日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1974 巻, 6 号
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  • 東辻 健, 西沢 和夫, 鎌田 健一, 渡辺 昌
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 995-1001
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来電気乳化法は,主としてエアロゾルを対象に高電圧で行なわれてきたが,著者らは添水界面における電気毛管現象に関する研究でかなり低い電圧でも直接0/WまたはW/0型エマルションをつく ることができることを見いだした。連続的な分散乳化を起こすのに必要な最低の野飼を臨界電圧(Crititcal voltage:E )と呼ぶことにすると,滴重法で測定した界面張力,(,r)とEの間に直接的な関 係が見られなかった。電解質やイオン性界面活性剤の濃度はEに強い影響を与えるが,イオン性界面 活性籾の効果は主として電解質としての性質に基づくもので,を減少させる効果(界面活性)は二次 的なものと考えるのが妥当と思われた。そこで下水両相の比電気伝導度とEの関係を検討した結果, 電気乳化を行なうための必要条件は,連続相になる液相よりも不連続相になる液相の比電気伝導度が高いことであらて,逆の場合には分散乳化は起こらないことがわかった。以上は水ノメチルイソブチルケ トン系での実験結果であるが,こり関係はこれ以外の系にもあてはまり,従来行なわれてきた水銀/水 系,エアロゾル系もすべてこの条件を満たしている。
  • 吉田 肇, 杉田 信之, 工藤 清, 竹崎 嘉真
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1002-1008
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    [n-H5PdC1]2を触媒とし,ベンゼン溶媒下,塩化アリルと加圧一酸化炭素からビニル酢酸クロリドを合成する反応を速度論的に検討した。他の研究者の報告による本反応に関する推定機構をもとに,つぎの反応機構を仮定して速度式を誘導した。
    [CsHspdC1]2+2CO(I) ;=2C8H5PdC1(CO)
    n-CsH,PdCl(CO)+ CO,(. Z) = CH2:CHCH2PdCl(CO),
    CH2=CHCH,PdCl(CO)2+CO→CH2=CHCH2COPdCl(CO)2
    CH2=CHCH,COPdCl(CO)2+CH2=CHCH2Cl 4' CH2=CHCH,COCI+CH,=CHCH2PdCl(CO)2
    2 2 8 2A,f 2 AC
    k'[AC](1十K2Hfu o2)十K2ksH2fc e2
    ただし,〔A〕e:仕込み触媒濃度(moM),[AC]=塩化アリル濃度(mol,1'i), H:COの溶解に関するH:e fy定数(m1 1'atmmi),oo;一酸化炭素のフガシチー(atm),
    この速度式は実験結果を満足に表わし,100 Cにおける平衡および速度定数としてK,= 23,K2=0.13:mo1 l,k3=1,6 102 mo1 1 1 min ,K=4.2moP 1 mi1, Henry定数としてH 2.60 10-8mo1,1 ,atm,また本反応の見かけの活性化エネルギーとして10, 8 kca1,mo1工を得た。
  • 高橋 サク
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1009-1013
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    凡ガスを常温,低圧の下でマイクロ波放電帯を通過させると,N,の一部は解離し, N原子となり,それの再結合にともないNの黄色アフタグローを生じる。このアフターグローへC,H4を導入すると導入口に緑色のC2H4焔が生じるようになる。
    こ.のC2HkのN~C,H野間反応にともなって生ずる化学発光を測定し,反応の進行状況を考察した。実測はガス圧2~3T流速50~70 c魚,se1で室温で行なった。 N原子濃度はNO滴定法で決定した。
    C2H4発光のスペクトルのおもなものはCN violetとN,1st positive bandであり,その他にCHban d, NH bandおよびC2 Swan bandも観測された。実測結果から, N~C2H4系の全反応の化学量論比として2および20が得られた。前者はH原子により開始される反応であり,後者は前者に加えてCNラジカルをchain carrierとする触媒連鎖反応が進行しているものと考えうる。実測値から求められた室温におけるN~C2H4系の全反応速度定数は(1~3)×10→K cm3,mo1ecule"1,secであった
  • 斎藤 海三郎, 田部 浩三
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1014-1018
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    固形NaO H, NaOH-SiO,, Al,03, SrO2," BaO2, CaOおよびSrOを触媒としてベソズァルデヒドのエステル化反応を行ない,それらの結果から触媒活性は塩基性質と密接に関係するが,酸性質にも関係することを認めた。重水素化ベンズァルデヒドを用いた実験では,主生成物のエステルおよび微量生成物のべソジルアルコールのべジル基のr位に2個の重水素が入ること,および水素の同位体効果はないこと(窟ノ秘=1.0土0.2)が観測された。触媒活性は安息香酸やフェノールの酸の添加により減少するが,ベンゼンやシクロヘキサンの添加により影響されないこと,および脂肪族アルコールの添加によりベソジルアルコールの生成量が増加することを見いだした。
