日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1977 巻, 3 号
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  • 掛川 一幸, 毛利 純一, 高橋 紘一郎, 山村 博, 白崎 信一
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 297-301
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Pb0,Na2CO3,およびZrO,とTIO,の共沈体との反応[(1-x) PbO+(x/2) Na2 CO3+(Zr,Ti)O2]により (Pb1-x Nayx-y)(Zr0.2, Ti0.7)O2型の新しいペロブスカイト型酸化物を合成した。最適焼成条件は800℃,1時間程度で焼成温度が1000℃以上の場合にはZrO2が分離した。ZrO2とTiO2に単独の酸化物を用いた場合には1000℃以下ではチタン酸鉛が共存し,単一相の化合物は得られなかつた。 (Pb1-x Nayx-y)(Zr0.2, Ti0.7)O2の構造は計算密度と実測密度の比較およびx線回折強度の計算値と実測値の比較結果から (Pb1-x Nayx-y)(Zr0.2, Ti0.7)O2の構造が妥当であることを確認した。ヒステリシスループは観察できなかったが,誘電率~温度特性において強誘電相 常誘霞相転移に対応すると考えられる拡がったピークが現われたので,このものが新しい強誘電体と考えられる。Δa/a,Δc/cおよび格子定数~組成との関係からA位置イオンの濃度にやらぎが考えられ,これに基づいて上記ピークの拡散を説明することができる。
  • 工藤 清, 杉田 信之, 竹崎 嘉真
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 302-309
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水酸化カリウム水溶液中,塩化パラジウム(II)触媒下で二酸化炭素と水素とからギ酸カリウムが高収率で生成することを見いだした。たとえば,水酸化カリウム1.9mol/l,塩化パラジウム(II)1g/lを含む水溶液中二酸化炭素圧40atm,水素圧106atm,温度240℃,3時間の反応条件下で充てん水酸化カリウム量に対して82.6mol%のギ酸カリウムが得られた。この反応について,触媒量,アルカリ濃度,二酸化炭素圧,水素圧および反応温度などの影響を速度論的に検討を行ない,この反応は炭酸水素イオンとパラジウムの水素化錯体との反応からなるとし,つぎのような反応機構を仮定して速度式を誘導した。
    a0m0:水酸化カリウム初濃度(mol/l),塩化パラジウム(II)充てん量(g/l),KH:溶液中への水素の溶解定数(mol/l・atm),PH:水素圧(atm)
    これから初速度式は下式のように誘導される。
    ここで,この式は反応諸因子の影響を定量的に説明し得る。
    これから求めた見かけの速度定数k'(l/min・g-cat)として,2.90x10-2(160℃),4.97x10-3(200℃),および平衡定数K3(1/mol)として28.4(160℃),13.15(200℃)を得た。また本反応の見かけの活性化エネルギーとして7kcal/molを得た。
  • 佐々木 義典, 木下 辰美, 植田 四郎
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 310-314
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リン蒸気圧100~760mmHgのもとで,反応醸600~700℃で粉体クロムのリンイヒ反応を閉鎖系で行ない,その速度を求めた。生成するリン化物は焼結するので,あらかじめα一アルミナ粉末を希釈荊として重量比Cr/Al2O3=2の割合で誠料に加えた。
    反応生成物をX線回折によって調べた結果,生成物としてCrPおよびCr3Pが認められたが,高次のリン化物であるCrP2の生成は認められなかった。反応の初期の段階において,反応は時間に対してほぼ直線的に進み,その後放物線型に移行することが明らがとなった。初期の反応は表面反応が律速過程であり,この速度定数をLangmuirの吸着等温式を用いて考察した結果,ガス状P4分子は四つのリン原子に解離吸着して反応に関与することが推定されだる後期反応においては,採用したすべての反応条件で,リン化率と時間との関係は近似的にJanderの式にしたがった。それゆえ,律速段階は拡散過程であるものと思われる。
    クロムのリン化反応は表面反応律速過程から拡散律速過程へと移行すると結論できる。
  • 森 聰明, 増田 浩之, 村上 雄一
