日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1978 巻, 8 号
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  • 山下 寿生, 小沢 義弘, 中島 史登, 村田 寿典
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1057-1061
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    含水酸化チタン(iv)によるウラソの吸着機構を調べた。とくに含水酸化チタソ(iv)の表面ヒドロキシル基とウラン吸着との関係およびエソタルピー変化(ΔH)についてカリウム吸着と対比しながら検討した。含水酸化チタン(iv)は塩化チタン(iv)溶液にアンモニア水を添加し,20-90℃の温度で調製した。調製温度が上昇すると含水酸化チタン(iv)の表面ヒドロキシル基量は減少する。カリウムの吸着においては調製温度が低いほど吸着量は大きく,表面ヒドロキシル基量と吸着量との間には直線関係があった。これに対しウランの吸着では吸着量は調製温度の上昇とともに増加し,表面ヒドロキシル基量との間に相関関係が認められなかった。温度を変えて吸着実験を行ないΔHを求めた結果,カリウム吸着では-3.4kcal/mol,ウラン吸着では11.1kcal/mo1であった。
    これらの結果,含水酸化チタン(iv)によるウラン吸着は,イオン交換反応であるカリウム吸着とはいちじるしく異なった挙動を示すことがわかった。したがってウラソ吸着はより複雑な反応をともなうことが推定された。
  • 野沢 勲, 白崎 高保
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1062-1065
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担持酸化ニッケル触媒の還元曲線の形状が触媒調製法,担持量および担体の種類によりどのように変化するかを昇温還元法により検討した。還元曲線の形状は上配諸因子によりいちじるしい影響をうけた。含浸触媒上のニヅケル成分は,広い担持領域にわたって,遊離酸化ニッケルとして存在する部分と担体と相互作用を示す部分との混合物からなっていることがわかった。一方,共沈およびゲル混漁触媒の還元ピークは高温側にシフトし,担体と強い相互作用状態にあることが示された。この結果から共沈およびゲル混和触媒における主触媒一担体間の混合状態は含浸触媒のそれと大きく異なることが結論づけられた。そして担持量や担体の稲類(アルミナ,シリカ,シリカアルミナおよびマグネシア)によっても還元曲線はシフトや分裂を生じ,触媒の賦活の複雑さが示された。
  • 野沢 勲, 白崎 高保
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1066-1070
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    昇温還元法により共沈法酸化ニッケル触媒の還元特性を検討した。還元曲線の形状は酸化ニッケル担持量と担体の種類により特徴づけられた。シリカ担持ニッケル触媒の還元曲線は半値幅のきわめて広い高温側にシフトした一つのピークを示した。アルミナやマグネシア担持ニッケル触媒の還元曲線は二つのピークに分裂した。前者は400℃に,後者は300℃にそれぞれ特徴的なピークを示した。そしてこれら触媒のニッケル担持量は沈殿方向により,沈殿過程における含有率の異なる混合物からなっていることが判明した。上記触媒について,プロパンの水素化分解を試験反応として,触媒活性を検討した。比較的均質な触媒の収得が可能と考えられる共沈法によってもなお沈殿方向や担体により触媒はその混合状態を異にする不均質物質の集合体であると結論づけられた。
  • 木次谷 富康, 岡崎 進
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1071-1077
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イソブチレンによるフェノールの気相アルキル化反応は固体酸により促進されるが,なかでもシリカアルミナの触媒活性は大きく,フェノールの沸点(182℃)でも十分反応を活発化し,それ以上高温になると脱アルキルを活発にするため,かえって見かけ上の反応率を低下させる。また,反応温度の高低にかかわらずパラ位アルキル化の選択姓を高める。他方,アルミナの触媒活性は比較的低く・これを触媒とする場合,反応率は反応温度の上昇とともに増加し,220℃で極大となる。また,低澱ではオルト配向率がパラ配向率より高くなる。別にオルト位アルキル化生成物のバラ体への異性化を試みた結果によると,異性化はシリカアルミナでは促進されるが,アルミナを触媒とする場合にはまったく起こらない。以上のシリカアルミナとアルミナとの触媒活性の相違はそれぞれの酸性がBronsted型,Lewis型で,相互に異なることによるど考えられる。そこで,アルミナ表面を少量フッ素化し,表面酸性を一部Bronsted型に変え,フッ素化前後のアルミナ上における各反応剤および一部の生成物の吸着状態の相違をin situセルを用いた赤外吸収スペクトルで調べた。