    以上の結果から,エステル生成の活性点は金属ベソジラートであり,ベンジラート生成の活性点は塩基点(酸化物表面の02)および:Lewis酸点(金属イオン, Ca2乎など)であると結論した。また,それぞれの反応機構およびそれと均一系のCannizzarおよびTishchenko反応の機構との差異を考察した。
  • 諏訪 佳子, 中 重治
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1019-1023
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    {Y3} [M 9vM2-y](M蹄Si)O112ザク石(M = Als←, Fes←, Ga争, y=O。0~2,0)のIRスペクトルを一測定した。固溶にともなうスペクトル変化からザクロ石構造中の孤立四面体,孤立八面体にそれぞれ局在するグループ振動の存在が認められた。
    MO4四面体の一下振動v3パソドはy=O. O is成ではいずれも3本に分裂し,縮退はすべてとけている。Alq四面体の3バンドはyの増如とともに低波数側にシフトし, y ,5組成から2本に縮退する。FeO4四面体のVsバンドはyが増加してもほとんどシフトしないが, y .5組成から2本に,5組成から1本に縮退する。GaO4四面体のsバンドe3 yの増加とともに,わずか低波数側にシフトし,y ,2組成から2本に, y, ,5組成から1本に縮退する。以上のことは聾四面体の伸縮振動が隣接陽イオンの静電場の強さに影響されること,およびFeO4 G典04四面体と他の配位陽イオンとの相互作用は,AIQ 4の場合より弱く,むしろ自由イオンに近い性質をもっていることを示している。
    固溶体のスペクトル変化から配位八面体の伸縮振動のバンドはAIO6では520,474,438 cm-i, FeO6 では382,362cm1, G06では466,400,342 cm備1, MgO6では400~350 cm"iのバンドと考える。
  • 真島 美智雄, 酒井 幹一郎, 高村 亘, 高瀬 孝雄
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1024-1027
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    26種のコバルト(皿)錯体および10種の単純塩について,25。Cの無限希釈における水に対する溶解熱(吸熱)および水和数を測定した。その結果,構成イオンについて加州性が成立し,その19イオンあたりの水科数はそれぞれ[Co(NHs)6]3+は11,[Co(H20)(NH3)5]3+12,[Co(en)3]8+ 14,Co,(NO2)(NH3)s]2+ 16, [CoCl(NH3)E]2+ 24, [Co(COs)(NHs)4]'21, [Co(gly),] 26, [Co(edta)]18,[Co(NO2)i(NHs)2]" 23, [Co(NO2)6]3" 33, Na" 5.1, K' 8.4, NH'" 1.7, Clww 2.0, Br 4.3, 1-in2.7,NO4.3mo1の値が得1られ,また水1mo1あたりの溶解熱はすべて59 kcalであった。陽イオンでは荷電の小さなコバルト(皿)錯イオンの方が水和数が多かっ。また,同一荷電の陽イオンならばイオン半径の大きい方が水和数が多い傾向があった。
  • 津波古 充朝, 本岡 達, 小林 正光
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1028-1032
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    α-Al2O3およびAl(OH)3とリソ酸二水素アンモニウムとの反応におけるテトラメタリン酸アルミニウムAl4(P4O12)3のA, B, CおよびD型の生成条件を調べた。
    α-Al2O3とリン醸二水素アンモニウムとの混合物を750℃以上で加熱するとA型が生成し,この混合物を500~550℃加熱するとB型が容易に得られる。C型はこの混合物な600~700℃の加熱により生成することもあるが,一般にはA型あるいはB型との混合物として得られる。ところがあらかじめつくっておいたC型をα-Al2O3とNH4H2PO4との混合物に1~5%加え,525~575℃で加熱するとC型が容易にそして恒常的に合成できる。D型はα-Al2O3とNH4H2PO4との混合物を窒素ガス気流中あるいは乾燥空気中で500℃で加熱すると生成する。またα-Al2O3とNH4H2PO4との混合物を真空中で500~700℃で加熱するとB型のみが生成する。使用するアルミニウム原料,モル比R,加熱温度および加熱雰囲気によって生成するリン酸アルミニウムの種類もそれらの生成量も非常に異なる。またこれらのリン酸アルミニウムのIRSおよび熱変化についても開べた。
  • 渡辺 信淳, 高島 正之, 高橋 克仁
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1033-1037
