日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1974 巻, 12 号
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  • 毛海 敬, 持永 信美, 大島 好文
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2243-2245
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フルオレン〔F〕,N-メチルカルバゾール〔NMC〕の電子スペクトルにおける置換基効果について調べた。それらのLb吸収帯は2-位の置換基によって大きく影響をうける。Lb吸収帯の波数と2-位置換基の共鳴パラメーター|σR|間に直線関係が認められた。ジベンゾフラン〔D〕に対しすでに報告されたLb帯の2-位置換基効果の結果と比較し,〔D〕の酸素2ρ電子とπ電子系の分子内相互作用について考察した。さらに,〔F〕のLA吸収帯における3-位置基効果を調べ,〔D〕での結果と比較した。
  • 武藤 信也, 松本 義雄, 伊能 敬, 目黒 謙次郎
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2246-2249
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    陽イオン性界面活性剤である第四級アンモニウム塩のあるものはその水溶液の電気伝導度を測定するとミセル形成臨界濃度(CMC)付近で一つの極大値をもつことが知られている。このような現象を異常現象とよんでいる。そこでテトラデシルジメチルベンジルアンモニウムグロリド,オクタデシルジポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロリドおよびジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドの水溶液の電気伝導度を測定し当量伝導度-濃度の平方根曲線を作成したところ,テトラデシルジメチルベソジルアンモニウムクロリドは通常の界面活性剤水溶液と変らぬ物理化学的性質を示したが,後者の二つは明瞭な異常現象を示した。すなわち,オクタデシルジポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロリドはグラフ上に一つの極大値をもち,そしてジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドの方は界面活性剤水溶液の低濃度領域において異常に高い電気伝導度を示した。このことは明らかに異常現象の存在を暗示している。このような異常現象はオクタデシルジポリオキシエチレソメチルアンモニウムクロリドについては界面活性剤イオンのN原子のまわりに結合している1個の長鎖アルキル基と2個のポリオキシエチレソ基の立体障害のために,またジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドについてはN原子のまわりに結合している2個の長鎖アルキル基の立体障害のために対イオンの固定が起こりにくくなり解離度が増加するために生じてくるものと思われる。すなわち,対イオンの固定の少ない界面活性剤イオンのみが集合した多電荷型の会合体ができるため,電気伝導度が増加するものと考えられる。
  • 須沢 利郎, 山岡 武男
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2250-2254
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    紡糸,延伸および熱処理条件の異なるポリアミド系ナイロン6繊維の酸性染料溶液中における染着に関与する表面積-ζ電位法-を,これらの系の測定されたζ電位から算出される表面染着量(g/cm2-繊維)と全染着量(g/g-繊維)の図的関係から求め,比較考察した。また染着に関与する表面積と,窒素および水蒸気吸着法によるBET表面積とを比較検討した。染着に関与する表面積およびBET表面積は,紡糸温度の相違によっては影響をうけず,延伸倍率および熱処理条件の相違によって影響をうけ,結晶化度および複屈折の変化によって支配されることが示唆された。染着に関与する表面積および水蒸気吸着法による表面積が,106cm2/g-繊維程度であるのに対し,窒素吸着法によるそれは103cm2/g-繊維程度であった。また染着に関与する表面積は水蒸気法によるそれより一般に大であった。湿熱処理繊維の染着に関与する表面積および水蒸気吸着法によるそれは異常に大きい値を示した。
  • 石井 康敬, 二階堂 朝夫, 松浦 郁也, 小川 雅弥
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2255-2259
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    CoOの添加量を変えた-連のAl2O2-MoO3-CoO,MoO3-CoO触媒を共沈法により調製し,AI2O2-MoO3触媒へのCoOの添加効果を検討したgA12O2-MoO3-C。0触触とMoO3-CoO触媒のアンモニア溶出実験から,A12O2-MoO3-CoO触媒では添加CoOは一部のMoO3としか結合せず3%のCoO添加で触媒中で形成される複合酸化物CoMQO4量は一定となったが,MoO3-CoO触媒においては添撫CQOは定量的にMoO3と結合しCoMo04に相当する複合酸化物を形成した。一方,1-ブテンの両触媒による異性化反応においては前者はCQOの添加により異性化は促進されたが,後者においてはほとんど異性化能を示さなかった。これらのことから,両触媒中で形成される複合酸化物は本質的には異性化能を支配する因子とは考えられなかった。
    -A12O2-M。O2-CQO触媒の水素還元とESR測定結果からA12O2-MoO3-CoO触媒においては,A12O2-MoO,触媒より反応性の高い酸化コノミルトを含む活性点が形成され,1-ブテンからの水素の引き抜きを容易にするものと考えられる。
  • 萩原 弘之, 藤堂 尚之
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2260-2266
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,3-ブタジエンのオキシ塩素牝反応による3,4-ジクロロ-1-ブテンおよび1,4-ジクロロ-2-プテンの合成用触媒を探索し,塩化銅(II)-アルカリ塩化物-リン酸担持触媒を見いだした。本触媒系において,塩化銅(五),塩化リチウム,リン酸および担体の組成(重量)を1.86×10-2,1.96×1r3,1.51×10-3および1,0としたとき,反応温度25Q℃,SV210h-1の条件下で,ブタジエン転化率は72%,ジクロロブテン類への選択率は92%であった。
    アルカリ塩化物はアルカリイオン種により異なった添加効果を示し,塩化カリウム添加触媒に特異性が認められるが,ブタジェン転化率については,CsRb>Na>Li(200。C)の序列,ジクロロブテン類への選択率についてはLi>Na>Rb>Cs(250℃)の序列を示した。リン酸の添加効果は二次生成物の生成を抑制する点に特徴があった。
    反応ガスによる分圧効果の測定結果から,添加されたアルカリ塩化物は塩化水素の反応を促進し,本反応の活性に寄与しているものと考えられる。
  • 萩原 弘之, 藤堂 尚之
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2267-2271
