日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1978 巻, 12 号
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  • 野口 駿, 中沢 文子, 吉井 恵子, 片田 とし子
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1591-1595
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    非イオン性界面活性剤を用いたO/W型エマルションの電気伝導性を検討するため,油相に流動パラフィンを,水相には脱イオン水または0.01mol/lKCI水溶液を,界面活性剤としてはソルピタン-脂肪酸エステル系のものを用い,種々の含水比のエマルションを調製し,低周波導電測定法により,10~100℃間で測定を行なった。従来用いられている分散系の電気伝導度に対する理論式は,0.01mol/lKCIを用いたエマルション系について得た結果にきわめてよく適合した。
    脱イオン水を用いたエマルション系では,その分散媒の伝導度が界面活性剤の含有量に比例すると考えるとやはり上記の理論式によく適合することがわかった。そこで,この系の伝導度は界面活性剤中の電解質不純物に主としてよるものと仮定して検討したが,こうした仮定に基づいて脱イオン水を用いた界面活性剤水溶液の伝導の挙動を十分に説明することはできなかった。
  • 小村 照寿, 高橋 光信, 今永 広人
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1596-1601
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化スズ(IV)の酸・塩基的性質が,過塩素酸塩溶液中でサスペンションの電位差滴定を行なうことによって研究された。水溶液中で煮沸処理してつくられた水和SnO2の沈殿は,pH3.6の無電荷点の両側で明白な両性を示す。このSnO2は高いpHでは,大きな表面電荷密度のためにコロイド粒子として溶液中に分散するが,スズ酸イオンとしてはまったく溶解しない。過塩素酸バリウム溶液中におけるOH-の吸着密度の測定によると,酸化物表面には酸解離しうる表面サイトが,SnO2の1kgあたり2,Omol存在するものと推定される。また表面酸解離定数の測定は,0.5mol,dm-3の過塩素酸ナトリウム溶液中における固有酸解離定数の値として,pKo=1.9,pK20=5.1を与えた。この値からSnO2表面が,同族のSiO2と比較して,よりイオン化しやすいことがわかる。電解質の種類や濃度が変わると,酸化物の表面電荷密度の値も変化するが,この原因はイオン化した表面サイトと電解質イオンとの間の表面会合によるものと推定される。
  • 中村 隆一, 市川 和登, 越後谷 悦郎
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1602-1606
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Re2O7-Al2O3触媒上で種々のオレフィンのメタセシスを液相(ベンゼン中)および気相で検討し,相対的な反応性,生成物分布および反応次数の変化を調べ,反応機構の考察を行なった。1-ヘキセンを標準とし競争反応法により求めたベンゼン中での直鎖状1-アルケン(C5~Cg)の反応性および反応次数は炭素数の増加につれて低下する。一方,室温付近での気相における反応性(C3~C7)は逆の序列を示し,その絶対値も液相の場合より大きい。反応次数の序列は同じであるが,その値は概して小さく,炭素数に大きく依存する。これらの相違は気相における反応性の序列には炭素数の増加にともなう物理吸着によるオレフィンの表面濃度の増加が寄与しているが,液相ベンゼン中の場合には反応性が比速度の変化を反映しているためである。生成物中のトランス体の割合は原料の炭素数の増加とともに増加する。ペンテン異性体の反応性は置換アルキル基にいちじるしく依存し,生成物分布,反応速度は反応する相手のオレフィンにより変化する。これらの反応性および生成物分布をアルキル基の立体障害という立場から考察した結果,四中心機構よりカルベン機構の方がすぐれていることが結論された。また,アルキル基同志の立体障害のほかに,アルキル基と触媒表面との間の立体的な障害も重要であることが示唆された。
  • 落合 康額, 大里 克明, 森 憲二, 松岡 洋夫
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1607-1611
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Fe2O3-SiO2,Al2O3,触媒上での酸素共存下におけるNOのNH3による還元反応機作を赤外吸収スペクトル,パルスおよび流通反応法などの手法により検討した。
