびP-ジヨードベンゼンからはそれぞれ対応するビス(ヘプタ7ルオロイソプロピル)ベンゼンが得られたが,オルト体からは化合物[7]が生成した。
  • 北川 浩
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2356-2361
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    オーストラリア産の3種類の歴青炭,M加ra, Big Ben, Black water炭を原料として,いろいろの条件で活性炭を製造し,比表面積,細孔分布の変化を調べた。実験条件は賦活温度800~900 C,賦活時間2~14hrとした。
    活性炭の比表面積を同一重量減少率で比較した場合,Moura,Big Benについては低温賦活炭の方が高温賦活炭より大きい値を示した。Black Waterについては賦活温度による差異は見られなかった。 活性炭の水蒸気吸着量は低相対圧(0.5以下)においては賦活度が進むにつれて減少するが,高相対圧では賦活度に対応して増加した。
    活性炭のミクロ孔容積(r 16A)は賦活温度によらず,同一重量減少率では同じ値を示した。一方,トランジシerナル孔容積(16 r 1000 A),マクロ孔容積(r 1000 A)は高温賦活炭の方が低温賦活炭より大きかった。したがって,全細孔容積は高温賦活炭の方が低温賦活炭より大きいが,高温賦活炭は低温賦活炭にくらべて半径100A以下の細孔分布曲線が半径の大きい方向に移動しており,細孔が拡大していることが判明した。
  • 請川 孝治, 神谷 佳男
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2362-2365
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    誘電率一定の条件下で不活性溶媒で希釈してアルコ一ル類の自動酸化を行なったとき,裾(2 k,)礎はアルコール濃度が小さくなるにつれて大きくなった。水,メタノール,かブタノールを溶蝶としたとき,酸化抑制効果の大きさの順は,水>メタノール>t-ブタノールの順であうた。一方,テトラリンなどの自動酸化においては,水,メタノールによる酸化抑制効果はみられなかった,このことから,アルコールから生成するペルオキシラジカルは炭化水素から生成するペルオキシラジカルと異なり,水あるいは溶媒としてのアルコールと水素結合をつくり,不活性化されると考えられる。
  • 喜多 正義, 山田 裕, 伊藤 光一
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2366-2370
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Cg- i2脂肪酸メチルをエチレンジアミンとエタノール中で反応させた結果,置換アミド生成反応とともにエステル交換反応を起こすことを認めた。その反応の度合は,エチレンジアミンの添加墨の増加につれて置換アミド生成反応がエステル交換反応よりもいちじるしく進行することを確かめた。
    N-アシルエチレンジアミンの分離は,N, NS-ジアシルエチレンジアミンの除去をエタノールによる再結晶で行なったのち,n-ヘキサソによる再結晶で容易に行ないうるが,加熱により2-アルキル-4,5-ジヒドロイミダゾールを生成することを認めた。
  • 桑村 常彦, 高橋 秀男, 三柴 三郎, 小野 正寛
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2370-2377
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ペンタエリトリットの女直n-アルキルエーテル,(ROCH2) .C(CH20H)4-x (x=1~3, R=C3~C rs)への酸化エチレン(EO)重付加により,ポリオキシエチレン(POE)似非イオン性界面活性剤を合成し,疎水部におけるアルキル総炭素数(N)の等しい既知非イオン活性剤との比較のもとに,その曇り点(Cp),表面張力(rCMC), CMCにおよぼす熟瓜構造およびポリエーテル型連結部の影響について検討した。
    (1)一般に疎水部のアルキル鎖数(A)の増加はCp,7 CMCを低下, CMCを増大させるが, Aが2と3でのrcMc, CMCの差異は少ない。 Aが3の場合,rcMcはRがC3からC6の範囲で変化しない。Aが2以上,とくec 3の場合, CMCの対数とNの関係は直線ゆらはずれ,上方 型曲線となる。
    (2)同一系列,同一HLBd(DaviesのHLB値)では高級同族体ほど高いCpを示す。(3)連結部のエーテル型酸素は見かけ上親水牲に寄与しない。(4)POE鎖数(P)の多い系列はHLB,から予想されるよりかなり低いCpを示す。 P 2では,一般にEO付加数の増加とともにlogCMCが直線的に減少し,その傾きはPおよびRの大きいほどいちじるしい。
    以上の結果について,主としてPOE鎖の配置状態,水和性の観点から論議した。
  • 高松 翼, 太田 忠男, 松本 勲
