日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1973 巻, 7 号
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  • 増田 勇三, 村田 則夫, 梶原 利郎
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1253-1257
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    臨界点近くでのずれ粘性の異常増加について,Fixmanは平均場の理論を用いて強い発散傾向が存在すると予測した。これは最近KadanoffによりScaling lawの取り扱いによって修正されたが,幾人かの研究者はFixman理論を支持する実験結果を報告している。この研究では,ずれ粘性係数を臨界水溶液(トリエチルアミンー水,アセトニトリルー水,ジエチレングリコールジエチルエーテル一水およびイソ酪酸一水)について測定し,その温度依存性について検討した。この結果,ジエチレングリコールジエチルエーテルー水系を除く3系には臨界点近くのゆらぎに基づく強い発散があることが推定できた。これらの系の異常粘性はFixman理論によって解析された。その結果, Fixmanの分子パラメーターは超音波の結果とよく一致した。
  • 梅村 耕造
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1258-1264
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    展開したRaneyニッケルの加熱による水素の発生について,水素発生量の測定,触媒の熱的変化と発生状態とを知るための示差熱分析と昇温脱離の同時測定,および水素発生にともなうニッケルの磁化の変化を測定した。
    水素の発生は50~80。Cと120~260。Cとの間でいちじるしく,300。C以上では少なかった。全発生し量は合金の粒度や展開温度によって異なり,触媒19あたり65~175,cm3であった。
    DTAの熱曲線には約100。Cに吸熱ピークがあり,120~260℃に発熱ピークが見られた。80℃以上で展開された触媒では300。C近傍に吸熱ピークが認められた。昇温脱離曲線には二つのピークがあり,第一のピーク温度はDTAのピーク温度100。Cにほぼ一致し,第二のピークはDTAの発熱ピークの温度範囲でみられた。アセトン,スチレン処理によって脱離曲線の二つのピークはいちじるしく低下したが,熱曲線にはそれに対応するほどの変化はなかった。
    アセトン,スチレン処理による水素の除去と同様に加熱による水素の発生はニッケルの磁化を増加さ.せたが,80。C以下で発生する水素は磁化との関係が少なく,120。C以上の水素はその強磁性と密接に関係することがわかった。
    これらの結果から,80。C以下で発生する水素はニッケルに弱く結合しており,120~260。Cで発生する水素は解離吸着しているものであり,高い方の温度で出る水素のいくらかの部分は触媒中に残存したアルミニウムと水との反応で生成したものであると考えられる。
  • 山辺 常吉, 城野 勝博, 上原 勝, 鈴木 貞雄
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1264-1268
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シリカアルミナ担持パラジウム触媒による水素の収着と,収着水素の脱離過程を,0~35。Cの範囲で検討した。その結果,担体上に高度に分散した比表面積の大きいパラジウム試料においては,比表面積の小さいパラジウムブラヅクの場合に確認された表面分子状吸着水素と内部溶解水素の他に,きわめて低圧で飽和に達する表面強吸着水素が存在することが明らかになった。この強吸着水素はLangmuirの解離吸着式にしたがって吸着し,それに対応する二次の速度式にしたがって脱離する。この水素の吸着熱と脱離の活性化エネルギーはそれぞれ7.5,8.7kcal/molである。また,パラジウムの比表面積の増大にともなって,強吸着水素の吸着量が全収着量の半分以上を占めるようになる。
  • 山本 協子, 関 道治, 河添 邦太朗
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1268-1279
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    火カプラント排ガスのように二酸化硫黄,水蒸気および酸素が共存するガスが活性炭と接触すると,二酸化硫黄は酸化して活性炭上に硫酸として蓄積する。本意は,生成する硫酸の蓄積量の増加にともなって,硫酸生成速度は大別して3段階に変化してゆくことを示し,各段階の蓄積量と生成速度との関係を考察したものである。
    第1段階は,さきに等速反応領域と名づけた領域で,初期,硫酸蓄積量が二酸化硫黄に換算して約10wt%にいたるまで生成速度が一定にたもたれる。この段階では,蓄積する硫酸が活性炭細孔の表面をいちようにおおっているのではなく滴状になって存在し,反応表面積にほとんど変化を与えていないものと考えられる。第2段階は硫酸蓄積量がそれ以上に増加して生成速度がしだいに減少してゆく段階で,ここでは,硫酸によるミクロ孔の充満が進み反応表薗が減少してゆくために生成速度が低下するものと考えられる。第3段階は,硫酸蓄積量がミクPt孔容積にほぼ匹敵するようになって始まり,生成速度がふたたびほぼ一一定になる段階で,ここでは,硫酸がマクロ孔に蓄積してゆくものと考えられる。
