日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1977 巻, 2 号
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  • 国枝 博信
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドの水への溶解機溝,溶存状態を検討した。水湘固体の融点(krafft点)は炭化水素鎖が増加しても単調に上昇しない。またKrafft撫点以上の温度で液体状態にしてからKrafft点以下にすると過冷現象が起きる。Krafft点以上の温度では系の状態は低濃度側から高濃度側にかけて,分子分散溶液,液晶が水相に分散した2相系,液晶領域(lamellar構造)が存在し,ミセル溶液はないか,あってもごく狭い濃度範囲である。ジナクタデシルジメチルアンモニウムクロリド水溶液の液晶が分散した2相系は青白く濁っているが非常に安定で1液相のようであるが遠心分離により2相に分離する。またこの系の吸光度は最初は濃度の増加にともない増加するが,液晶領域に近づくとふたたび減少する。液晶1相になる濃度はジドデシル,ジテトラデシル,ジナクタデシルジメチルァンモニウムクロリドについて,それぞれ~18,~3,~3.7wt%からである。
    このような溶解状態は同様に2本の長い炭化水素鎖をもつエーロゾルOT,レシチソの水溶液系と類似しているが,これはこれらの界面活性剤が通常のイオン性界面活性剤と異なり親水性,親油性のバランス(HLB)が適度なためと考えられる。
  • 上野 雅晴, 岸本 博, 中垣 正幸
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    エーロゾルOTの水1四塩化炭素二相分配におよぼす温度の効果が20~60℃の温度領域で調べられ,両相の熱力学的パラメーターに基づいて解析された。標準移行自由エネルギー(水相から四塩化炭素相)は,希薄濃度で平衡にある両相の直接的濃度測定により決定された。標準移行エンタルピーは,水および四塩化炭素に対する溶解熱測定から得られた。この値が自由エネルギーの温度変化から得られる値と比較された.両独立相の溶質の活量係数は,蒸気圧降下測定から得られた。標準移行エントロピーおよび熱容量は,標準移行自由エネルギーおよびエソタルピーの熱力学的解析から得られた。これらの熱力学的パプメーターは水構造に基づいて考察された。
  • 金子 克美, 石川 達雄, 井上 勝也
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 162-166
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    SO2を化学吸着した含水酸化鉄(α-Fe-OOH,β-Fe-OOH,およびγ-FeOOHI)の電気伝導度(dc,100Hz~10MHz)を,30~120℃の溢度範囲で,真空下で400kg/cn22の圧力をかけて測定した。SO2化学吸着試料の電気伝導度は,もとのもFのより低下した。とくに直流電気俵導度の低下がいちじるしい。γ-FeOOHではα-FeOOHとβ-FeOOHにくらべると低下が少ない。電気伝導の活性化エネルギーはSO2吸着によってあまり変わらない。そのため,SO2化学吸着によって,含水酸化鉄のキャリヤーであるd電子がトラップされると考えられる。各結晶形による電気伝導度へのSO2化学吸着の影響の違いは,表面=構造と残余結合性に関係づけられた。残余結合性は,Paulingの静電原子価則を用いて評価できることを示した。
  • 藤元 薫, 種村 慈樹, 功刀 泰碩
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担体に担持した金属ロジウムを触媒とし,大気圧下,170~250℃においてメタノールのカルポニル化反応を行なった。反応の進行にはヨウ化メチルが必要であった。金属ロジウムは活性炭に担持した場合にのみ注目に値する活性を示した。生成物は酢酸メチルが主体であり,酢酸も少量生成した。酢酸は酢酸メチルの逐次加水分解により生成するものと考えられた。酢酸の選択率は反応温度の上昇とともに増大した。カルボニル化反応の見かけ活性化エネルギーは8.5kcal/molであった。反応次数はヨウ化メチル分圧,メタノール分圧および一酸化炭素分圧についておのおの0次,1.0次および0.6次であった。この値は従来発表されている加圧,気一固系での次数1.0次,0次,0次と大幅に異なった。一酸化炭素の吸着はヨウ化メチルの存在によって弱められていることが観察された。反応経路は液相均一系と同様ロジウム金属に対するヨウ化メチルの酸化的付加,メチル基一金属聞への一酸化炭素の挿入によるアシル基の生成,アシル基のメタノールによる分解から成る一連の素反応によって構成されていると考えられた。加圧反応系ではヨウ化メチルの酸化的付加反応が律速段階であると考えられているが,常圧,活性炭担持ロジウム触媒上,200℃近辺の反応においてはアシル基めメタノールによる分解が律速的であると考えられる。
  • 村上 雄一, 林 邦明, 安田 孝司, 伊東 崇, 南 充, 宮本 明
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 173-180
