日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1974 巻, 5 号
選択された号の論文の35件中1~35を表示しています
  • 大杉 治郎, 原 公彦, 石原 泉, 中野 俊郎
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 821-824
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アセトン溶液中の塩化コバルト(II)錯体について8000 kg/cm2までの高圧下で可視吸収スペクトルの測定を行ない,下記のような2種類の化学平衡が存在することを確認した。
    CoC12 (Ac)2-4 Ac a Ce(Ac) 62+ -2 Cl- (1)
    CoC12(Ac)2- Cl- a CeCls (Ae)m- Ac (2)
    Acは溶媒のアセトン分子を表わす。水溶液,各種のアルコ一ル溶液の場合のような4配位と6配位との間の平衡である(1)のほかに,配位数は同じ4配位であるが配位子が置き換わる平衡(2)が存在することがわかった。
    これらの平衡について加圧による平衡移動にともなう体積変化ΔVを算出した。平衡(1)はイオンの生成をどもなうもので,ΔV1は負で絶対値の大きな値となる。平衡(2)に対する圧力効果はきわめて小さい。
  • 石原 泉, 原 公彦, 大杉 治郎
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 825-829
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    臭化コバルト(II)のアセトン溶液は常温常圧下で青色を示し,そのおもな分子種はCoBr2(Ac)a(ただしAcは溶媒のアセトン分子を表わす)で,673 nmに吸収極大をもつ(εmax = 400)。室温で8000kg/cm2までの高圧下で可視吸収スペクトルの測定を行ない,既報の塩化コバルト(H)の場合と同様に新しい吸収の出現が認められることを見いだした。これは新たな分子種CoBr8(Ac)-と同定され,塩化コバルトの場合と同様につぎの二つの平衡
    CoBr2(Ac)2-4Ac Pt Co(Ac)e2+2B (1)
    CoBr2(Ac)2+Br- CoBr3(Ac)-+Ac (2)
    が存在するものとみなされ,これらの乎衡に対する圧力効果を検討した。
    平衡(1)において加圧による平衡移動にともなう体積変化をΔV1とすると,ΔV1は絶対値の大きな負の値をとり,加圧による変化も大きい。一方,平衡(2)において ΔV2 は小さく,圧力依存性はほとんど認められない。これは平衡(1)はイオンの生成および配位数の増加による自由体積の減少をともなうものであり,一方,平衡(2)はイオン種同志の平衡で配位数も変化しないということから予想されることと一致する。
  • 鈴木 靖子, 上平 恒
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 830-834
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    α-ヘパリンの水溶液中の音速度を温度10~35℃でシソグアラウンド超音波速度計により測定した。この値およびα-ヘパリン水溶液の密度の測定値から,断熱圧縮率と水和量を求めた。α-ヘパリンのナトリウム塩およびα-ヘパリンイオンの水和量はそれぞれO.647~O.704,1.04~O.938(×10-3m3,kg-1, 10~35℃)であった。これらの値は通常の少糖類,多糖類の水和量に比較して2~5倍も大きく,また,温度変化がきわめて小さいという特徴がある。この事実から,α-ヘパリンのまわりの水は広い温度範囲で安定化されているごとが明らかになった。この特性はヘパリンのもつ抗凝血作用などとも関連が深いと考えられる。
  • 菊池 実, 三田村 孝, 虎渓 久良, 緑川 敬史
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 835-840
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    物理的性状の異なる沈降性および重質炭酸カルシウムの反応牲におよぼす亜鉛の影響を固定床ガス流通下で800~1000℃の各温度で調べた。亜鉛を1%添加した粉末混合物は類焼反応で爆焼率を向上させた。とくに,活性点の多い重質炭酸カルシウムでは900~950℃の温度でその効果がいちじるしく,1.5~2.5分の間で20~25%蝦焼率の増加がみられた。高温X線試験により8℃で3分後には純粋の重質炭酸カルシウムでは炭酸カルシウムのピークが酸化カルシウムのそれより強いが,亜鉛を0.5wt%添加した試料の場合はほぼ酸化カルシウムのみのピークからなることが確かめられた。15%濃度の二酸化硫黄と炭酸カルシウムの反応は結晶の物理的性状に支配され,重質炭酸カルシウムの硫酸カルシウムへの転化率は800~1000℃の各温度で沈降性炭酸カルシウムのそれをいちじるしく上回り,娯焼反応のさいの両炭酸カルシウムの蝦焼率が比較的類似しているのに対し特徴的である。1%亜鉛を.添加した粉末混合物の転化率は亜鉛の沸点以上で向上した。重質炭酸カルシウムと亜鉛の粉末混合物を5%の濃度で反応させたら時間の経過にともない転化率は増加し5分後に15%の転化率とほぼ近い値となった。
  • 岩島 聰, 倉町 三樹, 沢田 忠信, 小林 孝嘉, 竹川 実, 藤沢 捷二, 青木 淳治
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 841-846