  • 杉岡 正敏, 青村 和夫
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1279-1284
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種の金属イオン交換Y型ゼオライト触媒によるエタンチオールの接触分解反応をパルス反応器を用いて,反応温度400Cで行なったところ,第1回目のパルスから求めた分解活性はつぎの順序であった。
    NiY>CoY>ZnY>CdY>CuY>AgY>PbY>MnY>AIY>BaY>CrY>CaY>MgY>NaY>FeY
    この序列は400Cにおけるクメソの接触分解の初期活性の序列とは一致しなかった。 また,金属イオン交換Y型ゼオライト触媒によるエタンチオールの接触分解反応はNaYを除いていずれもピリジンで被毒され,分解活性は低下した。さらに,ピリジン被毒による活性の低下は触媒中の金属イオンの電気陰性度X1が大きな触媒ほどいちじるしかった。
    一方,触媒中の金属イオンの電気陰性度Ziとこれらの触媒のエタンチオールに対する分解活性との間には火山型の活性序列が認められた。
    これらの結果から,金属イオン交換Y型ゼオライト触媒によるエタンチ骨牌ルの接触分解に対する活性点は主として触秘中の金属イオンであると考えられたので,金属イオンが関与したエタンチオールの分解機構を推察した。さらに,金属イオンの電気陰性度に対して火山型の活性序列を示すことについて考察した。
  • 岡崎 進, 菅野 隆
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1285-1290
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫酸法による酸化チタン製造の中間製品(含水酸化チタン),アナターゼ型市販品をメタノール,エタノール,n-プロパノール, n-ブタノールおよび炉オクタノールとオートクレーブ中で230℃ないし280℃で反応させ,表面エステル化反応の進行度およびその効果を調べた。
    生成物の炭素分析,IR吸収分析, DTA, TGAから表面にOHが多く存在する(硫酸法による酸化チタン製造の)中間製品は反応率が高く,またブタノールとの反応を280℃までの範囲で検討した結果,高温ほど反応率は高いことが認められる。しかし,220℃より高温で長時間反応させると反応率はかえって低下し,オレフィンを生成した。各アルコール間の反応性の差は小さく,臨界温度に近い温度で短時間反応させた場合,どのアルコールも1.1~1.2mm 1/9-TiO2程度に反応した。
    親油化の程度を分散性,接触角,水の透過時間,MMAモノマー中の沈降容積などから総合的に検討し,さらにブチルアミン滴定法から固体酸性度を測定したところ,長鎖アルコールほど海面被覆効果がすぐれ,したがって親油化効果が大きくなるものと認めた。
  • 白石 稔, 小林 和夫
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1291-1296
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3,5-キシレノールーホルムアルデヒド樹脂を1800~3000℃まで熱処理して得た試料について,既報の石油コークスの場合と同様に,高温X線を用いて。軸方向の熱膨張を室温から900℃まで測定した。その結果,20Cにおける熱膨張係数は,試料の熱処理温度の高くなるにつれて2.7x10-5 C-1から2。8x10-5C-1まで増加することがわかった。層間距離の減少,結晶子の見かけの大きさの発達および'軸方向の格子ひずみの減少にともなって,熱膨張係数は増大することが知られた。
    一方,X線反射強度の温度変化から。軸方向の炭素原子の熱振動の大きさを求めた結果,20。Cにおける平均二乗変位は0.015A2から0.012,A2と試料の熱処理温度の高くなるにつれて減少した。
    3,5-キシレノールーホルムアルデヒド樹脂カーボンは石油コークスとくらべると,黒鉛化姓が悪く,熱膨張係数は若干小さく,炭素原子の熱振動の大きさは若干大きいことが知られた。
  • 竹野 昇, 高野 信弘, 菅野 正彦, 森田 睦夫
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1297-1300
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    22種のメチレンインデン誘導体,メチレンフルオレン誘導体および6種の芳香族炭化水素の酸化半波電位E1/2を, Ag/Ag外部参照電極を用い,アセトニトリル溶液中で測定した。これらの実測値をEhrensonのω法に基づき計算された断熱イオン化ポテンシャルI 対してプロットするとき,交互系,非交互系の区別なく直線関係が成立した。一方,芳香族炭化水素の実測光イオン化ポテンシャルとE1/2との間に成立する直線関係は上に述べた直線関係とまったく一致することがわかった。 その結果,著者らは,メチレンィンデン誘導体およびメチレンフルオレン誘導体に関しては,I からE1/2をよい精度で求め得ることはもちろん,I をもってただちに光イオン化ポテンシャルとすることも十分妥当であるとの結論を得た。
