日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1976 巻, 2 号
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  • 宮嶋 孝一郎, 中西 茂雄, 中垣 正幸
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 205-210
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピグアニドイオン(アミジノグアニジニウムイオン)の水構造に与える影響を調べるために,ピグアニドとその誘導体の塩の水溶液の粘度を,温度をかえて測定し,Janes-Dole式にしたがって解析した。ピグアニドイオンのB係数は,測定温度領域でほとんど変化せず,イオンのB係数から,イオンの体積に基づくB係数への寄与を差し引いた値Bstが-0.017,粘性流の活性化エネルギーへの寄与Δ4+*が43cal/molとなり,Bst,Δ4+*ともにごく小さい値であることから,ピグアニドイオンは水構造を形成も破壊もしないと結論した。置換ビグアニドイオンのB係数は,温度を上げると顕著に減少し,Bst,Δ4+*ともに大きな正の値になるので,水構造形成イオンである。ピグアニド塩のタンパク変性作用の序列は,アニオンをかえた場合,対イオンの水構造破壊能の序列(Br- > Cr- > AcO-)と一致するが,カチオンをかえた塩化物の場合は0対イナンの水構造破壊能の序列(グアニジニウムイオン > ピグアニドィオン > N-ブチルピグアニドイオン)とまったく逆になった。このことから,これら塩によるタンパク変性においては,タンパクとイオンの直接相互作用が重要であると考えられる。
  • 宮前 正男, 鍵谷 勤
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 211-215
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フェノール(PhOH)-四塩化炭素(CCl4)系溶液中の遊離OHの吸収帯(3615cm-1)は,これに少量のp-トルエンスルホン酸メチル(MPTS)を添加すると3490cm-1ヘシフトする。これにともなってMPTSのS=0逆対称伸縮振動の吸収帯は1376cm-1から1335cm-1ヘシフトする,PhOH-CCl4系溶液中におけるPhOHの会合がつぎの式PhOH+(PhOH)n-1〓(PhOH)nで表わされるものとし,それぞれn量体濃度が希薄な領域でn+1量体以上の会合体の生成が無視できるものとして,遊離OHおよび二量体のOHによる吸収帯の吸光度からそれぞれ遊離PhOHおよび二量体の濃度を求め,これらの濃度を全PhOH濃度から差し引いて三量体濃度を求めた。これらの濃度を用いて逐次平衡定数K2およびK3を計算し,それぞれ一定な値0.86±0.02および2.49±0.26を得た。またPhOHMPTS-CCl4系溶液において,水素結合錯体の生成によって消i費されるPhOHとMPTSが,[MPTS]≧[PhOH]なる濃度範囲でほぼ等モルであることに基づいて,水素結合相互作用の平衡が次式PhOH+MPTS〓PhOH…MPTSで表わされるものと仮定し,あらかじめPhOHの自己会合平衡系において作製した全PhOH濃度と遊離OH濃度の関係を示す曲線によって遊離PhOH濃度を求め,この濃度を用いて平衡定数を計算した。上の式の過程の逐次平衡定数として5.55±0.28を得た。
  • 慶伊 富長, 高橋 厚, 大倉 一郎, 小島 昭
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 216-220
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    TiCl3-Al(C2H5)3系触媒によるプロピレン重合における水素の添加効果を重合活性,生成ポリマーの立体規劉性,分子量の面から追究し,つぎのことを明らかにした。水素共存下における重合速度の経時変化は水素非共存下において提出した速度式によってよく整理できる。重合活性は水素圧増加にともない減少し,次式により表わされる。
    ここで,RH, and ROは水素共存下,非共存下における定常重合速度であり,α は水素圧によらない定数である。重合活性は水素が重合活性点に吸着することにより一時的に失活するが,Al(C2H5)3とプロピレンとの共存によりふたたび有効な重合活性点に回復する。生成ポリマーの分子量を測定することにより求めた連鎖移動速度は上述の反応機構を支持するものであった。
  • 中村 隆一, 飯田 博, 越後谷 悦郎