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高温タールピッチから抽出したフェナントレンには除去が困難なフルオレン,カルパゾール,アントラセンなどが不純物として混入してくる。この不純物を除去するには,10gの市販フェナントレンと100gの無水マレイン酸および8gのクロロアニルとともに4時間煮沸後,200 mlのベンゼンを添加し,さらに1時間煮沸する。つぎにベンゼン層を分取し,この中に水酸化カリウム水溶液を加え80℃で30分間かきまぜる。ふたたびベンゼン層を分取し,減圧蒸留し析出するフェナントレソを集める。この13gのフェナントレソを100 mlの無水エチルアルコールとともに煮沸しながら,この中に1.7gの金属ナトリウムを添加後,3時間煮沸する。放冷後,炉過し炉液から得られるフェナントレンを昇華および帯域融解をくり返すことがもっとも効果的であることがわかった。
    不純物の検出には,固体状態のケイ光スペクトルおよびケイ光寿命の波長依存性から求めた。高純度フェナントレンのケイ光極大位置は,室温では370,380 nm,液体窒素温度では355,370,385 nm付近に現われる。また低純度試料では,室温および液体窒素温度で370nm付近は観測され難く,395,409,430nm付近に現われる。一方,ケイ光寿命は室温で高純度試料で平均値として62.5n,sec,低純度試料では10~44n,secである。
  • 小山 実
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 847-854
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    交換性カチオンの異なる(H+ Na+ Ca2+およびAl3+)モンモリロナイト(Mtm)の希薄な懸濁液の粘度をいろいろの量のリグニンスルホン酸(LSA)を加えて測定した。媒質には純水および交換性カチオンと同じカチオンの塩化物の水溶液を用いた。
    実験結果からlimiting viscosity number [η]およびviscosity number ηap/c(c=O.OO5 g-粘土/ml)を求め,懸濁液中の粘土粒子の集合状態が添加したLSAによって受ける変化について検討した。希薄な粘土懸濁液の場合,その[η]およびηap/cは,それぞれ,粘土の無限希釈および。の濃度における凝集体を含む粒子の平均的な形状因子のパラメーターとみなすのが適当である。
    弱塩基性のNa-Mtm懸濁液の二つの系を除き他のほとんどの系では, LSAの添加により[η]およびηsp/cの値が減少した。したがってこれらの系では粘土粒子の形状因子が減少した。実験結果を検討した結果,LSAのこの作用はおもに粘土粒子の端面にLSAが吸着し,三面対層面の結合を減少させたためであると判断された。また媒質が塩水溶液の各系およびAl-Mtmの純水の系ではかきまぜによる粘土粒子の層面対層面間の結合の生成がLSAの添加によってさまたげられる傾向のあることが認められた。
  • 須沢 利郎, 東間 清信
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 855-857
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール系繊維のカチオン染料による染着性,とくにその表面染着性を調べるために,メチレンブルー水溶液(pH 10)中におけるビニロン繊維のζポテンシャル,表面染着量および染着自由エネルギーを求めた。染料濃度の増加とともに,繊維のζポテンシャルはその符号を負から正に転じ,また表面染着量が増加したことから,この繊維-染料間の結合には主として静電結合が関与することが示唆された。温度上昇によって表面染着量は減少した。またζ-logCd(Cd:染料濃度)曲線の勾配などから計算された染着自由エネルギーΔGは,温度の上昇によって減少した。染色熱ΔHおよび染色エントピーΔSは,それぞれ-9.7kcal,mol-1および-7.O cal,mol-1,deg-1であった。最大染着時の吸着染料分子の繊維上の占有面積から,メチレンブルーは繊維上でかなり疎に吸着していることが示唆された。
  • 岩本 正和, 江頭 誠, 清山 哲郎
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 858-861
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化ニッケル触媒上での酸素の結合状態についての知見を得るため,空気中600℃で5時野焼成した触媒について,酸素の昇温脱離スペクトルを0~600℃の範囲で測定した9。その結果14~46℃(peakI)および150~180℃(peak lll)に極大値をもつ二つの酸素吸着種の存在が認められた。脱離の活性化エネルギーはpeak I, peak llに対してそれぞれ9.0,27.4kca1/mo1であった。これらの結果はUchijimaらがヒドラジン法およびKI法(pH x)で求めた表面過剰酸素のエネルギー分布とよく一致した。また脱離酸素量の測定から,酸素の吸着点は通常のNi2+格子二上であることが示唆された。
    酸化ニッケルからの酸素の脱離スペクトルは,高温で長時間ヘリウム中で処理しても,ふたたび0℃まで冷却すれば,酸素を吸着させなくても現われた。そのさい,スペクトルの形状は低温での保持時間に依存し,まずpeak IIついでpeak Iが出現した。これらの結果から,0℃においても,表面酸素が脱離したあとのサイト上に,格子内過剰酸素(あるいは表面の強吸着酸素)が拡散.再配列しうることが示唆された。
  • 今中 利信, 足立 徹, 岡本 康昭, 寺西 士一郎
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 862-866