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2378-2384
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよびMR型アニナソ交換樹脂(Amberlyst-A,-27)を用いる非水系イオン交換クロマトグラフィーによるワックス成分の系統的分離法に,尿素カラムクロマトグラフィーを加え,羊毛脂の成分を炭化水素,遊離酸,中性エステル(遊離アルコールを含む)に大別し,さらにこれらを構成する脂肪酸,ヒドロキシ酸,脂肪族アルコール,ステロールに分離し,これらのうち脂肪族化合物について,IR, TLC, GCおよび一部についてはGC-MSにより同定,確認を行ない,各成分のもつ炭素数分布を求めた。その結果,各成分中の直鎖およびイソー,アンティソーと呼ばれる一連の分枝化合物はおのおの特徴的な炭素数分布を有することがわかった。
  • 橋本 茂, 徳若 博司, 永井 敏雄
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2384-2388
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    α-オレフィンスルホン酸のNMRスペクトルを測定し解析した結果,アルケンスルホン酸,1,3-および1,4-アルカンサルトンを含んでいたが,アルカリ条件下で加水分解したa-オレフィンスルホン酸ナトリウムにみられるようなLアルケンスルホン酸を含有してないことを見いだした。また,5.06,3.43ppmに帰属できないピークがあったが,これらのピークを帰属するためにいろいろ検討した結果このピークはdi-アルケンスルホン酸の生成と密接な関係にあり,アルカリ条件下での加水分解ではアルケンスルホン酸を与えることがわかった。この事実と化学シフト位置などから考え,長鎖a-オレフィンスルホン酸でいまだ見いがされていなかった1,2-アルカンジ-サルトンの>CH-O,-CHズSOゴプロトンによるピークと帰属することができた。この知見はスルポソ化における初期生成物,スルホン化機構の研究に役立つと考えられる。
    NMRスペクトルの解析結果に基づぎ,a-オレフィンスルホン酸中のアルケンスルホン酸,アルカンサルトンおよび1,2-アルカンジ-サルトンを簡単に定量分析することができ,この方法は,炭素鎖長分布のあるAOS酸にも適用できる長所を有する。
  • 平島 恒亮, 真鍋 修, 檜山 八郎
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2389-2394
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    初めに4-置換アゾベンゼン類(H,H;H, NMe,;H, NEt,;H, OMe)の光分解の初期過程を研究した。すなわちアゾベンゼン類を窒素気流中,B-ナフトールの共存下でメタノール,ベンゼンまたはシクロヘキサン中で低圧あるいは高圧水銀燈を用いて照射した。ジアゾニウムイオンの生成は,B-ナフトールとカップリングして生成した1-アリールアゾ-2-ナフトールを分離し,質量スペクトルにより同定標品により確認した。4-置換アゾベンゼン類から生成するジアゾニウムイオンは2種であるが,陰性な置換基を有するものが圧倒的に多いことは生成したアゾ色素から判断された。ついで4,4'-置換アゾベンゼン類(H,NHz;H, NMe2;H, NEt2;H, OCH3;H:, NHCOMe;NH2, NEt2;Cl, NEt,;CH8, NEt2;CH30, NEt2;2Br(o,P), NEt2)の質量スペクトルを測定し,2種のジアゾニウムイオン(あるいはジアゾラジカル)の生成割合を相当するフラグメント強度から求めた結果も同様であった。このフラグメント強度比と置換基定数 の差 aの間にHammett則が見いだされた。この結果から,陰性な置換基を結合しているベンゼン環の方がジアゾニウムイオンあるいはジアゾラジカルになりやすく,これが1-アリールアゾ-2サフトールの生成をもたらしたものと考えられる。低圧水録燈によるシクロヘキサン中でのアゾベンゼンの照射では光酸化還元反応が起こり,ジシクロヘキシルとヒドラゾベンゼンが生成した。N,N-ジアルキルアミノアゾペンゼン類ではN-アルキル基において光脱アルキル化がおもに起こり,ジアゾニウムイオンあるいはジアゾラジカルの生成はほとんど検出されなかつた。
  • 吉井 善弘, 伊東 昭芳, 真鍋 修
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2395-2397