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 315-319
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担持ニッケル触媒を用いてブタンの分解反応およびブタン-水蒸気反応を400~500℃の温度範囲で行'ない,K2CO3の添加効果を検討した。
    ブタンの分解反応に対してK2CO3は有効な効果を示さず,460℃でブタンの分解により生成したカーボンの組成K2CO3の存否に無関係にCH0.2と表わされた。一方,ブタン-水蒸気反応はカーボン析出による触媒活性の経時劣化がはげしいが,K2CO3を添加するといちじるしく改善された。しかし,同時にブタンー水蒸気反応の定常活性も減少した。
    ブタンと水がニッケル表面に競争吸着して反応が進行し水が存在しないか,もしくは水の表面濃度が小さいとぎは吸着ブタンが分解してカーボンになる反応機構で実験事実が説明された。
  • 秋元 正道, 市川 和義, 越後谷 悦郎
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 320-325
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Bi2O3にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物を添加した触媒を用いて,イソブチルアルデヒドの気相酸化脱水素反応を行ない,メタクリルアルデヒド生成に有効な触媒を見いだし,それら酸化物の添加効果および反応機構を検討した。気相酸素非共存下にこれらの酸化物の格子酸素とイソブチルアルデヒドの反応を行なったところ,高選択率でメタクリルアルデヒドが得られ,その添加量はBiに対し10~15atom%が最適であった.反応開始時におけるイソブチルアルデヒドの転化率とメタクリルアルデヒドの収率は一連の添加酸化物内で金属イオソの電気陰性度が小さい方が大きく,同様な規則性は気相酸素共存下の触媒的酸化脱水素反応および一酸化炭素の酸化反応においても観察された。またCs20-Bi2O3(Cs=15atm%)触媒がとくにすぐれており,,450℃における気相酸素共存下の友応でメタクリルアルデヒドの収率47.1%,同選択率65.5%を示した。これらの触媒上の一酸化炭素の酸化にとおける二酸化炭素およびイソブチルアルデヒドからのメタクジルアルデヒドの生成速度を速度論的に検討し・上記の規則性と合わせ,Bi2O3触媒のレドックス機構による格子酸素の脱水素反応への関与が提出された。一連の添加酸化物はその金属イオンの電気陰性度に応じてBi-O結合の強度を制御していると推定された。
  • 引地 康夫, 福尾 券一
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 326-329
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    pHが1~12の範囲の水溶液中で六方晶系CePO4を熟成すると,50℃以上のときに単斜晶系CePO4が生成した。単斜晶系CePO4の生成速度は溶液のpHが低くなるほど,溶液の温度が高くなるほど,速くなった。六方晶系CePO4は熟成が進むにつれて徐々に消失した。六方晶系CePO4を50℃の溶液中で熟成して単斜晶系CePO4を生成する場合,pHが1のとき約90日,pHが12のときは約900日の熟成時間が必要であった。単斜晶系CePO4の品質は出発物質の六方晶系CePO4とよく似た柱状結晶であった。20℃になると,六方晶系CePO4はpHが1の溶液中で約180日熟成すると溶解した。しかし,pHが2以上の溶液中では約900日間熟成しても安定であった。
  • 橋本 甲四郎, 戸田 善朝, 小林 雅博
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 330-335
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    チオ硫酸ナトリウム溶液とカドミウムの可溶性塩類溶液を加温して均一沈殿反応をさせ硫化カドミウムを製造したところ,この沈殿が硫黄コロイドを均一に吸蔵した微細な硫化カドミウムが約5μから15μmぐらいの径の球形に凝集した粒子であることを認めた。また製造時にエタノールを添加すると,添加量に応じて球径を2μぐらいまで小さく剣御でき,しかも明度の高いあざやかな黄色の色相の沈殿が得られた。そしてこの形状は550℃までの加熱に対しても球形をたもつことがわかった。
  • 橋本 甲四郎, 戸田 善朝, 佐藤 孝順
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 336-339
