日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1979 巻, 12 号
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  • 出来 成人, 大多和 政憲, 金治 幸雄
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1623-1628
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    CaClゴ璃O系溶液をマトリックスとして,N轡,Co2千,NO,-のおのおののイオンを添加し,マトリックス溶液濃度による添加イオンの挙動を,N轡,Coe+は可視吸収スペクトルの吸光度,波数変化から配位数,配位子の変化を,NOゴは赤外吸収スペクトルの波数シフトから対称性の変化を測定することによって検討を加えた。
    その結果,マトリヅクス溶液の濃度が増すにしたがって,Ni2+は6→4の配位数変化とアクア錯体からクロロ錯体への配位子変化が,Co2,は6→4の配位数変化が,NOゴはDshからC2Cyへの対称性の低下が認められた。これらの変化は,3m。1μ(H2C)/CaCl2比16付近を境として異なっており,マトリックス溶液の濃度増による自由水の減少によって引き起こされると結論された。水のン2+Rockingバンドの波数シフトの挙動とも-致し,Tit+,Co2÷,NOゴィオンの自由水の存在に対する指示薬としての役割が認められた。
  • 長本 英俊, 井上 博愛
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1629-1635
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パラジウム膜による水素透過速度を温度27~100℃,上流側水素圧0.01~1atmの範囲で測定し,検討した。パラジウム膜が水素と単-相を形成している場合,透過速度は上流側,下流側水素分圧と膜厚,Fickの拡散係数で表わされ,表面溶解水素濃度が気相分圧に平衡な溶解濃度と等しく,その表面溶解濃度差が透過の推進力となることで説明されることがわかった。α相とβ相が共存する場合には,透過速度の上流側分圧依存性にヒステリシス現象が現われ,α→β相転移とβ→α相転移の水素圧が異なることで説明することができた。
    パラジウム膜中を透過する水素によるエチレンの水素化反応について,温度100℃,上流側水素圧0.01~1atm,エチレン分圧0。01~0.8atmの範囲で実験を行ない検討した結果,低エチレン分圧では表面反応律速で,反応速度はエチレン分圧に比例して増加するが,高エチレン分圧では水素拡散律速となり,上流側水素分圧で反応速度が表わされることがわかった。
  • 臼井 義春, 清水 浩幸
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1636-1639
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    かヒドβキシ安息香酸ブチルを含む亜硝酸ナトリウム水溶液を3650A水銀燈照射したさい,3-ニトロー4-ヒドロキシ安息香酸ブチルが生成する。反応はNO2通気により促進されるが,-方,チォシァン化ナトリウム,臭化ナトリウムの添加で搾制される。さらに,このニトロ化反応量子収量のpH効果,濃度効果などを検討することによりNO2および,OHラジカルが,反応機構上の主要中間体であると推察され,かヒドロキシ安息香酸ブチルのOH付加体にNO2が攻撃してニトロ化が起こると考えられる。
  • 野沢 勲
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1640-1645
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    熱分析法によりシリカ担持酸化ニヅケルークロミア複合触媒の還元特性を検討した。触媒は含浸および共沈法により調製した。
    クロム酸化物の還元ピークは300°Cに現われた。このピークはCr2O2-中に共存するCrO3の還元に起因する。懐化ニッケルークロミア複合触媒中の6価クロムの還元ピークは微量の還元ニッケル上の水素により300から150~170QCにシフトすると結論づけられた。含浸触媒の還元曲線は高温域において共沈触媒のそれといちじるしく異なる。前者の表面層は主として酸化ニヅケルとクロミアとの混合物からなり,後者のそれにはニッケルケイ酸塩類似物の生成が認められる。
    水素化学吸着量と還元曲線の形状とから,含浸触媒の表面は共沈触媒より多くの活性物質でおおわれていると結論された。アセトンの水素化を試験反応として触媒活性と活性物質量との関係を検討した結果誓両者蔓汰ほぼ対応関係あると結論された。