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,3-ブタジエンのオキシ塩素化用CuCl2-H3PO4-LiCl系触媒に対する担体の効果を,活性炭,シリカゲル,γ-アルミナ,セライト,炭化ケイ素,および5種の焼結アルミナシリカについて検討した。反応温度は130~275℃であり,空間速度は210hr-1であった。ブタジエン転化率とジクロロブテン選択率とを考慮すると,検討した担体の中では焼結アルミナシリカがもっともすぐれていた。5種の焼結アルミナシリカでは,β-アルミナを含む場合の選択性は低下し,また,ブタジエン転化率は担体に含まれている不純成分である酸化ジルコニウムの量により変化した。
    これらの事実に基づき,α-アルミナを基材とし,担体表面に0.O25wt%のZrを含む担体を用いた触媒を300℃,15時間の前処理をすることにより,転化率79%,選択率92%の高活性の得られることを見いだした。Zrの効果はLiCl添加触媒に対してのみ認められた。
    最適量のZrを含む触媒,およびZrを含まない触媒について見かけの活性化エネルギーは,それぞれ30.2kcal/molおよび31.6kcal/molであり,ほとんど等しく,またジクロロブテンへの選択率には相違が認められないので,Zrの効果としての転化率の向上は,反応に有効な活性点の増加によるものと推定した。
  • 井上 英一, 小門 宏, 島田 文生
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2272-2276
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジアゾニウム塩を感光材料として用いる立場からジアゾニウム塊を光分解したのち加熱すると幾留しているジアゾニウム塩の分解が促進される現象(熱増幅)に注目し,ジアゾニウム塩の固有吸収光分解(紫外線照射)ならびに色素増感光分解(赤色光照射)を行なって熱増幅の可能性や条件を明らかにすることを試みた。その結果,ジアゾニウム塩水溶液の紫外線照射により生じたフェノール類が溶存酸素を介してジアゾニウム塩を分解し,この反応が加熱により促進されると推定した。この過程はジアゾニウム塩の置換基ならびにpHの影響を受け,見かけ上一次反応で,活性化エネルギーが26kcal/molであることからジアゾ基の解離が律速段階であると見なされた。ジアゾニウム壇の色素増感光分解における熱増幅では固有吸収光分解とほぼ同様な結果が得られたが,熱増幅反応の速度定数kが57倍も固有吸収光分解の熱増幅反応の速度定数より大きかった。
  • 八田 美夫, 由比 祝生, 野中 勉, 大戸 敬二郎
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2277-2282
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    多数のアミノニトリル,芳香族ニトリルおよび脂肪族ニトリルを硫酸酸性水溶液中でパラジウム黒陰極および水銀(あるいは鉛)陰極を用いて電解還元した。その結果,置換基の電子効果の寄与が大きく,パラジウム黒陰極では置換基の電子求引性が小さいほど,水銀(あるいは鉛)陰極では電子求引性が大きいほど還元効率が高くなることがわかった。また,芳香族および脂肪族ニトリルはいずれの陰極によっても4H還元されアミンを生成するのに対し,アミノニトリルはパラジウム黒陰極では2H還元,水銀(あるいは鉛)陰極では4H還元であった。これらの結果に基づいて還元機構について考察し,パラジウム黒陰極では電析水素による接触還元的要素の大きい機構を,また水銀(あるいは鉛)陰極では直接的な電子供与による電気化学的要素の大きい機構を推定した。
  • 山下 嗣人
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2283-2286
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    濃厚亜鉛酸アルカリ溶液中電析亜鉛の樹枝状化はテルルイオンによって抑制され,電析面には光沢が得られる。本報においてはテルルの電析亜鉛への共析とその電析結晶におよぼす影響について検討した。
    テルルの亜鉛への共析は溶液中のテルルイオン濃度には支配されず,およそ1μg/cm2であったが,低い電流密度および貴な電位において若干多い。また電解初期には共析しやすいが,電解時聞の経過とともに共析し難い傾向を示した。テルルの析出量は電解条件によらず亜鉛析出量の1×10-5~-4程度で微量であった。
    テルルイオンを含む溶液からの亜鉛電析結晶は六方晶で,規則正しい大型の結晶が層状に成長することを観察した。
  • 山下 嗣人, 野中 誠一
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2287-2290
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    濃厚亜鉛酸アルカリ溶液中における亜鉛のアノード挙動におよぼす温度の影響を不働態化現象およびアノード分極曲線の測定によって検討した。
    不働態化時間は温度の上昇とともに増加したが,とくに50~56。Cの間で不働態化時間に大きなピークを認めた。極大値の生ずる温度は電流密度の増加にしたがって順次高温側へ移行した。塩化物イオンは上記亜鉛の不働態化に対してほとんど影響を与えない。アノード分極曲線の限界電流密度は温度の上昇とともに増加し,アノード溶解反応速度の捉進が示された。温度依存性はとくに15~50。Cの範囲において大きい。
    アノード表面に生成する不働態被膜は50。C以下の温度で黒色であったが,50。C以上で青色に変化した。不働態化時間に極大値が生ずることや極大値の温度が電流密度によっても影響を受けること,さらにアノード電位からの考察ならびにアノード被膜が黒色から青色に変化する事実などから,亜鉛の溶出過程,溶液およびアノード被膜の性質が50。C前後の温度で変化するものと推定された。
  • 高橋 武彦, 桑原 勝美, 青山 治義
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2291-2296
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ホランダイト型酸化物焼結体(KxMxTi8-x,O16)(M=Al,Fe,Co,Cr)のイオン導電性について研究した。これらの酸化物は正方格子をもち,c軸に沿ったトンネルを含んでいる。KxAlxTi8-xO16の場合,K2CO3,γ-A12O2-,TiO2,を950℃,10時間仮焼後1200℃,5時間本焼成したとき,良好な焼結体が得られた。粉末X線回折図,ケイ光X線分析および格子定数をもとに,KxAlxTi8-xO16の正方晶単一相組成領域を1.6≦x≦2.0と決定した。
    径約11mm,厚さ2mmのタブレットを1.4≦x≦2.2の組成について調製した。試料の導電率を200℃から400℃の温度範囲で10kHz交流インピーダンスブリッジを用いて測定した。0.05mm厚の金板を電極として用いた。導電率は単一相のxの増加につれて10-5から10-3cm-3mho・cm-1へと増加した。直流分極曲線および電解前後のタブレットの重量変化の解析ならびにカソード生成物の定性分析により導電種はK+イオンであることが明らかとなった。KxMxTi8-x,O16(M=Al,Fe,Co,Cr)試料の導電率もKxMxTi8-x,O16の場合と同様に測定し,イオン,電子混合導電性であることを見いだした。ホランダイト型構造におけるK+イオン導電性について考察した。
  • 井上 嘉亀, 出来 成人, 横山 正義, 政家 規生, 金治 幸雄
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2297-2302