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    無水塩化アルミニウム触媒を用いるナフタレンと塩化a-およびB-ナフタレソスルホニルとのFriede1-Craftsスルポニル化反応はいろいろの温度および溶媒中で行なわれた.2~70 での塩化a-およびB-ナフタレソスルポニルの反応はそれぞれa,aし,a,-B,-およびa,Bし,B,B'-ジナフチルスルホンを生成した,そして,ナフタレンのB-スルポニル化は反応温度の上昇とともに増加した。しかし,70℃をこえる温度ではジナフチルスルホンの異性化が徐々に起こり,ナフタレンの塩化A-ナフタレソスルホニルの反応においてもB,Bレジナフチルスルホンが生成した。エトベソゼソ溶媒中での塩化a-およびB-ナフタレンスルポニルとナフタレンのa-およびβ-位の反応の活性化エネルギー差および活性化エントロピー差はそれぞれ-2.0,-1.6kcal/mo1および-7.0,-4.8 e,u,であった。塩化ナフタレンスルホニルとナフタレンのα-スルポニル化に対するB-スルポニル化の比は溶媒によってかなり変化した。そしてB/aの値は溶媒の誘電率の増加とともに増加するように思われた。
  • 野村 浩康, 加藤 重男, 宮原 豊
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2398-2401
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    既報で明らかにしたポリ酪酸ビニル(PVBu)の音波の高周波側の第二緩和の機構を明らかにするために,測定周波数を130MHzまで広げ,ポリ酢酸ビニル(PVAc),ポリプロピオン酸ビニル(PVPr),ポリ酪酸ビニルートルエン溶液の超音波吸収をパルス法で測定した。測定温度は0~60℃までであった。PVPr,PVBuについては明確に測定周波数範囲で二つの緩和過程の存在を示し,PVAcについても150MHz帯に第二の緩和過程の存在が予知された。この低周波側の第一および高周波側の第二緩和の緩和周波数は温度の上昇とともに高周波側に移動し,同一温度では,側鎖の長さが長くなるにつれて低周波側に移動した。また第二緩和の見かけの活性化エネルギーは第一緩和のほぼ1/10程度であった。これらの結果から,低周波側の第一緩称の機構は既報までに示したように,溶液中の高分子鎖の局所的な,主鎖のまわりの側鎖の回転に基づく熱緩和であり,高周波側の第二緩和の機構は側鎖自身の運動に基づくものであると結論した。
  • 山崎 康男, 鈴木 剛彦, 入江 洋司
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2401-2405
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,4,-ナフタレソトリカルボソ酸無水物とモノアセチル芳香族ジアミンから,3種のアミド-イミド-カルボン酸を合成した。このアミ粋イミド-カルボン酸を減圧下,固相または溶融自己重縮合反応を行なって,ポリアミド-イミドを合成した。モノアセチル化ジアミンとして
    をもつものを選んだ。生成したポリマーはDMF,DMAc,DMSOなどの有機溶媒に不溶で,濃硫酸に対してやや溶解性があった。0 5%濃硫酸溶液(25℃)で測定したポリマーの還元粘度は,0,26~0,79で,CH2もつポリマーがもっとも高い粘度を有していた。ポリマーの熱分析の結果窒素気流中での分解開始温度は450~500 で, をもつポリマーがもっとも分解温度が高かった。
  • 小嶋 邦晴, 仁科 正彰, 善国 麻佐子
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2405-2409
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルキルポランによるビニル重合反応で,酸素や過酸化物が共触媒効果を示すことはよく知られており,著者らはこの反応においてニコチン酸やピリジソなどの電子供与体が共触媒効果を示すことを報告した。そのさい,ジメチルスルポキシド(DMSO)を溶媒に用いるといちじるしい重合促進効果がみられ,得られた重合体の分子量が増大することがわかった。今回はさらにDMSOを溶媒に用いての動力学的研究,ならびにいろいろの溶媒の効果について検討した結果を報告する。
    いろいろの溶媒を用いてトリブチルボラソ(TBB)を開始剤としてメタクリル酸メチル(MMA)の重合を行なうと,その重合速度はつぎの順に減少していくことが明らかになった。
    DMSO>DMF, DMAc>シクロヘキサノン>アセトン,アセトニトリル,
    HMPA>トルエン>ニトロベンゼン>クロロベンゼン>THF
    これらは溶媒の粘性や溶媒の極性よりむしろ溶媒の電子供与性との間に比例関係が得られた。そこで,DMSOとMMA, DMSOとボラソの相互作用をNMRスペクトルの変化から検討したところ,これらの間にとくにDMSOとTBBの問に強い相互作用が認められた。以上の結果,この重合反応はDMSOとTBBの間のコンプレックスを経る重合開始機構が推論された。
    DMSO+TBB---[Complex]---ポリマーラジカル
  • 加茂 文三, 小川 幸次, 須藤 実, 鈴木 守, 古沢 至誠
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2410-2414