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パルス反応法により各種金属酸化物触媒上でのNO-CO,NO-H2,NO-C3H6およびNO-NH3反応について研究した。その結果金属酸化物触媒がNO-CO,NO-H2,NO-C3H6およびNO-NH6反応活性に関してつぎの二群に大別されることが明らかとなった。Fe2O3,Cr2O3,CuO,CO3O4,NiO,MnO2およびSnO触媒(以下A群触媒と称す)は上の4反応のすべてに対して活性な触媒である。一方,V2O5,MoO3,WO3およびSnO2触媒(以下B群触媒と称す)はNO-COおよびNO-H2反応に関しては不活性であるがNO-C3H6およびNO-NH3反応に対しては活性な触媒である。A群触媒上ではNO-NH3反応におけるN2選択率はB群触媒の場合よりも低かった。A群触媒とB群触媒の相違はNO-NH3反応に対する流通法による速度論的な検討結果においても認められた。すなわち,V2O5(B群触媒に属す)については全反応速度=(ν)ccとなり,Fe2O3(A群触媒に属す)についてはνccとなった。これらの結果をもとに金属酸化物触媒上でのNO-CO,NO-H2,NO-C3H6およびNO-NH3反応の機構について若干ρ推論を加えた。
  • 森 聰明, 増田 浩之, 村上 雄一
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 181-185
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カーボン生成に関する特徴を明らかにするために,担持ニッケル触媒を用いて,パルス法を利用し,400~500℃の温度範囲でブタン分解反応の研究を行なった。
    ブタンの分解率はキャリヤーガス流速が一定のとき触媒量に比例しており,零次反応とみなし得た。いくつかの触媒で反応速度の温度依存性に異常が認められた。これらの触媒ではニッケル表面をおおい尽くすのに十分なカーボンが存在していても,高温域ではブタンの分解率は減少しなかった。これらの特徴は触媒の調製法や担体に関係するのではなくてニッケルの結晶性に関係付けられた。ニヅケル結晶粒子径の大きい触媒はArrheniusプロットに折れ曲がりがあり,高温域でカーボンが生成してもブタンの分解反応は妨害されなかった。
  • 松浦 二郎, 滝沢 正男, 佐々木 幸夫
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 186-190
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩碁性の弱い溶媒であるニトロメタンと塩基姓の強い溶媒であるジメチルスルポキシド(DMSO),N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)および炭酸プロピレン(PC)との混合溶媒を用いるとニトロメタンに対するDMSO,DMFおよびPCの混合比の増加につれてPb2+イオンの半波電位は負に移行する。混合比の変化によって生ずる半波電位のシフトからDMSO,DMFおよびPC中でのPb2+イオンの溶媒湘数を検討した結果,それぞれ5.7,5,9,5,8となり水和数(5.7)とよく一致した。したがってこれら3種の溶媒の溶媒和数は6であると考えられる。
    またPb2+イオンの溶媒和に対する生成定数を求めるとその対数値はDMSO(ドナー数29,8),DMF(26.6)およびPC(15.1)についてそれぞれ13,7,10,2,2.5となり,溶媒の塩基性をドナー数からみるとドナー数の大であるDMSOの場合に生成定数はもっとも大きくなることが示される。
    Pb2+イオンの拡散電流値(id)は3種の溶媒いずれについてもニトロメタンに対する混合比の増加につれて減少し,そめ減少の割合は混合溶媒の粘度(η)の大きいものほど大きくなることが観察された。そして,拡散電流値と粘度の平方根の値との積(idη1/3)は混含溶媒いずれの場合にも一定とならず,混合比の増加につれて減少し,PC系においてその減少はいちじるしい。この原因はPb2+イオンに溶媒和しているニトロメタン分子と,これら3種の溶媒の分子と置換するときニトロメタンに比較して分子量にもっとも大きい差のある溶媒であるPCの場合に,溶媒和Pb2+イオンの拡散係数の減少がもっども大きくなることによるものと解釈した。
  • 渡辺 信淳, 喜田 康, 川口 俊夫
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 191-193
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フレイク状天然黒鉛(20~50メッシュ)を発煙硝酸中に浸漬し,引きつづき100CC以上の温度で加熱処理することにより,はく離状黒鉛が得られた。これは,原料黒鉛よりも大きな比表面積と格子ひずみをもっている。また,はく離状黒鉛のフッ素化は原料黒鉛の場合よりも短時間で行なわれた。
    フレイク状天然黒鉛のフッ素化反応においては,反応過程で生成したフッ化黒鉛被膜中へのフヅ素分子の拡散が反応の律速となるのに対し,はく離状黒鉛では反応界面でのフッ素分子の解離が反応の律速となることがわかった。
    はく離状黒鉛承ら得られたフッ化黒鉛は,原料黒鉛から得られたものよりも面間隔が広く,結晶性もよく,しかも高いフッ素含有率をもつ
  • 潮 真澄
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 194-199
