日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1973 巻, 4 号
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  • 中垣 正幸, 小林 征雄
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 635-643
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    複数の強電解質を含む水溶液中における各イオンの拡散をあらわす微分方程式を試行錯誤的に数値計算を行なう方法によって解き,非平衡の熱力学の現象論的拡散係数の値を算出すると,その値は二種電解質が共存している水溶液について従来報告されている実験値とよく一致することをすでに報告したが,本報においてはこの計算をさらにすすめ,ある条件下におかれたiイオンの輸送挙動をあらわすために,iイオンの見かけの拡散係数と標準電解質pqの拡散係数の比Rt/p9を定義し,イオンの特性がRt/pqにおよぼす影響について検討した。
    計算は主としてアニオンを共通とする2種類の強電解質が共存する水溶液を対象とした。その結果,たとえば2種の1-1電解質を混合した場合には易動度の大きい陽イオンの拡散はより速められ言動度の小さいイオンはより遅められること,1-1と2-1または3-1電解質の混合において,陰イオンの易動度が小なる場合多価イオンは逆拡散を起こすことなどが結論された。また実験値または文献値から得たRt/pqの値は計算例とかなりよく一致することを認めた。
  • 松鶴 秀夫, 和達 嘉樹
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 643-647
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    極低濃度コバルト(II)およびセリウム(III)のキレート樹脂Dowex A-1(ポリスチレン系,官能基:イミノニ酢酸)へのイオン交換吸着について,速度論的研究を一定容積系で行なった。
    コバルト(II)のイオン交換吸着速度は,イオン強度,樹脂の粒度,および反応温度に依存し,イオン強度0.001~0.01の範囲では,この反応の律速段階は樹脂表面の液境膜拡散であるが,イオン強度0.05~0.1の範囲では樹脂内拡散が律速段階であることが明らかとなった。イオン強度0.1における見かけの活性化エネルギーとして4.05 kcal/molを得た。
    一方,セリウム(III)のイオン交換吸着速度は,イオン強度および樹脂の粒度に依存しない。その反応速度は拡散律速の速度式にはしたがわず,擬一次反応速度式にしたがうことが明らかとなった。したがって,この反応の律速段階はセリウム(III)と官能基であるイミノニ酢酸とのキレート形成反応であると考えられる。なお,イオン強度0.1における活性化エネルギーとして13.6kcal/molを得た。
  • 今村 哲也, 常盤 文克
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 648-653
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一定イオン強度1×10-3の各種pH水溶液中で,酸化鉄粒子とポリエステル,ナイロン,木棉繊維の電位を流動電位法により測定した。酸化鉄粒子は酸性側で正の電位であり,pH6.5に等電点をもつ。アルカリ性側ではpH増加につれ負の電位が増加する。繊維は種類により電位の大きさとそのpH依存性が異なる。いずれの繊維も酸性側では電位が正か負の小さな値であり,pH増加につれ負の電位が増加し,アルカリ性側では一定値になる。
    酸化鉄粒子と各種繊維間の全ポテンシャルエネルギーはそれぞれを球,平板であると仮定して,ヘテロ凝集理論から計算した。一般にそれらの間の全ポテンシャルエネルギーは水溶液のpHが酸性から中怪までは負かあるいは正の小さな極大であり,さらにpHが大きくなると正の極大値が増加する。実際に各種繊維への酸化鉄粒子の付着量と水溶液のpHとの関係はそれらの間のポテンシャルエネルギーの関係に対応する。すなわち,各繊維は酸性からpH8までは一定の大きな酸化鉄の付着量であるが,さらにpHが大きくなると付着量が減少する。またアルカリ水溶液にトリポリリン酸ナトリウムを微量添加することにより,付着量はさらに減少する。これに対してドデシル硫酸ナトリウムの添加は付着量にほとんど影響しない。
  • 三浦 豊治, 慶伊 富長
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 654-657
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化亜鉛による酸素.水素反応について240~320℃の温度域で速度論的検討を行なった。反応ガスによる触媒への被毒は認められず,生成する水蒸気の存在は反応速度に影響を与えない。 反応速度は速度式によく適合することを見いだした。ここでk,Kは定数,Ph,Po 水素圧および酸素圧である。また見かけの活性化エネルギー18 kcal/molを得た。
    この速度式を説明する反応機構として,酸素および水素の解離吸着点は独立であり,OHとHあるいほOHとOHの表面反応を律速段階とする反応を考えた。
  • 岩本 一星, 吉田 俊久
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 658-661
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Raneyニッケルによるアセトンの液相水素化に対するアルコール類の添加効果について速度論的検討を行なった。アルコールの添加によるアセトンの水素化速度の変化は次式で表わされる。( AKalCg11- 1+KalCal)
    アルコールは水素化の活性点をある割合Aだけ減少させる被毒として作用すると結論した。アルコールによるアセトン水素化速度の定常値ro(1-A)の相違はアルコールによるAの値の相違に基づくものである。
    アルコール溶媒時の全アセトン濃度域で成立する水素化速度式を示した。
  • 丹羽 幹, 石田 襄, 村上 雄一
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 661-667
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    多種類の触媒のオレフィン酸化反応における活性序列およびオレフィンの反応性を知ることを目的とし以下の実験を行なった,いろいろの触媒上で炭素数5以下のオレフィン酸化反応を行ない,得られた生成物間の量的相関を検討すると,部分酸化に関しては単純な正の相関関係が認められるのに対して,完全酸化にはそのような相関を認めることが困難である。これから,触媒上の活性点および反応機構は部分酸化については同Iしであるが,完全酸化については異なるものと結論した。部分酸化生成物の生成量は主として反応に有効な活性点数により決められ,炭化水素の不可逆吸着による活性点の三門により支配されている。オレフィンとジエンのイオン化ポテンシャル対生成量の相関関係はその吸着残留物の多くが生成物であることを示している。オレフィン酸化の典型触媒として知られるBi-Mo(1/1)触媒はメタクロレインなどの生成において特異に低い反応活性をもっており,この触媒における吸着残留物の阻害程度が他の触媒の場合と異なるためと推定した。
  • 小林 厚夫, 越後谷 悦郎
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 668-673
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担体付のNiO, WO3, NiO-WO3触媒上で,エチレンとプロピレンの共二量化反応を行ない,シリカおよびアルミナの担体効果と共二量化反応の機構を推察した。反応は常圧,固定層流通系で行なった。NiO-WO3-Al2O3触媒が共二量化反応に有効であり,NiO-Al2O3より活性が大きかった。また,WO3-Al2O3上では共二量化反応は起こらなかった。また生成物の異性化反応も合わせて検討し,共二量化反応による一次生成物はn-ペンテン(1または2)であり,イソペンテンはn-ペンテンの異性化によるものと結論した。