  • 高宮 信夫, 小泉 健, 岩月 丈明, 村井 資長
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1078-1081
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来から液相酸化触媒として知られている者種のポリ(金属フタロシアニン)を用いて,エチルペンゼンの脱水素反応を行ない,これらの触媒の活性について検討した。活性は金属種によって異なりICr Ni Co Fe=Cuの順序となった。また単一型で最高活性を示したCrにNi,Co,Fe,Cuを混合した混合型ポリ(金属フタロシアニン)ではポリ(クロム-ニッケルフタロシアニン)が最高活性を示し,この触媒はポリ(クロムフタロシアニン)より活性が大きく,2種の金属による混合効果が認められた。さらにポリ(クロムフタロシアニン)と酸化クロム(iii)との活性比較では,エチルベンゼン転化率,スチレン選択率ともポリ(クロムフタロシアニン)の方がまさっており,酸化クロム(iii)より有効な触媒であることが見いだされた。
  • 渡辺 信淳, 川口 俊夫, 喜田 康
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1082-1086
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    活牲炭やカーボンブラックを,室温においてフッ素と反応させることによって,フッ素含有率の高いフッ化黒鉛が得られる。フッ素化反応速度におよぼす活性炭の細孔携造と表面官能基の影響を,熱重量分析とESCAを用いて調ぺた。活性炭に吸着したフッ素の一部はノ順ゲソ化物イオン(X-)を酸化する性質をもっているので,その割合をフッ化物イオン選択性電極とヨードメトリーによって定量した。残留化合物の官能基はIRスペクトルで調ぺた。
    窒温における活性炭のフッ素化反応速度は,比表面積と表面官能基に依存している。また室温でフッ素化された活性炭は,ヨウ化物イオンだけでなく,臭化物イオンや塩化物イオンを酸化し,その牲質は長期間保存される。
    フッ化黒鉛の収率は高温では低いが,活性炭をあらかじめ室温で反応させて,所定の温度に上げることによって高くなる。
  • 石川 博, 中根 正典, 石井 英一, 上原 斎, 三宅 義造
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1087-1091
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    臭素系サイクルによる水素の熱化学的製造法に関する研究の一環として,水と臭素の反応をつぎのような2段の反応からなるサブサイクルで行なう方法を検討した。
    まず熱力学的データ表などから金属Mに適当なものとして,イソジウム,亜鉛,コバルト,マンガン,ニッケルを選び出し,各素反応について予備実験を行なった。その結果,マンガン,コバルト,ニッケルについては常圧,900℃以下の反応条件下では酸素発生反応がほとんど進行しないことがわかったため,亜鉛,インジウムについてのみ詳細な実験を行ない,熱力学的考察を行なった。亜鉛の場合臭素化反応における臭素の平衡反応率は900℃で37%,加水分解反応における臭化亜鉛のそれは当量の水蒸気を用いる場合900℃で5%と見積られた。インジウムの場合は同様の条件下でそれぞれ10%および10%となった。これより大量の未反応物の再循環は避け難く効率的なサブサィクルの成立はきわめて困難であると予想した。
  • 井上 貞信, 四ツ柳 隆夫, 佐々木 満雄, 青村 和夫
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1092-1097