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    結晶水和物溶融体が電解質-水系で占める位置を明らかにすることを目的とし,FeCl3-H20系について粘度,電気伝導度,密度,屈折率,レーザーラマンスペクトル,近赤外吸収スペクトル,可視吸収スペクトルをいろいろの濃度について測定した。物性と濃度のプ冒ヅトに5~6mol/l付近に屈曲点,極大点を見いだし,その濃度付近を境に,ラマン,近赤,可視に異なったスペクトルを得た。それら2種の溶液構造形成には,濃度,温度,H+濃度が大きく影響した。これら2種類の溶液構造は,Fe3+の配位数が六配位から四配位へ変化することに基づくものと解釈される。FeCl3・6H20溶融体は,FeCl3-H20系においては,四配位構造域に位置した。
  • 奥谷 猛, 古市 隆三郎, 石井 忠雄
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2303-2306
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    複金属酸化物の一つであるアルミン酸ナトリウムとSO2の反応をガス流通系反応器で行なった。固体のアルミン酸ナトリウムは,NaOH溶液へ金属A1を溶解することにより,酸化ナトリウム比(Na20/Al02モル比)が0.5~3.0のアルミン酸ナトリウム溶液を調製し,これを蒸発乾固して調製した。アルミン酸ナトリウムとSO2の反応を330℃と130℃で行ない,反応挙動と反応機構を検討した。
    過剰のナトリウム分を含む試料とSO2の反応において初期の反応速度は速く,この反応はアルミン酸ナトリウム中のNaOHとSO3の反応であり,この初期のSO2反応量と試料中のNaOH量とはほぼ直線関係にあった。一方,後期の反応速度は遅く,この反応はアルミン酸ナトリウム中のNa2Al2O2とSO2の反応であり,反応温度が高くなるほど速度が速くなった。
    反応前後の試料のX線回折,IR分析の結果から,反応はつぎの四つの式で表わされるものと結論した。
    2NaOH+SO2→Na2SO3+H20
    Na2Al2O4+SO2→Na2SO8+NA2SO8+5NA2SO2+Al2O8
    2Na2SO8+O2→2Na2SO4
    Na2SO4において,Na2Al2O4の反応で生成したAl208には,Na2SO8の酸化を促進する作用が認められた。
  • 北野 孝久
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2309-2311
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    500~800kA大容量水銀法電解槽を設計するさい,200kA中容量電解槽より速い水銀流速が要請される。一方,経済的に水銀保有量を最小にする必要がある。したがって,著者はこの設計条件下の高流速の水銀陰極放電電位を測定し,そのデータを解析して下記の結論を得た。
    (1)水銀法電解槽の陰極過電圧が端子電圧に占める割合は比較的に少ない。
    (2)高電流密度における陰極表面ナトリウムアマルガム濃度は異常に大きい。
    (3)また,陰極に放電したナトリウムの拡散層の厚みと水銀流速について考察を行なった。
  • 東 保男, 武市 和博, 斎藤 隆, 桜井 雅章, 末広 建介
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2312-2317
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水酸化カルシウムとシリカゲル粉末混合物の加圧成形体をオートクレープ中で140~300。Cの温度で水熱処理した。CaO/SiO2の配合比,成形圧力,反応時間,反応温度,未反応の石灰量,生成物の種類,組織などが硬化体の圧縮強度におよぼす影響について検討した。
    硬化体の圧縮強度はCaO/SiO2の配合比によって変化し,その最高値は180℃以下の処理では,2/3,1/3配合比の硬化体で得られた。より高温で処理すると最高値は,低CaO/SiO2比(1/3)のときに認められた。たとえば,最高強度は140℃処理の場合,2/3配合比で280kg/cm2であり,300℃処理の場合,1/3配合比で560kg/cm2であった。
    硬化体のカサ比重,結合水量は高温長時間処理するほど減少し,生成物中の未反応石灰量は処理時間とともに減少したが,2/3配合比以下の硬化体中には認められなかった。X線分析の結果,CSH(1)らしいものが180℃以下の硬化体にのみ認められ,250℃以上の硬化体中にはxonoxtlite,gyr1iteが認められた。gyroliteを生成した硬化体はもっとも高い圧縮強度を示した。偏光顕微鏡の観察結果によると,低温処理では,生成物は出発原料シリカゲル粒子の周囲に点在し,高温処理では,シリカゲル粒子の境界が消えて,生成物がマトリックス中に点在するのが認められた。硬化体の耐熱性は高温水熱処理するほどよく,1/3配合比で300℃,6時間処理した硬化体の収縮率は800℃加熱で約3%であった。
  • 大谷 杉郎, 大谷 朝男, 岡田 正
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2318-2321
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本研究は高密度で結合材を使用しない炭素成型品(ピッチカーボン)を作成し,その特徴を明らかにすることを目的とした。ピッチカーボンの焼成段階での収縮を押えるために,変質ピッチ粉末を1600kg/cm2の高圧下で成型した。成型物を2200℃以上で焼成することによって,カサ比重1.8g/ml以上をもつピッチカーボン(12×12×95mm)を損傷なく作成できた。このピッチカーボンはショアー硬度,圧縮強さなどの機械的性質においてはガラス状炭素に近かった。一方,電気比抵抗,熱伝導度,黒鉛化性などにおいてはピッチとコークスを原料とする普通の人造黒鉛に類似していた。全体的性質からみて,このピッチカーボンは他の二つの炭素成型品の中間の炭素材として特徴づけられた。また高圧成型が高密度ピッチカーボンの大型化に対して有効であることが確証された。
  • 日下 讓, 佐川 直史
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2322-2327
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    六甲山系河川水の地質による水質の差異を明らかにした。花コウ岩地域全域の河川水の溶存成分平均濃度は全日本河川水平均値とほぼ一致する。また,その各溶存成分間の相関係数を求め,花コウ岩のCO2風化作用の寄与を明らかにした。
    花コウセン緑岩地域の溶存成分濃度は,黒雲母花コウ岩地域にくらべてフッ素を除いて高値を示す。秩父古生層地域はその比較的高いマグネシウム量に特色が見られ,さらに輝石安山岩地域ではその傾向が顕著である。水質のこれらの地質,による差異はCa/T.C.-Mg/T.C.の当量関係によって明らかに表わされる。
    河川水中のフッ素の全域における分布およびフッ素と他の溶存主成分間の相関係数を求めることにより,六甲山系北東部の花コウ岩におけるフッ素の濃縮と,その風化溶出作用を推論した。
  • 土屋 正臣, 佐々木 洋興
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2328-2330
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    6-ヒドロキシ-5-ニトロソ-1,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-2,4-ジオン(HNDU)を合成し,各種金属イオンとの反応性につき検討したところ,銅(II)がHNDUと黄色の水溶性錯体を形成した。銅(II)-HNDU錯体の生成は容易であり,呈色も安定であったので基礎的な検討を行なって銅の定量方法を確立した。銅(II)-HNDU錯体の塁色溶液は波長420~430mmに極大吸収を有し,pH範囲約5.5~6.8で最高の発色を示した。銅濃度と吸光度の間には良好な直線関係が認められ,モル吸光係数および吸光度0.001に対する感度はそれぞれ5.3×1O2-l/mol・cmおよび1,2×10-2μgCu/cm2であった。