    また,エチレン,プロピレンの各種触媒に対する反応性は エチレン:NiO..WOs.A1203>NiO-A1203 WO3-A120s rO プピレソ:NiO-WOs-AI203>WO3-A1203>NiO-A120sであった。
    またこれらの触媒は二量化活性ばかりでなく,異性化活性も有し,とくにNiO-Al2O3, NiO-WO3-Al2O3は二重結合の異性化能が大きく,生成物はほとんど平衡組成に近かった。
  • 野崎 文男, 伊藤 俊夫, 植田 四郎
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 674-678
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ZrO(NO3)2とNaHPO4から調製したリン酸ジルコニウム触媒の2-プロパノール脱水活性を流通法で調べた。また触媒焼成温度を200~1000℃の間でかえたとき,触媒活性と酸量との関係および触媒試料のDTA-TGA,IR吸収スペクトル,X線回折などを検討した。
    その結果,脱水反応は零次反応速度式で整理されること,触媒活性および酸量との間にほぼ平行関係があり両者とも触媒焼成温度400℃付近で最大値を示すことがわかった。また触媒構造に関する検討から触媒焼成過程中に触媒の含水塩構造から水が脱離して生ずるLewis酸(L酸)点が固体酸性および触媒活性の発現に主として関与しているものと推考された。またリン酸ジルコニウム触媒の2-プパノール脱水活性はアルミナと同程度以上に高いが,キュメンの脱アルキルやプロピレン重合などには活性がないなどリン酸ジルコニウム触媒がアルミナ触媒と類似接触能を示すことがわかった。
  • 高津 晴義, 藤井 修冶
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 679-683
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    遷移金属にみられるような酸化還元作用のないカチオンをもつゼオライト触媒(NaY, CaY, HY)を使用し,ベンジルアルコールの気相酸化を行なった。またNaY触媒の場合については速度論的検討も合わせて行なった。
    ベソジルアルコールはNaY触媒によりベンズァルデヒドを経て安息香酸へと逐次的に酸化されることが明らかになった。ベソジルアルコ一ルからベソズアルデヒドへの反応の反癒次数はベンジルアルコールに対して0.4次であり,酸素に対して0.5次であった。また活性化エネルギーは220~300℃の温度範囲で11kcal/molであった。
    酸化反応への転化率(ベンズアルデヒド生成率+安息香酸生成率+1/7 二酸化炭素生成率)が3%に達する反応温度がHYで195℃,CaYで245℃,NaYで265℃であることからY型ゼオライトの酸化活性の強さは,HY>CaY>NaYの順序であることが明らかとなった。また二酸化炭素収率は140~300℃の温度範囲では最高0.43%であり,きわめて少なく良好な結果であった。
  • 岡田 正秀, 浅見 幸雄, 渡辺 文雄
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 683-686
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    窒素中(I)および空気中(II)焼成後水素還元した量論的炭化チタン担持ニッケル触媒150℃におけるアセトン水素化特性を調べた。
    Iでは多量の2-プパノールとわずかのイソブチルメチルケトンを生成したのに対し,IIでは少量のアルコールとともにケトンを優勢に生じた。X線分析により,Iでは金属ニッケルと量論的炭化チタンのほかにいくらか酸化ニッケルの,IIでは上記種以外にいくらか二酸化チタン(ルチル型)の存在することが知られた。炭化チタン付酸化ニッケル(III)およびルチル付ニッケル(IV)はどちらも両液状生成物の生成に対していくらか活性を示すことがわかった。主生成物はIIIではアルコール,IVではケトンであった。無担体ニッケル上では反応生成物中にケトンは存在しなかった。
    それゆえ実験結果から,酸化ニッケルを含むまたは含まないニッケルと二酸化チタンを含むまたは含まない炭化チタンを組み合わせた触媒系がアセトンの水素化において2-プロパノールとイソブチルメチルケトンの同時生成をもたらしたと結論される。
  • 山添 昇, 後藤 頼信, 田中 隆夫, 清山 哲郎
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 686-690
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    オレフィン部分酸化における金属パラジウムの特異な触媒作用を解明するために,酢酸中におけるオレフィンの接触的アセトキシル化反応をプロピレンおよびn-ブテンを用いて調べた。プロピレンのアセトキシル化反応では,活性炭担持パラジウム触媒を用いた場合酢酸イソプロペニルも生成するが,金属パラジウムの触媒作用によるものは酢酸アリル(P1)だけである。-方,n-ブテンのアセトキシル化反応はやや複雑である。この場合,金属パラジウムの触媒作用に帰せられる生成物としてCH2=CH CH(OAc)CH3(B1), CH3CH=CHCH2OAc(B4), CH2=CHCH=CHOAcのシスおよびトランス異性体(B5,B6)および1個の未同定物質(B3)が得られ,その生成物分布はn-ブテンの種類や触媒の状態によっていちじるしく変化する。これらの結果においてn-ブテンからB1,B4が生成する事実はプロピレンからP1が生成することとともに主反応に対してπ-アリル機構が適用できることを示すものであろう。ただし,n-ブテンのアセトキシル化反応での複雑な結果を説明するには副反応もまた考慮しなければならない。これらについて水相懸濁パラジウム触媒によるオレフィン部分酸化と関連させつつ考察した。
  • 野崎 文男, 須郷 公英
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 690-696
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    既報に継続して,U-Sb-O系複合触媒のC8H6からCH2CHCHOへの酸化活性と触媒構造との関係を触媒調製法を変えたいろいろの触媒について検討してつぎのような知見を得た。共沈法および沈着法によって調製した触媒が活性および選択性にすぐれており,含浸法では選択性のよい触媒は得られない。また触媒調製出発原料としての酸化アンチモンはSb2O8がよく,Sb2O5では選択性のよい触媒は得られない。触媒構造と選択的酸化能との関係は複雑で一義的に決められないが,触媒調製過程中に複合酸化物USb8O10の生成がみられる触媒が一般的に選択性がよい。C8H66酸化反応を流通法とパルス法とで比較して,触媒の種類によってはCH2CHCHOのCO2への完全酸化がO2の共存により抑側される事実を見いだした。また触媒のESR測定から触媒中にU5+とO2-などの常磁性種があること,およびU5+の存在量と触媒活性とは直接的な関係はないがO2-やO-の存在はCH2CHCHOの選択的生成に重要な関係をもつことなどがわかった。
  • 酒井 義郎, 橋本 雅博, 尾上 芳彦, 矢内 啓介
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 696-699
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    n-ブチルアルコール,シクロヘキサンおよび変圧器油の3種の液体誘電体にいろいろの条件で超音波を照射し,絶縁破壊電圧を測定した。いずれの試料も超音波照射により破壊電圧がいちじるしく低下するが,照射後放置しておくと約10分で照射前の破壊電圧に復帰することがわかった。また未照射の破壊電圧が温度にいちじるしく依存するシクロヘキサンでも超音波照射中の破壊電圧はほとんど温度依存性を示さないことがわかった。さらに超音波の効果は超音波の周波数が低いほど大であることがわかった。キャビテーションの直接効果あるいは二次的に生じた短寿命の物質によって試料の耐圧力が低下したものと推論した。