    その結果,1)赤外吸収スペクトル測定結果からNH3は担持鉄化合物が関与する表面ピドロキシル基上にNH4+として吸着し,これがNOとすみやかに反応することを認めた。2)酸素パルスを送っても触媒表面上の化学吸着NH,量はわずか減少するだけであり,その状態も終始NH4+を保持した。3)上記の結果および流通反応器における実験結果から,NOのNH3による接触還元反応の主反応経路は本文中に記した(9),(13),(14),(15)の諸反応のくり返しであることを明らかにした。
  • 小原 英明, 横田 幸治, 藤谷 義保
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1612-1617
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    自動車排気組成類似のモデルガスを用い,流通管方式により,γ-Al203担持Ru触媒のNO還元反応を検討した。触媒層温度とNO還元生成物の生成量との関係は以下のようであった。
    300-330℃ : NH3>N2>N2O
    350-400℃ : N2NH3,1^1.20 500~600℃ : N2>NH3 (N2Oは検出されない)
    NO還元量とその還元生成物の生成量から計算した窒素バランスはつねに3%以内の誤差で一致した。NOの還元速度はNO濃度に関して,300~350°Cでは0次,400~600℃の範囲ではおよそ1次式で近似できることがわかった。NH3の生成は水性ガスシフト反応によって生ずる活性水素とモデルガスに添加したH2との両者によるが,高温域では後者が優勢であることが確認された。NOの還元にともないいったん生成したN2OとNH3とは以後の触媒層中で分解されることはなかった。この事実は,N2OとNH3とはガス相での中間生成物ではないことを示唆している。
  • 渡辺 信淳, 小山 哲, 喜田 康, 岩綺 又衛
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1618-1622
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々の雰囲気中で結晶性の異なるフッ化黒鉛にγ線を照射し,その影響について,DTA,IR,ESCA,X線回折および化学分析により検討した。
    フッ化黒鉛は真空中での照射に対してもっとも安定で,Ar,O2,H2の順に劣化の進行が速くなる。しかし,すべての雰囲気で少なくとも100Mradの照射ではフッ化黒鉛の性質はほとんど変化しない。結晶性のみがやや向上する傾向を示した。これ以上の線量で熱分解開始温度は低下し,ESCAからは酸素を含む新たな官能基の生成を示唆するピークが認められた。また,照射試料のIRスペクトルにはC-OHあるいはC-O-OHとC=Oの吸収がみられた。
    γ線照射により生じるガスはSiF4,GF4,CO2であり,酸素中での照射の場合にのみCOF2が生成した。劣化の初期過程はC-Fおよび層平面末端のC-C結合であり,フッ化黒鉛中に生じたラジカルは再結合により黒鉛構造にもどる。生成したFはガラス壁と反応しSiF4を生じる。また,C-C結合の切断により放出された炭素を含むラジカルは系内に多量に存在するFと即座に反応し,HFを生じ,酸素中ではペルオキシルラジカルが生成し,これはCO2あるいはCOF2に分解する。
  • 平尾 穂, 小林 孝
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1623-1629
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フッ素金雲母(KMg3AlSi3O10F2)-フッ素四ケイ素雲母(KMg2.5Si4F2)系において,固相反応による固溶現象を,単結晶,多結晶および配合物試料について,X線マイクロアナライザー,X線回折および走査電子顕微鏡観察により検討し,以下の結果を得た。
    (1)本系の固相反応は通常の固相反応と同様に拡散律速で進行し,その見かけの活性化エネルギーを単結晶および多結晶について求めた値は,それぞれ80,110kcal/molであった。(2)。本系の固溶体生成反応は,フッ素金雲母の四面体席のAl3+の一部とフッ素四ケイ素雲母の四面体席のSi+の一部が拡散によって相互に置換し,またフッ素金雲母の八面体席のMgz+の一部がフッ素四ケイ素雲母の八面体席の空孔へ拡散によって侵入するものと考えられる。(3)両雲母の配合物(1:1m。1%)において,粒径を変えた場合,固相反応は粒径が微細なものほど早く終結し,また各粒度における固相反応の完了時間の対数値と焼成温度との間には,直線関係がなり立つことを見いだした。さらに固溶反応が進行するにともない,雲母粒子は次第に丸みをおびながらなめらかな円形状を示し,固溶完了点では,六角板状結晶が明瞭に認められた。