    コバルト(II),鉄(III),クエン酸塩,酒石酸塩は銅の定量を妨害した。
    錯体の組成を検討した結果,金属:HNDU=1:1と推定された。
  • 中川 良三, 大八木 義彦
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2331-2335
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    空気-アセチレンフレームを用いて土壌中のクロムを原子吸光で分析するため,土壌の分解法を検討するとともに干渉成分とその除去法について研究した。
    土壌は塩酸を用いて分解処理することによって,ほぼ完全にクロムを溶脱することができた。硝酸や王水を用いて処理した場合には,全クロムはやや低い値を与えた。
    測定条件は波長357.9nm,空気圧1.5kg/cm2(流量7.1l/min)の,アセチレン圧0.28kg/cm2(流量1,4l/min),光路の高さ18mmで行なった。
    共存成分の影響としては,鉄,チタン,バナジウム,ニッケル,コバルト,マグネシウム,バリウムがクロムの吸光を低下させた。鉄,チタン,バナジウム,ニッケル,コバルトの干渉は硫酸カリウムによって抑制できた。マグネシウムとバリウムの干渉は,アルミニウムが共存することによって抑制された。
    土壌中には,干渉性の元素がクロムにくらべて多量含まれるが,抑制効果のあるカリウム,アルミニウムが含まれているので,酸処理した溶液をそのままフレーム中に噴霧してクロムの原子吸光を測定できる。
  • 新山 和人, 菅原 正雄, 神原 寓民
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2336-2339
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジンコン(2-カルボキシ-2'-ヒドロキシ-5'-スルホホルマジルベンゼン)とコバルト(II)との陰イオン錯体は,ゼフィラミン(Z+Cl-,塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム)の存在で,三元錯体としてクロロホルムに抽出される。このさい,ピリジン(以下pyと略記する)が共存すると,コバルトは+3価の状態で四元錯体として抽出される。抽出された青色の四元錯体の吸収曲線は675nmに極大を示す.最適抽出pH範囲はpH8.3~9.0である。有機層中のコバルト濃度が1.85~24.7μg/10mlの範囲でBeerの法則にしたがう。モル吸光係数の値は(2,16±0.O3)×104・mol-1・lである。
  • 斎藤 篤義, 姫野 貞之
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2340-2345
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パルスポーラログラフ法を用いて,タストポーラログラフ法との比較による基礎的研究として,泳動電流,極大現象,反応電流,吸着波などいくつかの例について検討した。
    パルスポーラログラフ波の限界電流値は,拡散律速の場合系の可逆度にかかわらずタストポーラログラフ法にくらべ各種制滴下時間について2倍から6倍に増加したが,反応電流の場合,約10%程度増加するにすぎない。
    パルスポーラログラフ波は泳動電流の影響で限界電流の立ち上がりにピークを示すが,直流ポーラログラフ波の極大現象の影響を受けにくい。吸着波(前置波,後置波)はパルスポーラログラフ波に変則波を生じ,パルスポーラログラフ波は吸着現象に影響されやすいことが推定される。
  • 菊地 昌枝
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2346-2350
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ZrOCl2・8H2Oの初期脱水の反応機構に関して,等温熱分解とX線回折により研究を行なった。50。Cから66,5。Cの範囲においては2分子の三座配位の格子水が脱水の第一段目に失われて,つづいて四座配位の格子水1分子が失われる。3個の格子水が失われたのち,熱分解速度は遅くなるが結晶構造はいちじるしく変化する,66.5。c以上ではおそらく塩化水素を組成するような化学反応と脱水が併発するように思われる。
    第一段目に失われる2分子の三座配位水の脱離の活性化エネルギーは12.9kcal/molであった。
  • 広瀬 昭夫, 石井 大道
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2351-2355
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    亜鉛中の微量の金をイオン交換樹脂を用いて分離したのち,樹脂に捕捉したまま放射化し,簡単な化学処理を経て定量する方法について研究した。
    硝酸,塩酸の9:1混合溶液で溶解した試料を小型のCl型強塩基性陰イオン交換樹脂柱に通して金のみを吸着させて分離した。つぎに,照射後の不必要な誘導放射能を下げるため,0,2N硝酸で洗浄して樹脂をCl型からNO3型に換え,中性子照射した。照射後は0,5N塩酸で樹脂を洗浄して,妨害となる82Br,24Naなどを除去したのち,樹脂のままγ線スペクトをを測定して金を定量した。
    本法の金の回収率は約98%,濃縮係数は2,2×107,99.999%亜鉛中の金の定量結果は1~2PPb,空試験値は平均0.05ngであった。
  • 長谷川 肇, 佐竹 孝, 三上 知樹
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2356-2360
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フェニルアセチレン[1]とテトラヒドロララン(THF)との光反応で,1:1の付加物(β-テトラヒドロ-2-フリル)-スチレン[2a,2b]が得られた。この反応は水素引き抜き性の強い三重項増感剤を用いた場合に起こり,低圧水銀燈の照射ではほとんど起こらないことから,励起された増感剤がTHFの水素を引き抜いて反応が進行するものと考えられる。フェニルプロピオール酸メチル[3]とTHFの系においても1:1の付加物α-(テトラヒドロ-2-フリル)-ケイ皮酸メチル[4a,4b]が得られた。この反応は1,3-ペンタジェンにより消光され,そのStern-Volmerプロットは直線を示した。また各種三重項増感剤に零り増感効果が認められた。したがって,この反応は[3]の励起三重項状態を経て進行するものと考えられた。また付加物の光増感シス-トランス異性化反応についても検討した。これらの結果から,[3]および[4b](トランス異性体)の最低励起三重項エネルギーは,それぞれ56,9~61.8および59.5kcal/mol前後と推定された。
  • 峰松 和作, 松原 義治
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2361-2365
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カンフェンとo-クレゾールの反応を数種の触媒(三フッ化ホウ素エチルエーテル,活性白土,無水塩化アルミニウム,強酸性カチオン交換樹脂)を用いて行なった。