  • 詫間 貴, 川久保 正一郎
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 700-706
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    四塩化タングステンおよびより低級な塩化タングステンを加熱したさいの熱分解過程をスプリングバランスを用いて調べ,また,それらを封管中で加熱したさい生成する気体の電子スペクトルおよび蒸気圧を測定した。
    四塩化タングステンをアルゴン雰囲気中で加熱すると,wclsi1311192=120 wC12s +WCIs(g WCIz6s) (i4 19 EL 2 ,40 V) WC 2(g)+WCIs g WC12 - llsig912 260N w(+wc14(g))の順に不均化反応を起こす。
    四塩化タングステンを封管中で加熱したさいには,約325℃より(1)3 WCI4=2 WCI3.5 WC15(9)なる不均化反応を起こし,この反応に対する分解圧は10g Pd(mmHg)--11.2x103 T+19 1(325~400℃)で表わされる。WCI3.5は約350度より(2)2WC13.5=W 12+WC1なる不均化反応を起こし,この反応に対する分解圧はlog pdi,2(mmH,9)=8,44x103 T+145(350~450℃)で表わされる。
    これらの結果に基づき,それぞれの反応に対する標準自由エネルギー変化を求めるとつぎのようになる。(1)の反応に対してはdGe=51.3x103-75.5 T ca1 mo1,(2)の反応に対しては Go=38.6x108 53.1 T cal/mol.
  • 井上 繁, 大塚 英二
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 707-712
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    半循環法での尿素合成管の操作条件は,プロセスの最適化の検討の結果決められたのではなぐ,むしろ当時の高圧材料による制約,併産硫酸アンモニウム,ビウレヅトなどの問題に由来しで決められた。したがってそれが最適値であったか否かは確定されていなかった。この点につき解析を行なった。第1は,合成管へのNH3, CO2の供給モル比につき化学平衡論と熱化学の面から検討を行なって最適 NH3/CO2,は約4~5となった。第2には,これに加えて反応速度論と全プロセスの経済性の考察から合成管での滞留時間は約30分がもっともよいことがわかった。これらNH3/CO2と,滞留時間は実際操業されている条件にほぼ等しい。この理由はある温度で合成率の極大値が存在することにある。したがってNH3/CO2の増加は合成率を高くするが,反面,断熱操作のため,合成温度を下げることになるので最適NH3/CO2が生ずる。また反応速度の低下によって尿素の収量が減り,未反応物処理のコストが高くなるからである。それに滞留時間が割に長いのはユーティリティのコストが固定費にくらべて高いからである。
  • 木原 博, 岡本 郁男, 大森 明, 中野 博文
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 713-718
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    はんだ付けにおける金属ステアレートなどの金属塩のフラックス作用を,金属の種類を変えて,金属塩とSn-Pb共晶はんだ間の反応がはんだの銅板上におけるぬれに対していかに作用しているかを研究した。
    その結果,金属塩のフラック作用機構はつぎのとおりであることが明らかにされた。まず,金属塩はSn-Pb溶融共晶はんだ中のスズと反応し,金属およびスズ塩を与える。その生成した金属ははんだ中へ溶解し,その結果はんだが母板上をぬれていくものと思われる。
    そして金属塩と溶融Sn-Pb共晶はんだとの反応は,金属の酸化還元電位および金属ステアレートの生成標準自由エネルギーに支配されるのではないかと思われる。
  • 野崎 亨, 春日 邦宣, 香川 則雄
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 718-723
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    pH 2.3~3.5,イオン強度0.1,20℃での水溶液中で,EDTA,EDTA.OH,CyDTAおよびDTPAの鉛(II)錯体とニッケル(II)との置換反応の初期速度を吸光度の経時変化測定により調べ,それらの初期反応速度式を求めた。EDTA, EDTA.OH, CyDTA系では R=(kl k3/[PV÷] (k2 k4/Pb2÷)[H÷])(PbX Nipt) DTPA系では R={k,k,i/[H"]}[PbH,X][Ni2+]が得られた。各反応径路の全反応速度に対する寄与率を計算した結果,DTPA系では複核中間体生成径路を経て進行するが,EDTA, EDTA.OH, CyDTA系では複核中間体生成径路と鉛錯体の解離径路との両径路を経て進行することが推定された。
  • 上田 穣一
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 724-728
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メチルキシレノールプルー(以下MXBと略記する)はランタノイド元素と反応して青紫色の水溶性錯体を生成する。これらの呈色溶液は波長568~576nmに最大吸収を示す。また,一定の吸光度を示すpH域は各元素によって異なり,pH 9.0~9.7(La)からpH 6.8~7.3(Lu)まで変化する。Sandellの表示法による各元素の定量感度は0.0037~0.0054ug/cm2の範囲内である。また,ランタノイド元素は臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTMAB)の存在でMXBと反応して,青色の水溶性錯体を生成する。これらの呈色溶液は波長630~650nmに最大吸収をもち,pH範囲約7~9で最高の発色を示す。Sandellの表示法による感度は0.0017~O.OO32 ug/cm2で, Beerの法則にはランタン,セリウム(III),プラセオジム,ネオジムは1.6ug/ml,その他の元素は2.0ug/mlまでしたがう。またプラセオジム,ガドリニウム,ルテチウムについて錯体の組成を検討した結果,金属:MXB:CTMAB=1:2:3と推定された。
  • 小田島 次勝, 石井 一
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 729-732
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド=2-ベンゾチアゾリルピドラゾン(以下HNBHと略記する)を合成し,各種金属イオンとの反応性につき検討したところ,銅(II)がHNBHと錯体を形成しクロロホルム,ベンゼン,1,2-ジクロロエタンなどの有機溶媒に抽出されることを見いだし,銅(II)-HNBH錯体の生成ならび抽出につき基礎的な検討を行なって微量銅の定量方法を確立した。
    銅(II)-HNBH錯体はpH 5.3~9.5でクロロホルムに定量的に抽出されて一定の吸光度を与え,その吸収曲線は波長426nmに極大を有した。銅濃度と吸光度の間には良好な直線関係が認められ,モル吸光係数および吸光度0.001に対する感度はそれぞれ2.2×104および2.9×10-3 ugCu/cm2であった。水銀(II),銀(I),ニッケル(II),チタン(IV),チオシアン酸塩,クエン酸塩,酒石酸塩は銅の定量を妨害した。
  • 古沢 源久, 山田 澄子, 佐藤 義一, 安藤 豊, 武内 次夫
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 733-736