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    易黒鉛化性炭素の一つである石油コークスを熱処理することによって黒鉛化度の異なる試料を調製し,試料の結晶性がフッ素化反応におよぼす影響について,反応速度と生成フッ化黒鉛の構造とから検討した。実験はスプリングバランス式の耐フッ内用熱テンビンを使用し,反応温度375~450℃,フッ素圧50~200mmHg無希釈のもとで行なった。黒鉛化度とフッ素化反論の難易度との間には相関性がなく,黒鉛化が急速に進行し始める温度領域(2000℃付近)で処理された試料のフッ素化開始温度がもっとも高く,また反応速度がもっとも遅い。重量増加が50wt%にいたるまでの段階における反応速度は,試料の結晶性によらずフッ降圧の1/2乗に比例し,見かけの活性化エネルギーは41.0±1.5kcal/molで,この値はフッ素分子の解離エネルギーに近い。これから,この領域における反応の律速段階は,天然黒鉛の場合に考察されたのと同様に試料炭素表面に吸着したフッ素分子の解離と考えられる。生成フッ化黒鉛の構造に関しては,1980℃で処理された試料から生成されたものの層間距離がもっとも短く,理想結晶のそれに近い。
  • 新池 孜, 足立 吟也, 塩川 二朗
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1038-1042
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化ネオジム(Nd2O3),酸化イットリウム(Y2O3)および酸化バナジウム(III)(V2O3)のうち2種あるいは3種を混合し,真空中(~10-4mmHg),1400℃で1時間加熱し,得られた結晶の構造および固溶体の生成状態をX線回折法で検討した。
    Y2O3とV2O3を加熱した揚合は, YVO3で表わすことのできるぺロブスヵイト型の複合酸化物が得られた。この複合酸化物は,Y:V=1:1の定比化合物しか得られなかった。
    Nd2O3とY2O3の場合は, Y2O3のモル分率が0.65以上ではC型に属する結晶が得られ,モル分率をこの範囲内で変化させると,得られた結晶の格子定数も直線的に変化した。Y2O3のモル分率が0.4以下ではA型およびB型に属する結晶が得られた。Nd2O3のみの場合は,A型に属する結晶のみが得られた。
    Nd2O3,Y2O3およびV2O3を加熱した場合,Nd2O3,とY2O3のモル数の和がV2O3のモル数と等しいときは,Nd2O3とY2O3の比がいかなる場合においても,得られるペロブスカイト型の結晶の格子定数にはVegard則が成立した。 Nd2O3とY2O3のモル数の和がV2O3のモル数より多い場合は,Y2O3よりもNd2O3,の方がよりペロブスカイト型結晶の中へ入りやすいことがわかった。また生成したペロブスカイト型結晶の格子定数の値から,結晶中に含まれるNd2O3とY2O3の量の比が算出できることがわかった。
  • 高橋 武彦, 鈴木 喜博
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1043-1047
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    四塩化チタン,水素および窒素混合ガス中から黒鉛基板上に窒化チタンを析出させ,窒化チタン析出速度および析出表面状態におよぼす反応温度,反応ガス組成の影響および析出物の面配向性に影響をおよぼす各種の因子を検討した。その結果,窒化チタンは反応温度700℃で析出を開始し,析出量は析出時間とともにほぼ直線的に増大した。析出速度は反応温度,窒素-四塩化チタンモル比の増加につれて増大したが,窒素-四塩化チタンモル比6以上ではほぼ一定となった。反応温度1200℃,窒素-四塩化チタンモル比8の場合で8.1 μ/hrとなった。析出した窒化チタンは(110)面配向性を示す傾向があり,その傾向は反応温度が上昇するほどまた窒素-四塩化チタンモル比が大きいほどいちじるしくなった。高反応温度,高窒素-四塩化チタンモル比で析出した窒化チタンの表面状態は低反応温度,低窒素-四塩化チタンモル比で析出したものよりも結晶粒子の大きさが大きく,その色も黄金色を示していた。反応温度1220℃,窒素-四塩化チタンモル比8,10,四塩化チタン飽和器温度41℃,水素流量 5ml/sec,反応時間90分で直径8~40μ,長さO.5~2mmの窒化チタンホイスカーが得られた。
  • 西川 友三, 西田 俊彦, 勝山 融, 川北 幸男, 上井 勲
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1048-1052
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Na+-β-アルミナ中のNaイオンを他のアルカリイオンで置換する方法について,従来はアルカリ溶融塩中で行なわれていたのを,アルカリ水溶液中で行なう方法について検討を加えた。β-アルミナの試料としては粉末状のものを用い,粉末粒子の大きさと置換の容易さとの関係についても検討した。Na+-β-アルミナ中のNaイオンの他のアルカリイオンでの置換は直接に行なわずに,いったんH+-β-アルミナに変えたのち,240℃程度の温度のアルカリ水溶液中に浸すことによって行なった。Na+-β- アルミナのH+-β-アルミナへの置換は,濃硫酸処理によって行なったが,この置換反応に対しては原料粒子の大きさが関係し,原料粒子が大きい(1~2mm)場合には,置換に時間がかかるうえに副生成物として硫酸アルミニウムが生じ,不都合であった。しかし,325メッシュ通過程度の小さい粒子を用いると,240℃,20分の濃硫酸処理で置換が完了した。得られたH+-β-アルミナのK+-β- アルミナや,Li+-β-アルミナへのアルカリイオンの置換は,それぞれ飽和水酸化カリウム水溶液,および飽和水酸化リチウム水溶液中で,240℃,2時間程度の処理条件で円滑に行なうことができた。