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    固定層流通法およびパルス法を用いて,Re2O7-Al2O32およびRe2O7-SiO2上でのブテン類およびプロピレンのメタセシス反応を行ない,触媒の原子比(Re/Al),窒素処理温度,水素処理効果,異性化反応との対応などを調べ,活性点ならびに反応機構について検討した。イソブチレンと2-ブテンの反応により生成するイソアミレンの収率は原子比Re/Alが5/95~7/93で最大で,20/80でも高い値を示した。そのさい2-ブテンから1-ブテンへの異性化反応は遅いがシス-トランス間の反癒はきわめて速く,メタセシスと同じ活性点上で同じ機構で進行していることが推察された。また同触媒上でのプロピレンの不均化反応の一次生成物(2-ブテン)中のシスとトランスの割合はほぼ1であった。Re2O7-Al2O32では触媒の前処理温度の上昇にしたがって触媒上から2段階にわたる水の脱離が認められ,第1の脱離によりオレフィンの重合の活性点が生じ,酸素の脱離にともなう第2の脱離によりメタセシスの活性点が生成することがわかった。以上の結果などから,担体の酸点はメタセシスには直接関与しないこと,活性点はある程度還元されたReイオンで中間体のビスオレフィン錯体のメチル基間の立体障害は本触媒の場合あまり重要でないことなどが推察された。
  • 山田谷 正子, 加部 利明, 大場 昌明, 三木 康朗
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 227-231
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    MoO3担持量1~63%のMoO3-Al2O3触媒の表面酸性度をブチルアミン滴定法および気体塩基吸着法で測定した。12.5%以下のMoO3を含む触媒のアミン滴定法による酸性度はH06.8から-3.0まで一定値を示すが,27%以上のMoO3を含む触媒の酸性度はH06.8から3.3に分布がみられた。同触媒上へのアンモニア吸着量(平衡圧30mmHg)の200℃ から400℃ における温度依存性は,アミン滴定法によるH06.8から-3.0における酸強度分布と対応していた。
    200℃における吸着塩基は,排気(10-5mmHg)により容易に脱離する可逆吸着と脱離し難い不可逆吸着とに区別された。触媒を水素または硫化水素前処理すると塩基の不可逆吸着量は,いちじるしく増加した。
    以上の結果から,MoO3-Al2O3触媒における塩基の吸着状態と表面の酸性質について考察した。
  • 三木 康朗, 山田谷 正子, 大場 昌明
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 232-236
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニッケル-アルミナ触媒上でペンタン,ヘキサン,ヘプタン,およびオクタンの水素化分解反応を水素圧10atm,温度250~350℃ で行なった。初期分解生成物はおもにメタンと反応物より炭素数の一つ少ない炭化水素であったが,このほかにエタン,プロパンなども生成した。反応温度が増すとメタン収率は増大するが,そのほかの生成物の収率はいずれもある一定の温度で極大値を示した。ヘプタンの反応生成物の選択率におよぼす接触時間の影響を調べたところ,接触時間とともにヘキサンの選択率は減少しペンタンの選択率は増大した。またほぼ等量生成するエタン,プロパン,およびブタンの選択率の変化は少なかった。
    メタン収率とほかの炭化水素収率の間の関係を次式で定義されるXの値を用いて調べた。
    ここで, n は反応物の炭素数を表わし,Ciは炭素数iを有する成分の収率を表わす。260℃ におけるXの値はペンタンで1.48,ヘキサンで1.15,ヘプタンで0.97,オクタンで0.68であった。
    これらの結果から末端のC-C結合が選択的に切断してメタンと反応物よりも炭素数が一つ少ない炭化水素を生成する反応(I),反応物が完全にメタンにまで分解する反応(II),および末端以外のC-C結合が切断してエタン,プロパンなどの低級炭化水素類を生成する反応(III)が独立して起こると考えた。反応物の炭素数の増加につれて(II)の反応への選択性が減少し,(III)の反応への選択性は増大する傾向を示した。
  • 松木 健三, 滝沢 利枝, 佐藤 誠
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 237-242
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    グラファイト電極上に電析させて得た二酸化マンガン電極の,プロピレンカルボナート,テトラヒドロフラン,ジメチルスルポキシドおよびγ-ブチロラクトンなどの溶媒に過塩素酸リチウムを溶解させた電解質溶液中での陰極挙動を,おもに電位走査法および定電流放電法によって検討した。
    二酸化マンガンの電気化学的活性度は,その加熱処理条件によって大きな影響をうけ,空気中200℃付近で処理した二酸化マンガン電極の放電容量は最大で,室温乾燥および真空中加熱処理した場合にはほとんど活性を示さなかった。またカソード反応は用いた有機電解質の粘度によって影響をうける。
    放電曲線は一つの平坦電位を与え,放電過程で二酸化マンガンはほとんど溶解せず酸素不足型酸化物へと変化する。また,二酸化マンガンの電析電気量に対する放電電気量の割合から求めた見かけの利用率は,電析層が厚く,放電電流密度が大きいほど小さくなる。したがって,放電反応は二酸化マンガン固相内における反応が律速となっているものと考えられた。
  • 竹田 一郎