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    いろいろな酸化物触媒(ZnO,CoO,SrO,γ-A1203,Bi209,Nd203,LazOs,FezO3)上で酢酸とプロピオン酸との混合物を用いてケトン化反応の選択性と反応機構を速度論的に研究した。
    その結果,非対称ケトンであるエチルメチルケトン生成の触媒選択性は触媒の金属イオンを含んでいる金属酢酸塩の生成熱に対して図4のように火山型を示し,また脂肪酸イオンとアシルカチオンを経由して生成した中間体である酸無水物が脱炭酸される過程が律速となることがわかった。この過程をより詳細に検討するためにCD8COODおよびCHaCOODを用いてその同位体効果を調べた。その結果,Fe303,Bi203,ならびにAl203の場合には第一次同位体効果が観測された。しかし,CH3COODを用いた場合にはいずれもその効果は観測されなかった。
    それゆえ,Fe203,Bi2O3,ならびにAl2O3上でのケトン化反応の律速段階は酸無水物中間体のC-H結合の切断される段階であることがわかった。
  • 藤井 知, 杉江 他曾宏, 村長 潔
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 867-873
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫酸鉄(II)と硫酸クロム(III)混合水溶液に水酸化カリウム溶液を加えて生成した水酸化鉄(II)を空気酸化して析出する四酸化三鉄を乾燥後,真空(10-5Torr)およびH2-H20混合ガス(H20/H2=2)の雰囲気下,200~500℃で加熱処理を行ない,粒子径,表面積および細孔構造(分布,細孔径,全細孔容積)の変化について,X線回折,電子顕微鏡ガス吸着により検討した。その結果,つぎのことが認められた。
    まず,四酸化三鉄沈殿を生成するさいは,クロム(III)を増加すると四酸化三鉄粒子の成長を抑制し,表面積をいちじるしく増大させた。
    沈殿物の加熱処理によって,1)四酸化三鉄の粒成長は400℃以上の温度でわずかに起こった。2)加熱にともなって含水量,表面積,細孔構造に変化が起こった。表面積は300℃までの温度で加熱脱水により増加するが,それ以上に加熱するとシンタリソグにより減少した。3)粒子径,表面積,細孔構造の変化は加熱雰囲気にも影響された。
  • 横須賀 太志, 小川 文人, 奥脇 昭嗣, 岡部 泰二郎
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 874-879
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本論文は亜硫酸ナトリウム水溶液の酸化防止剤の探索,およびその酸化防止方法に関する研究である。亜硫酸ナトリウム水溶液の酸化防止剤は,界面活性剤,とくに非イオン界面活性剤のソルビタンおよびソルビトール脂肪酸エステル類のSpan 80が非常に有効であった。鉄,ニッケル,パナジン酸などの金属イオンを含む場合には,上記の酸化防止剤に加えて,金属イオンのマスキング剤または不溶化沈殿剤を用いる必要がある。金属イオンのマスキング剤または不溶化沈殿剤としては,トリポリリソ酸ナトリウムまたはアロン10H(278)がとくに有効であった。
  • 堀井 清之, 石川 平七
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 880-884
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Sio2/Al203モル比の異なる木曽土,寺内土,北上土,大沢土の各種アロフェンを用いて水酸化ナトリウム処理を行ない,液相中への本アロフェンの溶解特性について研究し,アロフェン原料のSio2/Al203モル比および原料の化学緯成がゼオライ添合成に与える影響について調べた。
    アルミナは処理時間の増加とともに液相中に溶解するのに対して,シリカはいったん溶解するが時間の増加とともに液相中への溶出量が減少するという他の粘土類にみられない本アロフェン特有の溶解性を示した。
    そのため,SiO2/Al203モル比が低く,水酸化ナトリウム溶液中へのシリカ,アルミナ溶出量の少ない寺内土でもA型ゼナライトを100%生成し,SiO2/Al203モル比が高く溶出量の大きい北上土,大沢土は他のシリカ源を加えることなしに直接ホージャサイト型ゼオライトを生成するという結果を得た。
  • 渡辺 信淳, 高島 正之, 喜田 康
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 885-888
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フッ化黒鉛生成反応過程は,四つの領域にわけられている。本報告では,反応後期について試作耐フッ素用熱テンビンにより,その機構を検討した。試料は平均粒径800μのフレイク状天然黒鉛,反応温度500~600℃,フッ素圧50,100,200 mmHgで実験した。
    反応率xと時間tとの関係は,[1-(1-x)1/2]2=ktで示され,また,反応速度はフッ素圧の平方根に比例する。その見かけの活性化エネルギーは,26±1kcal/mo1である。生成フッ化黒鉛皮膜厚が約6μ以上になると,反応速度は低下する。また,黒鉛粒子が完全にフッ素化される反応時間は,黒鉛の粒子径に依存する。以上の結果から,反応後期の領域は,フッ素分子が生成フッ化黒鉛の層間を通って,反応界面に供給される段階が律速になる。
  • 四條 好雄
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 889-893