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,3-ジヒドロフランおよびその誘導体への各種の求電子試薬の極性付加の立体化学をNMRにより研究した。2,3-ジヒドロフラン,2,3-ジヒドロ-2-メチルフラン,2,3-ジヒドロピランおよ,ベンゾフランのトルエン溶媒中,-78 での壇素化により2種類の生成物が得られ,約60:40の割合のerythroおよびthreo異性体であることがわかった。シス付加量は用いた溶媒にきわめて敏感であり,塩化メチレン溶媒中(30%)よりトルエン中(60%)の方が多かった。一方,極性条件下での2,3-ジヒドロ-5-メチルフラン(MDHF)への求電子講囲め付加はシ不付加支配であり(80%),シス付加量は塩化メチレン中でもトルエン中でも本質的な差がなかった。MDHFのトルエン中,-78 での立体特異性重合により得られた光学活性ポリマーのミクロ構造に対するさきの同定を,キノマーの二重結合の付加の方向に関する知見から検討を加えた。
  • 村田 勝英, 牧野 忠彦
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2414-2420
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    市販の高密度ポリエチレンの熱分解実験を,原料の供給および生成物の取り出しが連続的に行なえる装置を用いて行ない,分解速度,分解生成物の性質,組成およびそれらの分解温度による変化などについて調べた。
    その結果,ポリエチレンを熱分解して得られる分解生成物はH2およびC1~C5の低級炭化水素からなるガス状生成物とC3~C30の炭化水素からなる液状生成物にわけられ,液状生成物が約94.5%を占める。ガス状生成物の平均分子量は35~37で分解温度400~445 ではあまり変化しないが,液状生成物の平均分子量は180から232まで変化する。また反応管に滞留している管液は熱分解における中間的生成物であるが,常温では固体状で,平均分子量約1200の炭化水素であるなどの知見を得た。
    また分解速度については分解生成物の留出量から求める分解留出速度とC-C結合の熱的破断により生じる二重結合を定量して求める二重結合生成速度の両方をいずれも定常状態において測定し,温度に対しプロットした.活性化エネルギーは各速度から47.5,49.4kca1/mo1が得られた。
  • 本岡 達, 小林 悦郎, 小林 正光
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2421-2423
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The mechanochemical reactionsof phosphonitrilic chloride trimer. with some salts by grinding was studied, When it was ground with sa1ts, such as NaCl, NH4C1or NaCO3, chemical reactions occurred. The degree, of mechanochemical changes and the sort of degradation products by grinding were varied depending upon a kind of salt. The changes of composition in three systems by grinding were as fo11ows:
    (PNC12)3-NaCl system: (PNC12)3+H20+NaC1---Phosphates+NH4Cl+HC1
    (PNC12)3-NHdCI system: (PNC12)3+H20+(NHC1)---NH4H2PO+HC1+(NH4C1)
    (PNC12)3-Na2CO3 system=(PNCI2)3+H20+Na2COs(---Na8(PO2NH)s)
    ---Phosphates+NaC1+CO2+(HC1)+(NH4q)
  • 重政 好弘, 桑本 仁志, 酒沢 千嘉弘, 松浦 輝男
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2423-2426
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The thermal reaction of triphenyl phosphite with geraniol was carried out at 200C under nitxogen in a normal pressure fiow apparatus.
    Phenol(1), cyclogeraniol(2), stereoisomeric -1, 2, 3, 4, 1a, 4a-hexahydro-1, 1, 4a-trimethylxanthenes(3) and (4), 2-methyl-2-prenylchreman(5), o- and p-geranylphehols, (6) and (7), were separated from the cemplex reaction mixture and were identified.