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジチオール系配位子であるジメルヵプトマレォニトリル(H2mntまたはH2Lと略記する)は,種々の金属イナンと反応して,水溶性の錯体を生成する。この錯体はテトラヘキシルアソモニウムィオソ(THA+またはQ+と略記する)とイオン対を形成し,クロロホルムに抽出される。種々のmnt錯体の抽出定数,Kox=[Qn(MLm)](o)[MLmn-]-1[Q+]-n,を測定した結果,ZnL22-(logKex=22.41),Cd・L22-(22.40),HgL22-(22.85),NiL22-(23.31),PdL22-(23.50)およびCoL33-(30.28),(I=O.3またはO.5,Na++(SO42-,ClO4-,OAc-))を得た。
    この抽出定数を,錯体の中心金属イオンが同族列の錯体について比較すると,金属イオンのイオン半径が増大するにつれて大きな値を示している(ZnL22- CdL22-HgL22-,NiL22-PdL22-)。錯体の構造で比較すると平面型錯体正四面体型錯体という結果が得られた(NiL22-ZnL22-,PdL22-CdL22-)。また錯体の負荷電数を考慮して比較すると,負荷電数が増大するにつれて次式で定義される相対抽出定数,K,は減少している(AuL2-M(ii)L22-CoL33-)。
    さらにこれらの抽出定数をシアノ錯体,4-(2一ピリジルァゾ)レソルシノール錯体および3,4一トルエソジチオール錯体の抽出定数と比較して考察した。
  • 吉村 長蔵, 野田 義則
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1098-1101
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本報では,金属の硫化物および酸化物の粉体を水に分散させた試料を直接噴霧燃焼させて原子吸光夢析することを検討し,その応用として,金属酸化物に対する金属硫化物および硫黄粉の添加効果を調べた。
    金属硫化物は金属酸化物にくらぺ比較的原子化されやすく,金属硫化物を水に分散さぜた試料を直接噴霧燃焼させることで,通常の原子吸光法の70~80%の感度で直接定量ができる。金属酸化物の場合は感度が低いが,金属硫化物や硫黄粉を試料に添加すると増感する。とくに,硫黄の添加効果は大きく,酸化亜鉛分散試料に0.02%添加すると感度が2倍以上となり,通常の原子吸光法の90%以上の感度で酸化亜鉛の直接定量ができるなどの効果があった。また,液体試料の場合,液のpHが高いと水酸化物干渉が起こるが,その干渉を試料に硫化水素ガスを通じて水酸化物を硫化物にかえることで除去できた。
  • 胆部 幸和, 久下 芳生, 浅田 真吾
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1102-1105
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フタル酸エステルなどの芳香族カルボン酸エステルについて,竃子捕獲型検出器(63Ni,ECD)に対する検出感度を三つの異なった検出器温度において測定した。これらの化合物に対する電子捕獲係数Kの温度依存性を測定した結果,大部分のフタル酸エステルに対するκ値は,検出器温度が低くなるほど増加することがわかった。したがって,これらの化合物の電子捕獲反応は非解離型であると考えられる。
  • 掛本 道子, 丸山 正生
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1106-1111
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    市販のアセトニトリル中の高沸点不純物をガスクロマトグラフー質量分析計により同定,定量した。これらの不純物の電子衝撃および化学イオン化質量スペクトルおよびク冒マトグラムの保持値から微量の高沸点不純物としてアセトアミド,ブタンジニトリル,ペンタソジニトリノらジ+ブチルメチルフェノール,クロロベソゼンなどが同定された。
    多重イオン検出器を用いた場合,アセトニトリル中の個々の不純物をそれぞれ特有なフラグメントイオソに設定することにより高感度で選択的な検出が行なえ,したがって試料を濃縮することなく直接定量できた。とくにアセトアミドは主成分であるアセトニトリルピークと完全に分離しない条件下でもアセトアミドに特有なフラグメソト,m/e 59に設定することにより選択的検出が行なえた。アセトニトリル中のおもな高沸点不純物はアセトアミド,ジニトリル類であり・その含量は.6~40ppmであった。
    アセトニトリルを拙出溶媒として使用するときなど窒素を含む不純物はとくに熱イオソ化検出器を用いて目的物を測定するさいには妨害となりうるので注意を要する。
  • 山崎 一雄, 室住 正世, 中村 精次, 日向 誠, 湯浅 光秋
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1112-1117