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本報告は,V2O5フラックス法によるエメラルド単結晶の成長過程での,成長時間による晶相変化について謎したものである。天然産べリルを種子結晶とし,大体球状型(φ5mmと10mm)と,不定方位切断あるいは定方位切断の角型(一辺5mmと10mm)とした。切断後,研磨した両型種子結晶の表面は滑らかであった。すべての実験は同一条件,すなわち1050℃,Δtが10℃で行なった。球状型種子結晶(φ10mm)を用いた場合,非常にはやい初期段階(5時間以内)では,m(1010)とc(0001)が優先的に発達した。8時間後では,c(0001),m(1010),a(1120),P(1011),o(1122),s(1121),u(2021),v(2131)とn(3141)が,c-面となす角度に近い種子結晶表面に出現した。10時間後にu-面,v-面と=n-面は消滅した。柱面の一つでミラー指数(3140)の,新しい面,仮称"g-面"がm-面とa-面の間に観察された。そして成長が進むにしたがって消滅した。o-面,s-面,p-面はおのおの200,250,275時間後に消滅した.最終面はc(0001)とm(1010)であり,エメラルド単結晶の形は第一六方柱となった。不定方位切断の角型種子結晶(一辺10mm)の場合,最初に観察された面はc(0001),m(1010)とa(1120)であった。ピラミッド面のp-面,s-面,o-面は24時間後に出現したが,s一面とo一面は165時間後に,P-面は270時間後に消滅した。最終面はc(0001)とm(1010)であった。一方,同じ大きさの,定方位切断の角型種子結晶の場合,一般に切断面がよく発達した。しかしc-面と高角度で傾斜しているu-面,v-面,n-面は100時間後に消滅した。o-面とs-面は300時間まで,またp-面は500時間まで残っていた。いずれの場合も,最終面は同様にc(0001)とm(1010)であった。
  • 楯 功, 大石 修治
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 200-203
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    PbO-B2O3混合フラックスを用い,LiGaO2粉末を溶質として,徐冷法によりLiGaO2およびLiGa5O8結晶を合成した。
    溶解度曲線によると,温度工300℃で約439のLiGaO2が1009のPbO(80mol%)-B2O3(20mol%)フラヅクスに溶解した。
    結晶合成は調合物を最高温度1300。cで5時間保持したのち,5℃/hrの冷却速度で500℃まで徐冷する温度条件下で行なった。
    LiGaO2およびLiGa5O8結晶はそれぞれPbO(100~60mol%)-B2O3(0~40mol%)およびPbO(55~15mol%)-B2O3(45~85mol%)フラックスから生成した。2種類の化学組成の結晶生成の原因は一部の溶質成分中の塩基性酸化物Li20とフラックス中の酸性酸化物B2O3の反応の程度の差によると思われる。
    ピクノメーター法によるLiGaO2およびLiGa5O8結晶の密度は4.24および5.819/cm3であり,それぞれの結晶の格子定数からの算定密度とよく一致した。
  • 服部 信, 岡 邦雄, 寺本 博
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 204-207
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リン酸二水素カリウムを尿素とともに熱分解したときに起こる反応と,生成する縮合塩の骨格に窒素が入る可能性について検討した。(NH2)2CO/KH204のモル比を変えた混合物を850℃で1時間加熱し,室温まで急冷したものについてその性状を調べた。生成物の窒素含量は尿素添加量とともに増すが,モル比5以上ではほぼ一定値(6wt%)であった。温度が高いためアソモニウム態窒素の量はきわめて少なかった。生成物の平均鎖長は,尿素無添加のときの230から等モル混合で約30に低下した。混合試料のDTAには,300℃付近にそれぞれ単独組成では認められない発熱ピークが観測された。混合試料を300℃で1時間加熱したもののIkスペクトルには,P-N結合に起因すると思われる吸収が認められた。850℃に焼成した生成物を再加熱すると,脱アンモニアによる縮合が起こる。これらのことから,末端にNH3馬基をもつ短鎖長の縮合塩が生成していると考えられる。尿素量の多い場合は,イソシアン酸や一酸化炭素など尿素の熱分解生成物による還元作用で,P-O-Pの切断が起こり,これも生成物の平均鎖長を低下させる原因の一つであると考えられる。
  • 坂井 悦郎, 山中 清二, 大門 正機, 近藤 連一
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 208-213
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    有機化合物のセメント水和反応速度への影響と,そのセメント粒子分散作用を研究するため,分子構造の異なる芳香族スルホン酸ナトリウムを用いて検討した。セメントの水和反応速度はコンダクションカロリメーターで求めた発熱速度曲線により,また分散作用については沈降管により求めた沈降速度から考察した。さらに両者をスペクトル法により求めた吸着量と関連づけて考察した。疎水基鎖長の短い芳香族スルホン酸ナトリウムは水和反応を遅らせず,ある程度以上の疎水基鎖長を有するものは水和反応を遅らせた。遅延効果を示すものの中で,末端にのみ親水基を有するものは,ある添加濃度から密な吸着が起こり水和反応を急激に遅らせた。また分散作用は添加濃度の上昇にともない,凝集→分散の過程を示した。一方,分子鎖中に親水基を有するものは粒子表面に平らな吸着を行なっているため,添加濃度とともに徐々に水和反応を遅延させ,ある程度以上の濃度では良好な分散状態を示した。