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    エチルトリドデシルアンモニウムプロミド(ETDA)を合成し,そのキシレン溶液によるスカソジウム-キシレノールオレンジキレートの溶媒抽出について研究した。有機相に拙出された錯体の吸収極大は520nmにあり,その吸光度は水相のpH 6.0~6.7において一定で最大の値を示した。錯体の吸光度は有機相中のスカンジウム濃度0~7.0μg/5 mlにおいてBeerの法則にしたがい,そのモル吸光係数は520 nmにおいて2.7×104cm-1,mol-1,lであった。抽出された錯体の組成をモル順法,連続変化法,平衡移動法で検討したところ,スカンジウム:XO:ETDA=1:1:2の組成をもつ三元錯体であり,{Sc(HR)2-}・{H5C2-N+-C12H25}のようなイオン対を生成していると考えられる。
    陰蔽剤としてトリエチレンテトラミンやo-フェナントロリンが有効であるが,これらを使用しても,バナジウム,アルミニウム,ベリリウム,トリウム,ジルコニウム,ウラン,ビスマス,ランタンなどの陽イオンは抽出に影響を与えた。また,硝酸イオン,過塩素酸イオンなどはETDAとイオン対をつくって妨害した。
  • 平山 忠一, 川口 皓二, 本里 義明
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 894-899
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール(PVA)水溶液を油中で球状に懸濁させたものをエピクロロヒドリン(ECH)で橋かけして親水性ゲルを得た。分子量の異なるエチレングリコールのオリゴマーやデキストランのような水溶性物質を,ゲルを充テシしたカラムを通して溶出することによってその透過性を試験した。その結果,PVA水溶液中のPVAの濃度が減少するにしたがって排斥限界分子量が増大し,分子量2×106までの物質の分画に有効であった。一方,PVA球状粒子を酢酸ビニル球状粒子から二段ケン化法によって合成する方法を開発し,これを非溶媒または筆塚溶媒中でジイソシアナート類およびECHにより橋かけした。得られた親水性ゲル(TG,HG,ENG,EGゲル)は排斥限界分子量が約1.5×104であり,溶出液のpHが変化しても膨潤度は変わらなかった。 AG系ゲルは高分子量域の分画にTG,HG,ENG,EGゲルは低分子量域の分画に適当であった。補正曲線の中央の直線部分の勾配α値はゲルの合成方法によって差が認められた。
  • 広瀬 昭夫, 小堀 健, 石井 大道
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 900-904
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    海水中のマンガンをChelex100キレート樹脂を用いて分離したのち樹脂に捕捉したまま放射化し,簡単な化学処理を経て定量する方法について研究した。
    硝酸およびアンモニアでくり返し洗浄して精製したNH4型Chelex100樹脂柱に海水を通してマンガンを吸着させ,アルカリ金属,アルカリ土類金属,ハロゲン元素などの多量成分から分離した。照射後の不必要な誘導放射能をさらに下げるため,0.1N酢酸アンモニウムで洗浄して樹脂をNa型からNH4型に換え,中性子照射した。照射後は0.1N硝酸カリウムで樹脂を洗浄し,妨害となる24Na,82Brなどを除去したのち,樹脂のまま計数してマソガンを定量した。
    イオン交換前分離過程におけるマンガン回収率は約98%,空試験値は0.003μg/g・wet・resinであった。
  • 佐分 義正, 善本 知孝, 南 享二
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 905-909
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリエチルアミン添加下のω-フェノキシアセトフェノン(PAP)類の光分解反応について置換基効果を調べた。PAPのフェノキシル核に置換基X(OCH3,Cl)を導入した場合,3-Cl置換体で分解が促進されたほかは概して置換基効果は小さかった。しかし,フェノール類の収率はXの種類,位置によりかなり変化した。また,PAPのベンゾイル核に置換基Yがはいったときは,いずれの場合も分解が促進されフェノールも好収率で生成していた。
    つぎに,PAPの光エーテル開裂反応におよぼすいろいろのアミン類添加効果を検臥した。 PAPの分解は脂肪族アミン類添加にいちじるしく促進され,フェノールも好収率で生成することが判明した。しかし,一級,二級芳香族アミン類ではこのような分解促進効果はまったく認められなかった。なお,N,N-ジメチルアニリンの場合,フェノール生成は低収率であったがPAPの分解は顕著に促進されていた。
  • 榊原 保正, 山崎 健史, 疋田 道生, 酒井 睦司, 内野 規入
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 910-914
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Ni(acac)2(C2H5)3Al2Cl3-P(C6H5)3触媒によるエチレンの低重合を行なったところ,-10℃以上の反応温度では二量体のC4-オレフィンのほかに相当量の三量体,C6-オレフィンが生成し(0℃でC4 40.6%,C6 43.8%),しかもC6-オレフィンの大部分は3-メチル-2-ペンテン(0℃で82.9%)であった。ゼロ転化率法を試みることにより,この3-メチル-2-ペンテンの大部分はニッケルーエチル結合への2-ブテンの挿入によって生じたものであると推定した。また生成するC4およびC6オレフィンの比は,用いたホスフィン類の塩基性に影響されることを認め,その影響をゼロ転化率法の結果から考察した。