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硝酸カドミウム溶液に硫化水素ガスを反応させ,得られた沈殿硫化カドミウムについて空気中の酸化過程を検討した。沈殿硫化カドミウムは空気中でゆるやかに加熱すると約400℃より酸化開始するが,まず酸化カドミウムが生成しただちに生成二酸化硫黄ガスと共存酸素により硫酸カドミウムになる。以後加熱とともに2CdS・CdS4,Cd3SO6,高温型硫酸カドミウムが単独または混合して得られ,約1100℃で酸化カドミウムになる過程を認めた。また窒素雰囲気中700℃以上の温度で熱処理された硫化カドミウムは,その状態で急に酸素と接触すると酸化カドミウムが生成した。
  • 大石 修治, 遠藤 祐二, 楯 功, 山内 英俊
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 340-344
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    反応フラックス法によりKC1をフラックスとしてCaWO4(Scheelite)針状結晶の生成諸条件を検討した。
    結晶合成はCaCl2O3 H20,WO8,K2CO,およびKClを混合して得た調合物を最高温度1000あるいは1150℃で10時間保持したのち,5℃/hrの冷却速度で700℃まで徐冷する温度条件下で行なった。
    調合物からの溶質成分CaWO4の生成はつぎの反応によって示される。上記の生成条件下でCaWO,針状結晶が析出する。 CaCl2・H2O + WO8 + K2C08 + y KCl → CaWO4 + (2+y) KCl + xH2O↑ + CO2
    つぎの結果が得られた。
    (1)CaWO4針状結晶の生成はCaW04-KCl2成分系状態図における液相領域から徐冷する場合にかぎられた。
    (2)生成した針状結晶の長さは最大約2mmであった。針状結晶は絹糸状光沢を有し,その表面はなめらかであった。針状結晶の伸長方向は<001>あるいは<110>であると考えられる。(3)針状結晶の最大の成長速度の推定値は16x10-8μ/secである。
  • 川名 秀治郎, 仁平 一男, 中島 史登, 有川 喜次郎
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 345-349
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸素原子と各種化合物を気相で反応させるとき生ずる化学ルミネセソスを分析に応用することを目的として本研究を行なった。
    各種の窒素化合物,硫黄化合物,炭化水素などについてスペクトルを測定し,おのおのの検出下限を比較した。窒素化合物,硫黄化合物,炭化水素はそれぞれ610,300,310nmにピークを有する特有な化学ルミネセソスを放出する。これらの化学ルミネセンスはそれぞれ励起状態のNO2,SO2.アルデヒドから放出されるものと考えられる。この方法は窒素化合物,硫黄化合物,オレフィン化合物に対してとくに高感度であり,ppbレベルでの検出が可能である。
  • 上田 穰一
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 350-354
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    セミメチルキシレノールブルー(SMXB)によるトリウムの吸光光度定量法を検討した。トリウムーSMXBの呈色溶液は波長559~564nmに吸収極大をもち,pH2.9~3.4において一定最大の吸光度を示す。Beerの法則にはトリウム量2.2μg/mlまでしたがい,モル吸光係数は5.97×104,吸光度0.001に対する感度は0.0039μg/cm2である。また錯体の組成はトリウム:SMXB=1:2であった。共存イオンについては,アルミニウム,ガリウム,ヒ素(V),ビスマス(III),スカンジウム,イヅトリウム,ジルコニウム,バナジウム(V),モリブデン(VI),鉄(III),リン酸イオン,フッ化物イオン,シュウ酸イオンが妨害するが,アルミニウムはスルポサリチル酸の添加でマスクでき,鉄(III)の影響はアスコルピン酸の添加で除去できる。また,ビスマス(III)の妨害は生成する塩化酸化ビスマスの沈殿を演過することにより除かれる。
  • 犬塚 功三
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 355-361
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピリジンを母体とする4-置換ピリジンと,これらのピリジニウムカチオンおよび1-4-ジヒドロ-4-ピリジルラジカルの基底状態における性質をINDO法を用いて考察した。
