ニッケル-1, 2-プロパンジアミン錯体は研究したpH領域で三つの波を示した。1,2-プバンジアミン(1, 2-pn)の濃度が低く, pHが7.0~7 4では,半波電位が-0.85 V vs.SCE付近である第1波ど半波電位が-1.1Vvs. SCE付近である第2波の2段波のポーラログラムが観測された。 pHが8.30以上になると第1波が消失し,それとともに半波電位が-1.4Vvs.SCE付近である第3波があらわれ,第2波と第3波の2段波のポーラグラムとなつた。 pH 7.0~7.4では第1波が反応電流の性質を示し,Korytaの式を適用すると,つぎのような律速段階が推定された。
Ni(1,2-pn)22 +2H tY Ni(aquo)2 +2(1,2-pn)H (1) ke 2+ Ni(OH),2-v (y=1, 2,)
また,pH 8,30~10,30の領域では第2波が反応電流の性質を示し,同様にKorytaの式を適用すると,pH 9.80からpH 10.30までは水素イオンが電極反応に関与せず,つぎの律速段階が推定された。
k32 Ni(1,2-pn)32 t Ni(1,2-pn)22 +1,2-pn (2)
CarlsonらによりpH滴定により得られた逐次安定度定数Ksを使用して(2)式の解離反応の速度定数を計算した。そして,水素イオンの濃度に依存しない値として,24.3,secmiを得た。1, 2-pnの濃度が高くなると第3波だけの1段波となり,Ni(1, 2-pn)32 の直接還元であることがわかった。その電極還元速度定数ksは1.1x10m cm secであった。
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