  • 大石 修治, 山内 英俊, 楯 功
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1630-1634
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    徐冷法により,Ln2O3(Ln=La,Nd,Gd)-WO3-Na2CO33成分系からNaLn(WO4)2単結晶の合成を試み,透明な結晶を得るための溶液の最適組成領域を求めた。
    結晶合成のための温度条件はつぎのようであった。最高保持温度:1150℃,保持時間:10時間,徐冷速度;5℃/hr,徐冷温度範囲:1150~500℃。
    つぎの結果が得られた。(1)NaLn(WO4)2結晶合成の最適組成領域はLnaO3(5mol%)-wo,(65mol%)-NaaCO3(30mol%)を中心とする近傍の組成であった。(2)得られたNaLn(WO4)2結晶の最大の大きさは約4mm(La,Gd)および6mm(Nd)であり,それらの色は無色透明または白色(La,Gd)および赤紫色透明(Nd)であった。また,これら三者の結晶の形態は八面体あるいは十面体であった。(3)NaLn(WO4)2結晶の格子定数は,a=5.358A,c=11.64A(La),F5.30.A,C=11.52A(Nd)およびα=5.24QA,C=11.36A(Gd)であった。(4)NaLn(WO4)2結晶の実測密度は,6.55(La),6。78(Nd)および7.2,(Gd)91cm3であり,算定密度(6.54,6.80および7.2091cm3)とよく一致した。(5)DTAによるNaLn(WO4)2結晶の融点の測定値は,1215±5(La),1235±5(Nd)および1232±5(Gd)℃であった。
  • 引地 康夫, 福尾 券一, 塩川 二朗
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1635-1640
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    粉末X線回折によれば,ハットン石(単斜晶系ThSiO4)と単斜晶系Ca0.5Th0.5PO4はモナズ石(主成分は単斜晶系CePO4)と同一構造であった。CePO4-ThSiO4系ならびにi-Ca.5Thi系を空気中1400℃で7日間加熱すると,完全固溶体が得られた。固溶体の化学式はCe-ThPi-,Siの04またはCe,Ca,5Th で表わすことができた。Thの量が多くなるにつれて,固溶体の密度は増大し,単位胞容積は減少した。Thを含まない天然モナズ石はまれである。天然のモナズ石のThとSiのモル比は1:1のものが多く,(Ce,fihx)P,SiのO4で示される固溶体の例と考えられる。また,異常なモナズ石として,Bowieら(1953)によって報告された(Ro.4,Cao.7,Tho.29,U.3,Pbo)(P.91,Si8)04の組成のものがある。この,いわゆる異常なモナズ石は(Cei,Tho.5)PO4で示される固溶体に近似した例であると考えられる。
  • 土屋 正臣
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1641-1645
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピリミジン環に-C(=O)-C(NO)-C(=O)-の共役系を有する化合物はいずれも鉄(II)と呈色することを見いだし,この場合の置換基効果がどのように錯体生成に影響を与えるか種々検討した。これらの中で,新しく合成した2-チオキソ-5-ニトロン-1-メチルペルヒドロピリミジン-4,6-ジオン(TNMP)はもっとも鋭敏迅速に発色して妨害イオンの影響も比較的少ないことがわかった。TNMP-鉄(II)錯体の生成につき基礎的な諸条件を検討して微量鉄の定量方法を確立した。最終pH10においてTNMP-鉄(II)錯体は波長660nmに極大吸収を有し,Beerの法則には鉄濃度3ppmまでしたがう。モル吸光係数および吸光度0.001に対する感度は2.66×104l・cm-1・mol-1および2.10×10-1であった。錯体の組成を検討した結果,金属:TNMPF1:3と推定した。
  • 丸山 正生, 掛本 道子
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1646-1649
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ウォール・ジェット電極を用いたボルタンメトリー検出器を微量アミノフェノール異性体の定量に利用した。アミノフェノール異性体は固定相にμ-ボンダパックCl8,溶離液に0.1mol/dm3の過塩素酸溶液を用いることによりたがいに分離した。検出器の設定電位は+1.0Vvs,SCEで測定した。