    この結果,4-置換ピリジニウムカチオンおよびジヒドロピリジルラジカルの安定性と置換基の性質との間には関係があることがわかった。計算された安定性の目安としてリエネルギー差と置換基のHammett定数との間には相関性があり,4-置換ピリジニウムカチオンでは電子供与性の大きな置換基が導入されたものが安定であるのに対し,4-置換1,4-ジヒドロ-4-ピリジルラジカルは電子求引性の大きな置換基の導入によって安定性が増加する。ジヒドロピリジルラジカルの不対電子軌道エネルギーは電子供与性置換基の大きいものほど小さく,電子求引性基の大きいものは大きい。不対電子の分布はさきに求めたσラジカルのフェニルラジカル,ピリジルラジカルの不対電子の分布にくらべて非局在性が高いが,とくに4-位の炭素原子の電子密度が一番高い。
    超微細分裂定数の計算値は4-位の置換基によって大きな影響を示さなかった。分裂定数の値もさきのσラジカルに対する値よりも全体として小さいが,計算結果の実測値との一致は良好ではない。
  • 松村 昇, 八久 義雄, 河合 博, 大辻 吉男, 井本 英二
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 362-368
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    表題の反応は,2-イミダゾリジノンに結合する置換基および求核試薬の種類によっていちじるしく異ド なった生成物を与える。ブチルアミンが求核試薬のとき,置換基によって生成物はつぎのように変化する。(1)1-メトキシカルボニルー2-イミダゾリジノン[1a]では,イミダゾリジノン環の環内カルボニル基が反応点となって開環生成物を与える型の反亦(U攻撃反応)が優先する。(2)1-アセチルー2-イミダゾリジノン[4d]では,U攻撃反応と1-位のアセチル基のカルボニル炭素が求核攻撃を受ける型の反応とが併発する。(3)[1a]の3-位に置換基(C6H5,COOCH3)を導入すると,U攻撃反応は起こらず,1-位または3-位の置換基のカルボニル炭素が求核攻撃を受ける型の反応のみが起こる,(4)U攻撃反応が起こるためには,2-イミダゾリジノン環の1-位または3-位に,アセチル基やメトキシカルボニル基のような電子求引性の置換基が結合することが必要である。(5)1-メトキシカルボニルー`ゼ5-ペルヒドロシクロペンタ[4]イミダゾールー2-オン[7a]では,[1a]の場合と異なり,1-位のメトキシカルボニル基のカルボニル炭素原子が求核攻撃を受ける型の反応が主反応となる。(6)U攻撃反応はインシアナート中間体を経由して起こる。つぎにナトリウムベンゼンチオラートが求核試薬のときは,[1a]およびその誘導体はすべてメトキシカルボニル基のメチル基の炭素原子が求核攻撃される型の反応を優先する。
  • 高橋 忠雄
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 369-374
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    WO3-Sio2触媒上における1-ブテンの反応中に,60種の揮発性物質を微量のパルスとして添加し,触媒の不均化活性および異性化活性に与える影響について調べた。その結果,CCI4,CHCI3,ある種のBr化合物,およびアミン類に不均化を促進し,異性化を抑制する作用があること,水,エタノールなどでは不均化が阻害され,,異性化が健進されること,カルボン酸とその誘導体,ニトロメタン,ピペリジンなどでは,不均化と異性化の両反応が阻害されることなどが明らかになった。両反応を同時に促進する物質はなかった。顕著な不均化促進効果の認められた物質などについて実施した連続的な添加の実験の結果,パルスによる添加の効果と同様の効果を示すものが多かったが,異なる効果を示すものもあった。ハロゲン化合物による不均化の捉進は,添加物と触媒の相互作用によって生じた不安定な触媒の状態によるもので,添加物そのものは不均化を阻害すると考えられる。
  • 秋元 正道, 蓑宮 英-, 越後谷 悦郎
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 375-381
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    炭化ケイ素上のシクロペンタジエンとエチレンの気相反応を大気圧下反応機構と関連づけて研究した。反応はつねに炭化ケイ素上に炭索質堆積物の生成をともない,300~400℃では2-ノルボルネンのみが,500℃以上では1-および2-エチルシクロペンタジエンの等モル混合物が選択的に生成した。エチルシクロペンタジエン生成の反応機構を議論し,エチレン分子がシクロペンタジエンに付加し,つい,で水素原子の引き抜きと付加によって,エチルシク冒ペンタジエンが生成する機構を提出した。さらに570。Cにおける炭素質堆i積物上のシク揖ペンタジエンと重水素ガスとの反応において,重水素原子とシクロペンタジエン中の水素原子との交換が認められ,炭素質堆積物は水素移行に関与することが判明した。種々な不飽和炭化水素のシクロペンタジエンに対する付加反応速度定数を速度論的に決定したところ,その速度定数の序列はエチレン>アセチレン>ブタジエンであったgこれらの結果のもとにシクロペンタジエンへのそれら不飽和炭化水素の付加反応機構を考察した。