  • 所 康生, 堀 和美, 椰良 積, 内島 俊雄, 米田 幸夫
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1646-1651
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担持貴金属触媒の接触酸化活性における金属粒径依存性の問題は,触媒調製法の最適化と関連してきわめて重要な基礎的課題である。本研究では,Pt!r-ATQO,触媒によるCeH,酸化反応をとりあげ,Pt粒径を異にする-連の触媒につき,その粒径効果を系統的に検討しようとした。H2PtCl,から調製した触媒では,はめ低い定常活性を未すが,酸化性または還元性気流中750。C,またはCaH,反応ガス中420°Cの高温処理により,いちじるしい活性の上昇がみられ,その原因は微量の残存Clの効果に基づくものと推定された。上記の高温処理により微量Clが除去されたと考えられる高活性触媒については,平均粒径20~iの広い範囲にわたって,比活性がPt粒径の増大とともにほぼ比例的に増加するという,顕著な粒径依存性を認めた。この傾向が,境膜または細孔内拡散支配あるいは表面実効温度の。と昇など,見かけの効果に由来するものかどうかを,実験および計算により確かめたところ,上記の傾向は活性に対する真の粒径効果であることが確認された。この粒径効果の原因について,Pt粒子から握体昏の電子の移動に零り,表!st原子の電子密度が粒径により異なるとして議論した。
  • 新田 昌弘, 荒野 憲之, 青村 和夫
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1652-1656
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イオン交換A型ゼオライトはs水和状態で結晶構造を有しているが,加熱脱水により結晶構造が崩壊することが知られている。しかし,この熱的構造安定性低下の詳細および原因は明らかにされていない。本研究は,(Ba,驚,Na)-A,(i.`,T1,x)-Aおよび(ssCaex)-Aにおける熱的構造安定性を熱分析およびX線分析により調べたものである。Bat+イオン交換体の構造安定性は(Tlex)-A(BaNa)-A(Ba,x,Ca,X)-Aの順であること,および共存カチオンの種類に関係なく交換率50%以上のものは加熱脱水により構造崩壊が大きく生ずることがわかった。また,脱水A型ゼオライトにおいてBa2÷イオンはサイトIII(酸素八員環サイト)選択性を有することが推定され,カチオンの位置と安定性との関係が考察された。
  • 加藤 泰良
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1657-1661
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    これまでの研究において,著者らは,Rh/MgWO,,Rh1CawO,,Rh1VO2Rh1WO盆などが,水を表面酸素と気相水素に解離する能力を有することを示してきた。本研究では,この型の水の活性化によって生じた表面酸素の酸化力に関する適当な実験的尺度を得る目的で,COのパルス反応と組み合わせた電池の起電力について検討した。
    おのおのの触媒のCOの酸化活性は,表面酸素量に比例したが,その比例定数は,たがいに異なっていた。これは,表面酸素の酸化力の差異に起因するのではないかと考え,起電力測定結果と比較したところ,触媒からの酸素除去にともなう起電力変化∂(4E)1∂xと上記比例定数の間に-定の相関性が認められた。また∂(4E)1∂xの値を,小さい方から並べ,つぎの序列を得た。
    Rhvo2Rh!uo2Rh1Mgwo4RhcawO4
    この序列は,触媒のCOの酸化活性の大きい方から並ぺた場合の序列と-致した。さらに上記の序列はs担体金属酸化物の酸素解離エネルギーから予想される酸化力の序列とも一致した。以上のことから,∂(E)!∂xなる量を,触媒の酸化力を便宜的に表わす-つの尺度として使う試みがなされてもよいと考える。
  • 秋元 正道, I. G. DALLA LANA
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1662-1667
