日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1974 巻, 3 号
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  • 森田 皓一
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 391-394
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    糖類のCH伸縮振動を調べるためのモデル化合物として,ヘキサクロロシクロヘキサン(BHC)異性体の3000cm-1付近の赤外吸収スペクトルを測定した。これらの化合物は溶液で2ないし3本のCH伸縮振動帯を示す6そのうち1本はつねにせまい波数範囲(2976±1cm-1)に存在するが,他の吸収は立体構造の違いによって顕著に変化する。CH伸縮振動のみを対象とする基準振動の近似計算法を考案しBHC異性体に適用した。計算結果に基づき各吸収帯を帰属するとともに,CH伸縮振動が立体構造の相違によって変動するのは,アキシアルCH結合間の相互作用およびCH基と塩素原子との間の1,2-または1,3-ジアキシアル相互作用の結果として説明することができた。
  • 永田 親清, 石田 和久, 田中 誠之
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 395-400
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アセトアニリド誘導体11種について,13C NMRスペクトルを測定し,さらにCNDO/2法による全電子密度の計筑を行なって環炭棄およびカルポニル炭素の1℃化学シフトと電子密度との関係について検討した。その結果,メタおよびパラ置換体については比較的よい対応がみられた。パラ置換体において置換基に対してパラ位炭素について,それぞれ全電子密度およびπ電子密度と化学シフトとの関係を調べたところ,全電子密度との方がよい直線関係があることがわかった。置換基によるカルポニル炭紫の化学シフトの変化は非常に小さく,これは電子密度の計算結果とも対応している。
    メタおよびパラ麗換体においては,置換基の結合している環炭素の化学シフトは置換基の原子の電気陰性度と直線関係があることがわかった。
  • 渡辺 信淳, 中西 浩-郎, 中島 剛
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 401-404
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本研究では溶融塩化リチウムへのリチウムの溶解におよぼす雰囲気の影響について検討した。密閉型容器を用いるとリチウムの真の溶解度が測定され,その値は662℃で0.66 mol%であった。
    雰囲気調節可能な容器を用いた場合は雰囲気中に含まれる酸素,窒素,水分の影響をうけてリチウムの溶解量は時間とともに増加する傾向を示し,その値は真の溶解度よりはるかに大きなものであった。
    また酸化リチウムを溶解した塩化リチウムに対してもリチウムの溶解量はいくぶん増加した。この結果は真の溶解以外にリチウムのコロイド的微粒子溶解が起こっていることを示唆している。適当な乳化剤が存在すれば,とくにかきまぜなくてもエマルジョンが生成することが知られており,酸素,窒素,水分がリチウムと反応して生成する酸化リチウム,窒化リチウムがコロイド溶液における乳化剤と同様の役割を果たしているものと考えられる。
    雰囲気調節可能な容器を用いた場合のリチウム-塩化リチウム系の電導度はリチウムが微粒子どして溶解していることを支持する結果を与えた。
  • 今村 哲也, 常盤 文克
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 405-408
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    湯垢粒子と繊維をそれぞれ球,円柱状として,異種電気二重層間の相互作用エネルギーの式を誘導し,球/平板状,球/球状モデルの式と比較したが,実際に洗浴中で遭遇するような汚垢粒子と繊維の大きさでは相互作用エネルギーへのモデルの影響はそれほど大きくない。繊維と二一粒子のジータ電位(ζ1,ζ2)の違いによる全相互作用エネルギーの極大値(VT,max)への影響は大きく,VT,maxはζiとζ2の積が一定でもζ2/ζ1比の増加とともに急激に減少する。Vt,max へのζ2/ζ1比の効果を指数関数であらわし,このヘテロ凝集に対する安定化定数θHを定義した。
    θH= exp(-e(f -1)),≧1
    このθHはVt,maxと直線関係があり,繊維への粒子の付着量をよく説明する。
  • 橋本 圭司, 渡辺 昭二, 多羅間 公雄
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 409-414
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者らはMoO3-Al203触媒を400~550℃で焼成し,低圧水素で還元することにより,反応温度0~70℃,エチレン圧200=mmHg以下においてもエチレンの重合能が生ずることを見いだした。重合生成物は融点が200℃以上で,直鎖状の高密度ポリエチレンで平均分子量は540000であることがわかった。
    この重合反応の速度論的に解析を行なった結果,重合の初期速度は0℃ではエチレン圧にほぼ0次,10℃では約0.3次,20℃では約0.5次,さらに35~70℃では1次となった。また活性化エネルギーは。0~70℃では7.82kca1/molであった。さらにプロピレンの重合速度の1/10,シリカ-アルミナ担体よりアルミナ担体の方が活性が高いこともわかった。吸着エチレンの赤外吸収スペクトルなどからもこの触媒におけるエチレンの重合機溝を検討し,この反応は配位機構で実験結果が説明できた。
  • 石塚 学, 尾崎 萃
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 415-419
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    芳香環内にN原子をもつ2,2i-ビピリジル(bip)と1,10-フェナントロリン(phen)を電子受容体とし,Li,Na,Kを電子供与体とする電荷移動型錯体の触媒作用,とくに水素の活性化について検討した。錯体中の水素と気相D2との交換によるHD生成速度(Vex)を,この錯体上のH2-D2平衡化反応によるHD生成速度(Veq)と比較すると,Veq/Vexの値は一般に1より大きく,錯体中の水素との交換を経由しない交換径路のあることがわかる。錯体中の交換位置はbipでは6-位,phenでは5-位の水素と同定された。全体の交換活性はVeq/Vexの値が大きいものほど高く,bip錯体よりもphen錯体が,またアルカリ金属の電子供与性が強いほど高活性である。アルカリ金属の相違による活性の相違は活性化エネルギーの相違と対応している。この錯体はg値2.00付近のESR吸収スペクトルを示し,このESR吸収が水素の導入により減少し,脱離により回復することからアルカリ金属よりの供与によって生じた不対電子が水素と相互作用をもつことが示された。