  • 橋本 静信, 小池 和太郎
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1301-1305
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    過酸化ジ+ブチルとキシレン,アニソール,クロペンゼンなどの芳香族化合物の反応を,0~1S cで壌化アルミニウムの存在下で行なった。二三化物質としてフェノール類が2~83%の収率で得られ,,t-ブチルベンゼン類は14~72%の収率で生成した。キシレンを基質にして各種の溶媒の影響を調べると,0-ジクロロベンゼンがすぐれていることがわかった。0-ジクロロベンゼンを溶媒にすると,0-キシレンから85%,m-およびρ-キシレンでは90%以上の収率でキシレノールが得られた。
    各種のアリールt-ブチルエーテルをトルエン中,0~20 Cで塩化アルミニウムと反応させると,いずれもt'-ブチル基の脱離が容易に起こり定量的にフェノール類が生成した。
    酸素化反応のベンゼンに対する置換ペソゼンの相対反応性は以下の順であった。
    m-キシレン(132.1)>アニソール(97,8)>P-キシレン(60, 3)>o-キシレン(56.2)>クロペソゼソ(0 08)
    これらの相対反応性の結果とフェノール類の異性体組成をさきに報告したt-ブチルヒドPtペルオキシドー塩化アルミニウム系による酸繁化反応の結果と比較して,反応種の活性について検討した。
  • 福永 公寿, 木村 允
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1306-1313
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    サーモグラフィー法を用いて硝酸および硝酸金属塩と無水酢酸による芳香族化合物のニトロ化反応を検討した。用いた23種類の硝酸金属塩のうち,ニトロ化能力を有するものは14種類で,そのうちおもな10種類の硝酸金属塩を用いて25。Cで7種類の芳香族化合物をニトロ化し,サーモグラムの発熱面積および生成物のガスクロマトグラフィー分析からニトロ化剤としての活性は Zn>Cu>Ni>C>Bi>Cd>H>Mn>Ce(III)>Al>Fe(III)の硝酸金属塩の順に低下することがわかった。金属イオンの異性体生成比に対する影響は,錯体を生成するサリチルアルデヒドの場合にいちじるしく,他の化合物にはほとんどみられなかった。
  • 権 順度, 田中 基明, 去来 川覚三
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1314-1319
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-位にカルボニル基を有するセリジン類,すなわち2-ホルミルピリジン,2-アセチルピリジンおよび2-ベンゾィルピリジンを2-ヒドラジノベンゾチァゾールといろいろの条件下で反応させ,相当するヒドラゾン類を得た。このときに得られるZ-およびE-異性体をカラムクロマトグラフィーにより分離し,それらの分光学的性質を検討した。さらに,Z-およびE-異性体間の異性化反応について調べた。
    Z-異性体は分子内で六員環水素結合を形成するためNMRスペクトルではNHプロトンおよびピリジン環の6-位のプトンがE-異性体にくらべて低磁場シフトし, IRスペクトルではz,o :N吸収がE-異性体にくらべて低波数側に現われた。さらに,UVスペクトルではZ-異性体の極大吸収がE-異性体にくらべて長波長側にシフトした。得られたヒドラゾン類のうち,2-アセチルピリジン=2-ベソゾチァゾリルヒドラゾン[5]をキシレン中で加熱還流して,Z-およびE-異性体の挙動を調べた。その結果,[5z]a[5 E]の平衡は[5 z][5 E]÷3/7(wt%)の割合で一定値になることが明らかとなった。また[5E]はいくつかの有機溶媒中(2x10-5 molll),温度25ccでタングステンランプを照射すると容易にZ-異性体に異性化した。その異性化の速さは溶媒によって異なり,その速さの順序はEtOH>CH3CN>cyclo-C6H,2であった。
  • 林 誠一, 石川 延男
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1319-1323
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    多フヅ素化複素環化合物の一つであるオクタフルオロアクリドンをテトラフルオロアソトラニル酸から合成したeすなわちテトラフルオアントラニル酸に対し,そのジアゾ化合物から発生させたテトラフルオロベンザインを親電子的に反応させ,主生成物としてN-テトラフルオロフェニルテトラフル即応アントラニル酸を得,これを脱水閉環させてオクタフルオロアクリドンが通算収率>65%で得られた。この化合物は求核制電に対して比較的安定で,過剰のNaOHIMeOHによって3-位のフヅ素が1個置換されるのみであり,Me2NHやNaOH/t-BuOHとは反応しなかった。