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 243-246
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    分離管出口とオリィフィス型流速計との間に長い中空遅延管を接続してやる方法により,ガスクロマトグラフ測定のさいの分離管出口での実際のキャリヤーガス流速変動の測定を行なった。ヘリウムをキャリヤーガスに用いると流速変動は, (1) 試料を急速に注入したためのもの, (2) キャリヤーガスよりも試料蒸気の粘度が低いためのもの, (3) 試料ピーク溶出にあたり,液相中に溶解していた試料が気相中に移ってキャリヤーガスと同時に溶出してくるためのもの,おのおのに原因する流速増加としてこの順に現われる。このとき,後の方に溶出するものでは,これらの流速増加は各原因別に分離できるが,エーテルのようにはやく溶出するものでは複合して観測された。
    また,定量分析誤差を減少させる目的で,通常の分離管の後に「液相量が入口から出口に向ってしだいに減少しているような特殊な分離管」を接続した場合についても検討を加えた。
  • 日野原 忠男, 天野 一雄, 松井 弘次
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 247
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クマリンの発ケィ光の機構を検討する目的でケィ光性に対する7-位の置換基および溶媒や温度などの外的条件の影響を調べ,結果をケイ光状態の性質やnπ*とππ*準位の相対位置関係から検討した。7-置換クマリンの最低励起状態(すなわちケイ光状態)はππ*で,かつ置換基からクマリン骨核への電子移動に対応する分子内電荷移動(CT)状態の性格が強い。ππ*準位のエネルギーは置換基の電子供与性の増大とともに直線的に低下し,同時にCT-的性格も大となる。ケイ光性は置換基の電子供与性とともに大となるが最大値を経て減少する。したがって電子供与基にはケイ光過程を促進する効果と阻害する効果の相反する二つの効果があることになる。促進効果は電子供与基の導入によりπ*準位が下がり,nπ*準位との間のエネルギー差が大になることに起因する。一方,阻害効果はケイ光状態のCT-的性格が大になるとイオン対的構造に近くなることによると考えた。ケイ光性に対する溶媒効果も,この二つの効果の重ね合わせで説明することができた。
  • 勝本 卓美, 稲垣 耕一, 伊藤 邦明
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 252-255
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヒドロペルオキシド(以下HPと略記する)の熱分解の難易と構造との関連を調べた例が少ないので,4種類の六員環構造をもった第二級HP,すなわちシクロヘキシル HP, 2-クロロシクロヘキシル HP, 2-テトラヒドロピラニルHP,1,4-ジオキサニルHPを合成し,ベンゼン中で熱分解させ,分解の速度定数,活性化エネルギーとエントロピーを求めて,これらの値と構造との関連性をIRおよびNMRスペクトルをも参考にして検討した。
    これら六員環をもつHPが酸素-酸素間で解離するさいの活性化エネルギーはいずれも30kcal/molにきわあて近く,環を形成している酸素原子の数や,それらの位置,あるいは環の立体構造による影響をほとんどうけていないことがわかった。しかし,1,4-ジオキサニル HP の場合,活性化エネルギーはほかのHPと変わらないが,その分解速度はほかにくらべて極度にはやくエントロピーが正値であった。これはHP基の酸素原子と六員環内の2個の酸素原子間の反発により生ずる現象であると推論した。
  • 宮野 壮太郎, 樋口 俊範, 佐藤 文俊, 橋本 春吉
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 256-260
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジアルキル亜鉛(R2Zn;R=Et,n-Pr,n-Bu,i-Bu)またはアルキル亜鉛ヨウ化物(RZnI;R=Me,Et,n-Pr,i-Bu)とヨードホルムとから生成する亜鉛-ヨードカルベノイド試薬によるベンゼン環拡大反応を検討した。ベンゼンからは環拡大生成物としてトロピリデン[6]および7-アルキルトロピリデン[7]が生成したが,この両者の相対的な割合は用いたアルキル亜鉛化合物のアルキル基の構造によりいちじるしい影響を受けた。すなわち,エチル基では[7a]が主生成物となるのに対してイソブチル基では[6]が圧倒的に生成した。またプロピル,およびブチルでは両者ともに相当量生成したが,MeZnIでは7-メチルトロピリデンのみが得られた。ジアルキル亜鉛を用いた反応ではこのアルキル基に由来するオレフィン[8]がトロピリデン[6]とほぼ同量生成することから,[6]は中間体のヨウ化トロピリウム[3]がアルキル亜鉛化合物のβ位の水素により直接還元されて生成すると考えられることを示した。ジプロピル亜鉛とヨードホルムを用いるアルキルベンゼン類の環拡大反応についても検討した.