  • 中村 隆一, 森田 好則, 越後谷 悦郎
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 420-427
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担体付き酸化モリブデン触媒上でのプロピレンの不均化反応め速度論的研究を通常の微分反応管の方法により行なった。使用した触媒は,Mo08含量の異なるいくつかの混理法MoO,-Al,03,同じくMo03-SiO2触媒,および製法の異なる含浸法MoO,-γ-A1203およびCoO-MoO3-γ-A1203触媒である。これらのすべての触媒上でのプロピレン不均化反応速度はLangmuir-Hinshelwood機構のdualsiteにi基づく表面反応速度式でよく整理された。
    これらの結果は,オレフィンの金属イオンへの段階的配位の理論の立場を考えると,つぎの二つの場合からうまく説明できることがわかった。すなわち,(1)オレフィンと金属イオンの一つの結合あたりめ吸着平衡定数の概念の導入,(2)反応速度式の分毎の項は主として反応の中間体池ない吸着種の阻害効果によって決まる,などである。
    また反応の活性化エネルギーなどの熱力学的変数の値は,酸化モリブデンの分散状態と密接な関係が見られ,活性化エネルギーとピン度因子の間に顕著な補償効果が見られた。これらは,上記の(1),(2)の考え方によりうまく説明できた。また吸着熱の2倍,2Q0と活性化エネルギーの間にはつねに2QO>Eなる関係が得られ,反応温度をかえたとき,活性に最大値が見られるなど,この反応においては,活性化エンタルピーの障害よりもエントロピー的障害の方が重要であることが示唆された。
  • 藤元 薫, 高島 洋明, 功刀 泰碩
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 428-433
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-ブテンの酸化脱水素反応について各種白金族金属触媒の活性およびパラジウム触媒にk,Sするハロゲンイオンの添加効果を検討した。酸化脱水素活性は Pd>Rh>Pt>Ir>Ru の順であったが,Rh,Ptでは2-ブテン類が多量に生成した。パラジウム触媒にハロゲンイオンを金属塊の形で添加すると酸化脱水素反応は促進され,完全酸化反応はいちじるしく抑制された。その効果は F<Cl<Br<I の順でこの順にほぼ1ケタずつ二酸化炭素の生成が減少し,NaBrを少最添加した触媒ではブタジエンと二酸化炭素の生成比はほぼ1000/1であった。ハロゲンイオンは単に完全酸化活性点を被毒するのではなく,パラジウムとの相互作用によってその特性を変化させ,酸素,またはオレフィンの吸着特性を変化させるものと考えられた。
  • 藤元 薫, 高島 洋明, 功刀 泰碩
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 434-438
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    傘持パラジウム触媒によるプロピレンの=オキシ塩素化反応の機構について研究した。反応原料のうちの一つ(酸素または塩化水素)の供給が停止したのちの生成物の生成速度の応答を観察した。酸素の供給を停止すると塩化アリルの生成速度は約30分間にわたってゆるやかに低下した。一方,塩化イソプロピルのそれは変化しなかった。塩化水素の供給を停止すると塩化アリルの生成速度は約1時間にわたってゆるやかに低下した。一方塩化イソプロピルのそれは数分のうちに0になった。これらの事実から,塩化アリルの生成に寄与する塩素種はパラジウム表面上に強く保持されているが,イソプロピルのそれは相対的に弱いということが示唆される。
    かなり高濃度のPdCI2がオキシ塩素化反応の定常状態において存在し,その値が反応条件に依存することから,塩化アリルの生成に寄与する塩素種はパラジウム上に酸化的に吸着されたクロリドアニオンであることが示唆される。パラジウムの酸化を促進すると考えられるいくつかの触媒(活性炭,塩化銅,硝酸)は塩化アリルの生成に対し加速効果を示す。
    本反応の機構を速度論的手法により解析した。
  • 梅村 耕造, 羽倉 倫敬
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 439-444
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニッケルの表面条件の適応係数におよぼす影響を知るために,高真空下においてニッケルリボンにたがいに異なる処理を施すことによって作成した3種の表面,すなわち,水素を吸着した表面,アルゴンイオンで衝撃した表面,および酸化還元処理をした表面に対するアルゴンの適応係数の測定と昇温脱離実験を対応させて行なった。測定条件は,アルゴン温度を305±1°K,圧力を2~5×10-4 Torrとし,ニッケルの温度は345~550°Kの範囲で変化させた。
    本実験で得た適応係数の値は,O.50~0.99の範囲にあり,ニッケル表面とアルゴンの温度差(ΔT)が増大するとともに適応係数は減少し,その減少の程度は表面条件によって変化した。また同一のΔTで比較すると,適応係数は清浄な表面で小さくなった。また適応係数から求めたEnckenのQ(吸着熱とエネルギー移行の活性化エネルギーとの差)は,表面処理によって強く影響されることがわかった。
  • 高橋 洋之介, 小門 宏, 井上 英一
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 445-452
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    逆ホトクロミズムを示す1,3,3-トリメチルスピロ(インドリン-2,2'-ベソゾピラン)-8'-カルボン酸〔1〕は,NaOH添加により無色状態に変化した。これはカルボン酸と塩基の中和反応の結果,(B)の安定化に対する分子内水素移動の寄与が失われたためと考えられる。
    NaOH存在下,〔1〕の無色種(A')にセン光照射したところ,発色種に2種類の異性体(B1),(B2)が認められた。また,NaOH添加量を増すと励の発色種(B3)が生じ,その生成量はスピロピラン〔1〕に対して過剃なNaOH添加量に比例した。
    6'-カルボン酸誘導体〔2〕についても,中性溶媒中で2種の発色種(B4,B5),およびNaOH添加溶媒中で1種別発色種(B6)をセン光法により見いだし,その反応式を検討した。
    NaOHを添加しない場合,アルコールでかつ,その極性が大きい溶媒中ほど,〔2〕の相対的光発色効率φoは大きくなった。また,NaOH添加によってもφcが増加することから,プロトン解離がφoに大きく影響すると考えて,合わせて〔1〕のφoにおよぼすプロトンの効果についても考察した。
  • 高橋 英明, 永山 政一
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 453-458