  • 徳光 隆雄, 林 隆之
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 915-919
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    α,β-不飽和α-クロロ-β-アミノケトンとチ-ルとの反応および生成物の構造について検討した。すなわち,四塩化炭素中,3-クロロ-4-一置換アミノ=3-ペンテン-2-オン〔1〕,2-クロロ-3-一置換アミノ=1-フェニル-2-ブテン-1-オン〔2〕および2-クロロ-3-一置換アミノ=1,3-ジフェニル-2-プロペン-1-オン〔3〕(置換基;a:H,b:Me,c:Ph)に室温で,エタンチオールまたはp-置換ベンゼンチオール(置換基X:Me,Ph)を作用させ,3-エチルチオ-4-一置換アミノ=3-ペンテン-2-オン〔4a,b〕,4-一置換アミノ=3-p-置換フェニルチオ-3-ペンチン-2-オン〔5a~b,6b,7b〕,3-一置換アミノ=2-フェニルチオ-1-フェニル-2-ブテン-1-オン〔8 a~c〕,および3-一置換アミノ=2-フェニルチオ-1,3-ジフェニル-2-プロペン-1-オン〔9a,b〕を合成した。p-置換ベンゼンチオールの求核反応性におよぼすp-置換基の効果を明らかにした。
    エナミノケトンのα-位のエチルチオおよびフェニルチオ基は水素結合キレート環のπ電子の非局在化に寄与していることが明らかにされた。水素結合キレート環におよぼすα-位のs原子の効果はpπ-4π共役による電子吸引的な共鳴効果によるものと結論される。
  • 山内 慎司, 西本 博, 藤井 修冶
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 920-923
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化銅(II)存在下での安息香酸無水物とペソゼン,ナフタレンなどの芳香族溶媒との反応に対する酸素の影響について溶媒との反応に注目して検討した。
    ベンゼン溶媒の場合には,溶媒との反応および銅塩自身の反応の生成物である安息香酸フェニル+フェノールの収率は,仕込空気圧とともに増加し,3atm付近で最高値26.1m1%(260℃,3hr,酸化銅(II)/安息香酸無水物=1(モル比))に達したのち減少した。一方,ナフタレン溶媒の場合には,溶媒との反応生成物である安息香酸β-ナフチルの収率は,1atmで最高値13.9mol%(250℃)に達したのち減少した。
    これらのことから,比較的低い空気圧(1atm以下)では銅塩自身の反応よりも溶媒との反応が主であることが明らかとなった。
  • 岡見 吉偉, 南部 信義, 大藪 英郎, 浜中 佐和子, 小川 雅弥
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 924-927
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルキルベンゼン-塩化アルミニウム系錯体層の構造と不均化反応との関係を調べるために,エチル-およびイソプロピル-ベンゼンを用いて錯体層をつくり,その上層の炭化水素層を新しいアルキルベンゼンと交換して反応させることをくり返し,各回ごとに得られる上層の不均化生成物をVPCで分析した。錯体層は,アルキルベンゼンがH+AlCl4-によってプトン化され, 2+LAlCl4-のような錯体〔1〕をつくり,これに過剰に存在するアルキルベンゼンの一部が溶解したものと考えられる。〔1〕はやわらかい酸とかたい塩基(AlCl4-)との塩であるから,HClが存在したり,温度が高くなると不安定になり,HSAB則から,R+は錯体層中に存在するやわらか塩基である他のアルキルベンゼン環を攻撃してかたい酸であるH+を放出し,不均化することが考えられた。
  • 幸内 裕, 神谷 佳男
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 928-932
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルミナ担持酸化クロム触媒上でのn-ヘプタンの脱水素環化反応の機構を調べるために,反応中間体と考えられるn-ヘプテン類,n-ヘプタジエソ類およびメチルシクロヘキセン類からのトルエン生成反応を検討した。n-ヘプテン類においては二重結合移行反応がトルエン生成反応よりもはるかに速く進行するために1-ヘプテンと3-ヘプテンとのどちらを出発物質としてもトルエン生成量にはまったく差が見られなかった。n-ヘプテン類の脱水丸環化反応生成物中にはかなりの量のn-ヘプタジェン類とメチルシクロヘキセソ類が含まれており,とくにn-ヘプタジエン類の存在量は反応条件によっては数パーセント程度にも達していた。それぞれの化合物からのトルエン生成速度を測定したどころ,つぎのような順位であった。メチルシクロヘキセン類>n-ヘプタジエン類≧n-ヘプテン類>n-ヘプタン。生成量およびトルエン生成速度の大きさから,n-ヘプテン類の脱水素環化反応においてn-ヘプタジエン類を経てトルエンにいたる径路は主反応径路であると考えた。
  • 河合 良三, 神谷 佳男
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 933-938