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アントラセン中に含まれている少量のカルバゾールをクロマトグラフ法により分離したのち,キサントヒドロールで発色させて定量する方法を考案し,0.01%まで定量可能な操作法を確立した。試料50mgを,o-ジクロロベンゼンに溶解し,アルミナを充テンしたカラム(O.6Φ×5cm)に流す。その後,10mlのo-ジクロベンゼンで展開して,大部分のアントラセンならびに影響を与える不純物を除去する。無水酢酸5mlでカルバゾールを溶離したのち,0.1mo1/l塩酸で無水酢酸を加水分解する。キサントヒドロール溶液と濃塩酸を加え 80℃で45分間加熱して発色させる。570nmにおける吸光度を測定して定量する。試料中にアセナフテン,フェナントレン,フルオレン,ジフェニレンオキシド,アントラキノン,アクリジン,フルオランテンなどが不純物として含まれていても影響しない。
  • 小友 允, 鵜飼 博美
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 736-739
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,3-ジフェニルグアニジウム(DPG)塩の存在下,メチルイソブチルケトンによるアルミニウム(III)-アリザリンレッドS(ARS)錯体の溶媒抽出ついて吸光光度法により検討した。抽出種は525nm付近に吸収の極大をもち,pH 5.5~5.9の範囲で一定の吸光度を与える。pH,試薬濃度,ふりまぜ時間などの最適条件では,水相中1.5x10-5 mol/lまでのアルミニウムと有機相の吸光度との間にBeerの法則がなり立つ。モル吸光係数は525nmにおいて2.9x104l/mol.cmである。実験の条件下では1:2アルミニウム-ARS錯陰イオンがDPG陽イオンと1:2の結合比でイオン会合錯体を生成すると考えられる。
  • 松下 寛, 弘中 博二
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 739-742
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イオン選択性電極を用いた変形零点ポテンショメトリーについて報告する。操作はつぎのようである。サンプル液,標準液,希釈液に無関係電解質を添加して同一イオン強度にし,それによってすべての溶液中のテストイオンの活動度係数を同一にする。体積Vのサンプル液(イオン選択性電極と比較電極浸漬する)濃度Csの標準液を体積vsだけ添加しついで希釈液を体積vだけ添加する。標準液の添加にさき立って,サンプル液のセル起電力を測定し,これをE1とする。希釈液添加後のセル起電力E3をlog(V+Vs+v)の関数でプロットし,このプロットからE1=E3の当量点までに添加した希釈液の体積Vdを求める。このとき,サンプル液の濃度Cは,C=C Vdで与えられる。
    当量点を計算するためのデータ解析は,最小二乗法または3点法(E1,E3および標準液添加後のセル起電力の三つの値を用いる)によって容易に行なわれる。5×10 3vS×10m5 mol/1のフッ化物溶液を,最低濃度レベルを除いた全範囲にわたって約0.5%の相対標準偏差で定量した。最小二乗法は3点法よりよい精度を示した。
  • 小松 将博, 青路 照男, 三角 省三
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 743-748
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    D-グルコン酸錯体を利用するインジウム(III)中のカドミウム(II)のポーラログラフ法による定量について検討した。グルゴン酸ナトリウムの濃度,0.1mol/l,アンモニアの濃度0.6mol/l,0.2 mol/l KCl中においてカドミウム(II)は-0.776V vs. SCEに可逆的な1段波を与え,インジウム(III)は同じ組成で-1.21V vs. SCEに非可逆波の1段波を与える。このカドミウム(II)の半波電位はアンモニアの濃度一定でグルコン酸ナトリウムの濃度を0.02 mol/lからO.2 mol/lまで増加させるにしたがって負に移行し,またグルコン酸ナトリウムの濃度,0.1mol/lでアンモニアの濃度を0.1mol/lから1mol/lまで増加させると同様に負に移行した。錯体の拡散電流に関するLinganeの式を適用すると,その混合配位錯体は[Cd(GH4)(NH3)3]-であることがわかった。
    直流ポーラログラフ法では,0.1-0.5mmol/lのカドミウム(II)とインジウム(III)の検量線が同時に得られた。ク形波ポーラログラフ法,ク形波溶出波ポーラログラフ法ではそれぞれ,0.1~2ppm, 0.01~0.1ppmのカドミウム(II)の検量線が得られた。直流ポーラログラフ法ではカドミウム(II)に対してインジウム(III)がモル比で100倍,ク形波ポーラログラフ法,ク形波溶出波ポーラログラフ法では重量比で1000倍存在してもカドミウム(II)の定量に妨害しなかった。
  • 斎藤 純, 三石 隆俊, 山口 和夫, 田中 誠之
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 749-754
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルキル置換β-ジケトン8種類の化合物の13C-NMRスペクトルを測定し,それぞれのエノ一ル形構造における化学シフトと置換基の関係について考察した。
    その結果,エノール形のメチン炭素はオレフィン炭素,芳香族炭素と比較して異常に高磁場である 90~102ppmの範囲で共鳴し,カルボニル基酸素の非共有電子対が共役系に参加することによりメチン炭素の電子密度を増大させているものと推定された。さらにメチン炭素の化学シフトは置換アルキル基による加成性が認められ,対称β-ジケトンの化学シフトを用いて計算した非対称β-ジケトンの値は測定値と良好な一致を示した。
    また,エノール炭素の化学シフトは置換アルキル基の-I効果が増大するにしたがって低磁場シフトする傾向が認められた。
  • 佐分 義正, 善本 知孝, 南 享二
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 754-757
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ω-フェノキシ-P-ヒドロキジアセフェノン[3]および関連ケトエーテル類の光分解における溶媒効果を検討した。
    これらのケトエーテル類は無極性溶媒中でも極性溶媒中でも光エーテル開裂反応が進行した。しかし,t-ブチルアルコールあるいはインプロピルアルコールのような極性溶媒中の方が,水素供与力の大小にかかわらず分解が促進された。
    なお,ケトエーテル[3]はトリエチルアミン中でいちじるしく分解が促進され,フェノールも好収率で生成した。この理由を明確にする目的で,1,3-ペンタジエンあるいはジフェニルジスルフィドの添加効果を検討した。その結果,ケトエーテル[3]はトリエチルアミン中において,三重項状態で溶媒から水素引き抜き後,光エーテル開裂へ入いる可能性が大きいことが推定された。
  • 古川 靖, 岩切 三雄
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 758-761
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    cis-4-デセン酸,cis-4-ドデセン醸およびcis-4-テトラデセン酸をWittig反応を用い,[3-(メトキシカルボニル)プロピル]トリフェニルホスホニウム=ヨージドをジメチルホルムアミド中ナトリウムメトキシドと作用させて得たホスホランに,対応するアルカナール(炭素数6,8,10)を縮合させて得たメチルエステル類をケン化して合成した。
    合成した酢酸のメチルエステルをアセトン中過マンガン酸カリウムで酸化すると,二塩基酸としてコハク酸,一塩基酸としておもに各アルケン酸に対応するヘキサン酸オクタソ酸およびデカン酸を得ることから二重結合は4-位にあることを確めた。またNMRスペクトルは4,65~4.70を中心とする多重線と7.63~7.72に見かけ上の二重線が認められることからも4-位に二重結合のあることを裏づけた。IRスペクトルは965cm-1付近にトランス体の特性吸収がなく,3010cm-1の吸収と720cm-1を中心とする幅広い吸収があることから,シス体であることを確認した.