  • 横山 泰-, 新井 文夫, 岩本 英次
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 382-386
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    6,7,14,15-テトラヒドロピリド[2,1-ろ]ピリドa',2':1,2]ピリミド[4,5-9]キナゾリンー7,15-ジオン[4]の脱水素反応により表題のキナゾリン誘導体[2]を合成するとともに,顔料としての基礎物性を検討した。この反応の脱水素試薬としてニトロ化合物とキノン類を用いた。前者による反応はアルカリ存在下で行ない,脱水素とともに加水分解が起こり,中間体として2,5-ビス(2-ピリジルアミノ)テレフタル酸[5]が生じ,酸性条件下で[5]は容易に環化して定量的に[2]が得られた。後者による反応は酸性条件で行ない定量的に[2]が得られた。このときp-クロラニルを用いると[2]とテトラクロローp-ヒドロキノンの分子間化合物[6]が得られ,[6]を濃硫酸で抽出すると[2]が単離された。顔料[2]の色相はカドミウム赤に類似した鮮明な赤色であり,耐熱性,耐光性にとくにすぐれ,その他の顔料諸物性にもすぐれていた。このことから,カドミウム赤に代替可能な有機顔料として有望であることを見いだした。
  • 吉田 久良, 亀川 克美, 有田 静児
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 387-390
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    活性炭によるニクロム酸カリウム水溶液(6価クロムの濃度110ppm)からの6価クロムの吸着について,pHの影響,活性炭に吸着されたクロムのNaOHまたはHCl水溶液による溶離などについて検討した結果,つぎの結論が得られた,(1)6価クロムはpH4~6.5で活性炭に容易に吸着される。(2)6緬ク揖ムは活性炭にHCrOぺおよびCrOのような6価クロムの形で吸着される。(3)酸性側では6緬クロムは活性炭により容易に3価クロムに還元される。(4)3価クロム(クロム(III)イオン)は活性炭にほとんど吸着されない。(5)6緬クロムを吸着した活性炭を0.1N以上のNaOH水溶液で処理すると,吸着されたク律ムの100%が溶出し,溶出したクロムのほとんどすべては6価クロムであった。(6)6価クロムを吸着した活性炭を1NHClで処理すると,吸着されたクロムの90%が溶出し,溶出したクロムのほとんどすべては3価クロムに還元されていた。
  • 鹿田 幸治, 小幡 斉, 徳山 泰
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 391-394
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    p-アミノ安息香酸(PABA)のトリオースレダクトン(TR)に対する特異的な反応性に着目し,PABAを用いてTRの比色定量法を確立した。TR2~12μ91mz含有溶液Lomzに0,1m。1/1-PABA(1N塩酸)溶液3。OmJ,ジメチルスルホキシド5.OmZを加え,蒸留水で全量を1伍nJにし,20。Cで30分間反応後,TR-ジアニルの最大吸収値膿o詔430nmにおける吸光度からTR量を測定した。共存物質の影響を調べた結果,アスコルビン酸,レダクチン酸,糖類,有機酸,アルデヒド,K+,Ca2や,C。3+,Ni2+,Zn2+,Cd黎+は影響を示さなかったが,Cu2や,Mn2+,Fe8+Hg2+などはTRと同モル数またはそれ以下の存在でTRの検出を妨害した。また,本法の食品分析への応用として,熱処理によって生成する脱脂粉乳中のTR量の定量も可能なことが判明した。
  • 溝口 勝大, 辻 従一, 土田 英俊, 篠原 功
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 395-402