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酢酸コバルト(II)は酸素非存在下,酢酸溶液中でトルエンなどの芳香族化合物を可逆的一電子移行過程を経由して酸化する。一方,他の高原子価状態の金属の酢酸塩,酢酸マンガン(II),酢酸銅(II),酔酸セリウム(N)などは低温においてはトルエンの酸化に対してほとんど活娃を示さないことが明らかとなった。そればかりでなくコバルト(II)の酢酸溶液にこれらの金属塩を添加すると,トルエンの酸化におけるコバルト(II)の活性がいちじるしく低下することがわかった。また低原子価状態の金属塩もコバルト(II)の活性を低下させた。他種金属塩の添加量が一定量を超えた場合はコバルト(II)はトルエンの酸化においてまったく活性を示さなくなるが,添加金属塩の妨害効果の大きさの序列はつぎのとおりである。
    Mn(II)>Mn(II)~Ce(V)>Cu(II)
    可視吸収スペクトルを調べることにより,他の金属イオンの妨害効果は,コバルト(III)との間に形成される多核錯体によるものであることが推定された。またトルエンの酸化においてまったく活牲を示さないCu(II)-Co(III)がα-メチルナフタレンの酸化においてはコバルト(III)単独系の場合と同じ活性を示すことが明らかになったが,このことからコバルト(III)と他の金属塩との聞に形成される多核錯体はコバルト(III)よりも酸化還元電位が低いためにトルエンの酸化に対しては活性を示さないものと考えられる。
  • 北尾 悌次郎, 和多田 幸夫, 松岡 賢, 小西 謙三
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 939-943
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    二三のアントラキノン系,アゾ系およびキノフタロン系分散染料とクマリン誘導体の光退色挙動がポリエステルまたはポリアミドフィルム上で調べられた。そしてこれら染料や誘導体の光退色におよぼすAnnellationの影響が検討され,それらの光退色機構が考察された。
    キニザリン系誘導体ではAnnellationによる耐光性の変化は認められないが,アミノアントラキノン系では6,7-Annellation化により退色が搾制され,アミノ基の塩基性度が増すほどその影響が大きくなっている。アゾ系染料ではAnnellationによってジアゾ成分の電子吸引性が小さくなるほど,またはケトヒドラゾン溝造の寄与が大きくなるほど,温光性が低下する。またクマリン系誘導体では,3.4-ベンゾクマリン以外のAnnellation化物がいずれもクマリン自身の耐雨渓よりいちじるしく低下する。そして,水酸基をもたないキノフタロン系では,Annellationによって耐光性の低下がみられ, o-ヒドロキシアゾベンゼン系やクマリン系などの場合と同様,骨格の塗薬をともなう光不安定な系ではAnnellationによりその光退色がかなり加速される。一方,ヒドロキシキノフタロン系では,5,6-ベソゾ誘導体の耐光性は向上し,6,7-ベソゾ体のそれは低下するのがみられ,アントラキノン系の場合と同様,母体骨格が光安定な系ではAnnellationによって耐光性が向上するが, Annellationによって母体骨格が光不安定になる場合には燈光性が低下する。
  • 往西 弘次, 城代 進, 後藤 輝男
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 944-947
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カラマツ(Larix leptolepis)中のカルボニル化合物および酸性成分が酢酸ビニルのラジカル重合におよぼす阻害効果を,ディラトメーターを用いて,重合温度47℃で,重合曲線から明らかにした。
    酢酸ビニルの重合に対し樹脂酸および有機酸は明確な誘導期を与えることが認められ,またフェノール牲成分は強い抑制作用があることが明らかになった。しかし,カルボニル化合物の場合は誘導期が認められなかった。有機酸の添加率と誘導期とは比例関係にあった。また,抑制効率(k/k0)から,有機酸はフェノール性成分よりも強い重合抑制効果があり,カルボニル化合物は樹脂酸よりも強い重合促進効果があることが明らかにされた。その結果,酢酸ビニルの重合はカラマツ抽出物中の有機酸,フェノール性成分などの酸牲成分(O.74%)によって阻害されることを認めた。
  • 林 治助, 升田 重嘉, 渡辺 貞良
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 948-954
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    セルロース繊維を濃厚AcOK水溶液で処理し,付着AcOKを洗浄除去後80℃で乾燥するとセルロースの(010)に相当する位置に新しい子午線干渉。が出現する。乾燥温度を高くするにしたがいIoは9.5Aの面間隔をもつ一次層線干渉Iiへ次第に変わっていく。これらの干渉は完全なセルロースの干渉のほかに付加的に出現するもので,処理によってセルロースの結晶化度はまったく変わっていない。したがって新干渉は非晶領域に生じたセルロースAcOK付加物によるものと考えられる。カリウムセルPtを酢酸で洗浄することにより,より完全なセルロース-AcOK付加物のX線図を得た。これから付加物の単位胞を求め,11は(110)に指数付けされた。非晶域に生成した付加物は事実上Ii干渉のみを与えるが,この現象は(200)の面内における規則性を保持したままその面間隔に乱れを与えたプレーンラティス構造において起こることを構造因子の計算および二次元モデルによる光回折によって確かめた。この面はセルロースの(101)に相当するがこの面の特挫から考えこの現象はセルロース繊維中の非晶域が元来(101)プレーンラティス構造であることに起因するものと考えた。
  • 真田 茎, 岩沢 晃, 土田 英俊, 篠原 功