  • 池田 功, 川向 茂, 岡原 光男, 小森 三郎
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 261-265
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パラフィンの酸化による高級アルコールを利用してカルボキシラート型洗浄剤製造の可能性を検討するため,フタル酸およびマレイン酸半エステルを合成した。合成条件ならびに半エステルと半エステル盧の性質を調べた。
    フェニレン基あるいはピニレン基によってカルボキシル基とエステル基を連結することで,半エステルの酸性度は増大した。マレイン酸誘導体のpKa値はラウリン酸のそれより1.50~1.79単位小さかった。
    1-および2-ドデカノールからのフタル酸およびマレイン酸半エステルのナトリウム塩は水溶液の表面張力を約30dyne/cmに低下させた。CMCはアルコールの水酸基の置換位置に依存した。たとえば,ヘキサデシル異性体についてみるとCMC値はマレイン酸エステルでは1-および2-ヘキサデカノールエステルで0.3×10-3mol/l,8-ヘキサデカノールエステルで1.0×10-3mol/l,また,フタル酸エステルでは1-および2-ヘキサデカノールエステルで0.3×10-3mol/l,8-ヘキサデカノールエステルで3.0×10-3mol/lであった。
    半エステルナトリウム塩の耐硬水性はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムとミリスチン酸ナトリウムの中間にあって,かなりよく改良されたと考えられる。
    フタル酸半エステルナトリウム塩は水中で安定であったが,マレイン酸半エステルナトリウム塩はエステル結合がやや不安定で1時間の微沸あるいは室温に数日放置すると20~35%の加水分解が見られた。
  • 安藤 靖子, 小川 峰夫, 末永 純一, 飯島 俊郎
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 266-273
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水に難溶な非イオン性モデル染料は,ポリスチレンスノレホン酸ナトリウム(PSSNa)を加えるといちじるしく可溶化されるが,その可溶化量は重合度によらずtスルホン化度の低いものの方が大きく,PSSNaの添加量にともなって直線的に増加する。p-アミノアゾベンゼン(PAAB)については透析平衡の結果に対応し,溶解度法と透析平衡法とは同種の量を測定しているものと考えられる。PSSNaのモノマーモデル,p-トルエンスルホン酸ナトリウム(PTSNa)とρ一エチルベンゼンスルホン酸ナトリウム(EBSNa)は,PSSNaにくらべて可溶化効果は小さい。また低分子可溶化剤(PTSNaとEBSNa)およびPSSNaの各水溶液へのPAABおよびp-アミノビフェニル(PAB)の可溶化量は,食塩を加えると前者は塩析され,後者は塩溶される。溶解度法と透析平衡法の温度変化の実験からr移行過程および結合平衡の熱力学的諸量を算出した。低分子可溶化剤では,ΔH > 0, ΔSu > 0, PSSNaでは, ΔH < 0, ΔSu < 0 の結果から水溶性高分子と低分子可溶化剤による可溶化機構の違いを検討した。
  • 林 輝幸, 飯田 博子, 織方 郁映
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 274-277
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    三酸化硫黄SO3によるアントラキノン(以下AQと略記する)のスルホン化における硫酸水銀および硫酸パラジウムの触媒活性を,溶媒を硫酸からスルホランに替えた場合について検討した。
    硫酸水銀を触媒とした場合,SO3-スルホラン系による反応では発煙硫酸による場合と異なり,ジスルホン酸などの翻生物がなく,α-およびβ-モノスルホン酸のみを与えたが,α体選択率は最高80%程度であり,長時間反応させるとα体からβ体への異性化が起きた。これに対し,可溶性硫酸パラジウムを触媒に用いると,α体が97%以上の選択率で生成した。
    硫酸パラジウムを触媒とする,SO3-スルホラン系による反応の条件を検討した結果,反応温度約110~150℃,SO3/AQ=0.5~1.0(モル比),PdSO4/AQ=2~3wt%において,α 選択性およびモノスルホン化率ともに最高の値が得られた。
  • 功刀 利夫, 横倉 茂, 橋本 穂
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 278-283
