水酸化カリウム水溶液中,塩化パラジウム(II)触媒下で二酸化炭素と水素とからギ酸カリウムが高収率で生成することを見いだした。たとえば,水酸化カリウム1.9mol/l,塩化パラジウム(II)1g/lを含む水溶液中二酸化炭素圧40atm,水素圧106atm,温度240℃,3時間の反応条件下で充てん水酸化カリウム量に対して82.6mol%のギ酸カリウムが得られた。この反応について,触媒量,アルカリ濃度,二酸化炭素圧,水素圧および反応温度などの影響を速度論的に検討を行ない,この反応は炭酸水素イオンとパラジウムの水素化錯体との反応からなるとし,つぎのような反応機構を仮定して速度式を誘導した。
a
0m
0:水酸化カリウム初濃度(mol/l),塩化パラジウム(II)充てん量(g/l),K
H:溶液中への水素の溶解定数(mol/l・atm),PH:水素圧(atm)
これから初速度式は下式のように誘導される。
ここで,この式は反応諸因子の影響を定量的に説明し得る。
これから求めた見かけの速度定数k'(l/min・g-cat)として,2.90x10
-2(160℃),4.97x10
-3(200℃),および平衡定数K
3(1/mol)として28.4(160℃),13.15(200℃)を得た。また本反応の見かけの活性化エネルギーとして7kcal/molを得た。
抄録全体を表示