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    自然界の鉛同位体の存在比は鉛鉱床生成の地質年代や地質環境により明らかな差異がある。考古遺物中の鉛同位体比はその原料つまり鉛鉱石の産地と関連があり,鉛鉱物および考古遺物の鉛同位体比を測定し,その関連性を見いだすことにより遺物の産地を推定することができる。
    本報では,レニウムシングルフィラメントをイオン源とし,イオソ化安定荊としてリン酸とシリカゲルを併用する表面電離質量分析法により,鉛同位体比測定の基礎条件を検討し,日本産方鉛鉱と青銅製の考古遺物に応用した。また,CIT shelf standardを分析して,使用した質量分析計の系統誤差を検討し,同位体分別効果の影響も検討した。
    本法の検出感度は10-12~10-13gであり,同位体比のくり返し分析精度は0.1~0.3%である。0.2~0.5μgの鉛を用い,実験室環境ならびに試料調製過程でのブランク2.2ngの影響を受けず,同位体比を測定することができ,したがって本法により,考古遺物の産地による鉛同位体比の差異を識別することが可能である。
  • 犬塚 功三
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1118-1122
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アクリルアルデヒド,ベンズアルデヒド,"グリオキサールおよびポリエナールのような共役系を有するアルデヒド,ならびにホルムアルデヒドと水の間の水素結合の問題にCNDO/2法を適用して,これらのアルデヒドと水の間の水素結合エネルギー,結合距離,結合角を計算した。CNDO/2法による水素結合エネルギーの計算値は大き目に出たが,ピリジンーメタノール系の水素結合に関して得られた測定値と計算値を用いて補正した結果は妥当な値を与えた。さらにホルミル基に2個の水が付加するときめ1:2水素結合系に対し同様な計算を行なった。この反応は二段階反応と考えたとき,第2の水が付加するときの水素結合エネルギーは第1の水の付加のエネルギーよりも小さいが,エネルギー的にはこの種の結合は可能と思われる。
    しかしながら,この点に関して分子内水素結合を有する4一アミノ-5H-[1]ベソゾピラノ[3,4-c]ピリジン-5-オン誘導体ヘメタノールを添加することによるC=O振動数の変化抵非常に小さく,1:2水素結合体の形成を室温では確認することはできず,さらに実験が必要である。
  • 佐伯 幸民, 木村 守, 根来 健二
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1123-1126
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンジル(2一ヒドロキシー5一メチル)ジメチルアルキルアンモニウム=ハライドを2-(ジメチルアミノメチル)-P一クレゾールとハロゲン化アルキル(アルキル炭素数:1,2,3,8,10,12)とのMenSbhutkin反応により合成した。同時に,ビス(2一ヒドロキシー5一メチルペソジル)ジメチルアンモニウム=ハライドと,ジアルキルジメチルアンモニウム=ハライドとが副生成物として得られた。これらは舞四級ナンモごウム塩み組み換え反応が起こったと考えられる。
    これらの第四級アンモニウム塩の抗細難と抗力雌を試験した結果,ドデシ嘩賄する第四級塩が抗微生物剤として優秀であることがわかった。第四級塩にフェノール性ヒドロキシル基の導入がこれらの性質を促進するゆえと考えられる。
  • 白石 振作, 池内 覚, 妹尾 学
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1127-1131
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニトリルオキシドは多くの多置換かベンゾキノン類に対してそのカルポニル基に付加してジオキサゾール誘導体を与える。その反応を速度論的に検討し,活性化パラメーターを求めたところ,他の1,3一双極成環付加反応に対応する値を与えた。各種キノンの反応牲を置換基効果の点から考察した結果,このジオキサゾール生成反応は,誘起効果に基づく置換基定数σ1と共鳴効果に基づくσ0Rとの関数である反応性指数S, (α=1,iは置換位置)に対して比較的よい直線関係log k∞ρ・Sを与え,ρ=+2.3であった。この反応性指数Sは,キノンの二つのカルポニル基の反応性が異なるとき,一方のカルボニル基の選択反応性を推定するのにとくに有効であることが示された。
  • 横野 哲朗, 渋谷 隆夫, 真田 雄三
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1132-1136