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリカチオンの7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(CQ)錯体の安定牲をCQ錯体の分解反応の究明によって明らかにし,導電性との相関について考察した。CQ錯体を大気中に放置して,比抵抗(p)の経時変化を検討した結果,p値は以下の順に増大することが認められた。電子スベクトルの結果かCQsimplesalt>CQcomplexsalt,溶液状態>固体状態ら,CQ錯体の安定性はCQアニオンラジカル(CQ7)の分解によること,また,H20が関与してCQ7がα,α-ジシアノーか(シアノカルポニル)-α-トルエニドDCTつに分解することを明らかにした。この分解反応によって,CQ錯体の導電キャリヤーである不対電子が消失されるばかりでなく,錯形成による導電経路が崩壊するためCQ錯体の導電性はいちじるしく低下したものと思われる。
  • 広瀬 正徳, 倉橋 常雄, 今村 喜夫
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 403-408
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    DMF-CuCI2などを用いた2,4,6-トリブロモフェノールからのポリロオキシ(2,6-ジブロモー1,4-フェニレン)の合成において,添加塩基および銅(五)塩の効果を調べ,その反応のメカニズムを検討した。この反応で重合収率は,-定時間後-定値をたもつが,分子量は時間とともに増加することが認められるので,その反応に頭-尾カップリング機構の存在が考えられる。塩基は,その種類や濃度変化の影響を検討した結果,触媒に配位するよりもモノマーに優先的に反応して,塩基の強度に比例してモノマーのイオン解離を促すとともに,脱HBrの促進効果を演じていることがわかった。また,銅(III)塩の触媒能は,銅(III)イオンと結合しているアニオンの種類によって変化し,Taftの置換基定数が,重合奴率と密接な相関関係にあることがわかった。
  • 内藤 郁夫, 林 直廣, 木下 尭博, 鉛山 洋-, 福西 興至
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 409-415
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化亜鉛(ZnCl窯)存在下でスチレン(式中ではStと略記する)と3-メチルー3-ラテンー2-オン(MIPK)とのラジカル共重合を研究した。1/2当量以下のZnCl2にMIPKは容易に配位し,おもに1:2型錯体(ZnCl,(MIPK)2)を生成した。MIPKのスペクトルはZnCI2昏の配位により,勘ずれも長波長側や低磁場側にシフトした。さらにこの系にスチレンを加えると二成分錯体(MIPK…St)と三成分錯体(ZnCl2(MIPK)2…St2)とを形成する。NMR連続変化法により,MIPKのスペクトル変化を測定した。測定値はMIPKまたはZnCl2(MIPK)2の化学平フトを基準に陵それよりシフト量の逆数を[St]-,または[St]2に対してプロットし,Hanna-Ashaughの式を用いて錯体形成によるシフト量と錯体生成定数とを求めた。二成分および三成分錯体の生成定数はクロロホルム中25℃においてそれぞれ0.16,約6.21であった。AIBN開始によるZnCl2-MIPK-St系のラジカル共重合ではSt-MIPK1:1共重合体とポリスチレンとを生成する。この重合系での共重合組成曲線と共重合体のNMRスペクトルから,この共重合体は1:1交互共重合体であった。これらあポリマーの収量はいずれもスチレンの仕込量が50~60mol%の場合に最大で,いずれも三成分錯体濃度に比例していた。これらの結果からジ三成分錯体の単独重合により1:1交互共重合俸が,またこの錯体はC-T錯体であるの鳩そのぬ蔀がイオン解離し生成したスチレンカチオンによりスチレンのカチオン重合が起こり,ポリスチレンがそれぞれ生成した。
  • 大野 泰雄, 佐藤 俊彦, 岸本 杉夫
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 416-420
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    インシアナート発生源とし,て,o-およびp-ニトロフェニル=カルパニラート(以下o-およびp-NPCAと略記する),o-およびp-クロロフエニル=カルバデラート(以下,o-およびp-CPCAと略記する)を用い,繊維状で高窒素含量のセルロース=カルバニラートを得る原応条件を求めた。もその結果,o-NPCAを用いた場合,反応時間15時間,反応温度120℃,反応系中の各成分の重量比が,Cottonリンター:ピリジン:o-NPCA=1.00:58.9:14.4(セルロースバトリカルバニラートを得る理論量の3倍)で最高窒素量7,66%のセルロース=トリカルバニラートを得た。