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルミナ触媒上の気相加水分解反応におけるCOSとCS盆の相対的反応性が230℃において測定され,これを支配する因子が考察された。すなわち,総括的反応性比ゐcosKcos1鳶cs,Kcs,(k,Kはそれぞれ表面反応速度定数と吸着平衡定数)は,初期速度法では6.49,これら硫黄化合物の共加水分解法では7.35,およびCOS経由のCS2のCO2への逐次的加水分解反応の数学的解析法では6.15あるいは29.9と求められた。他方,加水分解反応におよぼすCO2の阻害効果から吸着平衡定数の相対値Kcos/Kcs,は2.7と定められ,これらの結果から,表面反応速度定数の相対値ゐc。sノ々cs,はそれぞれ2.4,2.7,および2.3あるいは11.1と見積られた。これらの測定方法や得られた結果を考察し,総括的反応性比として6.15~表面反応速度定数の相対値として2。3~2.4が妥当な値であり,反応性はCOSCS黛であると結論した。また,反応性を支配する因子として,これらの硫黄化合物の自由分子の性質よりむしろ触媒表面上に生成する負に帯電した活性吸着種のそれが重要であると考えられた。
  • 藤巻 義英, 清水 勇, 小門 宏
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1668-1673
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    電子写真への応用という観点から,光半導体から絶縁性液体中への光によるキャリヤー注入の現象についての基礎的知見,すなわち定常的光電流に対する絶縁性液体中の添加物の影響を調べた0光半導体として非晶質Se,AsSe3,絶縁性媒質として流動パラフィン,キシレンを用いたO印加電圧の増加につれて,電流の電圧依存性(logJvs)は,順次linear,superlinear,sublinearの順に連続的に変わる傾向が認められ,光半導体の種類,絶縁性液体の種類,注入キャリヤーの極性,添加物の種類および濃度の変化によっても電圧依存性が変わることを観測した。光電流の光強度(101~1017photons/cm,sec)に対する依存性は非常に小さく,この傾向は添加物の種類や濃度によらず観測された。イオン化し得る添加物は,濃度の増加にともない光電流および暗電流を増加させる傾向を示し,光半導体からの注入キャリヤーの輸送に有効であるが,また光半導体-絶縁性液体界面に空間電荷層を形成して光注入を妨害する作用をもつことを明らかにした。
  • 渡辺 泰, 佐藤 太一
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1674-1680
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゼンで希釈したトリオクチルアミン(R3N,TOA)およびトリカプリルメチルアンモニウム,クロリ雷(R3R,NCl,Aliquat-33fi)による塩酸溶液からのジルコニウム(IV)の抽出が行なわれた。
    両抽出系に関して,TOAよりもAliquat-33Gの方がジルコニウム(IY)の抽出効果は大であるが,分配係数は水相の塩酸初濃度6.Omol/1以上で塩酸濃度の増加にともない急激に増加することがわかった。TOAおよびAliquat-336による有機抽出物の化学量論的組成はそれぞれ(R3NH)2ZrCl,および:(R3RN)2ZrCl6であることが見いだされた。この関係は溶媒濃度に対する分配係数の依存性によって支持された。したがってTOAおよびAliquat-336による塩酸溶液からのジレウム(y)の抽出は,それぞれつぎの平衡反応により行なわれると推論された。すなわち
    ZτCl(oq)2R3NHCl(R3NH)2ZrCIs(。rg)
    および
    Zrq62-(aq)2R3R'NCl(rg)0(RsR'N)2ZrCl6(r)十2C
    これらの結果はまた有機相の赤外吸収スペクトルおよび高分解能核磁気共鳴スペクトルの検討からも確かめられた。
    さらにAliquat-336による抽出におよぼす希釈剤の効果が調べられた。その結果,抽出は1,2-ジクロロエタン希釈剤で増大され,四塩化炭素およびキシレン希釈剤では減少されることが明らかとなった。
  • 松野 昴士, 小石 真純
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1681-1686
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Ca(OH)2とSO,の半回分式不均系反応により生成する亜硫酸カルシウム半水和物球状集合体の形状および粒径が反応の諸条件の変化により受ける影響を検討しつぎのことを明らかにした。石灰乳の溶解速度は球状集合体の粒径に影響しないが,表面平滑は影響を与え,大きいほど平滑度は増大する。かきまぜ機周速の増大にともなって平均粒径はd(粒径)/(周速)廻-1。0×106の割合で減少する。Ca(OH)2濃度およびSO2濃度はそれぞれ2~10 wt%,15~100 vo1%の範囲で球状集合体の形成に影響しない。SO2吹き込み速度は粒径の-様性に影響を与えs ll円筒形反応器を用いた場合,250ml/minで粒径のもっとも揃った球状集合体が生成する。また,反応系へのクエン酸,クエン酸の可溶性塩あるいはスクロースの添加の影響は顕著であり,石灰乳に対して0.05~1。Owt%の添加で球状集合体の形成を完全に阻害する。最後にこれらの物質の添加により生成する温度に不安定な新規結晶のx線回折図形を示し,その化学種をCaSOHO(x112)と推定した。