    さらにこれらのcis-4-アルケン酸類とそのメチルエステルの定数を測定し,結晶性誘導体としてP-プロモフェナシルエステルとP-フェニルフェナシルエステルの2種をつくり,さきに報告したシロダモの種子油中から分離した同炭素数のcis-4-アルケン酸類と,それらの誘導体の定数との比較を行った.
  • 梶返 昭二, 赤星 輝子, 田中 良征, 藤崎 静男, 増原 操
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 762-766
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-メチルフルオレノン[3]およびフルォレノン[4]と,2-メチル-9-フルオレニルチウム[5]および9-フルオレニルリチウム[6]との組み合わせで,二つのフルオレン核の2-位にメチル基を1個または2個導入した3種の9-ヒドロキシ-9,9ノービフルオレニル類[7]を合成し,これから3種の相当する9-ブロモ-9,9ノービフルオレニル票[8]を導いた。[8]は脱臭化水素化すると2種の赤色炭化水素9,9'ビフルオレニリデン類[9]となる。[8]はまた脂肪族アルコール類と加熱してそれぞれ相当する傘アルコキシ-9,9'-ピフルォレル類,[10]とした。[9]は還元すれば9,9'-ビフルオレニル類[X5]となる。つぎにNMRスペクトルから,二つリフノセオレン核のどちらにもメチル基を導入した2, 2,-ジメチル-9-ヒドロキシ-9, 9ノービフルオレニル[7c]および2, 2i-ジメチル-9-エトキシ-9,9ノービフルナレニル[10 c-2]はトレオ,エリトロ体の,また2, 2'-ジメチル-9, gi-ビフルオレニル[15c]ピゆはうセミメンの混合物であることが判明した。
  • 吉川 彰一, 野村 正勝, 前野 徹郎
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 767-771
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゼンのグロー放電下での反応を行なうと液状生成物やガス状生成物(これらの分析はすでに前報で報告した)の他に放電管内に樹脂状物質が得られる。この樹脂状物質をエーテル可溶部とベンゼン可溶部にわけ,前者をカラムクロマドグラフィーおよび薄層クマトグラフィーで分析したところナフタレンとビフェニルが単離され,また他のスポットの質量スペグトルを検討したところフルオレン,フェナントレンとアントラセンの両者あるいはいずれか一方,およびビアセナフチレンが存在していることが推定された。また後者からメタノ一ルによる再沈殿法によって黄色のポリマー状物質が得られたが, これはそのIRスペクトルおよび元素分析値から上記の縮合多環炭化水素を骨格とするポリマーであると推定される。一方,ベンゼン-水およびベンゼン-メタノール系でのグロー放電反応を行なった。前者の反応系ではフェノール,o-,m-,p-クレゾールがベンゼン単独のグロ一放電反応で得られる生成物他に存在することをガスクロマトグラフィー分析から推定するとともに後者の反応系ではこれらの生成物の他にベンジルアルコールが生成していることを認めた。
  • 田畑 昌祥, 高田 善之, 横田 和明, 鈴木 章
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 771-774
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    7個の非対称置換ベンゾフェノン2,4-ジニトロブェニルヒドラゾン(DNP)を合成し,C=N結合に関する幾何異性体の単離を試みた。その結果,これらのDNPは再結晶法で単離できる安定なE-とZ-異性体の混合物であることが判明した。それらの異性体の立体配置の帰属はNMR,UV,X線解析,IRスペクトルの結果に基づいて行なった。
    対象とした置換ベンゾフェノンの置換基は,2-CH3[1],2,4-(CH3)2[2],2,5-(CH3)2[3],3,4-(CH3)2[4],4-CH3[5],4-OCH3[6],4-N(CH3)2[7]である。
    2-位にメチル基を有する[1]~[3]のDNPはNMRスペクトルを用いて,単離された2個の結晶のうちNHプロトンが高磁場側に現われるものをZ-異性体に帰属した。一方,[4]~[7]の場合はUVスペクトルを用い,長波長側に吸収極大を有するものをE-異性体に帰属した。この結果は4-プロモベンゾフェノンDNPのE-異牲体のX線解析が示したコソホメーションから予測される吸収極大に対する置換基効果と合致することが判明した。
  • 亀岡 弘, 三宅 昭雄, 平尾 子之吉
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 775-778
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イブキジャコウソウの精油成分を明らかにするため,近畿大学薬箪園で採集したものの葉茎部を水蒸気息留し,得た精油を中性部,フェノール性部,カルボン酸部の3部にわけて,GLC,IR,NMRなどの機器分析を用いて検索した。
    その結果,チモールなどの既知4成分の他に今回新たに1-オクテン-3-オール,カルバクロールなど16成分の存在を明らかにした。
  • 長谷 綱男, 萩井 英彦, 石津 美智子, 越智 雅光, 市川 信孝, 久保田 尚志
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 778-785
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ナミノキ,ンヨゴおよびクロガネモチの生葉から同-の強苦味成分pedunculoside[1]を単離した。[1]の酸性加水分解によて,グルコースと,主として2種の酸,酸-A[3]および酸-B[4]が得られる。[3]はvanquerolic acid[21]から誘導されるジオールのジアセタート[25]に誘導され,酸-Bメチルエステル[10]はmethyl tomentosonate[23]に導かれた。また[1]のアルカリ加水分解で得られる酸のメチルエステルは,methyl rotundate[31]と-致した。[1]の構造としてはrotundic acid[30]グルコースがエステル結合をしていることを確認した。
  • 市川 信孝, 越智 雅光, 久保田 尚志
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 785-793
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アカミノイヌツゲおよびクロソヨゴの生葉から同一の強い苦味を有する成分sugereoside(1)を単離した。[1]の酸およびエムルシンによる加水分解によりabbeokutne[6]とグルコースが得られたので[1]の構造としてabbeokutoneグルコシドが推定された。さらにアカミノイヌツゲから弱い苦味を有するilesugerin[18]が単離され,安息香酸-3,4-ジヒドロキシベソジルエステルの3,4一位の水酸基にグルコースがそれぞれ1個一結合した構造が与られた,クロソヨゴからは非苦味物質であるがsugeronin[24]が得られ,安息香酸-P-ヒドロキシベンジルエステルの水酸基にグルコースおよびキシ連なって結合した構造が推定された。
  • 往西 弘次, 城代 進, 後藤 輝男
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 793-797
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カラマツ(Larix leptolepis)中でビニルモノマーを重合する場合,カラマツの抽出成分は重合に対して阻害効果を有することが推定される。
    カラマツの各抽出物について酢酸ビニルのラジカル重合に対する阻害効果をディラトメーターを用いて重合曲線を求め明らかにした。酢酸ビニルの重合に対し重合温度40℃のアセトン抽出物およびアルコール-ベンゼン(1:2)抽出物を除て冷水,温水,アルカリ,エーテル,アルコール-ベンゼン(1:2)およびアセトンの各抽出物には明確な誘導期間が認められた。冷水および温水抽出物の添加量と誘導期間とは比例関係にあった。また,抽出物の共存する反応速度定数(k)と抽出物の非共存反応速度定数(ko)との比(k/ko)を抑制効率として求めると,アルカリ抽出物<エーテル抽出物<アルコール-ベンゼン(1:2)抽出物<アセトン抽出物の順序に重合阻害性が増大すると考えられた。