    また,o-CPCAを用,いた場合,反応時間10時間,反応灘度120℃,反応系中の各成分の重量比が,Cottonリンター:ピリジン:o-CPCA=1.00:58.9:13.7(ヤルロース=トリカルパバニラートを得る理論量の3倍)で最高窒素量7.02%を得た。同じ反応条件では,NPCA,CPCAともに,オルト体の方が,パラ体より反応性に富んでいることが明らかとなった。さらに生成した種々の置換度のセルロースカルバニラートにつき,X線回折図をとり,未反応で残存するセルロース1の結晶化度を測定し,反応過程の追跡を行なった結果,この反応は非結晶領域から結晶領域へと進行するきわめて不均一な反応であることを示す。
  • 坂井 徹, 大井 信一
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 421-426
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    懸濁気泡塔における気-液接触反応の物質移動抵抗を評価する目的で,パラジウムーアルミナ触媒によるα-メチルスチレンの液相水素化反応を行なった。
    物質移動抵抗のうち,気-液間抵抗(1/kLah)は単独に評価できるが,液-固間抵抗(1/ksaa)は反応抵抗を含む総括抵抗から分離しなければならない。水素の触媒表面濃度が化学反応速度と総括速度の比によって,ま塵反応抵抗と総括抵抗の比によって,ともに水素の気-液界面濃度に関係づけられるので,1/kLabの値と,通気ガキマゼ糟を用いて反応過程律速のもとであらかじめ求めた表面反応速度の値を用いて1/ksaa,を単離して評価できる。
    このようにして,両抵抗を別個に評価し,それぞれ懸濁気泡塔の操作変数(通気速度および触媒濃度)との関係を定量的に示した。また総括抵抗に寄与する各抵抗の割合と操作変数とめ相関性を求あた。ざずらに,ガスホホールドアップ,気泡径,気-液界面積および物質移動係数などと操作変数との関係を検討しほぼ妥当な結果を得た。
  • 田中 茂, 橋本 芳一
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 427-430
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    低濃度の二酸化硫黄定濃度ガス(0。01~10.Oppm)の発生方法を考案した.この方法は適当な緩衝液でpHを調製した亜硫酸水素ナトリウみ永溶液上に空気を通すことにより二酸化硫酸が発生することに基づいている。発生したガスは,清浄装置を通過した-定流量空気によって希釈される。二酸化硫黄の発生濃度は,亜硫酸水素ナトリウム溶液のpH,濃度,液温などに依存する。溶液からの二酸化硫黄の発生はpH7,0で始まり,pH4,0で大量のガス発生が起こる。溶液濃度と空気流中の発生ガス=濃度の間には,対数グラフ用紙上で,50~500μ9/mJの亜硫酸水素ナトリウム濃度範囲において直線関係がみられた。本法における温度に対する依存性は,パーミエーション管に比較してかなり小さく,温度に対する発生ガスの濃度の変動は0.O2-PPmノ。C(20~30。C,0.56PPm)であった。発生したガス濃度は,空気流の通気開始後40分以内で定常値に達し,数時間安定している。-例として発生ガス濃度が0.56ppmの場合,変動係動は2%であ箋った。
  • 小西 義昭, 西条 博
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 431-432
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Studies of certain higher calcium dicarboxylates, (CH2)n(C00)2Ca (n=4, 6, 8, 9, 10, 11, 12), were made by using the methods of TGA and DTA. These higher salts exhibited different melting behavior from that of lower calcium dicarboxylates, which decomposed thermally without melting. The melting points decreased with increasing n of methylene units in alkyl chains. The melting behavior was irreversible and the resulted melts were amorphous and exhibited a polymer-like property. The glass transition temperatures of the melts varied zigzag with increasing methylene units similarly as in the case of melting points of corresponding acids.