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リソ酸溶液中でアルミニウムをアノード酸化すると,いわゆる"多孔質型"の酸化皮膜が生成するが,本研究ではこの皮膜内に含まれるリン酸イオンの分布状態を多孔質皮膜の自然溶解特性を利用して検討した。すなわち,4%リン酸溶液(25℃)中で100V(vs.SCE)の一定アノード電位を与えて皮膜化成を行なうと,barrier層の厚さδ,および孔壁の厚さδ(孔と孔との距離の1/2)がいずれも約1000A,孔の半径rが約500Aの多孔質皮膜が生成する。この皮膜化成試料を硫酸溶液中に浸漬して自然溶解させると,溶解は主として孔の内壁面で起こるので,皮膜の厚さは変化せずに孔が拡大してゆく。したがって,溶出アルミニウムイオン量およびリン酸イオン量の時間変化を調べると,孔壁の厚さ方向のリン酸イオンの分布が求められる。リソ酸イオンの濃度は,孔壁表面から距離x=400 Aまではほぼ一定値を示すが,x=550Aで最大値となり,900A以上ではほとんど0となる。リソ酸イオンの平均濃度は約14%(POUAI)であり,この値は皮膜の厚さによって変化しない。
    barrier層と孔壁層の化学組成の類似性を考慮し,上に述べたりン酸イオンの分布がどのようにして成立するか,その機構を論じている
  • 山下 大二郎, 山本 善史
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 459-463
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    加圧式アルカリ蓄電池の極板は,粉末混合比(水酸化ニッケル-50,グラファイト-35,ポリエチレン-15)の組成のものに,銀または酸化銀をそれぞれ5%または10弩添加後加圧成形し,この正極板について,各時間率における充放電電位とそのときの過電圧,電位走査法による電流一電位曲線および充放電による耐久試験などにより,銀および酸化銀の添力融こよる影響を検討したところ,つぎのような結果を得た。
    (1) 銀および酸化銀の添加により,活物質の初期利用率はいずれの場合も増加したが,酸化銀は銀よりも有効であり,とくに酸化銀を10%添茄したものでは,利用率が80%以上に達し,無添加のものに対し約30%の増加を示した。
    (2)充放電における過電圧は一般に減少するが,とくに酸化銀10%添加のものがもっとも小さかった。
    (3)耐久試験では,酸化銀添加極板は容量低下が少なく,とくに酸化銀10%添加極板では充放電サイクルとともに容量が増加した。一方,銀添加極板では容量低下がいちじるしく,極板の脱落が認められた
  • 梶源 鳴雪, 斎藤 肇
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 464-468
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Friede1-Crafts反応によって,二塩化窒化リン三量体から,テトラクロロジフェニルホスファゼンP3N3C14(C6H5)2(以下CPPと略記する)を合成した。このCPPと5種類のジヒドロキシあるいはジアミノ化合物をピリジソ溶媒中で重三合させた結果,ジヒドロキシ化合物を用いたときには,極性溶媒に可溶な縮合体が得られた。これらの縮合体の分子量は1100~3400で,縮合反応に用いた化合物によってその分子量の大きさは異なっていた。一方,ジアミノ化合物を用いて得られた縮合体は有機溶媒にほとんど不溶であった。これら縮合体の軟化点を調べた結果,これらの中でp,p'-ジヒドロキシジフェニルとの反応で得られた縮合体の軟化点がもっとも高かった。さらにこれら縮合体の加熱による重量変化を調べた結果,ヒドロキノンあるいはP-フェニレンジアミンから得られた縮合体がもっとも熱安定性がよく,ビスフェノールAあるいはp,p'-ジアミノジフェニルメタンから得られた縮合体の熱安定性は良好でないことがわかった。
  • 柏瀬 弘之, 佐藤 源一, 熱海 孝司, 岡部 泰二郎
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 469-473
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クロム鉱石,水酸化ナトリウムおよび硝酸ナトリウムの各種比率の配合物につき温度(300~700℃),時間,雰囲気などの条件を変えて加熱処理を行ない,反応物中の6価クロムおよび窒素化合物の測定,関連試料のX線回折などによりクPtム酸ナトリウム生成の好適条件および反応の内容を検討した。
    その結果,鉱石中のCr20s成分は,約400C以下の温度域では主として反応(1)により,またそれ以上の温度域では反応(2)によってクロム酸ナトリウムを形成するが,いずれの場合にも反応を円滑に行なうためには過剰の水酸化ナトリウムの存在が必要であることがわかった。
    Cr20s +4 NaOH +3 NaNO3=2Na2CrOdi +3 NaNO2 +2 H20 (1)
    5Cr203 + 14 NaOH +6 NaNOs=le Na2CrO'+3 N2 +7 H20(2)
    実用的な好適条件は,鉱石中のCr20s成分に対するナトリウム当量比約4.0,酸化剤当量比1.0~1.3,温度450~600 C,時間1~3時間付近にあり,このような:条件下で90%以上の高度のクロム酸化率が得られる。
    この処理においては鉱石の産地による反応性の相違は少なく,また雰囲気の影響も少ない。
  • 白石 稔, 小林 和夫
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 474-479
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3,5-キシレノールーホルムアルデヒド樹脂カーボンについて,炭素原子のc軸方向の変位とその温度依存性を調べた。その結果,炭素原子のこ軸方向の静的変位の二乗平均濾はc軸長cの6.86Aから6.85 Aまでの減少にともなって,急激に減少するeCeが6.80A付近では屈曲を示し,さらにCeが減少するとふたたび減少し,c=6.76 Aで0.Ol1A2を示した。一方,炭素原子のc軸方向の熱振動による二乗平均変位Uvは,20℃においてcの減少にともない0.15 A2からわずかに減少してO.012 A2を示した。また,Uvは測定温度の上昇にともなってほ醸直線的に大きく増加して,約1000 Cおいて室温の約4倍になった。
    高温側における層面間の熱膨張は炭素原子の静的な変位よりも,炭素原子の熱振動に大きく影響されることが知られた。このことから,どの試料についてもほぼ同一の層面間の熱膨張を示すことが理解された。
  • 尾中 証
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 480-484