    反応生成物は,いずれの場合もガスクロマトグラムに主として6本のピーク(CO-1~CO-6)を示し,触媒の差異,あるいは反応温度の変化により,その組成は大幅に変化した。三フッ化ホウ素エチルエーテルで行なうと,オルト置換体(CO-1,CO-3,CO-4)とパラ置換体(CO-2,CO-5,CO-6)の比率は3.O4:1で,オルト置換体が多量に生成するが,活性白土,無水塩化アルミニウム,強酸性カチオン交換樹脂で行なうと,オルト置換体とパラ置換体の比率は,それぞれ0.35=1,0.5:1,0.61:1で,いずれもパラ置換体が多量に生成した。
    また反応温度が上昇することにより,いずれの場合もパラ置換体がより多く生成した。反応生成物(CO-3~CO-6)は核磁気共鳴スペクトル,赤外吸収スペクトル,質量スペクトルにより,それぞれ2-メチル-6-インボルニルフェノール,2-メチル-6,6'-exo-インカンフィルフェノール,2-メチル-4-カンフェニリールフェノール12-メチル-4,6'-exo-インカンフィルフェノールであることを決定した。
    また生威物の生成機構についても検討した。
  • 湯本 高在
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2366-2369
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    有機過酸化物触媒を開始剤として,脂肪族アルコールのテトラクロロエチレンへのラジカル付加反応によって,1:1付加物および相当する不飽和化合物を得た。これらの付加物の収率はγ線照射法に比較して劣っていた。得た1:1付加物のアセチル化を行ない,その酢酸エステルを収率62~89%で得た。これらの酢酸エステルの収率は原料アルコールで示すと,つぎの順序で低下した。
    イソプロピル>エチル,メチル>n-プロピル
    なおエチルアルコールの付加物の酢酸エステルの光臭素化を行ない,1:1付加物の酢酸エステルからは一臭化物を61%の収率で,不飽和化合物の酢酸エステルからは二臭化物を65%の収率で得た。
  • 片桐 孝夫, 仁藤 敏克, 高部 圀彦, 田中 順太郎
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2370-2374
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,4-ジブロモ-2-ブテン類より,シアノジエン類(2,4-ペンタジエンニトリル類)を合成する新しい方法を見いだした。すなわち,ジブロミドをシアン化カリウムおよび水酸化カリウムとアセトン-水混合媒溶中,50。Cで反応させた。その結果,1-シアノ-1,3-ブタジェン[1]が71%の収率で,また1-または4-シアノインプレン[2または3]が91%の収率で得られた。つぎにこれらの化合物の光増感二量化反応について検討を加えた。得られた二量化生成物は,いずれの場合も,六員環化合物であった。さらにラジカル捕捉剤を存在させた場倉には,反応粧妨害された。以上のことから,本反応は段階的なラジカル機構で進行すると考えられる。
  • 篠田 操, 浅岡 忠知, 島崎 長一郎, 鈴木 仁美
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2375-2379
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,2'ジヒドロキシ-3,3'-ジメチル-5,5'-メチレンニ安息香酸[1]の硝酸(d=1.38)によるニトロ化開裂反応をクロロホルム,ニトロメタン,酢酸,メタノール,および四塩化炭素を溶媒に用いて検討した。いずれの場合にも,メチレン橋の開裂がきわめて容易に起こり,主生成物として2-ヒドロキシ-3-メチル-5-ニトロ安息香酸[2]が得られた。4,4'-ジヒドロキシ-3,3ノージメチル-5,5'-ジニトロジフェニルメタン[3]の生成は比較的少なく,硝酸/反応基質のモル比を増加させると4,6'ジニトロ-o-クレゾール[5]および構造未確認のカルボニル化合物の生歳が顕著となった。酢酸中の反応では,4-ヒドロキシ-3-メチル-5-ニトロベンジルアセテート[8]が,またメタノール中の反応では4-ヒドロキシ-3-メチル-5-ニトロベンジルメチルエーテル[7]が,それぞれ副生成物として得られたが,これらの化合物は,標題酸の開裂反応で生成した4-ヒドロキシ-3-メチル-5-ニトロベンジルナイトレート[4]がさらに溶媒と反応して生じたものではないかと考えられる。ニトロ化開裂による2-ヒドロキシ-3-メチル-5-ニトロ安息香酸[2]の生成径路について考察した。
  • 小原 平太郎, 熊沢 智, 小野寺 準一, 木村 宏
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2380-2383
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    cis-およびtrans-8-オキサビシクロ[4.3.0]ノネン-3[5aおよび5b]を-70℃でオゾン化し,生成したオゾニドをギ酸-過酸化水素で酸化分解してcisおよびtrans-テトラヒドロフラン-3,4-二酢酸[6aおよび6b]を得た。
    [6a]は容易に無水物となり,またそのジエチルエステルのDieckmann反応でcis-2-エトキシカルボニル-7-オキサピシクロ[3.3.0]オクタン-3-オン[11a]が得られたのに対し,[6b]の同様の反応では相当するトランス体はいずれも得られなかった。さらに[6a]の熱分解反応ではcis-7-オキサビシクロ[3.3.0]オクタン-3-オン[12]およびmeso-β,β'-ビブチロラクトン[9a]が得られ,[6b]の熱分解反応ではdl-β,β'なビブチロラクトン[9b]のみが得られた。
  • 武松 敏弌, 島田 和夫, 栗木 安則, 大嶋 哲, 鈴木 守夫, 加藤 順
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2384-2390
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    反応温度400~460。C,圧力50~200kg/cm2の反応条件下で,コバルト,モリブデン,アルミナ系の触媒を用いて,重油の水素化脱硫を,静止床上向並流型反応器により行ない,脱硫反応と同時に行なわれる水素化分解反応について,その脱硫反応との関連,反応次数,圧力や温度に対する依存性および水素消費量などについて検討し,つぎのような結果を得た。
    C1-3のガス状飽和炭化水素の生成量,生成油の比重および粘度,300。Cカットの留出油および残油の割合,アスファルテン含有量などの生成油の軽質化(水素化分解)を示す指標は,粘度を除いて,いずれも脱硫率85~90%を境にして,その前後での増加あるいは減少の度合がいちじるしく変化し,これ以上の脱硫率の範囲で急速な水素化分解が進行しているものと考えられる。
    水素化分解の反応次数は,比較的脱硫率の低い場合は2次となり,脱硫反応の次数と見かけ上一致するが高温,高脱硫率の条件下では1次となる。したがって,脱硫反応に無関係な水素化分解め反応次数は1次と考えるのが妥当である。水素化分解速度は,本実験条件下では,全圧150k9/cm2付近において最大であった。また水素消費量は分解率に対して4H2=17z+4のような直線関係で表わすことができた。
  • 久保田 清, 手島 英夫
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2391-2395