  • 山崎 仲道, 松岡 清
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 433-434
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The hydrothermal oxidizing of chromite was suggested as the possible new wet metallurgical method of chromium. One gram of chromite sample and 5 ml of solvent was added into the micro-autoclave (12 ml of inner volume) with ball for stirring and induced 100 kg/cm' of 02 gas and then was heated in a revolving furnace at temperatures between 150 to 350°C. Cr (VI) ion in the eluted yellow solution was determined by colorimetric analysis. The extractio ratio of Cr(VI) ion from chromite was 70% under conditions of 350°C, 50 minutes. But at above this temperature, higher extraction ratio of Cr(VI) ion from chromite is expected. Besides, the chromite slag containing Cr(VI) ion of few percents was reduced perfectly under hydrothermal condition, at 350°C, for 80 minutes. And then, it was expected that the hydro- thermal process is appliciable as the harmless wet metallurgy of chromite.
  • 宮田 敏行, 平島 恒亮
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 435-437
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Oxidation of 3-nitro-o-xylene with air in alcoholic alkaline solution was studied. Main reaction product was assumed to be 2, 2'-dimethyl-6, 6'-dinitrobibenzyl (MNB). MNB was obtained in high yield under following conditions: system; EtOH-KOH, amount of KOH; 8-10 fold of 3-nitro-o-xylene, reaction temperature; 2030°C, reaction time; 6 hours, flow rate. of air; 122 m/imin.
  • 円満字 公衛
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 438-440
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The Central Resarch Institute of Mitsubishi Electric Corporation; Amagasaki-shi 661 Japan The structure and motional state of chlorophyllin-poly (adenylic acid) complex were studied. Cu-chlorophyllin (Cu-chin) showed remarkable paramagnetic effects on proton relaxation rates of poly (adenylic acid) (Poly A). The longitudinal relaxation rates (T1-1) of the Cu-chln Poly A complex were measured. On the basis of these results, the apparent distance between the electron spin of copper and each proton of Poly A were calculated by the equation of copper and each proton of Poly A were calculated by the equation of Bloembergen, Purcell and Pound (H 8; 7.4A, H 2; 8.9A, H 1'; 12. OA). By comparing the above data with those of Cu-chinMP complex (H 8; 7.5A, H 2; 7.7A, H 1'; 8.211. ), the structure of Cu-chin Poly A complex was discussed. By comparing the temperatures at the minimum of T1B, it was found that H 8 or H 2 had slower motional speed in the presence of Cu-chin than in the absence of it.
  • 広瀬 正徳, 今村 喜夫, 倉橋 常雄
    1977 年 1977 巻 3 号 p. 441-443
    発行日: 1977/03/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    An effectiveness of a number of combinations of aprotic dipolar solvents and catalysts was examined for the synthesis of polyroxy (2, 6-dibromo-1, 4-phenylene) (POBP) from 2, 4, 6- tribromophenol. The polymer was obtained in high yields in solvents such as DMSO, DMA, arid DMF; however, the yield was poor in HMPA or CH, CN. The catalysts for the polymeriztion of 2, 6-xylenol, except for iron salts, were also found effective for the synthesis of POBP. Copp
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