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    pulse-FTNMR法により,スピンースピン緩和時間の測定を石炭および石炭のピリジン抽出物と残留物を試料として行なった。その結果いずれの試料の場合にも,結晶楓非晶相が存在することを見いだし,それぞれの相の分率を求めた。
    さらに,X線回折の(002)バンドのプロフィルから,stacking index(SI)積層構造が試料中に占める重量割合(P),および層面の積み重なりの平均値(n)を求めた。
    NMR法により求められた結晶相の割合と,X線回折法により求めたPを比較検討し,石炭を橋かけ型高分子とみた場合の石炭化度に対する橋かけ密度の変化を明らかにした。
  • 大野 進通
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1137-1143
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    マレイソ酸一スチレン交互共重合体(MASt)とアクリジソオレソジ(AO)との相互作用を,分光測定,pH滴定により検討した。MASt-AO系の吸収スペクトルはMAStとAOとのモル比(Cp/Cd)やMAStの形態によって異なり,コンパクト形態のMAStに対しては,C,/C, 10の領域でCp/C,値の増加にともない結合AOの吸収スペクトルが単量体による吸収帯を示すようになることから,側鎖フェニル基に基づく疎水領域の存在が裏付けられた。また,スペクトルシミュレーションによって分離された結合AOの単量体による吸収帯の強度が,MAStの第一カルボキシル基の中和度に対してシグモイドカーブを示し,MAStのコンパクト ルーズコイル転移を反映するoptieal probeとなること,変形滴定曲線から得られるMASt-AO系の転移領域はAOを含まない系のそれよりも高解離側にシフトしていることから,AOの結合によってMAStのコソパクト形態が安定化されていることがわかった。
  • 吉村 精司, 片桐 晃, 吉沢 四郎
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1144-1149
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    充てん複極槽を重金属イオソやシアソ化物イオンを含む廃水の電解処理の目的で試験した。活性炭粒子(4~6メッシュ)を充てんした複極槽でCuSO4溶液を電解すると,各粒子のカソード部に金属銅が析出し,Cu2+濃度は急速に減少した。Cu2+濃度は約2mg/lに達したが,これ以下にはならなかった。これは,気体の発生にともなう粒子の動揺により,析出した銅が再溶出するためと思われる。KCN溶液の電解においても,CN需濃度は初め急速に減少するが,濃度が低下するにつれてその減少速度は小さくなった。一方,CuCNを加えると,CN-の分解速度は大きくなった。CN-のアノード酸化に対して銅が触媒的に働くものと思われる。安定な錯イオンであるFe(CN)62-もすみやかに溶液から除去されることがわかった。さらに,廃水処理への充てん複極槽の適用姓について考察した。
  • 宮本 弘, 鈴木 和征, 矢吹 健一
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1150-1152
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The solubility of iodates of Ca ( ii ), Sr ( ii ) and Ba ( ii ) in N, N-dimethylformamide-water mixtures has been determined iodometrically at 20°, 25° and 30°C.
    The logarithm of the solubility of the sparingly soluble salts decreased almost linearly with the reciprocal of the dielectric constant of the solvents, as expected from the Born equation. Factors which cause the deviation from the linearity were discussed. The salvation radius was computed with the observed data and the Born equation.