    さらに重合抑制作用を有する成分は主として樹脂酸および抽出直中のn-ヘキサン不溶解物などであると推定した。
  • 斎藤 雅昭, 重原 淳孝, 伴野 亟計, 土田 英俊
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 798-803
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピロールとエピクロヒドソ(EPCH)からグリシジルピロール(GP)を合成し,とくにN-GPの重合について検討した。 無港媒反応では,2-GPが6。5%,3-GP 51,6%の収率で得られる。ピロールのアルカリ金属塩との反応では条件により重合反応が併行するぶ,おもにN-GPが得られる。 N一置換体の総取率はカリウム塩の場合が最高で71.2%,2-GPの収率は最高でも1. 3%である。Pt ルグリニャールとの反応では,2GP(1.3%),3-GP(2.3%)が得られ, tWに Z 3-ジグリシジルピロール(di-GP),2, 5-diGPが得られるが,いずれもきわめて低収率である。これはおもにEPCHの重合が生起するためと考えられる。NPはKOH, CeHsONaで開環重合し,とくにCHsONaの場合収率88. 9%となるが,分子量は2000程度である。
  • 伴野 亟計, 重原 淳孝, 土田 英俊, 斎藤 雅昭
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 803-808
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-アリルピロール(2-AP)のラジカル共重合性およびフマロニトリル(FN)との交互共重合を検討する目的で,2-APの合成と重合を検討した。コモノマーのQ, e値と共重合性の間には一定の関係があり,コモノマーのQ,e値が大きいときは共重合,Q値が大きくe値が小さいときはコモノマーの単独重合,Q,e値ともに小さいときは重合禁止となった。さらに2-AP(M2)とアクリロニトリル(M1)との共重合では,モノマー反応性比としてr1=1.18±0.01,r2=O.05±O.01を得,Q2=0.07,e2=-0.40と計算された。また,FNとは電荷移動錯体を形成し(λmax=334nm,ニ塩化エチレン溶液),交互共重合する。そして,共重合速度極大はFN高濃度側に認められた。
  • 斎藤 雅昭, 重原 淳孝, 伴野 亟計, 土田 英俊
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 809-814
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-ビニルピロール(2-VPyrr)(M1)系共重合におけるメタクリル酸メチル(M2)との共重合反応性比は,r1=O.69, r2=0.066, 2-VPのQ,e値は,Q1=5.53, e1=-1.36となる。Q値は他のα-ビニルヘテロ五員環誘導体と同様スチレンよりも大きい値を示すが,ヘテロ五員環の共鳴安定性の順序とは一致していない。フマロニトリル(FN)(M2)との共重合では電荷移動(CT)相互作用が起こり,生成する共重合体組成は[2-VPyrr]/[FN]=2となる。モノマー仕込み組成と共重合速度(Ry)との関係で2-VP高濃度側に速度極大が存在することから,この重合機構はモノマー錯体だけでなく,生長には遊離のモノマーも関与している。生長過程はつぎの三式が重要であると考えた。ただしCはCT錯体C(M1-M2)を表わす。非共役型の2-(1-ピロリル)エチル=ビニル=エーテル(PEVE)-FN系共重合においてはつねに1:1の交互共重合体を与え,極大はPEVE高濃度側に現われ,2-VPyrrと同様である。
  • 高橋 三視, 桑原 豊, 竹田 政民
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 814-819
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    [Co(CN)5]3-の配位子の一部を2,2'-ジピリジルで置換したシアノ(ジピリジル)コバルト(II)錯体の水溶液を触媒としてメタクリル酸メチル(以下MMAと略記する)の重合を30℃で行ない,この錯体の重合触媒作用について検討した。シアノ(ジピリジル)コバルト(II)錯体は,水素気相下で乳化剤の存在する場合にはMMAの重合をよく促進するが,乳化剤の存在しない場合には反応の進行は遅く,最終重合率もいちじるしく低い値を示した。この重合系に1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジルを添加すると重合の抑制作用が見られ,スチレンとの共重合反応の結果は一般のラジカル触媒のそれと一致した。一方,窒素気相下でもこの錯体は重合反応をひき起こすが,反応の進行は非常に遅い。重合系拠空気,すなわち酸素を存在させると重合はまったく起こらない。また,反応時における重合系の水素圧の変化を測定したところ,重合反応の進行にともなう多量の水素吸収が観測された。以上のことから,本重合反応は,さきに報告した[Co(CN)5]3-触媒による場合と同じく,水素はシアノ(ジピリジル)コバルト(II)錯体触媒と反応してヒドリドシアノ(ジピリジル)コバルト錯体を生成し,さらこにのヒドリド錯体を介して重合の開始に関与するラジカル機構で進行していることが推測される。
  • 竹村 富久男, 坂口 克恵, 辻 洋子
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 819-826
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリスオキサラトコバルト(III)酸カリウム,K3[Co(C2O4)3]とトリスオキサラト鉄(III)酸カリウム,K3[Fe(C2O4)3]はともに水溶液中でアクリルアミドの光重合の増感剤として働くが,その重合反応に対する挙動は両錯塩で非常に異なることがわかった。
    オキサラトコバルト(III)酸錯塩については,その極大吸収波長(420nmまたは600 nm)での光照射に対して,重合速度はR=kI0.5(1-10-ecd)0.5[M]で表わされ,通常のラジカル重合の機構にしたがう。分解した錯塩あたりの重合開始効率から考えて,配位子ラジカルは重合を開始する以外にラジカル生成をともなわない錯塩の分解を誘発したり,二分子的に自然消滅したりすると思われる。
    オキサラト鉄(III)酸錯塩は誘導期間をともなわないで重合を開始するが,重合の進行とともに重合速度はいちじるしく小さくなり,重合反応の抑制が認められる。ところが,この反応系を過塩素酸酸性にするとこの抑制作用は小さくなり,重合速度も重合体の分子量もともに大きくなる。このような重合進行中の抑制作用およびそれに対する酸の効果はオキサラトコパルト(III)酸錯塩では認められないから,これは光分解生成物であるオキサラト鉄(II)酸塩が蓄積することに起因するものと考えられる。また,酸性下で重合初速度は光源強度に比例するが,錯塩の濃度の増加にともなう吸収光強度の相対比(1-10-ecd)に対しては複雑な依存性を示し,錯塩濃度が高くなるとかえって重合速度はいちじるしく低下する。これはオキサラト鉄(III)酸錯塩自体によって重合反応が抑制されることを示す。 これらの結果に基づいてオキサラト錯塩による増感重合機構を検討した。
  • 川瀬 薫, 早川 浄
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 827-831
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前照射法を用いてポリプロピレン繊維に対するメタクリル酸メチルの気相グラフト重合を行ない,反庵過程をスプリングバランス法で追跡した。グラフト反応による繊維の重量増加はグラフト反応温度が高いほど低くなる。モノマーの蒸気圧およびγ線前照射線量が増加するとグラフト反応速度も増加する。一般に重量増加速度は反応時間の増加とともに徐々に低下するが,グラフト温度が低いときにはむしろ加速的に進行する。グラフト繊維は包含ホモポリマーをほとんど含んでいないことが知られた。反応過程におけるグラフト率の増加をグラフト率の増加にともなうモノ一収着量の増大を考慮した反応機構から説明した。段階的に徐冷したグラフト試料の示差走査熱量測定により再結晶におよぼすグラフト分枝の影響を検討した。
  • 遠藤 剛, 最上 隆夫, 大河原 信
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 832-836