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    遷移金属Co(II),Ni(II),Cu(II)と2,2-ジアミノビフェニル(dab P)との錯体を反射スペクトル,X線回折,IR,ESRスペクドルなどの分光学的方法で研究した。二座配位子としてのdabpは分光化学系列上H20とgly-の間にくる。[Ni(dabp)s(NO3)2]以外の二置換錯体のトランス六配位構造が反射スペクトル,遠赤外吸収スペクトル,ESRスペクトル,粉末X線回折データから推定されたが,(Ni(dabp)2(NO3)2)のみはシス構造が推定された。[Cu(dabp),Cl,]のESRスペクトルから伸びたトランス形テトラゴナル構造が推定された。Cu2+とdabp中のNとの問の共有結合性がCw(dabp)2(H2O)(CiO,)2のメタノール溶液のESRスペクトルから確かめられた。 dabp金属錯体の遠赤外吸収スペクトルを二測定して金属-N伸縮振動のバンドの帰属を行なった。また金属-ハロゲン,金属-O伸縮振動のバンドの帰属も行なった。こうした帰属に基づいて,金風配位子間の結合性の検討を行ない,金属-ハロゲン,金属-NO3川間の結合性はイオン性が大きいことを推論した。
  • 野崎 亨, 春日 邦宣, 末光 長雄
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 485-490
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    pH 2 0-4 0,過剰のPb2÷の存在下でのイオン強度0.1,20℃の水溶液中で,EDTA,EDTA,OH,CyDTAおよびDTPAの鉛(II)錯体とガリウム(III)との置換反応の初期速度式を吸光度の経時変化測定により求めた。
    得られた速度定数から,各反応径路の全反応速度に対する寄与率を計算した。EDTA,EDTA,OHおよびDTPA系では複核中間体生成径路と鉛錯体の解離径路との両径路を経て進行するが,CyDTA系では解離径路のみを経て進行することが推定された。
    また 解離径路では,GaOH2÷の錯体生成反応によって置換反応が進行していると考えられるので,ガリウム(III)の正常およびプロトン錯体生成速度定数を求めることができた。
  • 赤岩 英夫, 相沢 省一
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 491-494
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    新潟県下の各地に分布する堆積岩試料70個について,フッ素含量を比色法により定量した。定量値は岩石種別に算術平均で示すと,砂岩200 PPm,砂泥岩370 PPm,泥岩400 PPm,およびシェール410ppmである。この結果は泥質岩は砂質岩よりもフッ素に富んでいることを示し,従来の知見と一致する。しかし信頼しうると考えられるこれまでのデータと比較すると,砂岩については地域が異なってもほとんど同程度の平均含量であるが,シェールに関しては地域によりかなりの違いがある。そして日本に分布するシェールのフッ素含量は世界に分布するシェールのそれよりも少ない傾向にあるようである。
    またこの地方の堆積岩のコア試料は油田塩水の影響を受けて高い塩素含量を示すが,フッ素はその影響をほとんど受けておらず,風化された露頭試料のそれと同じ含量範囲(300~500ppm)を示している
  • 星野 仁, 山下 隆二, 四ツ柳 隆夫, 青村 和夫
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 495-501
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パラジウム(II)はPAR(H,R)と反応して,酸性で緑色錯体[Pd(H,R)(H20)n]2+(pKa,= 4.35±0.05,imax = 440,590 nm),微酸性~中性で赤色錯体[Pd(HR)H20]÷(pKa,=5.38±O.05)および(Pd(R)H20)。(Am&x = 525nm),アルカリ性では赤色錯体[Pd(R)OH]-(imax=520 nm)の1:1錯体を生ずる。
    [Pd(R)OH]-錯体はゼフィラミンとイオン会合体を生成し,クロロホルムで抽出できる。抽出錯体の吸収極大は540nmにあり,そのモル吸光係数は3.29×104であった。Beerの法則は0~20μgPd2+/10 MI CHC18の範囲で成立し,吸光度0.001に対する感度はO.OO32 Ptg Pd2+/cm2であった。
    パラジウム(II)の場合,PAR錯体はEDTA錯体まりも安定であるため,EDTAはPAR錯体の生成を妨害しない。したがうて,EDTA.をマスキング剤とすることにより, Fe(II)およびCo(III)を除く大部分の共存金属の影響を除去できた。
  • 松下 寛, 弘中 博二
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 502-504
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    薪ナトリウム選択性ガラス電極を使用して,変形零点ポテンショメトリーと変形示差ポテソショメトリーの精度を検量曲線法のそれと比較した。
    使用した電極の電動挙動はつぎのようである。電極応答(電極電位対pNa)は10-1~10-4 mo1/1 Naの濃度範囲にわたって直線となり,応答勾配はNernst勾配に近かった。カリウムとアンモニウムイオンは約20~100倍,カルシウムイオンは1000倍以上,ナトリウムイオンと共存しても差し支えなかった。pH値は, pNa+4.5以上で応答に影響しなかった。ガラス膜に紫外線を照射しても,意味のある電位変化を生じないことが確認された。
    テストした三つの方法のうち,変形示寂ポテンショメトリーがもっとも精密で,ついで変形零点ポテンショメトリー,検量曲線法の順となった。
  • 岩附 正明, 田中 正夫, 深沢 力
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 505-510
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    低膨張結晶化ガラスなどに含まれるB-ユークリプタイト固溶体中のシリカ量の定量は,現在X線回折法以外の方法ではできない。このため,試薬を用いて合成し,純度を確かめたいろいろの組成をもつβ-ユークリプタイト固溶体標準試料を用い,格子定数法の応用について検討した。その結果,β-ユークリプタイト固溶体のシリカ量と格子定数との関係曲線の勾配がLi20,AI203,3SiO2組成とLi20,A120,,4 Sio,組成付近で変化することがわかり,これをリチウムィオγとリチウムイオン,アルミニウムィオソおよびケイ素イオンとの反発力から説明した。また,低シリカ側では結晶化温度および時間によって格子定数が少し異なることを認めた。しかし,(406)回折線を用いれば,結晶化温度にかかわらず,全固溶領域にわたって,その面間隔とシリカ量との関係曲線が直線的となり,そのバラツキは標準偏差として0.2wt%程度であって,固溶体組成の分析に好都合であることがわかった。所要時間は一つの面間隔を3回測定し,その平均値を用いる場合で約1時間であった。
  • 橋本 静信, 古川 功, 形見 武男