    m-アミノフェノールの場合,2×IO-10~2×10-7gの間で濃度と電流の間で直線性があり,最小検出量は2×10-10gであり,o-,p-アミノフェノールについては5×10-10gであった。ボルタンメトリ_検出器はUV検出器(254nm)にくらべて高感度であった。多量のm-アミノフェノール中の微量のオルト体,パラ体を設定電位を変えることにより選択的に検出,定量でき,この場合の検出限界はほぼ10ppmであった。さらにこの方法を高純度アミノサリチル酸中の不純物であるアミノフェノールの定量に応用した。
    ボルタンメトリー検出器はアミノフェノールのような電気化学的に活性な物質の高感度で選択的な検出に有用であった。
  • 北村 桂介, 青木 千春, 榎本 康博, 飯野 ヒデ子, 穂積 啓一郎
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1650-1654
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    グロー放電による酸素プラズマを用いてオレイン酸メチルの酸化を行なった。3時間反応させると原料の96%が酸化されたが,試料重量はほとんど変化なく反応は燃焼まで進まず酸化生成物が蓄積されていた。反応はオレイン酸メチルに関して一次速度式で表わされ,酸化は試料表面で行なわれるが試料は拡散,対流により十分混合されているため,表面における濃度と試料本体の濃度は等しいと考えられる。30分間酸化した試料について,ガスクロマトグラフィーより生成物は3種類あることがわかった。カラムクロマトグラフィーを用い生成物を原料から分離したが個々に単離はできなかった。13C-NMRスペクトルから生成物はエポキシドとケトンを含み,エポキシドは2種類あることが判明した。別途合成したものの13C-NMRスペクトルおよびガスクロマトグラフィーから,生成物はcis-9または10-エポキシステアリン酸メチル,trans-9,10-エポキシステアリン酸メチル,および,9-または10-オキンステアリン酸メチルであることがわかった。これらの生成物が生ずることは酸素付加にともなって転位が起こっていることを示している。
  • 土屋 徹, 安藤 守靖, 今村 寿一
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1655-1660
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    スチレンの過酢酸酸化によって,1-フェニル-1,2-エタンジオールおよびスチレンオキシドを得る反応を実際に工業化するにさいして必要な条件選定を行なった。1-フェニル-1,2-エタンジオールを好収率で得るためには,過酸の十倍モル以上の水を添加する必要がある。溶媒,過酸スチレン濃度比,酢酸濃度,温度などの影響を調査し,最適条件を酢酸エチル中,スチレン1.0mol/l,過酸1.0~1.2mol/l,水15mol/l,酸性触媒存在下と決定した。スチレンオキシドを好収率で得るには,酢酸濃度,水濃度を低下させねばならない。溶媒,反応温度の効果とともに,アセトン-酢酸系を溶媒として,目的物と副生物の生成分布を調べた。
    両者の反応で中間体,および最終生成物であるスチレンオキシドを,加溶媒分解し,副生物の生成を確認した。副生物は,1-フェニル-1,2-エタンジオールのモノアセタート類であり,アセトン存在下では2,2-ジメチル-4-フェニル-1,3-ジオキンランが特徴的に得られた。
  • 田中 竜雄, 小沼 陽之, 大田 正樹
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1661-1665
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パラジウム炭素触媒を用いて4-ベンジル-2,6-ピペラジンジオン誘導体[1]を水素化分解し,目的とした数種の4-非置換2,6-ピペラジンジオン[2]が収率よく得られた。つぎに,1-フェニル-2,6-ピペラジンジオン[2b]のアミンとしての反応性を種々検討して以下の結果を得た。[2b]の準アルキル化は塩化ベンジル,臭化フェナシルなどの反応性の大きい試薬では起こるが,一般のハロゲン化アルキルでは起こらなかった。[2b]を炭酸カリウム存在下,アセトンおよびメトキシクロロメタンと反応させ,その4-(3-オキソブチル)誘導体[3]が得られた。また,[2b]を氷酢酸と加熱し,1,4-ビス(フェニルカルバモイルメチル)-2,5-ピペラジンジオン[4]が得られた。
  • 安達 和郎, 田中 寿一