    The reaction of phenol with geraniol, catalyzed by 85% phosphoric acid, gave similqr products without (3).
  • 佛願 保男, 佐伯 恭二, 尾藤 忠旦
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2426-2429
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3-Methyl-3-butenyl diphenyl phosphate reacted with anisol and veratrol in the prgsence of boron triAuoride etfierate- to give p-(3-methyl-2-bgtenyl)gpispl (5), R, =H, (15% yield). and 1, 1-dimethyl-5, 6-dimethoxyindane(6), R=OCHs (18% yield), respectively,
    3-Methyl-2-butenyl diphenyl phosphate, prepared by the reaction of 3-methyl-2-buten-1-ol and diphel phenoloridate, reacted with anisol and phenol to give (5), R=-H and p-(3-methyl-2-butenyl)phenol, respectively.
  • 杉本 晃, 井上 健次, 井上 博夫
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2429-2431
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Pyradino[2, 3-b]phenazine (1) undergees addition reactien Kvith varieus kinds of nucleophiles, such as ethanol, methaol, ethylene glycol, n-butylamine, ethyleam, ethahiol and 1, 2-ethanedithiol, at beth C2 and C3 pesitions of (1). ln ethanol, (1) is cenverted telx 2, 3, 4-tetrahydro-2, 3-diethoxypyradino(2, 3-b)phenazine (2a). The formatien of (2a) has been established by the follewing observations: 1) The IR and visible absorption speetra of (2a)are similar to these ef 2, 3-diaminophenazine (3).2) lbs NMR spectrum (DMSO-di) sjhQws signals at 6 1.10 (CHs), 3.40N3.80 (CHa), and 7.85N8.10, 7.45N7.75, and ZO2 ppm (argpaat-ic pfotons).3) The oxidatien ef (2 a) with silver oxide brings about the formation of 2, 3diethoxypyradino[2, 3-b]phenazine.
  • 平島 恒亮, 真鍋 修, 檜山 八郎
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2431-2434
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Photolysis of N-(p-tolylazo)morpholine in various solvents yielded N-(p-tolyl)morpholine(1)as weli as solvent dimmers(2). The yield of (l) depends upon the viscosity of the solvent, thus suggesting that the reaction preceeds in a solvent cage via a radica1 mechanism.
    An ionic mechanism was also postulated for the photoiysis in acetic acid.
  • 北村 究, 弘 正明, 篠原 功
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2434-2436
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Reaction of polyethylene glycol with cyanuric chloride was carried out and the condition of gel formation and the property of produced gel was examined.
    Three dimensional gel was obtained in the reaction at room temperature and 400C and at higher temperature the decomposition reaction eccurred rapidly and gel was not obtained. Although the produced gel was decomposed gradually and spontaneously, it was possible to stabilize the. gel by putting it into dimethylformamide, pyridine and triethylamine solution.
    However, the stabilized gel was decomposed by hydrolysis in the presence of acid or NaOH and by transesterification in alcohol with small arnount of acid.
  • 菊池 康男
    1973 年 1973 巻 12 号 p. 2436-2438
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    It was found that the dilute aqueous solution of heparin was mixed with dilute acetic acid soiution of chitosan (O.25 g/dl) to form a water insoluble hydrous precipitate which Miekka called polysalt. When more concentrated solution (0.5 g/dl) of chitosan was mixed withheparin solutien, a finely colloidal precipitate was formed.
    From sulfur content in the polyelectrolyte complex determined by elernentary analysis, the composition ratios of chitosan structurai unit to heparin structural unit in polyelectrolyte complex No.1, 2, 3, 4 were estimated to be 6.0: 1, 5.3: 1, 3.4: 1and 2.7: 1, respectively.
    Formation of the polyeleetrolyte complex wasfou nd to originate in the strong electrestatic attraction between oppositely charged molecules from the results of IR spectrescopic studies.
    The polyelectrolyte complex was soluble by heating it in the ternary selvent containing water-hydrochleric acid-methanol, water-potassium bremide-acetone or formic acid alone.
    The polyelectrolyte complex (No.2 in Table 1) enhanced the coagulation of blood.
  • 1973 年 1973 巻 12 号 p. 2438a
    発行日: 1973年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 1973 巻 12 号 p. 2438b
    発行日: 1973年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 1973 巻 12 号 p. 2438c
    発行日: 1973年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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