  • 石附 朋典
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1053-1056
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N,N'-ビス(2-カルボキシフェニル)オキサミド(以下H4cpoxと略記する)を配位したニッケル錯体K2[Ni(cpox)] 3H30およびNi2(cpox)(py)6,3H20,銅錯体Na2[Cu(cpox)],4HaO, Cu2(cpox),(NH3)2,4H20およびCu2(cpox)(AA),nH20(AA=エチレンジアミン,1,3-プロパンジアミン,N,N'-ジメテルエチレンジアミソ,ビピリジル)を合成し,その諸性質を研究した。錯体K2[Ni(cpox)]3H20およびNa2[Cu(cpox)],4H20では配位子はカルボキシル基の酸素と,水素を解離した酸アミド基の窒素とで配位し,四座配位子として作用しているが,他の複核錯体中では酸アミド基の酸素がさらに配位に関与しており,六二配位子として作用している。反磁性のK2[Ni(cpox)],3 H20は平面型構造を,常磁性のNi,(cpox)(py),,3H20eX八面体型構造を,また正常な磁化率を示すNa2[Cu(cpox)]e4H20はひずんだ八面体型構造をもつと考えられる。しかし他の複幽幽錯体はいずれも正常な値より小さい磁化率を示し,銅-輪間に相互作用の存在する構造,すなわちオキサミド残基で橋かけした構造をもつと推定される。
  • 関崎 正夫, 山田 幸延, 高橋 寛
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1057-1060
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    この報文は結晶構造既知のビス(イミノジアセトアミド)銅(II)過塩素酸塩Cu(idaaH2)2(CIO)2,および新たに合成した同様組成のニッケル錯体Ni(idaaH2)2(CIO,)2,コバルト錯体Co(idaaH2)2×2(X=Cl, Br,1, CIO,)の赤外スペクトル,可視部拡散反射スペクトルおよび磁気モーメントと,分子構造との関係を考察するものである。銅錯体はひずんだ八面体で,2分子の配位子がそれぞれ酸アミド基の酸素原子の一つとイミノ基の窒素原子とでトランス位に二座配位していることが示唆された。この示唆はほぼ結晶解析の結果どおりであるが,結晶解析によれば弱く配位しているはずの,残りの一つの酸素原子については,赤外スペクトルに配位の影響が現われない。この点からこの酸素原子と銅原子との間の配位結合は分子振動に影響を与えるほど強いものではないと考えられる。ニッケル,コバルト錯体については,やはり配位子が二座のような赤外スペクトルを与え,拡散反射スペクトル,磁気モーメントからは必ずしも正八面体とは断言できない。したがってこれらの錯体もまた銅錯体と同様酸アミド基弱い配位結合を含むひずんだ八面体と考えられる。
  • 白樫 高史, 田中 信行
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1061-1067
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Mn(III)EDTAおよびMn(III)CyDTA(EDTAはエチレソジニトリロ四酢酸,CyDTAはtrans-1,2-シクロヘキシレンジニトリロ四酢酸)を結晶のまま加熱すると中心金属のMnは3価から2価に変化し,配位子も脱炭酸反応を起こし,1配位子としての電荷の異なった反応生成物が得られる。この反騰生成物をCo(III)錯体としてイオン交換クロマトグラフにより分離同定し,定量も試みた。また,反応で生成した気体の同定,定量を試みた。この結果,反応生成物の中にはなんら変化をうけない配位子(EDTAおよびCyDTA)および酢酸基の1個とれたEDTRA(エチレソジニトリロ三酢酸),CyDTRA(trans-1, 2-シクPヘキジレソジニトリP三酢酸), CO2, HCHOおよびCOの存在が確認された。これらの結果は,Mn(III)錯体の熱分解反応において,熱重量曲線からのみ反応機構あるいは生成物を推定することが困難であることを示している。
  • 菅野 竹雄, 久保 一彦
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1068-1072
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    テトラリソ酸-アルカリ土類金属錯体(金属:マグネシウム,カルシウムおよびストロンチウム)の熱力学的安定度定数をpH滴定法によって求めるとともに,熱量測定によって25Cにおける手:1錯体の反応熱を求めそれらの結果から1:1錯体形成反応にともなう熱力学的酒量の変化(4GdHOおよび se)の値を算出した。
    その結果,1)いずれの場合もdHOの値は正(吸熱)できわめて小さいのに対し, soは非常に大きな正の値を示すこと,すなわち,以上の錯体の安定性は,その大きなエントロピー増加に基づくこと,2) Sの値は金属イオンの半径の逆数(1/r)の増大とともに大きくなること,3)ピロおよびトリリソ酸のアルカリ土類金属錯体について得られた結果をもあわせて比較すると,縮合リン酸の訟訴(1)が長くなるにつれてAseの値が増大すること,4)dHeの値もわずかながら1/rおよびの増大とともに大きくなる傾向のあること,などを認めた。以上の結果を縮合リン酸イオンがその錯体中においてキレート環を形成することに基づくものとして説明するとともに,テトラリソ酸キレートの構造についても考察した。