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ナイロン6の結晶固有複屈折(Δc0)を理論的計算と実験的外挿法により推定した。理論的計算ではBunnらの結合分極率値を用い,α 型結晶における原子配置をとるくり返し単位あたりの分子鎖について計算したところ,94.4×10-3の値を得た。一方,実験的外挿は結晶相,非晶相からなる二相モデルの仮定と全複屈折が両相複屈折と形態複屈折との寄与からなるとする加成関係を基礎として,低配向試料と高配向試料を用いる二つの方法によって試みられた。低配向試料を用いる方法では外挿値が約30×10-3と小さく,方法そのものに疑問があることがわかった。高配向試料を用いる方法では測定値が配向度の高い領域でしだいに一定値に収れんし,Δc0として78×10-3なる値が外挿された。この値はMorganの平均固有複屈折値73×10-3より若干高いが,本研究で得た結果のうちでΔc0としてもっとも妥当な値であると考えられる。さらにこれら理論的,実験的方法を適用するにあたって生ずる問題点と得られた結果について考察した。
  • 田村 紀義, 垣花 秀武
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 284-289
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレン系不均質強酸性陽イオン交換膜において,強酸性陽イオン交換樹脂の橋かけ度および粒子径がイオン輸率,比抵抗などの膜性能におよぼす影響について検討した。
    強酸性陽イオン交換樹脂の橋かけ度が小さいと膜中に発達するcavityが過大となり,比抵抗は小さくなるがイオン輸率が低すぎて実用的でなく,一方, 橋かけ度が大きいと膜中のcavityが未発達のため,イオン輸率は高いが比抵抗が大きくなりやはり実用的ではなくなる。したがって粒子径が149μ 以下(100メッシュ通過)程度では,強酸性陽イオン交換樹脂の橋かけ度は4から8程度が実用的である。
    また,強酸性陽イオン交換樹脂の粒子径が小さくなると,イオン輸率はあまり変わらないが,比抵抗のみが大幅に低下する。この事実はポリプロピレン系不均質強酸性陽イオン交換膜の製造においては非常に重要である。すなわち,ポリプロピレン系不均質強酸性陽イオン交換膜においては,強酸性陽イオン交換樹脂の粒子径は小さいほどf橋かけ度は可能なかぎり高いほど,膜性能バランスが良好であることが明確となった。
  • 中富 俊介
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 290-295
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イソプレンの3,4-重合触媒の成分として使用されるチタンアルコキシド(Ti(OBu)4)を用い,これに各種の有機アルミニウム化合物を組み合わせた触媒系についてイソプレンの重合活性およびポリマーのミクロ構造を調べた。
    その結果,ジエチルアルミニウムクロリド(AlEt2ClI)またはエチルアルミニウムセスキクロリド(AlEt1.5Cl1.5)と組み合わせた場合にのみcis-1,4含有量97%以上のポリマーが得られることが判明した。触媒系の組成および調製条件を検討したが,AlEt2Clを使用する系では重合活性が低いのに反して,AlEt1.5Cl1.5を使用する系ではきわめて重合活性が高かった。
    ほかに,Ti(OBu)nCl4-n捕なるTi(OBu)4の塩素置換体を合成し,それらについても各種有機アルミニウム化合物と組み合わせた系で重合を行なった。
    cis-1,4重合活性を示した数種の触媒系において,最適のAl/Tiモル比はそれぞれ異なっているが最適のCl/Tiモル比はどの系も9-12と一定した値を示した。
  • 中富 俊介
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 296-300
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イソプレンの,cis-1,4一重合触媒であるチタンテトラブトキシド[Ti(OBu)4]-ジエチルアルミニウムモノクロリド[AlEt2CI]系で,高重合と並行して低重合も進行することが判明した。この低重合体の約50%は二量体であって,主として2種類の異性体を含んでいる。それらの構造推定の結果,鎖状の2,6-ジメチル-1,3,6-オクタトリエン[1]と環状の2,4-ジメチル-4-ビニル-1-シクロヘキセン。[2]であることが確認された。二量化反応の速度論的検討および触媒系への2,2'-ビピリジル,またはトリフェニルポスフィンの添加効果の検討から二量化反応の開始機構を考察し,Ti(OBu)4-AlEt2Cl触媒系がイソプレンの高重合および低重合に対して多元的な活性点をもっていると推定した。
  • 小泊 満生, 佐和 進, 両角 清隆, 大北 忠男
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 301-304