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 955-960
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピペリジン,モルホリン,テトラヒドロ-1,4-チアジン核を主鎖に含む次式のポリカチオン-7,7,8, 8-テトラシアノキノジメタン(CQ)塩を合成し,比抵抗(p),電導の活性化エネルギー(Ea)を測定した。
    x:c,o,s,p=3,6,q=0.0,0.2,0.4,0.6,1.0
    complex saltのpminはすべての系で .102Ω・cmとなり,n,m型,Ionene-CQ complex saltにくらべ1/10であり,Eaも小さくなっている。また3DMX-CQ simple salt(X:O,p=3,q=O.0)のpは2.2×103Ω・cmと非常に小さく,CQ0の添加効果を認めないのに6DMX-CQ(X:O,p=6)では効果が現われる。これらの事実はヘテロ環tおよび酸素原子がCQの配列規制に寄与するからと推測される。反面,極性基(酸素,硫黄原子)の存在は,湿気の影響と関連してCQ塩の劣化促進につながる。
  • 真田 茎, 岩沢 晃, 土田 英俊, 篠原 功
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 961-966
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1.II IIIで示されるポリカチオンを合成し,それらの7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(CQ)塩の電導性を安定性,加工性を加味して検討した。
    1II 9 Simple salts (Ω・cm) (eV)I - c H3c CIP CHs ,Complex salts p Ea (a.cm) (ev)[CQO] [CQr] 1-CQ 2.1×105 0.17 68 0.12 1.0 11-CQ 1.3×105 0.32 2.1×1O3 O.24 0.5 CQ 3.4×105 1.1×108 0.16 0.3
    I-CQ complex saltの低抵抗値が注目される。II-CQ,III-CQのジメチルホルムアミドやジメチルスルポキシドに対する溶解性はI-CQにくらべずっと良好で,また,III-CQのフィルム形成能はきわめてよい。反面,安定性は,I-CQ>>II-CQ>II-CQで,親水性官能基の導入は劣化を促進し,劣化原因として空気中の酸素による酸化に加えるに,湿気の影響が大きいことが示唆された。
  • 土田 英俊, 重原 淳孝, 大河 哲, 栗村 芳実
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 967-971
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    cis-[Co(II)(en)2PVIC1C12, cis-[Co(III)(en)2NEICI]C12(PVI:ポリ(1-ビニル-2-メチルイミダゾール),pn=250, NEI:N-エチルイミダゾール)を合成, FeEDTA2による還元反応を行ない,おもにイオン強度の影響,アルコール添加効果について検討し,おのおのの活性化因子を求めたeイオン強度μを増すと,Co(III)-NEI系では 7Z vs Iog kがほぼ直線的に減少するのに対し, Co(III)-P VI系では曲線となりいちじるしい減速効果が認められた。また,その粘度挙動との対応から高分子鎖の形態変化が反応性に大きな影響をおよぼしていることがわかった。さらに,水-アルコール混合溶媒中では,アルコール含量の増加にともないいちじるしく加速され,とくにエタノール,2-プロパノールを添加するとCo(III)-PVI系ではkの極大が現われ,しかも反応温度の上昇とともに低エタノール含量側へ移動する。この現象について高分子鎖の形態と関連させて議論した。
  • 本田 憲治, 伴野 亟計, 土田 英俊
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 972-976
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-ホルミルピロールと各種アミンから誘導されるSchiff塩基を配位子とする銅錯体とDPPHの反応を検討した。反応速度は配位子のπ共役系の大きいものほど速く,配位子の分子構造に大きく依存している。高分子錯体の方が,対応する低分子錯体よりも反応は遅く,立体障害の影響が顕著に認められた。また,反応の活性化エネルギーが,中心銅イオンのCu2+→Cu+の還元半波電位と直線関係にあることを見いだした。さらに,高分子錯体の場合,還元半波電位は,高分子鎖の構造変化に対応して大きく変化することが認められた。
  • 斎藤 雅昭, 阿部 康次, 長田 義仁, 土田 英俊
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 977-980
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリメタクリル酸(PMAA)水溶液とそれぞれ鎖長の異なるポリエチレンイミン(PI)水溶液を混合した系の電位差と粘度を測定し,生成するコンプレックスの安定性とPI群長を関連させた考察から両者の協同的相互作用を検討した。
    PIによるPMAA水溶液のpH滴定曲線はPI鎖長の増加にともなって勾配が緩くなるので,両者の相互作用力はPI鎖長が大きいほど強くなることが理解された。さらに過剰PI添加系の粘度挙動はPI鎖長により特徴ある変化を示し,生成コンプレックスの安定性はPI鎖長と密接に関係する。またコンプレックス溶液の粘度は経時的に減少する。これは生成コンプレックスが非平衡状態にあることを意味するが,この現象においてもPI鎖長,すなわち結合部の協同性がヌンプレックスの安定化に強く影響することを認めた。