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    触蝶の劣化がコーク生成にともなって進行する場合には,コーク生成反応を独立に取り扱うよりも,適切な反応モデルを仮定して反応速度式群に含め,コーク生成速度に関する実験データも利用することが望ましい。既報では,シリカ-アルミナ触媒によるブタンと各生成物の接触分解の実験を行ない,量論反応式と反応速度式群を,コーク生成反応を考慮してカルボニウムイオン素反応機作に基づいて誘導した。本報では,触媒劣化の進行を考慮した反応速度式群を得るため,ガス状生成物分布とコーク生成量およびその組成H/Cの比の値の反応経過時間にともなう変化を調べる実験を行なった。既報で誘導した量論反応式群におけるコーク生成反応を,反応経過時間にともなうコークのH/Cの比の値の減少が説明できるように二段の反応におきかえた。反応速度式群を設計方程式と連立させて解いて,速度パラメーターをMarquardt法を用いて算出した。計算結果は,反応経過時間に対して得られたガス状生成物分布とコークの生成に関する実験データの傾向を説明できた。
  • 亀尾 貴, 真鍋 修
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2396-2399
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トルエンの硝酸ニトロ化において大きなp/o値と高いモノニトロ化収率を得る目的で,フルベンゼンジスルホン酸とリン酸を混合溶解した混合酸を触媒酸として用いてトルエンを硝酸でニトロ化することにより,高いp/o値と高収率を得ることができた。この混合酸を触媒とするニトロ化の反応条件をいろいろ検討した結果,m-ベンゼンジスルホン酸:リン酸=1:2.5~3.5(重量比),混合酸中の水分1.0~1,5%の混合酸とトルエンの混合物中に0~2。Cで混合酸重量の1/15以下の98%硝酸を滴下しニトロ化することによりp/o値1,59のモノニトロトルエンを碓酸に対して95%取率で得ることができた。また,m-ベンゼンジスノレホン酸以外の芳香族スルホン酸も醗と混合レて用いることにより同等の結果が得られることがわかった。すなわち,トルエン-2,4-ジメルホン酸;リン酸(1:3),ニトロベンゼンスルホ酸(ベンゼンスルホン酸のニトロ化物):リン酸(1:2)め混合酸を触媒として使用した結果,モノニトロ化物のp/o値および収率はそれぞれ,1.57,94%,1.47,97%であった。
  • 堀江 徳愛, 増村 光雄, 賀勢 健治, 福井 憲二, 中山 充
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2400-2406
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3,4,6-トリメトキシカテコール[2]を硫酸ジメチルで部分メチル化すると,2,3,5,6-テトラメトキシフェノール[3]と塩化鉄(III)溶液により容易にベンゾキノン[8]に酸化される2,3,4,6-テトラメトキシフェノール[7]を生成する。[3]をイソプロピルエーテル[12]に誘導し,[12]を無水エ-テル中でFriedel-Crafts反応によりアセチル化すると2-ヒドロキシ-4-イソプロピルオキシ-3,5,6-トリメトキシアセトフェノン[14],1-アセトキシ-2,3,5,6-テトラメトキシベンゼン[10]と1-アセトキシ-2-エトキシ-3,5,6-トリメトキシベンゼン[15]を生ずることがわかった。
    [14]を置換塩化ベンゾイルと作用させ,安息香酸エステルに導いたのち,Baker-Venkataraman転位反応により2-ヒドロキシ-4-イソプロピルオキシ-3,5,6-トリメトキシ-ω-アロイルブセトフェノンレ[20]を得た。[20]を酢酸中で酔酸ナトリウムを用小て閉環させ,7-イソプロピルオキシ-5,6,8-トリメトキシフラボン[21]に導いた。[21a,b]はパラジウム-炭素による水素化分解で4'-ヒドロキシフラボン[22a,b]を生成する。[22a,b]および[21c,d]をアセトニトリル中で無水塩化アルミニウムを用いて部分脱アルキル化反応を行ない目的のフラボン,スダチチン[1a],デメトキシスダチチン[1b],ヒメノキシン[1c]とネバデンシン[1d]を得た。
  • 一寸木 康夫, 藤波 公也
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2407-2413
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    キシリレンジイソシアナート(XDI)およびベンジルイソシアナートから誘導された尿素結合に基づくNHプロトンの化学シフトはジメチルスルポキシド(DMSO)中でδ6.40から7.42に,一方,ウレタン結念に基づくそれはδ7.50付近にあることがわかった。またアロファナートおよびビウレット結合に基づくNHプロトンのそれは分子内水素結合のためにウレタンや尿素結合のそれにくらべ低磁場側に存在し,1,3,5-トリベンジルビウレットのNHプロトンはδ8.75に,エチル-α,γ-ジベンジルアロファナートではδ9.O2にNHプロトンシグナルを示した。
    またメチレンプロトン領域のNMRからもXDI誘導体の識別が可能であることがわかった。さらに,XDIの異性体(m-XDIとp-XDI)比はそれらのウレタン誘遺体について,塩化リチウムを含むDMA溶媒中でNMRを測定し,それらの環プロトン領域のシグナルから決定できる。
    芳香族,アラルキルおよび脂肪族インシアナート誘導体に基づく,NHプロトンシグナルはこの順序で高磁場へシフトし,それらはNHプロトン領域のNMRにより容易に識別できる。このようにNHプロトン領域のNMRからも,XDIが芳香族イソシアナートと脂肪族イソシアナートとの中間的挫質を有することが示唆された。
  • 砂原 正樹, 武藤 宣彦, 小松 剛, 中川 鶴太郎
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2414-2418
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アイソタクチック,シンジオタクチックホリメタクリル酸(PMA)と2価金属イオン(コバルト(II),ニッケル(II),銅(II),亜鉛(II),カドミウム(II))との水溶液中における錯体生成反応を25C,イオン強度0.1においてpH滴定法によって調べた。PMAの2価金属錯体の安定度定数はGregorらの変型Bjerrum法によって計算した。各錯体の生成曲線によれば,アイソタクチックPMAはシンジオタクチックPMAにくらべて小さなBjerrumの分離係数を与える。すなわちアイソタクチックPMAは各2価金属イオンに2個のカルボキシヒート基が配位した錯体をいっそう容易に生成する,各金属錯体の安定度の順序は,PMAの立体規則性に関係なく,Cu(III)>Cd(II)>zn(II)>Ni(II)>Co(II)である。求めた全安定度定数logβ2によれば,アイソタクチックPMAはシンジオタクチックPMAよりも安定な錯体を形成する。以上の結果は,アイソタクチックPMAが,解離基がたがいに近接したいっそう密な立体配座をとっていることに帰せられる。
  • 瀬尾 利弘, 石渡 皓, 加倉井 敏夫
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2419-2424
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    芳香族ジビグアニドと脂肪族および芳香族ジカルポン酸ジフェニルエステルとの重縮合を非プロトン性極性溶媒中で行ない,主鎖にs-トリアジン環を含むポリグアナミンを合成した。脂肪族ジエステルを含むポリマーの還元粘度はジメチルスルホキシド中0.40~0.84dl/gで,0.45以上のポリマーより硬く強じんなフィルムが得られる。ギ酸中ではいちじるしく粘度が上昇し電解質的挙動を呈した。ポリマーは硫酸,ジメチルホルムアミド,m-クレゾールに可溶であり全芳香族ポリグアナミンは一般に難溶であった。