  • 内海 喩, 奥谷 忠雄, 小沢 敏夫
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1073-1076
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水溶液申に存在するコン跡量のカドミウムィオソはヨウ化物イオンとヨウ化カドミウム錯誤イオンを形成し,これがゼフィラミンとイオン対をつくり,酢酸エチルに抽出されることを見いだした。この有機相を原子吸光分析に供試することによって,極微量のカドミウムを定量する方法を研究した。
    試料溶液50mlに2mol/l ヨウ化カリウム溶液1ml,0.2%ゼフィラミン溶液1mlおよび酢酸塩緩衝溶液(pH4.6)2m1を加える。生成する錯体を10mlの酢酸エチルで抽出し,2288Aの波長で有機相の吸光度を測定する。検量線は40ppbまで再現性のよい直線が得られた。カドミウム30ppbにおける標準偏差はO.0025で標準偏差パーセントはO.9Sldeであった。
    本法は妨害イオンは少ないが,銅(II)は10ppm共存で約30%の負誤差を与える。しかしあらかじめ5%チオ尿素溶液1mlを添加しておけば100ppm共存しても妨害しない。
    本法を河川水,飲料水中のカドミウムの定量に応用し,2ppb程度まで正確に定量できた。
  • 石田 良栄, 外崎 巧一
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1077-1082
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クロムアズPt-tルS(ChS)とベリリウム(II)と反応して生成する陰イオン錯体にヘキサデシルトリメチルアンモニウム(HDTMA)陽イオンを共存させるとイオン会合体を形成し,1-ブタノール中に容易に抽出される。この抽出三元錯体は596nmに吸収極大を有し,水相のpH 6.6~7.0の範闘で一定かつ最高の吸光度を与える。また,その吸光度は長時間一定値を示す。ChSおよびHDTMAの最適濃度範囲で有機相の吸光度とベリリウム(II)濃度との間には良好な直線関係が成立し,有機相中のベリリウム(II)濃度が0,35~L2×10-9mo1/1(水相中の初濃度にしてO.95~3.3×10 6 mol.1に相当する)の範囲で精度よく測定できるeモル吸光係数は58500 1 cm 1 m 11となり,これは,Sande11の感度0,00015, Pt9/cm2に相当する。抽出種はベリリウム(II):ChSHDTMA=1:2:4の組成比をもって冠気的申性をたもち,有機相に抽出されるものと考えられる。
  • 田中 久雄, 向山 吉之
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1083-1088
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    NMRを利用してポリエステルの組成を定量分析する目的で,まず通常用いられる一塩基酸1種,二塩基酸16種,多価アルコール11種のNMRスペクトルを解析し,プロトンシグナルの帰属について考察した。ついで,これらの酸およびアルコールを用いたポリエステル24種について考察した。標準化合物としては,原料成分の官能基をポリエステルの官能基に近似させ,また同一の溶媒を使用できるようにするため,酸成分については低級1価アルコールのエステルを,アルコール成分についてはアセチル化物を用いた。
    酸成分には,それぞれ区別しやすい特性吸収があり,同定は比較的容易である。しかしながら,多緬アルコールの特性吸収は重なりあい,多成分混合系においては,アルコールの種類を区別し難い例があり,この場合には,他の分析法によって含有成分を確認しなければならない。すべてのシグナルが帰属されたポリエステルのスペクトルを分解し,得られた単一の酸成分およびアルコール成分のスペクトルは,純粋に得られた標準化合物のスペクトルに,きわめてよく一致した。迅速にかつ正確に,ポリエステルの組成を定性ないし定量できることを示した。
  • 篠田 清徳
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1089-1092
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    trans-1,4-ジクロロ-2-ブテンと3,4-ジクロロ-1-ブテソの塩素化による1,2,3,4-テトラクロロブタンのdlおよびmcsoの二つの光学異性体の生成比におよぼす溶媒の効果について検討した。溶媒として四塩化炭素を用いるtrans-1,4-ジクロロ-1-ブテンの塩素化ではラジカル反応を誘発してdl体の生成が増加するのに対し,極性の大きい塩化メチレン溶媒では塩素のトランス付加が優先的に起こりmeso体が高収率で生成した。3,4-ジクロロ-1-ブテンの塩素化の場合はいろいろ実験条件を変えてもmeso体とdl体の生成比率を大幅に変えることができなかった。また,ラジカル反応を促進させるために紫外線を照射した実験ではこの二つの出発物質によるmeso体生成の選択性には差異は見られなくなり,単に溶媒の種類にのみ依存する生成割合を示した。