  • 室住 正世, 伊藤 好二, 中村 精次
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 214-217
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    65Cu濃縮銅をスパイクとして用いる同位体希釈法を,レニウムシングルフィラメントをイオン源とする表面電離質量分析法により行ない,渡良瀬川河川水を標準試料とする銅定量の研究室間クロスチェックに応用した。この場合,河川水中の主要成分の共存下で,試料水1g中の銅を定量することができた。
    試料水に65Cuスパイク,硝酸,過塩素酸を加え窒素気流中で蒸発乾固し,同位体交換平衡を達成させる。リン酸とシリカゲル混合溶液に溶解後フィラメント上に加熱固定する。同位体イオンビーム強度比(I63cu+/I65Cu+)を測定して銅量を求めることができる。試料水1gに0.5μgの65Cuスパイクを加えた場合に,10-15~10-15AのI65Cu+を得ることができ,I63cu+/I65Cu+の変動係数は0.3~2.2%であった。渡良瀬川河川水中の銅濃度として,58.6±0.5ppbを得た。本法の結果は他研究室による原子吸光法,中性子放射化法の結果とよく一致した。本法の定量感度は0.08ngである。
  • 大黒 紘
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 218-224
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    比較的低温フレームを用いるユウロピウムのフレーム分光分析において,過塩素酸アンモニウムが0。5mol/lの濃度で共存すると,空気一水素および空気一アセチレンフレーム中で過塩素酸アンモニウムを含まない場合に比較してユウロピウムの強度がそれぞれ約2.4および2.2倍増加した。
    約0.5molμ以下の塩酸,硝酸および過塩素酸の干渉は,過塩素酸アンモニウムの添加(0.5molμ)によって除くことができたが,硫酸とリン酸のいちじるしい減感干渉は除くことができなかった。
    種々の希土類元素およびアルミニウムを除く一般的な陽イオンの干渉も,同様な方法で完全に除くことができた。酸化カルシウム中に添加された酸化ユウロピウムは,試料を塩酸に溶解したのち過塩素酸アンモニウム共存下でフレーム分光分析すると,マトリックスの影響を受けずに定量することができた。
    本法の変動係数は,酸化ユウロピウム含有量が約1%の試料の場合,空気一水素および空気一アセチレンフレームについてそれぞれ1.1および2.5%であった。
  • 大黒 紘
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 225-231
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    空気-水素および空気-アセチレソフレームを用いるイッテルビウムのフレーム分光分析において,過塩素酸アンモニウムが大きな増感作用を示した。過塩素酸アンモニウムの影響は10縣7mol/lのような低濃度でも認められ,40鳳雲molμでは空気-水素フレームの場合は約5倍,空気-アセチレンフレームの場合は約21倍にイッテルビウムの感度が増加した。両フレームを用い,過塩素酸アンモニウム共存下で四ホウ酸リチウム結晶中に添加されたイッテルビウムを定量した。四ホウ酸リチウムはイッテルビウムに対していちじるしい減感作潮を示した。しかし過塩素酸アンモニウム共存下では,四ホウ酸リチウムの干渉を除くことが可能であり,イッテルビウムを感度よく高精度で定量することができた。
  • 田中 英樹
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 232-237
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フッ素やナトリウムのような軽元素のケイ光X線分析のための分光結晶としてKAP,RAP,TAPの適牲比較を行なった,分光結晶の選択条件としては,(1)反封強度,(2)SIN比,(3)角度分散能,(4)結晶からのケイ光,および,(5)結晶の安定性を評価した。
    角度分散能については,いずれの結晶においても面間隔がほぼ同じ大きさであるため同程度である。反射強度は実験的な相対比で,Na-Kα線の場合,TAP:RAP:KAP=100:59:33,F-K.線の場合,100:63:31であった。フッ素の検量線において,KAPによる検量線の強度切片はTAPのそれにくらべ約2倍高く,また,TAPによる検量線の傾斜角度はKAPにくらべ約4倍大きかった。それゆえ,TAPを使用して得た値はKAPで得た値にくらべより精度が良好である可能性がある。このことはセメント中のフッ素の標準偏差からも証明できる。セメント試料における検出限界はフッ素の場合,TAP,RAP,KAPでそれぞれ0.028,0.052,0.142%であり,ナトリウムの場合,TAP,RAPでそれぞれ0.004,0.009%であった。