    ポリマーの軟化点は230~280℃,全芳香族ポリグアナミンでは330℃以上となり,また熱重量測定によりポリグアナミンはすぐれた耐熱性を示すことがわかった。
    フィルムの動的粘弾性の測定より脂肪族ジエステルを含むポリグアナミンのガラス転移点は100~110℃であり,比重も1,25~1.30と大きい値を示しグアナミン構造の影響が見られた。
  • 山本 襄, 山下 岩男
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2425-2427
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリエチルアルミニウム-γ-メチルチオブタノール系(1:1,1:3)触媒によるアセトアルデヒドの重合を行なった。
    -78℃での重合では,1:1触媒により結晶性ポリマーと非晶性ポリマーが得られるのに対し,1:3触媒では結晶性ポリマーとともに鎖状オリゴマーが得られた。トリエチルアルミニウム-α-エチル-γ-メチルチオブタノール系触媒を用いても同様な結果が得られた。一方,1:3触媒による天井温度近くでの塊状重合においては,石油エーテル可溶の鎖状オリゴマー(MW<2500)のみが生成した。末端基は主としてアセチル基およびエトキシ基であり,また,触媒からのγ-チオブトキシ基を一部含むことがIR,NMR分析などからわかった。また,副生成物は酢酸エチルであった。これらの結果から,重合および連鎖移動の機構が考察された。
  • 飯山 繁生, 阿部 さつき, 難波 桂芳
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2428-2431
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    極度に脱水したアクリロニトリルの放射線重合系に対して添加物効果を-78℃で調べた結果,アニオン抑制剤の水,臭化水素および四塩化炭素は顕著な抑制効果を示し,トリエチルアミン,ジメチルホルムアミド,酸化二窒素およびベンゾキノンは若干の影響を与えた。さらに遅延剤として臭化水素を用いて生長反応速度定数を概算した結果,上限値としてkp稀=4×107l/mol・secが得られ,この重合系の成長イオンはフリーアニオンであることを示唆した。
  • 岡本 正雄, 石塚 修
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2432-2434
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    頭-尾結合構造を有するビニルポリマーにおいて,隣接する2個の置換基間での反応がランダムに行なわれる場合,置換基の13,53%は,未反応のまま取り残されてしまうことが知られているが,ここでは隣接炭素原子からのHX(Xは置換基)脱離反応がランダムに行なわれた場合について検討した。
  • 西内 豊道, 勢川 慎一
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2435-2439
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩基性のセルロース誘導体を調製する目的で,
    セルロース原料-酸化-ジアルデヒドセルロース(DAC)
    -オキシム化-ジオキシムセルロース(DOC)-還元-ジアミノセルース(DAmC)
    の反応過程をとりあげ,その最適反応条件を検討し,つぎの結果を得た。
    (1)HIO41390×-10molおよびCH3COONa1.575×10-2molを含む水溶液25mlに脱脂綿1gを浸漬し,8℃で14日間暗所で酸化しDACを調製する。
    (2)DAC1gをNH20H,HCIの1.5mol水溶液120ml中で5。Cに15時間反応させDOCを調製する。
    (3)DOC2gを0,05molのNaBH4を含むメタノール溶液100ml中で10℃に2時間還元する操作を2回くり返し,DAmCを調製する。
    つぎに生成DAmC水溶液の電離性について検討し,塩基性高分子水溶液の電離に関する式pH=pK+nlog{(1-α)/α}(ただし,Kは電離平衡定数,αは電離度であるが中和度とみなす)は0.1N塩酸による中和度約27%以上でよく適合し,かつ25℃で定数n=1.55,K=4.68×10-8であることを認めた,またDAmC水溶液濃度とpHとの関係から,その高分子電解質としての挙動を考察した。さらにDAmC中の一部のNH3基のHをCH3基で置換し,その塩酸による中和滴定曲線を求め検討した。
  • 上原 巳芳, 中谷 純一
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2440-2442
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    As one of studies on the effect of proton donor on the half-wave reduction potential, DC polarographic behavior of N-benzylideneaniline (BA) and N- (diphenylrnethylene) aniline (DA) was investigated in DMF solution in the presence of cx-cyclodextrin (CD) by the three-electrode system. The half-wave reduction potential of the 1 at wave shifted to a less negative potential (100-150 mV) by the addition of CD. As a most plausible interpretation on the results, the formation of hydrogen bond was suggested between BA or DA and CD.
  • 松下 寛, 弘中 博二
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2443-2445
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Although the standard addition method using a nitrate-selective electrode brought positive errors in the coexistence of chlorate, it was experimentally shown that the linearity of Y={(V+ vs)/V.10e/s} vs. vs plotting was still kept (V: sample volume, vs: standard solution volume, e: difference between potentials before and after addition of the standard solution, S: response slope of ion-selective electrodes). In an attempt to elucidate the influence of the interfering effect on the standard addition method, investigation was carried out by numerical calculations, to know what factors affect the linearity of Y vs. vs plotting and