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1666-1669
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-インプロペニルナフタレンは硫黄と加熱すると,炭化水素1-インプ揖ピルナフタレン,縮合複素環化合物1-メチルナフト[2,1-b]チオフェン[1a]および4-(1-ナフチル)-1,2-ジチオール-3-チオン[3a]の混合物を生成した。同様に2-インプロペニルナフタレンは硫黄との反応で2-インプロピルナフタレン,3-メチルナフト[1,2-b]チオフェン[2a]および4-(2-ナフチル)-1,2-ジチオールー3-チオン[3b]を生じた。[a]および[2a]はそれぞれ2-プロモー1-メチルナフト[2,1-b]チオフェン[Ib]および2-プロモー3-メチルナフト[1,2-b]チオフェン[2b]を経て1,2-ジメチルナフト[2,1-b]チオフェン[1c]および2,3-ジメチルナフト[1,2-b]チオフェン[2c]とした。また1-プロモー4-インプロペニルナフタレンからは5-プロモー1-メチルナフト[2,1-b]チオフェン[6]が得られた。
  • 玉井 康勝, 西山 誼行, 萩原 弘之
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1670-1674
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    活性炭にニッケル塩を含浸させてからH中で昇温し,ガス化反応に対するニッケルの触媒活性を調べた。400~700℃と800~1000℃の2領域でCH4生成が活発になるが,両者はニッケル量依存性活性炭前処理効果,原料塩種の効果などが異なり,異なる反応機構で進むものと考えられる。未処理の活性炭にNi(NO3)2を担持させるとニッケル量1.5%付近までは低温域の転化率が小さいが,それより高濃度のニッケルに対し転化率が急増する。硝酸処理で表面酸性点をさせると不活性なニッケル分が約4%まで増加したが,それ以上のニッケル分の活性は未処理試料に対するものより大きい。Ni3CO3(OH)4(アンモニア水より含浸)もNi(NO3)2に近い活性をもつが,その他のニッケル塩はおおむね低温域の活性が小さかった。しかしNic1,を含浸した試料でガス化時の試料量を少なくすると低温域転化率が大きくなり,これは還元温度が下がってニッケルの分散状態がよくなったためと推定した。反応中間状態での試料の見かけの磁化率は低温域のガス化とともに増大し,高温域のガス化とともに減少して,反応中にニッケルの分散状態ないしは結合状態が変化していることを示唆した。
  • 三島 茂次, 酒井 寛吾
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1675-1697
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ビス(グリシナト)銅(II)を2倍モルのアセトアルデヒドとの付加体としたものを,メタノール中で水酸化カリウムと反応させて得られた銅(III)キレート化合物を硫化水素によって脱銅し,アミノ酸C6H1204N2,H2Oを得た。ビス(グリシナト)銅(II)とアセトアルデヒドの付加体からの収率は54%であった。
    このアミノ酸は,ホルモル滴定および水酸化ナトリウム水溶液による滴定曲線から,2個のカルボキシル基を有すること,硫酸あるいは塩酸によりグリシンとトレオニンなどに分解されること,およびNMRやIRスペクトルの解析結果から,α-アミノ-β-(カルボキシメチルアミノ)酪酸であると結論した。さらに,付加体の構造を調べ,あるいはトレオニナト銅(III)からこのアミノ酸が生成する可能性を確かめることにより,このアミノ酸の生成経路について考察した。
  • 松尾 昭彦, 宇都 生隆, 児玉 淳郎, 中山 充, 林 修一
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1680-1685
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    苔類のテルペノイドに関する研究の一環として,今回オオホウキゴケのメタノール抽出物から,2種の新ジテルペンアセタートを単離した。種々の化学反応を行なって,アルコール体としての単離がすでに報告されている(16R)-ent-45-オキンカウランー11α-イル=アセタート[4]およびent-15-オキンカウレンー11α-イル=アセタート[5]であることをそれぞれ決定した。
  • 成智 聖司, 田中 誠次, 田村 嘉廣, 三浦 正敏
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1686-1689