    テトラクロアントラニル酸を用いて上に述べた反応を行なわせると主生成物としてオクタクロロァクリドンが直接生成し,中間物としてのカルボン酸は得られなかった。
  • 松岡 賢, 北野 正雄, 北尾 悌次郎, 小西 謙三
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1323-1327
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    有機顔料の合成に関連してビス(ベンゾフタリジリデン)誘導体を合成し,諸物性におよぼすポリハロゲン化とAnne11ationの寄与について検討した,ビス(ベソゾフタリジリデン)誘導体とそのハロゲン化物は1,2-および2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物とその誘導体を窒素気流中で亜リン酸トリエチルと反応させることにより合成した。これら化合物の耐熱性を電気炉中での潴熱時における重量減少量から測定した。熱的安定性は以下の順になった。
    オクタク ス(ベソゾ[ノ]フタリジリデソ)>テトラブモピス(ベソゾ[ノ]フタリジリデソ)>オクタブ ロモビスフタリジリデソ=ビス(ベソゾ[ノ]フタリジリデソ)>オクタク三野ビスフタリジリデソ)ビス(ベソ ゾ[g]フタリジリデン>ビスフタリジリデソ
    この結果はビスフタリジリデン誘導体の耐熱性におよぼす顕著なAnnellation効果とその位置特異性を示唆するものである。さらにこれら化合物の色調と耐溶剤性におよぼすAnnellation効果と黄色系有機顔料としての物性についても一部検討した。
  • 松岡 賢, 岡本 哲郎, 北尾 悌次郎, 小西 謙三
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1328-1332
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリエステル用分散染料の合成に関連して,1,4-二置換5,6-ベンゾアントラキノン誘導体を合成した。そして1,4-ジヒドロキシ11,4-ジアミノおよび1,4-ジメチルア,ノアントラキノンの諸性質におよぼすAnnellationの寄与を検討考察した。1,4-ジヒドロキシ5,6-ベンゾアントラキノンは1,2-ナフタレンジカルボン酸無水物とヒドロキノンから合成し,さらにそのロイコ体をアミノ化して1,4-ジアミノー5,6-ベンゾアントラキノン誘導体を得た。1,4-二置換アントラキノン誘導体の5, 6-Annellation化合物は母体化合物にくらべて30~40 nmもの深色性をもち,ポリエステル布に対する親和性にすぐれ,昇華と日光に対する堅ロウ性にもよりすぐれることがわかった。以上の結果と2,3-および6,7-ベンゾアントラキノン誘導体についてのさきの結果から,アントラキノン誘導体の色調と染着性および昇華と日光堅ロウ性におよぼすAnnellation効果とその位置特異性について検討考察した。
  • 赤松 勲, 上嶋 洋
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1333-1338
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クラフトリグニンをおもに吸着し,使用済となった粒状活性炭をロータリーキルンによって水蒸気中で再生した。=再生炭の嵩密度は再生温度830Cまではほとんど変化しないが,これ以上の再生温度においては低下する傾向があった。しかし再生炭の強度は98%以上であり,新活性炭の99.7%eと大きな差はなかった。再生炭のメチレンブルー,ヨウ素,糖密などに対する吸着力は再生温度の上昇とともに増大し,高温における再生炭の吸着力は新活性炭の吸着力よりすぐれていた。水銀圧入法による細孔分布の測定の結果,再生炭の細孔は大きくなる傾向があった。細孔の大きくなった再生炭は分子径の大ゆきな糖蜜(直径28A)やクラフトリグニン(40A)に対する吸着力をいちじるしく増大した。水銀圧入な法によって測定できる半径15.4A以上の細孔の内部表面積の12法表面積に対する割合は,新活性炭の14%にくらべて,820。C以上の再生炭については17~19%に増大した。この水銀圧入法による内部表面積は再生炭の糖蜜吸着力とよい相関関係があり,糖蜜のような巨大分子吸着力の目安となることがわかった。クラフトリグニンは分子径分布をもっているので,その吸着力は内部表面積と直接比例関係はないが,ある程度の相関関係があることがわかった。
    さらに再生炭の示差熱分析および熱テンビンによる重量変化の測定の結果,再生炭と新活性炭とが熱的に同じ性質を示すことが認められた。
  • 広井 満, 高岡 大輔
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1339-1344
