燃焼排ガス中に含まれるNOおよびSO
2をFe(II.III)-edta錯体水溶液に吸収させたあと濃縮放散するプロセスにおいて,SO
2は,ガス中の酸素により酸化されて生成したFe(III)ヒドロキソ錯体(Fe(III)(OH)-edta)に反応吸収される。
本研究では,Fe(II)-edta錯体水溶液を一部酸化してヒドロキソ錯体を含有する溶液を調製し,この溶液の亜硫酸による滴定曲線を作成するとともに,SO
2の飽和吸収量および放散量を求める実験を行なった結果,SO
2はヒドロキソ錯体に対し等モルだけ反応吸収されることを認めた。また,Fe(II,III)-edta錯体水溶液に吸収されたSO
2とFe(II)ニトロシル錯体(Fe(II)(NO)-edta)との反応を行ない,この反応は,pH4.2以下,温度60℃以下の条件で無視できる程度まで抑え得ることを認め,この条件は吸収されたSO
2を濃縮放散するプロセスの必要条件と考えた。さらに,充てん塔を用いた工業化試験により,ヒドロキソ錯体を塔内でSO
2供給量に対し,モル比で1.2以上生成させれば,吸収液のpH4.0~4.2すなわち,吸収されたSO
2とFe(II)ニトロシル錯体との反応を抑える条件でSO
2吸収率の95%,出口ガス濃度50ppmになることを確認した。
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