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸カルシウム(CaMA)を固相で230℃,3時間加熱し,メチルエステルとしたものは二量体として,α-メチレン-δ-メチルアジピン酸ジメチル[2]と三量体として,1-ノネン-2,5,8-トリカルボン酸トリメチル[4]を与えることを既報で報告した。しかし,メタクリル酸カルシウムの150~190℃での加熱ではα-メチレン-γ,γ-ジメチルグルタル酸ジメチル[1]および[2]の2種の二量体を与え,上記の温度範囲では加熱温度の低い方が[1]の生成が増加する。また,200°C以上の加熱では[2]と[4]だけが生成し,[1]はまったく生成しない。150~230℃での加熱処理したメタクリル酸カルシウムのX線回折から[1]の生成はメタクリル酸カルシウムの結晶構造がたもたれている範囲で起こり,[2]の生成は結晶配列がかなり乱れても進行することがわかった。
    メタクリル酸カルシウムとイン酪酸カルシウム(CaIB)の結晶を混合したものは,両者の混合割合には無関係に二,三量化が起こる。それに反して,メタクリル酸とイン酪酸の混合物と水酸化カルシウムの中和で得られた塩では,イン酪酸の混合比が大きくなると,二,三量化はいちじるしく減少した。
  • 根岸 直樹, 鈴木 亨, 篠原 功
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1690-1695
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    露光後,加熱処理により感度の増幅が可能な光不溶化型感光性高分子の開発を意図して,臭化ビニル(式中ではVBrで表わす)-ビニルアルコール共重合体とp-アジド安息香酸クロリド,1-アジドナフタレン-6-スルホン酸クロリドとの縮合反応により,臭化ビニル単位を有するアジドポリマー[1],[2]をそれぞれ合成した。
    [1],[2]とも紫外線照射によりアジド基が光分解してテトラヒドロフランに不溶となった。感度は[1]よりも[2]の方が良好であった。光照射後のゲル分率はアジド組成の増大にともない上昇し,露光段階での感度はアジド組成に依存することがわかった。アジド組成がほぼ同-の場合には,臭化ビニル組成の大きい系の方がゲル分率は高かった。IR測定からアジドポリマーの臭化ビニル単位も光により脱臭化水素反応してC=C結合を生成することが認められ,臭化ビニル単位もゲル分率の増大に寄与すると考えられる。
    露光後80℃以上で加熱するとゲル分率の増大が認められ,加熱による感度の増幅が可能であることが確認された。加熱によるゲル分率の上昇は,露光段階での感度が低い系ほど大きくなることがわかった。また電子スペクトル測定からこの熱増感効果は,露光段階で生じた臭化ビニル単位のC=C結合に基づくものと思われる。
  • 立上 義治, 安村 友秀, 谷口 五十二, 池田 恒太
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1696-1705
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリオレフィン/エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)組成物の分散形態を電子顕微鏡で観察し,少量成分のEVAはポリオレフィン中に粒子径1μ以下の微粒子として分散して良好な相溶性を有することを認めた。この事実から,アインタクチックポリプロピレン(IPP)に対し,染料とイオン結合あるいは水素結合形成能を有するコモノマーとの共重合によって得たエチレン共重合体を添加した組成物め溶融紡糸によって,易染性IPP繊維製造の可能性が推定された。
    IPP/エチレン-含窒素コモノマー共重合体組成物の溶融紡糸によるIPP繊維の染色性改良を試みた結果,IPP/エチレン-2-(ジメチルアミノ)エ4ル=メタクリラート共重合体繊維は,酸性染料および含金属染料に易染性で,かつ,良好な染色堅ロウ度を有することを見いだした。また,酸化防止剤の酸化防止能と最高被占エネルギー準位の関係から,溶融紡糸プロセスに有効な2種の酸化防止剤を見いだした。
  • 山岡 到保
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1706-1711
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    広湾パルプ排水入域の堆積換クロロホルムで抽出し,シリカゲルクロマトグラフィーで分別したのち,GC-M5およびGC分析で検討した。パルプ排水中の有機物に汚染された堆積物中には,特徴的な有機化命物とロンギホレン,イソピマラジエン,デヒドロアビエタン,レテンなどのテルペン類の存在を明らかにした。その他の齢物として詣肪酸(直鎖C16,C,8,の飽和および不飽和酸C14の枝状脂肪酸),樹脂酸(デヒドロアビエチン酸),ステロール(コレステロール,β-シトステロール)を確認した。また,広湾底質中での炭化水素,テルペン脂肪酸の分布を明らかにし,由来について若干検討した。