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リチウムアルキルアミド(LiNR2)によるブタジエンの重合について検討した。炭化水素溶媒中LiNR2のみでは重合は起こらないが,ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)を添加するとLiNR2の反応性はいちじるしく増大し,おもに1,2-ポリブタジエンが生成した。すなわち,アミドに対し3倍モル以上のHMPAを加えると発熱的に重合が起こり,反応系は淡黄色から深赤色に変化した。ポリマーのミクロ構造は1,2-構造88~89%で,cis-1,4一構造は生成せず,またHMPAの量やアミドの種類には依存しなかった。ポリマー粘度の対数と触媒量の対数の間には直線関係が成立し,ブタジエンの重合後,さらにスチレンを加えるとブタジエン-スチレンブロック共重合体が生成した。したがって本重合はリビング型で進行するものと考えられる。
  • 伊良子 光一, 案西 司朗, 大西 章, 古州 淳二
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 305-314
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリジエンの分子量およびMooney粘度が増大する,いわゆる“分子童ジャンプ反応”が,ニッケル有機化合物~ 三フッ化ホウ素エーテラート~ トリアルキルアルミニウム触媒により得られたポリブタジエンに,少量のスチレン(a)および臭化 t-ブチル(b)を添加し,120~160℃のような高温下(c),ブタジエンの重合に使用したニッケル触媒が未失活の状態で(d)反応させることにより達成される。
    上述の(a)~(d)の条件は,本反応達成上必須であり,このうちの一つが欠いても反応は起こらない。
    生成重合体は,反応条件を選択することにより, 約2~3倍のMooney粘度のものが得られるが,微量のスチレン単位を含み,ゲルを有しない。その分子量分布は,反応前のポリブタジエンにくらべ,高分子量側が増大していることを示す。また, 生成重合体は油展可能であり,油展ボリブタジエンとして使用できる。
    本反応は,活性ニッケル触媒を介しての,ポリブタジエン末端に結合したスチリルラジカル同志のラジカルカップリング反応により進行するものと推定される。
  • 福田 博行, 遠藤 剛, 大河 原信
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 315-321
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-フェニル-1,3,4-オキサ(またはチア)ジアゾリン-5-ナン(またはチオン)[5a~d]と無水酢酸から得られたN4-アセチル誘導体[6a~d]は種々のアミンと室温で反応し,栢当するアミドを定量的に与えた。[6]類とシクロヘキシルアミンとの反応において,[6]類はp-ニトロフェニルアセタートの102~107倍の反応性を示した。また,チアジアゾリン類[6c,d]は対応するオキサジアゾリン類[6a,c]の4~50倍の反応性を示し,チオン類[6b,d]は対応するオン類[6a,c]の103~104倍の反応性を示した。[6]類のアセチル基のvc=o とlog k2(k2:シクロヘキシルアミンとの反応における二次速度定数)との間に直線関係が成立した。さらに,反応機構,溶媒効果について考察した。
    アシル基としてZ-Leu基をもつ[11 a,b]はHGlyOEtと反応し,ラセミ化することなくZ-Leu-GlyOEtを定量的に与えた。
    つぎに,オキサジアゾリンチオン構造をもつポリマー[13],[19]の合成について検討し,これらのアシル誘導体[14],[20]は有用な高分子アシル化剤になることがわかった。
  • 黒木 健, 沢口 孝志, 羽島 利生, 河島 徹, 池村 糺
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 322-327
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    プラスチック廃棄物の有効利用の観点から,熱媒体として過熱水蒸気を用いた固定床流通系常圧装置で,ポリプロピレンの熱分解ガス化反応を行なった。分解条件は反応温度500~650℃,滞留時間1.3~2.7秒,水蒸気希釈比0~3.1である。ガス化は比較的低温度領域で容易に進行し,プロピレンを第一成分とする多量のオレフィンを生成する。滞留時間2.7秒,希釈比3.1の条件下でプロピレンは600℃付近に極大値約26wt%を示し,650℃でエチレン,プロピレン,イソブチレンの合量は約40wt%,総ガス収率は約65wt%に達した。過熱水蒸気を用いたポリプロピレンの熱分解ガス化反応において,反応温度は重要な分解因子になるが,とくに滞留時間は分解成績に大きく影響をおよぼす。しかしながら,水蒸気希釈比の増加はあまり重要ではない。したがって,分解因子は反応温度および滞留時間に限定することができる。
  • 黒木 健, 沢口 孝志, 関口 優紀, 小川 太一, 久保 隆, 池村 糺