    一方,精度と感度はガスデンシティースタピライザーおよび芯線クリーナーを装置した検出器を使用することによって改善され,ケイ光X線の強度変動および分解能の低下をおさえることができた。
  • 横山 佳雄, 荒井 真, 西岡 篤夫
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 238-244
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    FT-NMRにON-LINEで結合されたフロッピー。ディスクへ,連続するフリー。インダクション・ディケイ(FID)を高速で転送することにより比較的速い現象を追跡するシステムを利用して,13C-FT-NMRで通常行なわれている時間の流れにそった縦の積算でなく,時間に対して並列積算を行なうことにより,テトラク潔ロエチレン中での過酸化ベンゾイルの熱分解によるCIDNP(Chemically Induced Dynamic Nuclear Polarization)現象の情報を観測した。
    これにより,反応途中でわずかにしか現おれないCIDNPピークといままで競測されなかったテトラクロロエチレンのCIDNP現象を観測し,各CIDNPピークの時間変化を観測することができた,そして,ペンタクロロエタンは多反応経路で生成し,テトラクロロエチレンはかご外生成反応であることを示した。また,質量スペクトルとCIDNPスペクトルよりC6H5CO-0-Clの生威する可能性が生じ,質量スペクトルよりCCl2=CCl,ラジカルの存在する可能性が生じた。
  • 新藤 君男, 石川 澄雄
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 245-249
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩酸を触媒としてフランを反応させ,2種の四量体,4,7-ジ(2-フリル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]フラン[1]と2,4,4-トリ(2-フリル)-1-ブタノール[2]を得た。[1]を脱水素すると4,7-ジ(2-フリル)ベソゾ[b]フラン[3]が生成し,[2]をアセチル化するとアセタート[4]を生成した。[1]および[2]の構造は。種々の分析データから決定した。
    [1],[2]の生成機構としては,中間にテトラヒドロフラン環の2,5-位,2,4-位にフリル基が置換した2種のトリマーが生成し,これらのテトラヒドロフラン環が,酸で開裂してフラン1分子と反応,し,2,4,4-トリ(2-フリル)-1-ブタノール[8]および[2]を生成する。[8]は,さらにプロトンの付加と脱水により,1-位のフリル基と共役した安定なイオン[9]を生成し,4-位のフリル基のβ-位と分子内閉環した[1]を商生成する。[2]は,芳香環と共役したイオンを形成し得ないため,反応は進まないと推定した。この機構は,[8]と類似の構造をもつ1,4-ジフェニルー1-ブタノールと塩酸が反応して,分子内閉環した1-フェニルー1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン[12]が生成したことから,合理的と思われる。
  • 中山 哲男, 中村 悦郎, 小口 勝也
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 250-257
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2種あるいは3種の遷移金属塩と臭素化合物とからなる多元系触媒を用いて,酢酸中で酸素加圧下1,2,4,5-テトラメチルベンゼン(TMB)を酸化し,活性な触媒種を検索するとともに酸化度およびピロメリト酸生成率におよぼす酸素圧,触媒濃度およびTMB濃度などの影響を調べた。さらに,それぞれの酸化段階における生成酸組成を詳細に分析し,TMBからピロメリト酸にいたる生成酸組成の分布および酸化反応経路を明らかにした。
    ピロメリト酸生成活性の高い触媒として,Co-Mn-Br,CoCe-BrおよびCo-Mn-Ce-Br系触媒を見いだした。臭化物存在下におけるCo-MnおよびCo-Ceの相乗効果は,Coに対して0.01molのMnあるいはCe,Mnに対して0.1molのCoの微量添加によっても出現することを明らかにした。Co-Ma-BrあるいはCo-Mn-Ce-Br系触媒を用いた酸素圧20kg/cm2におけるTMBの初期酸化反応速度はTMB濃度に0次であった。しかし,酸化度およびピロメリト酸生成率はTMB濃度が低いほど増大した。酸化度に対する各種生成酸の分布図はピロメリト酸の選択率が非常に高いことを示した。
  • 蔵本 暢浩, 北尾 弟次郎
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 258-263
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アゾ染料の光退色機構に関連して,1-アリールアゾー2-ナフトール系染料[1]の溶液中における光退色反応が検討された。