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 511-514
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3価リン化合物である亜リン酸トリアルキルによるα-フェニル-N-アルキルニトロン類の脱酸素反応の速度を測定した。反応は,亜リン酸トリアルキルおよび二陣ンについてそれぞれ一次で,反応速度定数と温度とのArrheniusプロットは良好な直線を与え,活性化パラメーターは,それぞれdE=20.0kcal/mol, 8 -28.2 e.u.であった。ニトロン類の相対反応速度は,109(k/ko)=2.47σ*+1.53 E8 なるTaftの式に適合し,また亜リン酸トリアルキルの相対反応速度は, Io9(k/ke)=-1.23σ*+2.86 EsなるTaft式に適合したことから,本脱酸素反応は,亜リン酸トリアルキルがニトロソの窒素原子上への疑核的攻撃を含む機構で進行するものと推察される。
  • 嶋尾 一郎
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 515-519
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニトロベンゼン類を水酸化アルカリ水溶液およびベソジンアルコールと加熱しアゾキシベンゼン類へ還元する反応について研究した。この還元は水酸化アルカリの濃度に大きく影響される。m-,およびp置換ニトロベンゼンではニトロ基やカルボキシル基など電子吸引性の置換基は還元を容易にし,水酸基やアルコキシ基など電子供与性の置換基は反応を困難にする傾向がある,ρ-ハロニトロベソゼンでは少量のベソジル-P-ニトロフェニルエーテルが副生した。P-ニトロトルエンではニトロ基の還元と同時にメチル基の酸化が起こるためアゾキシトルエンの収率は低い。またP-エチル,およびP-イソプロピルニトロベンゼンでもそのアルキル基の酸化が起こった。
    ρ-置換ベンジル不ルコールの反応性は メトキシ メチル H C1の順で詰り α-置換体では ベンジルアルコール ベンズヒドロ一ル α-メチルベンジルアルコール の順であった。
  • 石川 延男, 石川 賢二, 林 誠一
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 520-523
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロブロピル)-オキシ-〔2〕および-チオ-ベンゼン〔3〕に対するニトロ 化および臭素化について研究した。〔2〕のニトロ化においては,フッ素化されていないアルコキシベン ゼンの場合にくらべてパラニトロ化がオルトニトP化よりもさらに優先して起こった。〔3〕に対する ニトロ化および臭素化も困難なく進行しそれぞれ一置換体が得られた。以上の結果は-ZCF3CHFCF3 (Z=OまたはS)の電子蚊引性誘起効果によるものと考えられ,このことはm-およびP-フルオロ-〔2〕および〔3〕の1gF NMRスペクトルデータから得られた-ZCF2CHFCF3のσ1およびσR。値からも推定できた。また〔2〕および〔3〕の合成についての最適条件について検討した。
  • 権 順度, 去来川 覚三
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 524-529
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-アミノ-5-クロロベンゾフェノン(1),5-クロロ-2-(N-メチルアミノ)ベンゾフェノン〔2〕,および5-クロロ-2-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾフェノン〔8〕と2-ヒドラジノベンゾチアゾールとをポリリン酸の存在下で縮合し相当するヒドラゾン〔4〕,〔5〕および〔6〕をそれぞれ48. 3,64. 9,33.1%の収率で得た。これらのヒドラゾン類はいずれもE-およびZ-異性体に基づく幾何異性体の混合物であって E体:とz体の四球割合(E/z)はそれぞれ〔4〕;15/1 〔5〕;11/1 〔6〕;5/1であった。ヒドラゾソ〔4〕はカラムクロマトグラフィーによってE体とZ体に分離することができたが,〔5〕の場合は相当するE体を油浴温200℃に加熱することによりZ体に異性化させて単離した。また〔6〕については純粋なE体を単離することができなかったが,z体はEIZ= 5/1の混合物を約200℃に加熱して純粋なものとして単離することができた。〔4〕および〔5〕のE体のNMRスペクトルにおいてはNH2プロトンおよびNHCH3」プロトンの化学シフトがZ体のそれよりも低磁場側に現われ,〔6〕のE体のN(CH3)2プロトンはZ体のそれよりも高磁場側に存在した。またEおよびZ体は有機溶媒中(2×10轍6mo1/1),25.Cでタングステンランプを照射すると相互に異性化し,〔4〕の場合見かけの異性化速度:は溶媒によって異なりその速さの順序は EtOH CH3CN cyclo-C6H12 であった。
  • 堀越 義夫, 大藤 幸雄, 関口 自然, 松井 弘次
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 530-535
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化アルミニウムの存在におけるフェノール類と塩化シアヌルの反応をo-ジクロロベンゼンおよびベンゼン中で行なった。P-クロロフェノールと塩化シアヌルのモル比3:1の反応ではO-s-トリアジニル化によりトリス(ρ-クロロフェノキシ)-S-トリアジンが得られたにすぎなかったが,p-クレゾールとの反応ではトリス(ρ-トリルオキシ)-s-トリアジソのほかに2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(P-トリルオキシ)-s-トリアジンや2,4-ビス(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-6-(P-トリルオキシ)-s-トリアジンのようなC-s-トリアジニル化物が得られた。しかしm-クレゾール,レゾルシン,α-およびβ-ナフトールなどの場合はすべての生成物はC-型で,フェノール類の対求電子試剤反応性がこれらの反応の経過に重要な役割を果たしていることがわかる;低い反応性のフェノールを用いるとO-型縮合が優先し,高い反応性のフェノールではC一型縮合が優先し,かクレゾールのような中位の反応性のフェノールの場合は0-型,C-型の縮合がどもに起こった。m-クレゾール,レゾルシンおよびβ-ナフトルの場合はC-型縮合は水酸基ヘオルト位で起こり,塩化シアヌルとのモル比1:1の坪応にもかかわらず1個のs-トリアジン環に2個および3個のフェノール核を有する縮合物が得られた。これらの場合一次および二次縮合物は塩化アルミニウムとの錯体におけるキレート環の存在によりその残存塩素の反応性が塩化シアヌルのそれより大きく,そのためフェノール類と優先的に反応したと考えられる
  • 分島 郁子, 木島 一郎