accuracy. As a result, it was shown that the interfering effect affects most the accuracy and the linearity of Y vs. vs plotting is maintained even under a large interfering effect. When the ratio of the standard solution concentration to the sample concentration is large, the Y vs. vs plotting is figured by a straight line, whereas it is figured by a gentle curve, yielding greater concentration-errors, when the ratio is small. The electric charge of ions does not much affect the linearity as well as the concentration-error. A great concentration error occurs also due to the error of the response slope q. At q>0, positive errors occur, whereas negative ones occur at q<0. Even if errors in the response slope exist, the Y vs. vs plotting is figured by a very gentle curve (by two straight lines, in the approximate sense). Positive errors attributable to the interfering effect are compensated in the range of q<0, and cancelled to be zero in apparently at a certain value of q.
  • 鈴木 仁美, 柳生 理, 花房 昭静
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2446-2448
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Pentachlorophenylmagnesium chloride and pentamethylphenylmagnesium iodide, prepared in tetrahydrofuran solutions from hexachlorobenzene and pentamethyliodobenzene, respectively, were treated with opper( 1 ) iodide below 0°C. A given polymethyliodobenzene was then added to the resulting dark solution and the mixture was heated under gentle reflux for 6 to 8 hr. Removal of the solvent followed by the Soxlhet extraction of the residue and chromatography on activated alumina gave the corresponding unsymmetrical biphenyl in fair to good yields.
    Biphenyls thus obtained include 2, 3, 4, 5, 6-pentachloro-2', 3', 4', 5', 6'-pentamethylbiphenyl; 2, 3, 4, 5, 6-Pentachloro-2', 3', 4', 5'-tetramethylbiphenyl; 2, 3, 4, 5, 6-pentachloro-2', 3', 4', 6'-tetra, T: methylbiphenyl; 2, 3, _4, 5, 6-pentachloro-2', 3', 5', 6'-tetrarnethylbiphenyl; 2, 3, 4, 5, 6-pentachloro 2', 4', 6'-trimethylbiphenyl; 2, 3, 4, 5, 6--pentachlorobiphenyl; 2, 2', 3, 3', 4, 5, 5', 6, 6'-nonamethyl biphenyl; and 2, 2', 3, 4, 4', 5, 6, 6'-octamethylbiphenyl,
  • 奈良 賢一, 渭東 祥高, 真鍋 修
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2449-2451
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-Amino-7-naphthol and 3, 5-xylidine were prepared by amination of potassium 2-naphthol8-sulfonate and m-xylene-5-sulfonate, respectively.
    Potassium 2-naphthol-8-sulfonate was allowed to react with sodium amide in liquid ammonia at 160°C for 16 hours to give 1-amino-7-naphthol in a 84.5% yield, whereas sodium 2-naphthol6-sulfonate did not undergo the amination under these conditions.3, 5-Xylidine was obtained by the amination of potassium m-xylene-5-sulfonate at 155°C for 9 hours in a 82.7% yield.
  • 井藤 壮太郎, 山口 登志子
    1974 年 1974 巻 12 号 p. 2452-2454
    発行日: 1974/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The purpose of this work is to determine the harmful substances described below eluted from the gelled soil stabilizer. The amounts of sulfuric acid, formaldehyde, and KMnO4- consuming substances eluted with water were more than 99%, 3-6%, and 6-14% of the respective amounts in the ungelled soil stabilizer solution (Table 2). These values did not decrease even when the soil stabilizer was gelled in the presence of wet or dry sand (Table 2).
  • 1974 年 1974 巻 12 号 p. 2455
    発行日: 1974年
    公開日: 2011/05/30
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