  • 杉岡 正敏, 青村 和夫
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1153-1155
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Some metal fluorides showed the catalytic activity for the dehydrosulfurization of 2-propanethiol and the order of the catalytic activity at 300°C was AlF3, NiF2 CrF3 CoF, , FeF2. However, the catalytic activities of these metal fluorides except AlF3 decreased with increasing pulse number. The dehydrosulfurization of 2-propanethiol over AlF3 was hindered by pyridine. The analogous change in the catalytic activity of AlF, due to calcination temperature was observed in the dehydrosulfurization of 2-propanethiol or the dealkylation of cumene. Thus, it was concluded that the dehydrosulfurization of 2-propanethiol over AlF3 proceeded in terms of the carbonium ion mechanism which is concerned with a proton on the surface of AlF3.
  • 石川 博, 中根 正典, 石井 英一, 上原 斎
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1156-1158
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    For the thermochemical production of hydrogen from water, the vapor-liquid equilibrium for HBr-H2SO4-H20 system has been investigated by using a Othmer still under atmospheric pressure. The work reported here is limited to a dilute composition range, that is a hydro- bromic acid concentration range below the azeotropic composition.
    The vapor-liquid equilibrium diagram for this ternary system is shown in Fig.3. The concentration of H2SO4 found in the condensate, which is attributed to the following reversible reaction, is also shown in Fig.3.

    H2SO4+2HBr⇔2H2O+S02+Br2
    The boiling point diagram is shown in Fig.4.
  • 丸山 正生, 掛本 道子, 村上 和雄
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1159-1161
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    A voltammetric detector with a platinum gauze electrode as a working electrode has been developed and used for a high performance liquid chromatography. Performance of this detector was evaluated with o-nitrophenol as a depolarizer in the electro-reduction.
    A linear relationship between current and the concentration of the phenol was obtained in the concentration range of 2x10-9-2x10-6g and the minimum detectable amount of o-nitrophenol was 2x-9
    A voltammetric detector with a mercury-plated platinum gauze electrode has also been developed. With this detector, final current raise could be extended to more negative potential than that for the platinum electrode, and background current reduced to about one-half that of the platinum electrode. This mercury-plated type detector offers promising applications to compounds with high negative reduction potentials.
  • 纐纈 銃吾, 安藤 文雄, 滝沢 洋, 久保岡 正義, 石井 義郎
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1162-1164
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The reaction rates of six tris(alkylthio)stibines with acetic anhydride were studied by monitoring the decrease in the amount of acetic anhydride utilizing IR spectrometer. The reaction of tris(alkylthio)stibine with acetic anhydride was 100 times slower than that of antimony alkoxide with the same alkyl substituent. The correlation with Taft's equation was fairly good, and the reaction constant was calculated to be positive. These results suggest that the electrophilic attack of the antimony atom on the ether oxygen of acetic anhydride is the rate determining step where the interaction between the carbonyl group of acetic anhydride and the sulfur atom of the alkylthio group is involved.
  • 謝 博進, 金子 正彦, 松原 義治
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1165-1166
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Isomerization and hydration of a-longipinene [1] and longicyclene [2] by the action of equimolar mono-, di- or trichloroacetic acids have been studied under anhydrous conditions. Both [1] and [2] yielded isomerization products, longifolene [3] and isolongifolene [4], along with hydration products, longicamphene hydrate [5], longi-R-fenchyl alcohol [6] and longiborneol [7]. Hydration of [1] to give [6] as a major product amounted to 92% of the hydration products under optimum conditions. The compound [7] was the major product (57% at best) in the hydration of [2].
  • 謝 博進, 森口 彰人, 松原 義治
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1167-1169
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    When dry air was blown into a stirred mixture of a-longipinene [1] and polar aprotic solvents (DMS0 and DMF) for 8-100 hr at 130±5°C, oxidation of [1] took place to give longiverbenone [5] as a major product, longicamphene hydrate [6], longi-B-fenchyl alcohol [7], longiborneol [8] and 9-oxoisolongifolene [9]. A similar oxidation of longicyclene [2] yielded longiborneol [8] as a major product, along with [6], [7] and [9] as minor products.