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリメタクリル酸(PMAA)存在下でのN-ビニル-2-オキサゾリドン(NVOx)の加水分解を検討した。加水分解速度は同じpH値でPMAAの存在下の方が存在しないより大きく,基質(NVOx)の高濃度では飽和現象を示すMichaelis-Mentenの式にしたがうことを認めた。 NVOxの加水分解におよぼすいろいろの有機溶媒の効果を検討し,NVOxとPMAAの相互作用には疎水結合と水素結合が大きな寄与をしていることがわかった。さらにPMAAとポリマー錯体をつくるポリビニルピリドン(PVP)の添加の影響,またPVPの分子量の影響を検討した。加水分解速度はPVPの添加量,分子量が増加するにつれて減少した。加水分解における熱力学的諸量を求めた。
  • 往西 弘次, 城代 進, 後藤 輝男
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 837-841
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カラマツ(Larix lePtolepis)-メタクリル酸メチル(以下MMAと略記する)複合材からポリメタクリル酸メチル(以下PMMAと略記する)ホモポリマーをアセトン抽出し,グラフト率10.9%のカラマツ-MMAグラフト重合体を得た。二酸化塩素酸化によりリグニン-MMAグラフト重合体(3.5%)ならびに銅エチレンジアミン溶液によりホセルロース-M MAグラフト重合体(17.4%)を単離した。それぞれのグラフト重合体の組成はリグニン54.3%,PMMA 45.7%およびホロセルロース48.2%,PMMA 51.8%であった。これらの生成ポリマーがグラフト重合体であることを赤外吸収スペクトル(以下IRと略記する)および出差熱一ガスクマトグラフィー(以下DT-GCと略記する)から確認した。それぞれのグラフト重合体のIRではリグニンあるいはホロセルロースの吸収以外にPMMAの吸収が認められ,さらにDT-GCではPMMAの吸熱反応の影響を受けたりグニンあるいはホロセルロースの発熱反応および解重合したMMAが認められた。グラフトPMMAの82.5%がホロセルロースに,14.6%がリグニンにグラフトしたことが確認され,その重合度はホモポリマーよりもかなり低いと推定された。
  • 栗田 芳明, 山崎 和夫, 石川 善信
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 842-847
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    非イオン界面活性剤水溶液の温度による相変化がアクリル酸エステルの乳化重合安定性におよぼす影響を検討した。非イオン界面活性剤を用いてアクリル酸エステルを乳化重合すると,重合温度がある温度以上では重合安定性は悪くなり,また非イオン界面活性剤のオキシエチレン付加モル数(P)がある数より小さくなると重合安定性は悪くなる。しかし重合温度を低くすれば,従来用いられなかった低いPのポリオキシエチレソノニルフェニルエーテルを用いても,安定なポリマーエマルジョンは得られることがわかった。これらの現象は非イオン界面活性剤水溶液の相変化により説明することができる。非イオン界面活性剤の示す,その界面活性剤水溶液にアクリル酸エステルモノマーを添加すると低下し,モノマー濃度の嚥下にしたがって低下する。しかし,ある濃度以上になると,曇点はもはや低下しなくなる。このときの温度を「モノマー飽和曇点」とするが,このモノマー飽和曇点は,非イオン界面活性剤のPが大きいほど高い。モノマーを含む非イオン界面活性剤水溶液は,曇点より低い温度では曇点以上ではW/0エマルジョンであり,したがって,重合がモノマー飽和曇点より低い温度で行なわれれば安定なポリマーエマルジ灘ンが得られ,モノマー飽和曇点曲線は重合安定性に関し,安定領域と不安定領域の境界を示す。
  • 坂井 徹, 瀬尾 真, 大井 信一
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 848-851
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ガス吹き込みカキマゼ槽を用い,エタノールに懸濁したパラジウム-活性炭触媒によるベンズアルデヒドの液相水素化反応を物質移動抵抗および触媒表面反応を評価する目的で行なった。
    水素の拡散が律速する条件のもとで,気一液間物質移動容量係数および液一固間物質移動係数と操作条件(気体通気速度,カキマゼ速度,触媒充テン量)との相関関係を求め文献値と比較した。
    ついで反応律速の条件のもとで,Langmuir-Hinshelwood型表示の速度式の適用を仮定して,反応物濃度の初速度への影響から非線型最小二乗法および速度式中の各定数の温度依存性に基づいて最適速度式を決定した。
  • 橋本 昭夫
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 852-853
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    For the purpese of studying the energy transfer between reacting gas molecules and a solid surface when the catalyti reaction takes place on the surface, the heat loss from the platinum ribbon was measured in the stoichiometric mixture of CO and O2 under pressures in the range of 1-4x10-2 Torr. and at ribbon temperatures of 291 and 358C. lt was found that the accommodation coefficients of both CO and O2 stayed equal to shese observed separately in each gases through the heterogeneous catalytic oxidation of CO.
  • 宇田 泰三, 江頭 誠, 清山 哲郎
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 853-855
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Oxidation of some propylene derivatives were studied over stannic oxide-bismuth oxide catalyst, which is active for oxidative dehydroaromatization of olefin to aromatics. From allyl chloride and allYl bromide, benzene was obtained through dehalogenation, dimerization and aromatization. Halobenzenes, however, were formed only in a very small amount, unexpectedly. Allyl alcohol and allyl amine were easily dehydrogenated to acrolein and acrylonitrile, respectively. ln the case of acetone or 2 bromopropylene, no partial oxidation were observed but complete oxidation.
  • 多田 旭男, 吉田 正敏
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 856-858
