酸化チタンと水酸化カリウムの水熱反応では繊維状チタン酸カリウムが生成するが,水酸化リチウムを添加した系について実験を行なったところK
2Li
2Ti
6O
14が析出することがわかった。この化合物は長さ数mmにおよぶ斜方両錐i形の結晶として得られ1このさい微細なLi
2TiO
3および繊維状K
2Ti
6O
13,K
2Ti
2O
5が同時に生成していた。K
2Li
2Ti
6O
14はTiO
2:LiOH:KOH=1.5:1.0:7.5(モル比),アルカリ濃度10N,充てん率35~45%,400℃ 以上,70時間以上の条件で反応を行なったときもっともよい収率で生成する。またその生成過程は,酸化チタンとアルカリとの直接反応により生ずるのではなく,いったん生成したK
2Ti
6O
13とリチウムイオンとの反応によることが明らかとなった。結晶構造解析の結果によれば斜方晶系に属し,空間群はF222,格子定数はa=16.43Å,b=5.80Å,c=11.28Åで,z=4である。密度の実測値および計算値はそれぞれ3.69,3.73g・cm
-3であった。構造はTiO
6のゆがんだ八面体が稜あるいは隅を共有して三次元網状構造を形成し,その間の大きな隙間にアルカリ原子が位置している。なお,カリウム原子は10個の酸素原子に囲まれている。
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