    1-p-トリルアゾー2-ナフト-ルのメタノール溶液中,酸素気流下における光退色主生成物はρ-メチルアニソール,かアニス酸およびそのメチルエステルであった。そしてこの反応は,一重項酸素の光増感剤であるメチレンブルーの添加で加速され,逆にそのクエンチャーである1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを添加するといちじるしく抑制された。またこの光退色では-重項酸素の寿命が長い溶媒中ほど退色速度がはやくなる。これらの結果から,1-アリールアゾー2-ナフトール系染料の光退色においては一重項酸素による自己増感酸化反応の寄与が示唆され,光退色過程は主として-重項酸素が[1]の互変異性体であるキノンヒドラゾン構造を攻撃して不安定過酸化物[13]を生成し,これが分解して1,2-ナフトキノンとp-置換ベンゼンジアゾニウムイオンになり,後者がさらにメタノールと反応してメトキシ置換体を生成すると考えるのが妥当なようである
  • 渋沢 崇男, 斉藤 貴, 浜寄 卓哉
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 264-271
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アントラキノン系分敵染料[1]の一つのアミノ基窒素,アゾ系分散染料[8]のアゾ基窒素の塩基度(共役酸のPKa)は次式
    を用いると分光法によって簡単に精度よく求められる。
    ここで,εddHは中性およびイオン化した染料のモル吸光係数,εは溶液の見かけのモル吸光係数である。εdHが未知でもεaapと(εappd)10PHをプロットすると直線の勾配からPKaが得られる。
    [8]ではβ-位アゾ基窒素にプロトンが付加し,その塩基度はX,Y一位の置換基の種類および染料のカップリング成分のPKaに大きく影響される。
    [1]のアミノ基の塩基度は染料のキノン核に隣接する芳香族アミンの塩基度によって決まる。
  • 錦織 禎徳, 千田 貢
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 272-278
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピニロン/水界面の湿潤張力はポリエチレソナキシド(PEO)濃度の増加とともに増加するが,ある濃度以上ではほぼ一定値になった。この濃度を臨界吸着濃度(CAC)とした。分子量0.5×106,1.7×106および3.5×106のPEOのCACはおのおの0.05,0.01および0.0089/100mlであった。CAC以上の濃度の溶液からビニロン/水界面へのPEOの吸着量は,溶液内の実効半径Rhをもつ糸毬状分子の最密充てんによる単分子吸着層を仮定して計算した吸着量の2~3倍であった。CACでのピニロン繊維のζ電位は拡散=二重層内のすべり面が界面から単分子吸着層の厚さに等しい距離にあるとして計算したζ電位と一致した。CAC以下でのPEOによるピニロン繊維表面の平均被覆率をζ電位~濃度曲線から求め,その結果をFrumkinの吸着等温式で検討した。またCAC以上での吸着量とRbとから推定した吸着層の厚さはζ電位から計算したそれとほぼ一致した。これらの結果は,PEO分子はCAC以下の低濃度では溶液中と同じ形状で吸着し,それ以上の濃度では溶液側にセグメソトが伸びたループ型吸着をしているとして説明される。また吸着したPEOとPEO水溶液の繊維層での透過特性との閲の関連性もあわせて検討した。
  • 中富 俊介, 井上 俊宏
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 279-283
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    cis-1,4-ポリイソプレンのベンゼン,または,ヘプタン溶液を重合触媒として使用するTicl4-Al(i-Bu)3系と接触させるとポリマーの重合度が低下する現象が見いだされた。また,同じ触媒系によるイソプレンの重合反応中に,生成ポリマーの重合度が経時的に低下することも認められた。これらの現象は,触媒系自身の酸性質によるポリマー連鎖の切断反応に起因すると推定された。
    上述の反応を抑欄する目的で,通常,ポリマーの酸化防止剤として用いられる芳香族アミン類を重合系に添加してみたが,第二級アミンの場合にのみ効果が認められ,[η]で4程度の実用的ポリマーを得ることがで.きた。
    また,重反応の速度的考察から,添加した第二級アミソの触媒系への吸着平衡定数(K'N)それを使用して得られたポリマーの[η]の間に相関性があることが認められた。
  • 今中 利信, 芋川 敏明, 岡本 康昭, 桜井 克己, 寺西 士一郎
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 284-286
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The effects of cobalt on Mo03-Co0/Al2O3 catalysts have been investigated in relation to the behavior of adsorbed oxygen by means of ESR and X-ray diffraction methods.
    The addition of cobalt to MoO3/Al2O3 catalyst causes the stabilization of 0, - ads-orbed on the catalyst and inhibits the formation of MoO3 crystallite. The O3- adsorbed on heptavalent molibdenum of MoO3-CoO/Al2O3 catalysts is remarkably reactive for propylene.