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Effects of various aluminum salts used in preparation of aluminum phosphate catalysts on the catalytic properties have been investigated Aluminum phosphates gbtained frolFn nitgate and chl ride((1)and(2))had higher acid am unts and larger sface areas than aluminum phosphate obtained from sulfate (3), but some-o.fL (3). sbgwed.higher. catqlytic.agtiviy foi-bufanol dehydration than'(1)and(2) Over (1) and (2) ether rather than olefin formed 858 in the early stage of the reaction, while over some of (3) olefin formed selectively For the formers, the ratios ofl to 2-butene and cis to trans-2-butene were higher than the equilibrium values, whereas for the latter those ratios decreased as the conversion increased t Studies on Catalysis by Metal Phosphates. IV.
  • 林 弘, 渡部 鼎士
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 858-860
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Properties of thoria obtained by thermal de60mposition of thorium nitrate and oxalate were studied. Thorias from nitrate were dense aggregate like crushed glass about 50 pt in size, while those from oxalate were obtained in powdered form smaller than 2.5 pt. A photograph(400)is given in, Fig.4. The strongly heatednitrate in mue for 3hr gave thia with a particle density of 7.9Av9.3 g/cms. Thoria from oxalate galcined under the same conditions was 3.2/v3.7g/cmS, indicating porous structure. No difference were observed in crystallite size by X-ray powder data. DTA-TGA curves are given for boths alts in Figs. 1 and 2.
  • 吉田 紀史, 松本 昭, 塩川 二朗
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 860-862
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The lanthanoid complexes with N, N'-bis(aceto nylethylide ne)ethylenediaine(AEH2)were synthesized by the new method using mixed olvent (methanol/acetone) at room temperature.The complexes were characterized by chemical analyses, IR spectra, and X-ray powder diffraction analyses. As to La and Gd complexes, these results were different from those reported by Dutt et al.2. La formed a different complex from other light rare earth complexes, La2(AEH2)sC16 2H20. Gd formed the same type of complex as light rare earth complexes, Gd(AEH2)2Cls. MetaNigand stretching vibrations were observed at 406A 429 cm-i. These absorption frequencies increased in the order of the atomic number of metal ions.
  • 及川 栄蔵, 渡辺 義和
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 862-864
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The photochemical reaction of acetone with maleic anhydride yielded oily materials as well as oxetane compounds and maleic anhydride dimer. The distillation of 'the oils under redueed pressure gave pale yellow distillate which solidified on standing into a white and elastic polymer.The structure of the polymer was investigated. The oils underwent the thermal decomposition giving volatile materials which reacted by radical mechanism to give a polymer containing an ether linkage and m aleic anhydride group in the chain. Maleic anhydride was also attached to the main chain as a side group by forming an ester linkage.
  • 佐分 義正, 善本 知孝, 南 享二
    1973 年 1973 巻 4 号 p. 864-867
    発行日: 1973/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    It was previously reported that acetophenone was produced in good yield from the photolysis of 2-phenoxy-1-phenylethanol(PPE) with benzophenene, but, in the case of 2-(p-methoxyphenoxy)-1-phenylethanol(MPPE) with benzophenone, preferential product was benzaldehyde.
    In order to elucidate the mechanism of benzaldehyde formation, the rate constant kr was determined and the deuterium isotope effect was investigated. ln the case of benzephenone-PPE, the value of kr, was 3.6-106 l.mol-1sec-1 (the isotope effect=conversion of PPE -d/conversion of PPE, 0.50). On the other hand, in the case of benzephenone-MPPE, a remarkably large kr value was obtained (1.4 10g) and the isetepe effect (ceftversion of MPPE-d/conversion of MPPE)was scarcely observed (1.1).
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