  • 西 末雄, 小林 力夫, 堀本 能之, 水戸 美和子
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1712-1717
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水溶液中の水銀(II)イオン,ハロゲン化物イオンおよび活性炭とから構成される共吸着平衡系を詳細に検討した。この吸着系にもっとも大きい影響をおよぼす因子は,活性炭に対するハロゲン化物イオンの吸着である。活性炭に対するハロゲン化物イオンの吸着性の大きさの順序はr>Br->Cl-であり,これはハロゲン化物イオンの水銀イオンとの共吸着効果の大きさの順序と一致する。このことは水銀が活牲炭に吸着したハロゲン化物イオンによりひきつけられ,その結果,水銀の吸着が促進されるものと考えられる。吸着平衡時の水溶液相の水銀濃度はハロゲン化物イオン濃度の増加にともない増加する。これは水溶液中でHgX3-およびの生成が優勢であるハロゲン化物イオン濃度では,共吸着効果がいちじるしく減少することを示す。水溶液相から活性炭に移行する水銀の化学種は,水溶液相のハロゲン化物イオン濃度の範囲が0,01~0.5mol/lおいてはHgXであることが認められた。
  • 安岡 高志, 光沢 舜明
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1718-1722
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルカリ土類金属過酸化物による空気中のホルムアルデヒドの除去に関する研究を行ない,吸収条件と吸収反応機構を明らかにした。水を含まない過酸化物(BaO2rO2,CaO2)によるホルムアルデヒドの除去率は相対湿度が高ければ高いほど高い。しかし水を含んでいる過酸化マグネシウムによるホルムアルデヒドの除去率は相対湿度によりほとんど変化しない。各吸収剤において湿度が低い場合,初期に除去率の極大が現われ,除去率は時間とともに低下する。湿度が低い場合の除去率の極大の存在をホルムアルデヒドの吸収剤表面への吸着により説明した。
    吸収反応機構は第一段階で過酸化物と水が反応して生じた原子状酸素と過酸化水素によりホルムアルデヒドがギ酸に酸化される。第二段階では水と過酸化物が反応して生じたアルカリ土類金属の水酸化物にギ酸が吸収されることがわかった。相対湿度が高ければ高いほど水を含まない過酸化物によるホルムアルデヒドの除去率が高い原因は,相対湿度が高ければ高いほどホルムアルデヒドを酸化する原子状酸素と過酸化水素が多く生じるためであると推定され,また水分を含んでいる過酸化マグネシウムにおいて相対湿度が低い場合にも除去率が高い原因は原子状酸素を発生させるために必要な水分を吸収剤自身が含んでいるためであると考えられた。
  • 平尾 一郎, 徳永 節生, 広永 道隆
    1978 年 1978 巻 12 号 p. 1723-1724
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    It was found that 2, 2'-dihydroxydiphenylmethane-5, 5'-dicarboxylic acid was exclusively formed by the reaction of excess methyl p-hydroxybenzoate with formalin, followed by hydrolysis. This method is superior to that proposed previously, because the substituted diphenylmethane is prepared in good yield without using an elaborate intermediate such as 3-halo-4-hydroxybenzoic acid.
  • 1978 年 1978 巻 12 号 p. 1725a
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 1978 巻 12 号 p. 1725b
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 1978 巻 12 号 p. 1725c
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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