  • 松野 昂士, 小石 真純
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1687-1689
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クエン酸ナトリウムを0.05wt%含む水酸化カルシウム懸濁液と二酸化硫黄との4~6℃における不均0系反応により,粒径3~60μm(平均径:15μm)のプリズム状あるいはサイコロ状の亜硫酸カルシウム四水和物の透明結晶を得た。合成物の化学組成はCaOが29.7wt%,SO2が32.5wt%およびH20が35.9wt%であり計算値とよく-致した。四水和物の粉末X線回折図形ではd値の5.SO,3.64,2.88および2.68にきわめて強い4本の回折線が認められた。-定の昇降温条件下で四水和物の熱的性質をDTA,TGおよびDSCにより調べたところ,30~69°Cおよび363~390°Cに,それぞれ30。9wt%および3.8wt%の吸熱をともなう減量が認められ,前者は712H20,後者は1!2H20の気化に起因するものと考えた。さらに,DSCにより34.3~55.5°Cに四水和物から半水和物への変化にともなう吸熱があり,その熱量は約17kJ!m。1(CaSO3,4H20)であることを明らかにした。
  • 大谷 杉郎, 小島 昭, 榎田 高志, 堀江 慎悟
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1690-1696
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    横型管状炉を用いた外熱方式で,CZS-,2-ジク葎ロエチレンを原料とし,長さ8cmの板状黒鉛基材上に低温気相熱分解炭素(PC)を堆積させた。基材温度600°Cで基材との接着強度の大きいPCが最高150μm1hrの堆積速度で得られた。堆積したPCの断面:構造は,上流(原料導入口付近)ではcolumnar型,さらに下流にゆくにしたがってdenseisotropic型を経て,porousisotropic型へと変化した。PCの堆積状況は,ガス流量によって大きく変化した。原料ガス濃度22vo1%で,ガス流量を35mZ/minから190ml/minへ増加させると,columnar型の領域は1cmから8cmへと広くなった。そして,堆積速度のもっとも大きい位置はis。tr。pic型の領域内にあり,ガス流量が増すとその位置は下流方向へ移動した。-方,ガス流量を100ml/minとし,原料ガス濃度を7v。1%から25vo1%へ増加させると,c。lumnar型の領域はほとんど変わらずに,堆積速度は大きくなった,堆積物の構造と原料の反応管内での接触時間との間には椙関関係があり,4~5秒以内の接触時間で生ずる中間体からはcolumnar型のPCが,それよりも長い時間熱処理をうけた中間体からはisotropic型のPCが,それぞれ堆積するものと考える。基材温度600°Cで堆積したPCの性状はつぎのとおりであった。比重1.5Q,電気比抵抗3.7×10-20hm,cm,X線パラメーターd。。23.88A,L.10A,残留塩素4.3%(原子数)。
  • 大石 修治, 楯 功
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1697-1701
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    PbO-PbFO,3成分系フラックスを用い,徐冷法によりMgGa2O2-結晶の合成を試みた。この合成は,sGap3およびフラックスからなる調合物を最高温度(1200,1100または1000°C)で10時間保持したのち,5。Chrの冷却速度で500。Cまで徐冷する条件下で行なった。つぎの結果が得られた。
    (1)最高保持温度1200。Cにおいて,調合物の最適組成はtMgO(12mol%)-Ga2O2-(8mol%)-PbO(35mol%)-PbF,(35mol%)-B,O2-(IUmol%)であった。この適量のB,0,がPbO-PbF2フラヅクスに添加されると,PbO-PbF22成分系フラヅクスの場合より生成する結晶は0層大化し,かつ無色透明になった。