  • 五明 健, 吉田 弘, 尾形 強, 猪川 宏美, 猪川 三郎
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1093-1096
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リン-水素結合をもつ化合物は容易にカルポニル化合物に付加して,リンに対しα-位に水酸基をもつ化合物を与える。アルデヒドと亜リン酸ジエチルとの反応で得られる1-ヒドロキシエチルポスホソ酸ジエチル,1-ヒドロキシブチルポスホン酸ジエチルおよびα-ヒドロキシベンジルボスホソ酸ジエチルをピリジソ存在下塩化チオニルで処理すると,よい収率で相当するα-クロロ化合物を与える。一方,ケトンから得られる1-ヒドロキシー1-メチルエチルホスホン酸ジエチル,1-ヒドロキシ-1-メチルプロピルポスホン酸ジチチルおよび1-ヒドロキシ-1-メチルブチルポスホソ酸ジエチルを同様に塩化チオニルで処理すると,α,β-不飽和化合物をよい収率で得た。これらの化合物をエタノール中Raneyニッケルで接触還元すると,ほぼ定量的に相当するホスホソ酸ジエチルを得た。また,α,β-不飽和アルキルポスホン酸ジエチルの構造をそれらのNMRスペクトルの解析から考察した。
  • 伊藤 建彦, 高橋 賢治, 高味 康雄
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1097-1104
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パラジウム含有触媒によるスチレンとエチレンまたはプロピレソの共二量化反応について検討した。その結果,パラジウム塩,Lewis酸および第三級ホスフィンからなる三成分系触媒がこの共二量化反応に有効であり,しかもこの三成分系触媒による共二量化反応の生成物は,PdCI,,(PdCl2,phCH=CH:2)2およびPdC12,(PhCN)2のような一成分系触媒による共二量化反応の生成物とは異な:ることを見いだした。たとえばスチレンとエチレンから一成分系触媒では1-フェニルブテン類が生成することが知られているが,( -C3H5PdCl)2-BFs Ph3P,(PdC12,PhCH=CH2)2-BF3。Phspおよび(π-CsH5PdCl) AICls-Bu3Pのような三成分系触媒では3-フェニル-1-ブテンと2-フェニル-2-ブテンが得られる。この両者の触媒における触媒挙動の相違について詳細に調べ,三成分系触媒による共同量化の反応機構として,パラジウムヒドリドを活性種とする機構を提出した。
  • 金子 勝三, 小山 武夫, 古川 寛, 和田 昭三
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1105-1110
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ブテソよりの酢酸の合成を目的として,シリカを担体とするバナジウム系触媒により反応温度200~300 C,水蒸気存在下でブテンの気相接触酸化反応について検討した。
    バナジウム単独成分系触媒ではその酸化活性は弱く酢酸への選択性も低いが,スズ,タングステン,チタンはその共存する2~3成分系触媒では好選択率で酢酸が生成した。酔酸への選択率は主として反応温度および触媒成分によって決まり,ブテン転化率によらなかった。シリカに担持されたバナジウム-スズ-タングステソ(1:1:0.5)酸化物触媒では,酢酸への選択率は反応温度,225 Cおよび250 Cでそれぞれ50~55%および45~50%であった。
  • 金子 勝三, 小出 武夫, 永島 幸夫, 和田 昭三
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1111-1116
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ブテソの気相接触酸化反応について,シリカ担持 V-Sn-W酸化物触媒により水蒸気の存在下で速度論的検討を行なった。
    反応の見かけの活性化エネルギーは270~280Cを境にいちじるしく異なり,低温側では酢酸が,高温側では二酸化炭素:および一酸化炭素が主として生成した。270~280C以下での反応は酢酸およびCO2+CO,生成の二つの反応からなる並発反応と推定され,生成酢酸によるいちじるしい阻害効果が認められた。この阻害効果は伺一活性点への酸素と酢酸の競争的吸着に基づくものであった。したがって1-プテンの酸化速度は次式で整理された。
    γ=k Ko2Po2PcMg/(1+Ko2Po2+KAeeHPAeoH)
    ただし,kiは速度定数, PO,, PC,H,およびPA,OHは酸素,ブテンおよび酢酸の分圧, Ko2およびKA,OHは酸素および酢酸の吸着平衡定数を示す。この速度式の妥当性は実験値と計算値の一致から確認した。
    反応の律速段階は吸着酸素と物理吸着ブテンとの表面反応と考えられ,その見かけの活性化エネルギーは9.8 kca1/molと計算された。
  • 前田 嘉道, 菅 健一, 市川 邦介, 岩井 重久
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1117-1121