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    伊予柑果皮油の成分分析を行ない,52種の化合物を単離同定した。主成分はリモネンであり,アルデヒドはほとんど存在せず,リナルが比較的多く含まれていた。単離された化合物のうちつぎのものは,従来柑橘油或は天然に存在が報告されていないものである。それらの同定は,IR, NMR, MSなどの物理的手段ならびに化学分析により行なった。trans-およびcis-2,8-P-メンタジエン-1-ヒドロペルオキシド,cis。リモネン-1,2-オキシド,1, 8-P-メンタジエン-8, 9-オキシド, trans-およびcis-2, 8-P-メンタジエソ-1-オール,リモネン-4-オール,1, 2-ジヒドロカルベオール,trans-およびcis-2,6, 6-トリメチル-2-ビニル-5-ヒドロキシテトラヒドピラン,1,8-P-メンタジエン-5-オール, cist.およびtrans-1(7),8ip-メンタジエン-2-オール, trans-2,8-P-メンタジエソ-1-オール-2, 3-オキシドジ(1-オキシデシル)ペルオキシド。
  • 末岡 明伯, 林 治助, 渡辺 貞良
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1345-1352
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    セルスまたはその他のセルロース結晶変態をグリセリンのような極性媒体中で高温熱処理すると恥またはIVIに転移する 本研究ではこのN(NIおよびN ll)への転移機構について検討した
    繊維をグリセリン中で加熱処理後グリセリンが付着した状態で高温(250C)または室温で試料のX線回折の測定を行なったその結果,セルロースとグリセリンとの間にはセルロースまたはへ転移するさいのナトリウムセルスまたはアンモニアセルロースのような付加物の生成は見られなかった また,極性を有さないシリコーン油,さらに単に空気浴中でも十分高温で処理するとllVが生成することから,転移において熱がもっとも重要な要素であることがわかった 転移の難易は試料の結晶性より結晶構造に関係し,1,1,E,の順に転移は容易である また,高温状態(150C)で赤外吸収スペクトルを測定した結果分子間水素結合による吸収が明らかに弱くなることを認めた Nへ転移しやすい結晶構造は分子間水素結合がより緩和されやすい構造と考えられるので,Vへの転移は熱処理により分子間水素結合の緩和が起こりより対称性の高いパッキング状態をとろうとする結果起こるものと考えられる
  • 渡瀬 峰男, 荒川 泓
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1353-1358
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    須崎産マクサ原藻から抽出した寒天にアクリノールを添加してアガロース(AG)を分離iした AGのゲル化機構を調べるために,AG水溶液にジメチルスルポキシド(DMSO)を添加したゲルについて応力緩和実験を行なった.AG 15,2,2.5wt%の3種の水溶液に,0.43モル分率(mf)の濃度までDMSOを添加した試料ゲルについて25~55Cの範囲の温度で4時間までの応力緩和曲線を求めた,緩和曲線は3個のMaxwell模型を並列にした力学模型で解析し,その結果について考察を行なった
    ゲルの主要三次元構造に対応するとみられる最長緩和時間を有するMaxwe11模型に属する弾性率E,は,AGゲルにDMSOを添加するにつれて添加DMSOのある濃度xdまで増大し, DMSO添加濃度がそれ以上になると急激に低下し,事実上外見的に0に近づいた。πdの値はAG濃度とともに若干増大し,AG 1. 5~2.5wt%のところでxaは0.24~O. 32である 同じく主要構造に対応する最長緩和時間τ,はE1同様DMSO添加量が箱に達するまで緩慢ではあるが減少する傾向をもち,DMSO添加量がそれ以上になると急激に低下した ちの温度依存性から求めた活性化エネルギーは,AG濃度, DMSO添加濃度に依存することなく全試料ゲルの平均値はほぼ5kca1/molの一定値を示した
    以上の結果,AGゲルにDMSOを添化するときにゲル形成能の受ける影響は,以下のように説明される
    すなわち,DMSO添加がXd以下のところでは, DMSOの強力な水和物形成により水和していない"自由"な水の減少を通じて,AG分子鎖の水に対する溶解性と非溶解性の一定の均衡関係がミセル形成を強める方向に移動することによってゲル形成能が高められ,弾性率が上昇し,Xdをこえたところでは"自由"なDMSO(水和していないDMSO)が増大し,溶解性が高まるため,ゲルが形成されず弾性率は急激に減少し,事実上0になる
  • 佐々木 信義, 横山 哲夫, 田中 武英
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1359-1364