  • 菊池 康男, 上山 忠利
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 981-984
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N-ビニルカルバゾールは,支持塩として過塩素酸リチウムを用いたとき,多くの溶媒を用いてク形波電流による電解の結果,無水酢酸およびアセトニトリル溶媒で重合することを見いだした。ク形波電流を用いた場合の生成ポリマーの分子量は直流によるそれにくらべて高く,またその着色は薄かった。この重合反応はラジカル禁止剤の添加および共重合の結果からカチオン機構と推定した。過塩素酸リチウムを含むおのおのの溶液の電解を行なった陽極液は長時間重合活性であった。無水酢酸溶液での生成ポリマーにアシル基,アセチル基が存在し,この存在するアシル基,アセチル基は直流によるそれとくらべて多かった。アセトニトリル溶液中での生成ポリマーは,普通の重合法による生成ポリマーと類似の構造であり,わずかにC=Cが存在した。
  • 内藤 瑛之
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 985-986
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The aqueous solutions of propane-oxygen mixtures under pressure, on irradiation with 60Co r-rays, yielded hydrogen peroxide, organic hydroperoxides, acetone, propionaldehyde, 1-propanol, 2-propanol, and hydrogen. The G values of these radiation products were determined under various irradiation conditions.
    The formation of the oxygen-contained compounds was interpreted in terms of reactions of both hydroperoxy and organic peroxy radicals.
    The formation of hydrogen suggested that the hydrogen atoms might be capable of abstracting hydrogenfrom propane in competition with addition to oxygen.
  • 高尾 将臣, 森 繁, 井本 立也
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 987-989
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    In order to obtain the relationships between the conversion and the number average degree of polymerization and those between the conversion and theresidence time, the solution polymerization of methyl methacrylate (MMA) by azobisisobtyronitrile (AIBN) in benzene was carried out in a continuously stirred tank reactor (CSTR), using benzenethiol as the chain transfer agent.
    It was found that the conversion increased as the benzenethiol concentration was increasedin the range of 8x10-4 to 3.2x10-8 (mol/l) and that the index of molecular weight distribution (Q=Pw/Pn) decreased as the benzenethiol concentration was increased.
  • 倉持 智宏, 土屋 博, 工藤 慎悟, 伊保内 賢
    1974 年 1974 巻 5 号 p. 990-992
    発行日: 1974/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Polymers of isohexane were formed by the addition of antimony pentachloride to isohexane. In polar solvent the rate of this reaction was accelerated.Apparent activation energy was 4.0kcal/mol which was lower than that of ordinary porymerization.
    The structure of the polymer was studied by IR and NMR spectroscopies, and the polymerization mechanism was discussed.
feedback
Top