    The polar aprotic solvents (DMSO, DMF) proved to be valuable to oxidation of terpenes.
  • 笠野 雅信, 松原 義治
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1170-1172
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Oxidation of caryophyllene with trilead tetraoxide in the mixture of acetic anhydride and glacial acetic acid at 60°C afforded the following products:dihydrocaryophyllen-5-one [1], caryophylla-4, 8 (13) -dien-2-ol [2], isodihydrocaryophyllen-5-one [3], dihydrocaryophyllen-4-ol[4], caryophylla-4, 8 (13) -dien-12-ol [5], caryophylla-4 (12), 8 (13) -dien-5 a-ol [6], caryo- phylla-4 (12), 8 (13)-dien-5 R-ol[7], caryophylla-3, 8 (13) -dien-5 a-ol [8], and caryophylla3, 8 (13) -dien-5 13-ol [9].
    Oxidation of caryophyllene with lead dioxide in glacial acetic acid at 114-115°C afforded the products [2], [3] and [5]-[9].
    Their structures were assigned on the basis of their IR, NMR, and MS spectra.
  • 枝村 一弥, 石川 延男
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1173-1175
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The base-catalyzed elimination of hydrogen bromide from 1, 2-dibromo-1-fluoroethane yielding bromofluoroethylenes was carried out under various conditions (Table 1). In all cases, the formation of 1-bromo-2-fluoroethylenes [3] predominated over that of 1-bromo-1-fluoroethylene [2]. However, the use of stronger bases and protic solvents increased the ratio [2]/[3]. The results are discussed in reference to the plausible reaction mechanism (Fig.2). Of the Z and E isomers of [3], the former was present overwhelmingly due presumably to the thermodynamic stability.
  • 宮腰 哲雄, 大道 弘昭, 斎藤 鐘次郎
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1176-1178
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The reaction of 3-methyl-2-butenenitrile [1] with prenyl chloride (1-chloro-3-methy1-2- butene) was investigated.2-Isopropylidene-5-methyl-4-hexenenitrile [2] was obtained in 55% yield by action of potassium hydroxide in dimethyl sulfoxide. The reaction by the addition of potassium iodide or dibenzo-18-crown-6 in benzene was also carried out (Table 1). The byproducts were shown to be (Z)-3, 7-dimethyl-2, 6-octadienenitrile [3], (E)-3, 7-dimethyl-2, 6-octadienenitrile [4] and 2-isopropenyl-5-methyl-2-(3-methyl-2-butenyl)-4-hexenenitrile [5] The reaction of 3-methy1-3-butenenitrile [7] with prenyl chloride was also examind.
  • 古賀 城一, 所司 正幸, 黒木 宣彦
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1179-1181
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The hydrolysis of d- and l-p-nitrophenyl a-methoxyphenylacetate and p-nitrophenyl esters of N-benzyloxycarbonyl a-amino acid catalyzed by surfactants derived from n-ephedrine has been examined.
    No stereoselectivity was observed under the experimental conditions in which Bunton claimed to have obtained the selectivity. Small but not negligible stereoselectivity was found in the hydrolysis of p-nitrophenyl N-(benzyloxycarbonyl) phenylalanine in the surfactant micellar system.
  • 野村 正人, 藤原 義人, 松原 義治
    1978 年 1978 巻 8 号 p. 1182-1183
    発行日: 1978/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (+)-1-p-Menthen-9-al [5], a component of Bulgarian rose oil, was synthesized from (+)-8-hydroxy-1-p-menthen-9-y1 acetate [2] and (+)-1-p-menthene-8, 9-diol [3], which were provided by oxidation of limonene [1] with lead tetraacetate.
    The acetate [2] and the related alcohol [3] were treated with lead (ii) acetate in glacial acetic acid to give [5] and (+)-1, 8-p-menthadien-9-ol [10] in a ratio of 63/37 and 75/25 respectively.
    The title compound was obtained in ca.40% yield from [2] and ca.50% yield from [3].
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