須崎産マクサ原藻から抽出した寒天にアクリノールを添加してアガロース(AG)を分離iした AGのゲル化機構を調べるために,AG水溶液にジメチルスルポキシド(DMSO)を添加したゲルについて応力緩和実験を行なった.AG 15,2,2.5wt%の3種の水溶液に,0.43モル分率(mf)の濃度までDMSOを添加した試料ゲルについて25~55Cの範囲の温度で4時間までの応力緩和曲線を求めた,緩和曲線は3個のMaxwell模型を並列にした力学模型で解析し,その結果について考察を行なった
ゲルの主要三次元構造に対応するとみられる最長緩和時間を有するMaxwe11模型に属する弾性率E,は,AGゲルにDMSOを添加するにつれて添加DMSOのある濃度xdまで増大し, DMSO添加濃度がそれ以上になると急激に低下し,事実上外見的に0に近づいた。πdの値はAG濃度とともに若干増大し,AG 1. 5~2.5wt%のところでxaは0.24~O. 32である 同じく主要構造に対応する最長緩和時間τ,はE1同様DMSO添加量が箱に達するまで緩慢ではあるが減少する傾向をもち,DMSO添加量がそれ以上になると急激に低下した ちの温度依存性から求めた活性化エネルギーは,AG濃度, DMSO添加濃度に依存することなく全試料ゲルの平均値はほぼ5kca1/molの一定値を示した
以上の結果,AGゲルにDMSOを添化するときにゲル形成能の受ける影響は,以下のように説明される
すなわち,DMSO添加がXd以下のところでは, DMSOの強力な水和物形成により水和していない"自由"な水の減少を通じて,AG分子鎖の水に対する溶解性と非溶解性の一定の均衡関係がミセル形成を強める方向に移動することによってゲル形成能が高められ,弾性率が上昇し,Xdをこえたところでは"自由"なDMSO(水和していないDMSO)が増大し,溶解性が高まるため,ゲルが形成されず弾性率は急激に減少し,事実上0になる
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