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 329-330
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    過熱水蒸気を熱媒体として用いる固定床流通系常圧装置によりポリプロピレンの直接ガス化反応を行ない,強度関数を誘導することによって,熱分解成績の予測の可能性を検討した。
    強度関数(1F)は,反応温度,滞留時間によって規定され,特定成分のメタン収率を指標として,実駿式IF=Tθ0.05が得られた。
    IFと生成物収率はよい相関性を示し,反応条件の選択によって分解成績の予測が可能であることが見いだされた。
  • 西崎 寛樹
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 331-335
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリスチレン約50gの熱分解を等温下で回分反応器を用いて行なった。分解温度240~385℃,大気圧下では反応容器内の不揮発物の量は時間とともに低下し,310℃以上では揮発性の生成物が得られた。これは常温下で液状のスチレンモノマーと二量体からなる分解油である。
    ポリスチレンの熱分解速度をその分子量分布の変化速度と留出速度から求めると,この反応は高分子が低分子化する反応(a),低分子化したものが三量体相当分子になる反応(b),スチレンモノマーと二量体とが留出する反応(c),の三つからなり,それぞれがつぎのような逐次不可逆反応として,近似的に取り扱うことができ,反応次数は一次と考えられる。dCa/dθ=kaCa,dCc/dθ=kC(1-Cc)それぞれの値は,
    ka, =1.7 2 e xp (37) × exp (-45.3 × 103/RT ) (1/hr) and kc=1.19 exp (39) × exp (-50 × 103/R T) (1/hr),Ea=45.3,Ec=50.0(kcal/mol)これらの速度比をとるとつぎのような温度の関数となる。ka/kc=0.19exp(2000/T)
  • 竹内 寛, 沼田 義文
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 336-341
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    異相間物質移動操作において,界両かく乱の存在は移動速度に大きく寄与するとされているQ本研究では,密度差による対流効果が無視できる液液接触系(三成分系および四成分系)を用いて,界面張力差によるかく乱,すなわちMarangoni効果の物質移動係数におよぼす影響を検討した。
    実験は,擬静止界面を通しての溶質の移動量を測定し,接触時間の1/2乗に比例するとした非定常拡散式に基づく物質移動係数の増大係数Fと,溶質濃度(推進力)の関係を求めた。
    その結果,Fは溶質の界面での平衡濃度と,液本体濃度が界面にあると仮定した濃度に対応する界面張力,γiとγbの差Δγに依存する。四成分系による2種の溶質の同時移動によりγiの一定条件下でΔγの依存性を求めた結果,(F-1)~(Δγ/γi)0.6の関係が得られた。また,界面張力の低下をもたらす溶質が第四成分として存在するとき,かく乱は促進されるが,その濃度が高くなると三成分系と同様に増大係数に極大値を示す。
  • 安部 郁夫, 古賀 城一, 黒木 宣彦
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 342-344
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Fluorescence spectra of 4-methyl-7-anilinocoumarin (MAC) and 4-methyl-7-diethylaminocoumarin (MDC) were measured in aqueous solutions of anionic surfactants. CMC was determined from solubilization curves of fluorescent probes in surfactant micelles. This CMC was lower than the value determined from specific electric conductivity. The polarity of the region where the solubilization of fluorescent probes took place was estimated by the measurements of quantum yield and maximum wave number of the probe in aqueous solutions of surfactants.