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 536-539
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルコール交換反応(1)あるしこは(2)により,会合を阻害しうる基をもつスズ(II)アルコキシドおよびフェノキシドの合成を試み,それらの言質について調べた。オルト位に置換基をもつスズ(II)誘導体の会合度をベンゼン溶液での凝固点降下法から求めるとほとんど低会合性を示し,配位子としてカルボニル基をもつフェノール誘導体は単量体であり,アルキル基をもつフェノール誘導体は単量体~三量体,また2-アルコキシエタノールの誘導体は二~三量体で,いずれも有機溶媒に対する溶解性が大きいことがわかった。また大きなアルキル基(C8 Cls)のスズァルコキシドは熱ベソゼソに対し溶解性をを示したが,一方,オルト位にアルキル基をもたないスズ(II)フェノキシドは有機溶媒にほとんど溶解しなかった。これらスズ(II)化合物はいずれも加水分解されやすく,とくにアルコキシ誘導体はその傾向が顕著であった
  • 渡辺 芳久, 野尻 直弘
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 540-544
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フェノールをアンモニアで気相アミノ化しアニリンを得る反応を常圧気相流通装置で研究した。かブチルアミン滴定法による触媒の酸性度測定もあわせて行ない,触媒活性と固体酸性との関係を検討した。その結果,ZrO2-WO3,TiO2-Nb205,TiO2-画面,などの新しい固体酸を発見し,その酸強度,酸素を決定した。さらにTiO2-SiO2,TiO2-ZrO2が従来本反応に利用されているシリカ-アルミナよりも反応活性が高いことを見いだした。
    反応機構の検討を行ない反応速度はフェノール分圧に0.8次,アンモニア分圧に0.6次の依存性をもっこと(PNH3:0.1~O.7 atm,PphoH:O.01~0.12 atm)を確かめ,反応の活性化エネルギーとして23 kcal/molを得た。酸:量と反応速度の間には相関関係を見いだした。熱分析などの物性検討結果から反応原料(フェノール),生成物(アニリン,ジフェニルアミン)の触媒上への吸着が起こることが明らかとなった。フェノール誘導体のアミノ化反応においてはメタ置換体の反応性が高く,m-クレゾール,レゾルシンのアミノ化物が好収率で得られた。
    以上の実験結果から,反応はフェノールが忌詞に吸着して進行し,酸点が強すぎると被毒が起こるので,適当な強度の酸点を多量にもつ触媒がこの反応には有効であると結論した。
  • 桑村 常彦, 大島 正敬, 亀山 栄一
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 545-551
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    表題の部分フッ素化アルカソスルホン酸塩(以下3Fと略記する), n-C3F7(CH2)nSO3Na(n=5,7,9)の純品を合成し,二三の物理化学的性質について,疎水部炭素数の等しい他の3系列のスルホン酸塩,すなわち純炭化水素系(以下HCと略記する),純炭化フッ素系(以下PFと略記する),ω-トリメチルシリルアルカン系(以下1Siと略記する)との比較を行なった。
    1)3Fのクラフト点はPFよりいちじるしく低く,HCや1Siのそれらに近い。
    2)3FのCMCはメチレソ鎖長(n)の短い場合,PFとHCのほ醸中間にあるが, nの増加とともにHC,1Siのそれらに漸近する。
    3)水溶液の最低表面張力値(γcMc)はHC)1Si:≧3Fの順に低下し,3FとPFの間に大差はない。3FのγCMCはnの増加にともない明らかに低下する。
    4)起泡性は3F<HC<1Siの順に,湿潤力(キャソバスジスク沈下)はHC(1 Si u3 Fの順にそれぞれ高くなる
    以上の結果に基づき,界面活性におよぼすペルフロロプロピル基の疎水部末端への導入効果について考察した。
  • 香山 隆一, 富盛 和宣, 日野原 忠男, 松井 弘次
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 552-562
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メタあるいはパラ位にいろいろの置換基を有するアニリンの1,3,5-トリアジニル化により,一連の4,6-ジクロロ-,4,6-ジメトキシ-,4,6-ビス(ジエチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアニリンを合成し,それらの紫外吸収スペクトルをシクロヘキサソおよびメタノール中で測定した。アニリン中の置換基が電子供与的なときはトリアジニル化によりそのL,バンドは赤色移動するが,u換基が電子吸引的なときは青色移動し回ずれの置換基を有する1,3,5-トリアジニル化の場合もLaバンドのシフトとアニリン中の置換基の。一二との間には直線関係がなり立ち,トリアジン核中の2個の置換基がより電子吸引的になるにともないシフトの反応定数は大となった。同様な関係は4 -置換-4-アミノァゾベンゼンの置換基のσ讐値とN-(1,3,5- リアジニル)化にともなうシフトとの問にも認められた。
    これらのN-(1,3,5-トリアジニル)芳香族アミンにおいてはまた1,3,5-トリアジン核中の2個の置換基のΣσ欝値とL,バンドの波数との問に直線関係がなり立ち,直線の傾きはこれら芳香系の電子吸引性の度合を表わすものと考えられ,直線の勾配(vcm-1/Eom)を1,3,5-トリアジニル化によるルに対しプロットすると直線関係が得られ,同様な関係はこれらアミンのN-アセチル化にともなうシフトの場合にも見られた。このことは芳香系の電子吸引性の度合がシフトに大きな役割を演んじていることを示している。
  • 山田 仁穂, 正泉寺 秀人, 内田 光則, 五十嵐 博
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 563-568
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    青色の酸性アゾ染料水溶液に照射分光器を用いて単色光照射を行ない,光退色反応の照射光波長依存性を調べるとともに,スチルベン系(FBS)およびピラゾリン系ケイ光心慮剤(FWG)を添加して光退色におよぼす影響を検討した。
    まず色素は可視部から近紫外部にかけての照射光では退色の度合はいたって低いが,300nm付近から短波長側で急増することが判明した。照射波長252 nmにおける量子収率は空気飽和状態で3x10-4~1.1x10-3であった。ケイ光増白剤は励起極大波長領域である300~400 nmでも退色が見られ,短波長側の励起光では一層退色しやすい。溶鉱酸素は色素の退色を抑制し,FWGの退色を促進した。
    色素溶液にケイ光増白荊を添加したところ,溶存酸素の存在しない状態では退色反応の消光剤として作用することがわかった。ところが一方空気飽和溶液ではむしろ退色促進の事実が認められ,なかでも300~400nmにて顕著な効果が注目された。促進の程度はFwGがFBsよりも3倍大きかった。