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫化染料を用いた染色排水の凝集処理に関する基礎的資料を得る目的で,硫化染料溶液に対する(1)硫酸アルミニウム,(2)塩化鉄(皿:),および(3)硫酸鉄(∬)-水酸化カルシウムの凝集効果を調べた。被検染料溶液としてサルファ,ブラック,ビー(C.1.サルファ,ブラヅク1)の19μ溶液を作製し,セロファン膜透析によって狭雑無機塩類を除いたのち使用した,各凝集剤の所要量は金属イオン濃度として10~30 mgllであり,凝集pHは凝集剤(1)および(2)で5~6,凝集剤(3)では9~10で良好な凝集結果が得られた。また,通常工業排水中に含まれていると予想される無機塩類の影響について調べるために,被検染料溶液にこれらを添加したところ,塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの影響は比較的小さいが,炭酸ナトリウムは凝集剤(1)の所要量を増し,チオ硫酸ナトリウムは(2)による酸性溶液での染料の凝集を妨げた。これに対して,凝集剤(3)によるアルカリ性溶液での染料の凝集はこれらの塩類の影響をほとんど受けなかった。なお,凝集翻(3)を用いた場合,アニナン性界面活性荊が共存しても,80 mg/1より低い濃度では凝集効果への影響は無視できた。
  • 三橋 重信
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1122-1127
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    低分子量ポリ(イソブチレソ高溶シド)を試料とし,それを溶融状態から徐冷して結晶を成長させ,中心に孔のある菱形単結晶と円形結晶を得た。
    結晶の中心に現われたこの孔は結晶成長に関係し,その成因については,Frankの理論に基づいて計算したBurgers vectorの大きさとレプリカ写真から実測したラメラの厚さとは比較的よく一致した。また,円形結晶のうち同心円状の模様を示す結晶は,中心部分において半径方向に正の複屈折を示し,その原因は屈折率樹円体の配置からγが半径方向に配列することになり,構造的にはラメラがヘリコイド状に成長,すなわち,その部分においては,少なくとも分子鎖が半径方向に平行に近く配列しているためと結論した。
    したがって,円形結晶は中心のら旋転位を媒介して成長したラメラが,回転しつつ准積した単結晶に近いものであり,従来,高分子球晶についてよく知られているラメラの分岐機梅により成長した球晶とは異なるものであることがわかった。
  • 草野 孝衛, 須藤 吉男, 村上 謙吉
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1128-1133
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    この研究においては,各種変形を与えられた天然ゴムをγ線にさらすことにより,そのγ線から受ける構造変化を窒素中における化学レオロジー的性質の変化から調べた。その結果,延伸率が増すと緩和の速度は減少する。また酸素の存在下では,生じたペルオキシラジカルから誘起される劣化があまり速く進行するので延伸率の影響が確認できない。窒素中において劣化速度と延伸率との間に地例関係が得られた.そしてその勾配は網目密度により変化することがわかった。また劣化速度は,たとえばペルオキシ加硫硫黄加硫物なギのように橋かけ構造により影響される。Nielsenはポリマー鎖の配向度は収縮筋に比例すると報告しているが,実験結果による緩和速度は応力と逆比例関係にあり,したがって配向度と緩和速度とは逆比例関係にあることがわかる。このように高伸張率での緩和速度の減少は配向結晶化に起因するのではなく,試料の網目鎖の配向度に依存する。つまり配向状態における分子鎖は相当のエネルギーを加担していて,その状態にγ線を照射するといわゆるメカノケミストリー的機溝で分子鎖切断が行なわれる。ここで生じたマクロラジカルは他の分子を活性化またはラジカル同志が結合して新しい網目を生成する。したがって高伸張率においては生成ラジカルが多量であるから網目生成量も多く,よって応力緩和を遅くすると考えられる。
  • 国枝 博信
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1134-1137
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコールの部分アセチル化物(PVA-Ac)水溶液は非イオン性界面活性剤水溶液と同様に温度上昇により曇点を示し,曇点以上の温度で2相分離を起こす。また塩類添加によって同様な曇点降下効果を示すことがわかった。PVA-Ac一水系の溶解度の温度変化を示す相平衡図は高分子の重合度によりほとんど変わらない。さらに水溶液の蒸気圧は高分子の溶解によってほとんどさがらずRaoultの法則にもしたがわず,溶液があたかも水相と水和した高分子の混合物めような熱力学的性質を示すことが確かめられた。これらの事実は水溶性高分子に水が水和し溶けこんで高分子相を形成し,つぎにその水和高分子相が微視的な転相類似の現象を起こして水連続相となり,これが水と混合した模型とよく一致した。
  • 堀田 久志, 林 敏彦, 森 達男
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1138-1142
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    二官能性フェノールとしての-クレゾールおよびP-クレゾールを用いたアンモニアレソールの生成について,とくにその含窒素化合物の挙動に注目しながら,NMRを用いて反応を追跡した。その結果,いずれのクレゾールの場合もアンモニアレソールとしての初期生成含窒素化合物はトリベンジルアミン型第三級アミンとみられ,これがジベンジルアミンおよびオキサジン化合物へと移行していくと考えられる。したがってNMR解析の結果から求められる反応時間に対する分子量の変化をみると,反応初期の分子量は大きいが,その後次第に減少し,ついで縮合が進行するとふたたび分子量が増加する傾向がみられる。