    (2)最高保持温度が高い場合ほど,この最適組成の調合物から生成する結晶は大型化する傾向があった。
    (3)509の調合物から生成した最大結晶の重量は約168mg(径約5mm)であった。また,結晶は基本的には{111}で囲まれた八面体の形態をとり,かつ無色透明であった。
    (4)ピクノメーター法による結晶の密度は,5.32gcm3であり,これは文献値とよく致した。
  • 北村 秀樹, 大川 和伸, 久下 芳生, 浅田 真吾
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1702-1707
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    底質を硝酸,塩酸分解し,酸分解液中の亜鉛,カドミウム,鉛,銅およびビスマスを定量するために,おもにク形波アノーディック,ストリヅピング,ボルタンメトリー(ASV)で,0部については微分パルスASVで検討した。両者とも作用電極はつり下げ水銀滴電極を用いた。
    酸分解液中の目的元素は,酸分解液をヒドロキシルアミン塩酸塩で還元処理することにより多量に共存する鉄(III)イオンの妨害もなく,ASVでそれぞれ良好な溶出曲線を示したdピーク電位は亜鉛-〇.93V,ヵドミウムー0.57V,鉛-36V,銅-.11V(対SCE)であった。標準添加法を用いることにより,直線性のよい検量線が得られ,4元素が同時定量できた。また原子吸光法の分析値と比較したところ,カドミウムは原子吸光法にくらべやや低目であったが,他の3元素はよく-致した。底質中にビスマスが含まれているときは,本法を用いることによりビスマスは銅より正電位に良好なピークを示し,標準添加法を用いて定量できた。ビス`7スのピーク電位は0.O2-V(対SCE)であった。
  • 松尾 勉, 増田 嘉孝, 関戸 榮一
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1708-1715
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Heyr。vsk夕-F。rejt型オシロポーラログラフを試作,改良し,鉛(II)-ポリアミノポリカルボン酸系の電極反応機構の解明に適用した。試作装置の交流加電圧は10~2000Hzの間で連続して可変でき,ひずみとか雑音のない安定で良好なポーラログラムが得られた。鉛(II)とポリアミノポリカルボン酸(nta,edta(OH)2,ttha,edta,dtpa,Cydta)系のポーラログラムには,錯体の切れ込み"Cut-in"が還元過程にのみ生じた。これらのCut-inの電位は周波数に対して,錯体の安定度定数が大きいときの方が影響を受けやすく,逆にCut-inの高さは安定度定数が小さいときの方が影響を受けやすいことが判明した。錯体め還元の反応速度定数k°aが松田の式により求められた。この麗は配位子のΣpK乞(K彦:酸解離定数)と相関関係があり,Σp瓦の増加とともに大きな値をとる。反応速度定数k°Aはつぎに示す配位子の順序となった。ntaedta(OH)Kcydtadtpaedtattha。鉛(Ir)-ttha系では錯体のbut-inはpHにより,電位,高さともに影響を受け,pHが5以下ではPbH,L3騨,5以上ではPbHL3備の還元が起こっていると推定される。分析への応用の-例として,鉛(豆)と共存するビスマス(III)のtthaによる分析法を示した。
  • 赤岩 英夫, 川本 博, 冷牟田 悦夫
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1716-1719
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジチゾン(Hdz)によるコバルト(III)の抽出系に1,10-フェナントロリン(4)を添加すれば,その抽出速度が増大するばかりでなく,抽出錯体が安定化する現象を見いだした。抽出反応は,
    Coe+十2H2dz。rgpherとog-E-Co(Hdz)2(phen)org2H+
    で表わされ,Co(Hdz)2への1,10-フェナントロリンの付加が有機相中でのコバルト(III)の酸化数を安定化していることがわかった。
  • 斎藤 英, 松尾 拓
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1720-1727
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メタノールーd中における,8.3vo1%濃度の1Y,N-ジメチルアセトアセトアミドの互変異性の緩和過程にともなう玉H-NMRのシグナル強度変化を35°Cで追跡した。