  • 坂井 芳男, 加藤 弘, 小西 謙三, 北尾 悌次郎
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 569-574
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    染料のガス退色機構を知る一助として,二三のアミノアントラキノン系分散染料のガス退色挙動をセルロ一ス アセテートおよびトリアセテートラィルム上におけるガス固有退色値(曖々の染料のガス退色性を比較する目安として,さきの光固有退色値に準じて定めた数値)を用いて検討した。そしてこれら染料のガス退色と光退色におよぼす置換基の影響を考察した。
    これら染料のガス退色におよぼす濃度依存性,つまり基質の染着濃度が増すほど染料の耐ガス性が向上することが明らかとなり,染料のガス退色挙動は同一染着濃度付近での退色を比較すること,および同時に光退色挙動ともあわせ考察することが望ましいことがわかった。1,4-ジアミノ(およびジメチルアミノ)アントラキノンの5,6-ベンゾ-および6,7-ベンゾ-誘導体はガス退色と光退色の双方に対しても母体化合物よりかなり堅ロウである。また1-アミノ-2-メトキシ-4-アミノ(およびヒドロキシ)アントラキノンと1-アミノ-2-アルキルチォ-4-アニリノアントラキノンは対応する2-位未置換体にくらべて耐光性が低下するにもかかわちず耐ガス性が向上する。一方,1-アミノ-2-カルバモイル-4-メチルアミノアントラキノンはガスに対しても,光に対しても1-アミノ-4-メチルアミノアントラキノンより退色しやすい
  • 植竹 和也, 崎川 範行
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 575-583
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    過酸化ベンゾイル(BPO)の熱不安定性について圧力容器試験(PVT),発火温度,TG,DSCで検討し,さらにその熱分解生成物の分析をIR,TLC,熱分解ガスクロマトグラフで行ない,熱分解反応についても研究した。
    BPOは加熱すると白煙を発生してはげしく分解する危険性の大きい物質である。発生した白煙の生成物はIRスペクトルの解析で,安息香酸,安息香酸フェニル,テルフェニル類,ビフェニルであることがわかった。TG-DSC曲線から融点,分解温度を測定するには,昇中速度5.C/minが適当である。発火温度測定には試料:量150mgが適している。TG,IR,発火おくれ時間からの活性化エネルギーより,BPOはまず急激な熱分解が起こり,ついでおだやかな分解に移行することが認められた。また熱分解生成物は二酸化炭素,安息香酸,ビフェニルを主とし,ペソゼン,テルフェニル類,安息香酸フェニルも生成されていること,およびビフェニルが分解を促進することが確認された
  • 真田 茎, 江田 信夫, 土田 英俊, 篠原 功
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 584-588
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一般式 N(cH3)2+(cH2)N(ch3) において(n,m);(2,2),(6,5),(8,8),(10,10)のIoneneを合成し,これをマトリックスとする。7,7,8,8-テトラシァノキノジメタン(CQ)塩の比抵抗(p),電導の活性化エネルギー(Ea)を測定した。
    Simple saltはイオン席間隔がメチレン数にして6までは,メチレン数の増加とともにp, Eaが増加するが,(8,8),(10,10)-lonene-CQでは(6,6)-lonene-CQにくらべ小さくなる。
    結局,電導性とイオン席間隔の相関は(2,5)-lonene-CQから(6,6)-lonene-CQまで認められる。そして,CQをとり込みその電導性に影響を与えるIoneneの高分子マトリックスとしての効果は(6,5)-loneneが一番大きく,添加比((中性CQ)/[CQアニオンラジカル])=1.0のcomplex saltでは,p;77 cm,Ea;0,14 eVとなる。
  • 平田 光男, 岡野 豊, 岩井 信次
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 589-592
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水に浸漬したときのメチルメタクリラート(MMA)-2-ジェチルアミノエチルメタクリラート(DEAEMA)共重合体(MMAIDEAEMA=9/1モル比)の収着過程を ポテンシャルの経時的減少過程から追求した。
    流動電位法から求めた ポテンシャルは正値から負値に変化し,最終的に負の平衡値をとった。 Tg以下では ポテンシャルは時間とともに指数的に減少し,速度定数のArrheniusプロットからdElx= -25.8 kcal/mo1が計算された。さらに, ポテンシャル曲線が時間軸と交差する点(電荷零点)は温度とともに長時間側に移動し, ポテンシャルの平衡値は温度とともに高くなった。しかし,Tg以上では ポテンシャルの経時的減少過程は指数的でな:く,電荷零点の移動も温度と相関がない。さらに,収着実験からTg以下と以上の収着量の差が相当に大きいということがわかった。
    これらの現象はDEAEMAの四級化とイオンの水科から説明された。
  • 伴野 亟計, 本田 憲治, 西川 洋, 土田 英俊
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 593-597
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3-(2-ピロリルメチレソイミノ)プロペン-1(PIP)およびP-(2-ピロリルメチレンイミノ)スチレン(PIS)を配位子とするCu(II), Co(III)錯体を合成し,これらの錯体におけるビニル基の重合性を検討した。
    開始剤次数はCu(PIP)2系では0.5(二分子停止), Cu(PIS)2系では1.0(一拍子停止)であり,配位子の共役,非共役の違いにより停止機構が異なることを確認した。金属イオンは阻害剤として作用するため,いずれの系でも重合速度は小さく,高分子量の重合体を得にくいことが明らかになった。とくにCu(Ir)の阻害作用が大きいことは, d軌道の電子状態(d9),低い酸化還元電位から理解できる。 Co(PIP)3(M1)-A N(M2)系およびCu(PIS)2(Mi)-St(M2)系の共重合では,いずれもr1値が非常に大きくなるが,これは金属イオンに2~3個のビニル基が結合しているために重合に関与していないビニル基や一次ラジカルと反応したPIS単位が重合体中に含まれることが一つの原因となっている。Cu(PIS)2の重合では一電子移動をともなう反応機溝を推賦し,溶媒可溶性ポリマーの生成を説明した。
  • 犬飼 吉彦
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 598-602