    o,p-クレゾールの反応性については,p-クレゾールの反応速度が速い。o-クレゾールにおけるオルト位とパラ位の反応牲については,赤外吸収スペクトルおよびNMR所見の結果,オルト位にまず含窒素化合物の付加が生じるものと考えられる。
  • 堀田 久志, 林 敏彦
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1143-1147
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者らは前報までに,キシレノール類,クレゾール類を原料とするアンモニアレソールの生成状況について検討してきた。本報ではそのデータをもとに,含窒素化合物の生成およびメチロール化の機構について考察した。その結果,アンモニア触媒では反応の第一生成物は,反応条件によって多少は異なるが,主として第三級ベンジルアミンであると考えられるにいたった。この初期に生成する第三級ベンジルアミンは,次第に第二級ベンジルアミンのオキサジン環化合物に変化してゆき,これがフェノール類のメチロール化を促進すると考えられる。これは第二級ベンジルアミンのオキサジン環化合物がメチロール化を促進するという井本の推論を支持するものである。なお第一級ベンジルアミンは,反応のどの過程においてもまったく確認することができなかった。一方,2,6-キシレノールのようにパラ位結合しか生じえない場合には,その第三級ベンジルアミンがその構造のまま,反応の触媒作用を示すものと考えられる。このとき,キシレノールとホルムアルデヒドの反応はいちじるしく速いが,これは第二級ベンジルアミンのオキサジン環化合物と,第三級ベンジルアミンとの反応系中における,その化学構造の安定牲の差に起因するものと考えた。
  • 藤田 治重, 山下 正太郎
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1148-1149
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The ethylenattt. on of pyrogallol with ethylene dichloride in the aprotic polar solvents, in the presence of cupric oxide or bronze, gave 2, 3-dihydro-5-hydroxy-1, 4-benzodioxin in a good yield. As a solvent DMSO was preferable to DMF.
  • 嶋尾 一郎
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1150-1151
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4, 4'-Azoxytoluene was oxidized with sodium dichromatQ in sulfuric aeid, or with chromium oxide (W) in acetic acid to give P (P-tolyl-ONN-azoxy)benzoic acid (a-acid) and a small amount of p (p-tolyl-NNO-azoxy)benzoic acid (B-acid). The structural assignmentl of the products was made by means of NMR spectra of the methyl esters of ev and B-acid.
  • 坂井 徹, 大井 信一
    1974 年 1974 巻 6 号 p. 1152-1153
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The hydrogehation of allyl a160hol with PdlCcatalyst suspended in ethanol was carried out in a stirred tank reactor at atomospheric pressure. The reaction system was approximately represented by two parallel reactions; (1) hydrogenation to propanol and (2) that to ptopionaldehyde, as shown in Fig.1.
    Rate equations of paths (1) and (2) based on the'Langmuir Hinsheiwood mechanism were determined as Eqs., (1) and (2), respectively, by applying the methed of nonlinear least squares to the experimental results and taking into account the temperature dependency of the constant.
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