ジチオール系配位子であるジメルヵプトマレォニトリル(H
2mntまたはH
2Lと略記する)は,種々の金属イナンと反応して,水溶性の錯体を生成する。この錯体はテトラヘキシルアソモニウムィオソ(THA
+またはQ
+と略記する)とイオン対を形成し,クロロホルムに抽出される。種々のmnt錯体の抽出定数,K
ox=[Qn(MLm)]
(o)[ML
mn-]
-1[Q
+]
-n,を測定した結果,ZnL
22-(logK
ex=22.41),Cd・L
22-(22.40),HgL
22-(22.85),NiL
22-(23.31),PdL
22-(23.50)およびCoL
33-(30.28),(I=O.3またはO.5,Na
++(SO
42-,ClO
4-,OAc
-))を得た。
この抽出定数を,錯体の中心金属イオンが同族列の錯体について比較すると,金属イオンのイオン半径が増大するにつれて大きな値を示している(ZnL
22- CdL
22-HgL
22-,NiL
22-PdL
22-)。錯体の構造で比較すると平面型錯体正四面体型錯体という結果が得られた(NiL
22-ZnL
22-,PdL
22-CdL
22-)。また錯体の負荷電数を考慮して比較すると,負荷電数が増大するにつれて次式で定義される相対抽出定数,K,は減少している(AuL
2-M(ii)L
22-CoL
33-)。
さらにこれらの抽出定数をシアノ錯体,4-(2一ピリジルァゾ)レソルシノール錯体および3,4一トルエソジチオール錯体の抽出定数と比較して考察した。
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