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ナフトールAS系高分子色素の樹脂への相溶性を改善し,かつ高分子色素中の色素含量の頭光性におよぼす影響を調べる目的で,3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(m-メタクリルアミド)アニリドとメタクリル酸メチル(MMA)またはス19レン(St)との共重合により,いろいろの割合でカップリング成分を結合したポリマーをつくり,ついで,この共重合物に2-CH30-5-(C2H5)2NSO2C6H3N,BF4を反応させて,4(2-メトキシ-5-(ジエチルスルフアモイル)フェニル)アゾ-3-ヒドロキシ-2-ナフトエme (m-メタクリルアミド)アニリ ドを,それぞれ43.0,28.1,18。4,92wt%の割合で結合したMMAポリマーfおよび,34. 2,20.1,11.4,62wt%の割合で結合したStポリマーをつくった。
    ついで,これら高分子色素と対応する低分子色素との冷光性の比較を,溶液キャスティング法でつくった:樹脂フィルムの512nmの吸光度の減少率によって行なった。その結果,色素含量が10 wt%以下のものは,低分子色素と同じようによい耐光性を示したが,色素含量の多いものは その色素含量が増すにつれて耐光性は悪くなった。この高分子色素の野木性は,それに結合している色素含量に依存することがわかった。
  • 松岡 賢, 石坂 幹雄, 北尾 悌次郎, 小西 謙三
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 603-605
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    In connection with the utilization of 2, 3-naphthalenediscarboxylic acid (2, 3-NDCA) as a new industrial raw material, 2, 6-naphthalenedicarbaldehyde was prepared by the reduction reaction of 2, 6-NDCA which in turn was obtained by the Henkel rearrangement of K2-2, 3-NDCA.
    Conversion of 2, 6-NDCA to the acid chloride, followed by the reaction with N-methylaniline gave 2, 6-naphthalenedicarbon-N-methylanilide (1). Reduction of (Z) with Li[AIH] (1.2 molar ratio to (1)) in THF for 2 hr at OeC, and cleavage of the resultant complex with dilute hydrochloric acid without previous isolation produced 2, 6-naphthalenedicarbaldehyde (2). The yields depend sharply on the reaction temperature and on the amount of Li[AIH] used At higher reaction temperatures, the yie1d of (2) decreases and 2, 6-bis(hydroxymethyl)naphthalene is formed as a side product.
  • 北脇 六郎, 小沢 隆美
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 606-607
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    It has been reported that a durable fiameproofing property can be obtained by treating cellulose with erthophosphorib acid and cyanamide'. This study was carried out to elucidate the flarneproefing factors.
    As a result, it was found that the cellulose treated contained much nitrogen and phospherus as shown in Table i, The reason was presumed as follows: The large contents of nitrogen and phosphorus were ascribed to the esterification promoted by cyanamide and to the condensed phosphoric acid which formed in the treating solution and acted as a prometer of the esterifieatien.
  • 増田 精造, 木原 均, 太田 忠甫
    1974 年 1974 巻 3 号 p. 608-609
    発行日: 1974/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    It was confirmed by means of gas-liquid chrematograph aRd NMR spectroscopy that acrolein oxime obtained acording to Tuerck's and Koral'nik's procedures was a mixture of geemetrical isomers. The syn form (AOM-S), whih was a colorless and viscous liquid, was stable at room temperature. On the other hand, the anti form (AOM-A), which formed white needles having the melting point of 33 -v35eC, was stable at temperature below OeC, but unstable at room temperature. The NMR signals assignable te the C-CH=N of AOM-S and C=CH-C of AOM-A were shifted to lewer fields due to the spatial iRfluences of the hydroxy group.
feedback
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