    ケト体のメチレン基のシグナル強度の単調減少から溶質-溶媒間のH-D同位体交換を確認し,ついで,両異性体のC-メチル基のシグナル強度の変化からケト体成分比(モル分率)の経時変化が極小を示すことを明らかにした。
    つぎに,,溶質-溶媒間の同位体交換およびケトーエノール異性化の2種の過程を含む-般的な緩和過程の図式をたて,-次同位体効果の仮定,-部の水素交換の過渡的な平衡,各化学種のエネルギー準位ならびに濃度条件などを用いて,実験条件下で成立する簡略な図式を導き,これを用いて1Y,N-ジメチルアセトアセトアミドのメタノール中におけるケトーエノール異性化は溶質-溶媒間の水素交換を通して進行することを明らかにした。
  • 田島 正弘, 井上 晴夫, 飛田 満彦
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1728-1733
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    可視光照射下,1-アセチルアミノー4-プロモアントラキノン[3]および1-アセチルアミノー2,4-シプロモアントラキノン[5]の4位の臭素が,ブチルアミンにより置換される反応を,エタノール中およびベンゼン中で検討した0[3]では,両溶媒中とも℃T準位とi=位がほぼ同じエネルギ0をもつと推定され,速度論的検討から,'CT(S,)→3nπ(TY)3CT(T,)という経路を経て,3CT準位から光アミノ化が起こることが明らかとなった。また,3CT準位からの過程の速度定数Krakdおよびntt準位からの過程の速度定数の比,nの殖を見積もることができた。-方,[5]では光アミノ化が起こらなかった。これは,[5]がCT準位をもたないことによるものと考えられる。
  • 島崎 長一郎, 飯野 雄三, 斎藤 正人
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1734-1739
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリス(2,3-エポキシプロピル)4ンシアヌラート(TEPIC)とフェノールとで合成した5-フェノキシメチルー2-オキサゾリジノン(PMO)は再結晶,固体状態での摩砕および加熱の処理条件により結晶二形の性質を示すことを見いだした。結晶二形(A体,B体)を単離し,根互転換について検討した。A体およびB体は溶液状態では同じIR,NMRスペクトルを与えるが,固体状態におけるIRスペクトル,X線回折図およびDTA曲線はいちじるしく異なる。光学顕微鏡によりB体からA体への転移を確認し,DTA曲線から転移点を見いだした。PMOの熱分解反応の熱分析による解析では,A,B両体の挙動にはほとんど差がなく,活性化エネルギーは23.okcalmolであった。またPMOの熱分解反応は0次反応で進行することがわかった。
  • 佐伯 幸民, 前田 賢司, 根来 健二
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1740-1744
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-オクチルー,2-デシルー,2-ドデシルーおよび2-テトラデシルフェノチアジンモノスルポン酸塩(各試料詑号順にR8, R 10, R 12およびR14)を合成,精製と分析同定を行なった。これら各試料の各種濃度の水溶漆をつくり,それぞれについて電気伝導度,表面張力,乳化能力,ぬれ能力をはかった結果,試料の界面活牲は鎖長とともに増加した。また各試料の抗微生物性を調べた結果,各試料はグラム陽性菌(8.醐プ6π5)に効果を有するが,グラム陰性菌E.ωのには効果が小であることがわかった。また.450プッ艇8に対する抗カビ性を調べた結果,抗カビカは小であった。しかし以上試料のうち長鎖アルキル鎖を有する試料R14は抗菌力と抗カビカともにすぐれており,市販品(PCP)と同等の性能を有することがわかった。
  • 橋田 洋二, 松村 幸太郎, 大森 康宏, 松井 弘次
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1745-1748
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アゾカップリング反応におけるカチオン性,アニオン性,および非イオン性界面活性剤の効果を検討した。その結果,本反応のミセル効果は,ジアゾニウムイオンおよび基質の形式電荷により,いちじるしく変化することがわかった。すなわち,ジアゾニウムィオンが正の電荷をもつ〃野クロロベンゼンジアゾニウムィオンとN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アニリンとの反応は,アニオン活性剤により,かなり加速される。しかし,ジアゾニオベンゼンー4-スルホン酸との反応では,顕著なミセル効果は認めちれなかった。-方,ジアゾニウムィオンが-1の形式電荷をもつジアゾニオベンゼンー2,5-ジスルホン酸との反応は,カチオン活性剤により促進される。また,ミセル効果に対する反応試剤の電荷の影響を,1-ナフチルアミンー4-スルポン酸を基質として用い,検討した。得られた結果は,ミセルおよび反応試剤間の静電気的な相互作用という観点から説明される。