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4,4 ジイソシアナトジフェニルメタンのイソシアヌラート生成による三次元化反応におけるいろいろのBr6nsted酸のナトリウム塩(シアン化ナトリウム,安息香酸ナトリウム,ナトリウムフェノキシドなど)の触媒活性を調べた反応はジメチルホルムアミド中30℃で行ない,ゲル化時間の測定により触媒活性を比較した その結果,大体の傾向としてナトリウム塩の共役酸のPKaの大きいものほど触媒活性が大きいことが明らかとなった しかしチオ硫酸ナトリウム,トリクロ Pt酢酸ナトリウムなどでは,そのPKaから予想される以上に活性は大きく,置換安息香酸塩の活性は置換基の電子供与性が増すにつれて逆に低下する傾向を示した 以上のことは触媒活性が塩基度のみならず分極率にも依存するため,さらには塩の解離度に大きく支配されるためと考えた アルカリ塩の金属イナンをLi, Na,Kなど変化させた結果,金属イオンの電気陰性度の小さいものほど触媒活性は大きくなる いろいろのt,極性非プロトン溶媒中における反応の難易は ジメチルホルムアミド>ジメチルアセトアミド>ヘキサメチルポスホルアミド の順に容易で,ジメチルスルホキシド中ではゲル化が起こらなかった
  • 松下 寛, 弘中 博二
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1364-1366
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    A differential potentiometry by the use of an ion-selective electrode is described. The procedure is as follows: An indifferent electrolyte is added to a sample solution, reference solution and diluent to have the same ionic strength, individually. The diluent, whose velume is v, is added to the sample solution, whose volume is V, in which the ion-selective electrode and the reference electrode are immersed. The cell emf after each addition of the diluent is plotted against log V. On the same graph the data due tQ similar dilution against the reference solution, whose concentration is C, , are plotted. The emf difference, e which parallels the emf-axis and, is interposed between the two parallel dilution curves, is read off. Thus, the concentration, C. C of the sample solution is given by C.=C, , 10e S where S is the respense slope of the electrode. As an another method, a modified differential potentiometry using the sample solution alone and not the reference solution is also proposed.
  • 高部 圀彦, 梶川 顕, 片桐 孝夫, 田中 順太郎
    1973 年 1973 巻 7 号 p. 1366-1367
    発行日: 1973/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Effect of ultraviolet radiation upon the n-hexane solutions of allylic mercaptans (crotyl, prenyl and B, r, r-trimethylallyl mercaptans) was investigated. Crotyl mercaptan readily brought about self-addition in terms of a free radical chain mechanism to give sulfide thiols (2) and (3), 2, 5-diethyl-1, 4-dithiane (4) aRd 2-ethyl-5-methyl-1, 4-dithiepane (5) as dimers. Prenyl mercaptan has been reported to be selectively dimerized to 2, 5-diisopropyl-1, 4-dithiane. But in the case of B, r, r-trimethylallyl mercaptan, the corresponding dimers were not obtained. On the basis of these results, the effect of r-methyl group on allylic mercaptan was discussed.
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