    MAC formed a complex with sodium dodecylbenzenesulfonate (SDBS) by a strong hydrophobic interaction below CMC. However, MDC did not form a complex with SDBS.
  • 桜庭 建, 小島 益生
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 345-347
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Phenylfluorone reacts with cobalt in the presence of zephiramine and sodium nitrite to form a blue water-soluble chelate. The absorption maximum was found at 645 nm and its absorbance was constant in the pH region 4.55-5.O. The molar absorptivity is 4.8 x 104 at 645 nm and the sensitivity is 0.0012 Co μg/cm2 for log (I0/I) (absorbance) = 0.001. This complex formation was applied to the determination of a microamount of cobalt. The calibration curve prepared at 645 nm was linear for the cobalt concentration up to 2.0 μg/ml.
    The composition ratio of cobalt to phenylfluorone in the complex was estimated to be 1 to 2 in the presence of both zephiramine and sodium nitrite.
  • 柴田 勝喜, 高瀬 福巳
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 348-349
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    By the reductive cleavage of N-N bond in N, N'-dialkylhydrazobenzenes N-alkylanilines is produced during gas chromatographic analysis (injection temp.: 300°C). The thermolysis temperatures of the above compounds, determined by differential thermal analysis, are lower as far as, about 70-80°C than those of the corresponding N, N'-diacylhydrazobenzenes and upon reduction of which with lithium aluminium hydride N, N'-dialkyl compounds are produced. The hydrogen source for the reductive thermolysis arises from water. The above two reaction is provide a convenient means for analyzing ring-substituted N-acyl- and N, N'-diacylhydrazobenzenes.
  • 市川 俊子, 加藤 清, 横山 和夫, 垣花 秀武
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 350-352
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    “Resin Spot Test” method has been applied to the detection of a minute amount of chromium (VI). A few particl es of the anion-exchange resin (Dowex 1-X1 [SO4]) were mixed with a drop of the sample solution on a white spot plate. After chromium (VI) was concentrated on the resin particles, the solution around the particles was removed by a piece of filter paper. On addition of a drop of O.2 N H2SO4 and a drop of 0.02% 1, 5-diphenylcarbonohydrazide, red purple color appears on the resin particles. The limit of identification is 0.0003 μg, and the dilution limit is 1: 108. Sn (II), Fe (II), Mo (VI) and W(VI) ions interfere with this test.
  • 伊藤 建彦, 菅原 登, 金田一 嘉昭, 高味 康雄
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 353-355
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The reaction of ferrocene with carbon dioxide in the presence of aluminum trichloride was investigated. It was found that the reaction was available as a simple and convenient meth o d for the preparation of ferrocene. carboxylic acid. In contrast to the reaction between alk y lben zene and carbon dioxide which requires relatively high reaction teniperatures and p r e ssures, the present reaction proceeds smoothly under mild conditions (e. g., 1atm, 50°C) to give ferrocenecarboxylic acid in good yields. From the results of the experiments, ferrocenec ar, boxylic acid seems to be formed via a complex of the type (C5H5)2Fe·(AlCl3)2·CO2.
  • 友井 正男, 栗田 博之, 小野沢 光雄, 垣内 弘
    1976 年 1976 巻 2 号 p. 356-358
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The polymerization of methyl methacrylate (MMA) initiated by organozinc compounds (R2Zn; R=C2H5, C62H5CH2, or C5H2) was carried out in dipolar aprotic solvent such as hexamethylphosphoramide (HMPA) or dimethyl sulfoxide (DMSO). The polymerization initiated by (C62H5CH2)2Zn or (C5H2)2Zn proceeds alone in the presence of large amounts of HMPA, while the polymerization initiated by (C5H2)2Zn does not occur under similar condition. The results obtained from the copolymerization of MMA with styrene initiated by (C5H2)2Zn indicated that the polymerization of MMA initiated by the organozinc compounds proceeds in terms of an anionic mechanism. It was concluded that the coordination of HMPA or DMSO to the zinc atom in R2Zn increases its ionic character of the zinc-carbon bond and induces the polymerization of MMA. The effects of the structure of R2Zn and the solvents on the reactivity of R2Zn were discussed.
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