  • 松下 寛, 石川 徳久
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 287-289
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Linear equations, taking into account the presence of certain strong acid or base, were proposed in order to determine simultaneously the concentration and dissociation constant of monobasic weak acids by using the results obtained by a potentiometric titration.
    The volume of titrant (Δv) equivalent to the weak acid, the volume of titrant (v6) equivalent to the strong acid, and the dissociation constant of the weak acid (K) can be determined by applying the titration data to the following equation and solving the resulted equations simultaneously:
    where z is a function of both the volume of titrant and the pH value, and aH is the activity of hydrogen ion.
  • 楠山 吉明, 池田 芳次
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 290-292
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    gem-Dichlorocyclopropanes were reduced easily by lithium aluminium hydride in boiling tetrahydrofuran to afford cis-trans mixtures of the corresponding monochlorocyclopropanes. The cistrans ratios were determined by GLC. The relatively high isomer ratios were obtained for the reduction of (2, 2-dichloro-cyclopropyl)benzene and 7, 7-dichloronorcarane in both of which a hydrogen atom in the substituent is close to the cis-chlorine atom. The reduction proceeds presumably via a synfacial mechanism in which the attacking hydride and the chlorine atom attacked are on the same side of the cyclopropane plane.
  • 井上 勝也, 染谷 淳一郎, 石川 達雄
    1977 年 1977 巻 2 号 p. 293-296
    発行日: 1977/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The SO2 adsorption isotherms of the precipitates obtained by culturing Thiobacillus Ferrooxidaris in iron (II) sulfate solution were determined by a gravimetric method. Although X-ray diffraction diagrams of dry precipitates were identical to those of jarosite (KFe3(SO4)2(OH)6), it was observed that the structure became amorphous by washing with distilled, water and the surface area increased accordingly. Only the crystalline products showed remarkably high adsorption for SO2 (1.32-1.51 mg/m2). A possible correlation between high SO2 adsorption capacity of the bacterial oxidation products and the layer structure of jarosite was inferred.
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