  • 久住 真, 三宅 孝典, 武上 善信
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1749-1755
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,1-ジフルオロエチレン(VF2)をクロ灘ジフルオロメタン(CHCIF2)とプロペン(C8H6)またはエチレン(CYH)との気相熱反応によって合成できることを認めたので,高温水蒸気で希釈しその含有熱によって反応温度にさせる球型反応器を用いる常圧流通法により,720~900℃,滞留時間0.O2-~0.55秒,水蒸気初濃度22~95%,C3H,CHCI馬=o.13~3,C,H4jCHCIF2=0.9~30の範囲で工学的に検討した。
    おもな生成物はVF2とテトラフルオロエチレン(C2CF4)であり,CHCIFQ反応率が80%を越えるとCZF4収率が減少してVF2収率の増加する顕著な傾向があった。CHGIF`2反応率がさらに高くなると,反応条件と無関係にフッ素の遊離がいちじるしく増加した。VF2収率(CHCIF2基準)は原料。比率とCHCIF£反応率で定まり,最高40%が得られた。VF2生成速度は14.6molμ。hrに達し,各へ反応温度におけるその極大値の対数と温度の逆数とは直線で表わされた。生成する炭素状生成物はVF2収率を低下させる要因となることが認められた。C3H6とC2CH4との間の反応盤の差はほとんど現われなかった。
  • 江川 博明, 野中 敬正, 前田 弘憲
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1756-1759
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸グリシジルの球状重合体を基体として良好なキレート樹脂を製造することを目的とし,球状重合体の構造が得られた樹脂のCu鮭吸着性に与える影響を検討した。
    本蘇究では,球状重合体をトリエチレンテトラミンでアミノ化してキレート性アニオン交換樹脂を製造した。アミノ化反応は容易に行なわれる。ゲル型球状重合体から得られたキレート樹脂はCu2や吸着量が小さい。メタクリル酸グリシジルに対し,2,2,4-トリメチルペンタンを50vo1%使用して合成した巨大網状構造球状重合体から最良のキレート樹脂が製造できることが明らかなった。得られたキレート樹脂は良好な耐酸,耐アルカリ性を示した。
  • 江川 博明, 城後 喜郎, 前田 弘憲
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1760-1766
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    巨大網状構造(MR型)のメタクリル酸グリシジル球状重合体が良好なキレート樹脂を製造する基体として適当であることを前報で報告した。本報ではメルカプト基を有するキレート樹脂を容易に製造することを目的として,つぎの二つの方法によりメタクリル酸グリシジル球状重合体にメルカプト基を導入することを検討した。
    メタクリル酸グリシジルのMR型球状重合体をメルカプト酢酸のジオキサン溶液と反応させることにより9~10wt%の硫黄含量をもつ良好なキレート樹脂が得られた。またMR型球状重合体をチオシアン酸アンモニウムのメタノール溶液と反応させたのち,その生成物をエタノール性硫化水素カリウムと反応させる方法により硫黄含量17~18wt%を有するキレート樹脂を得た。
    これら二つの方法により得られた樹脂はともに良好な耐酸化性と重金属イオン,とくにAu3÷, AぼおよびHg齢に対して低pH域で選択吸着性を示すことが認められた。
  • 前田 弘憲, 江川 博明
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1767-1770
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫酸中に溶解している水銀(III)の除去,回収を目的として,数種のキレート樹脂を用いて水銀(III)の回収および溶離について検討した結果,酸ヒドラジド基を有するMR型キレート樹脂(RMH)がこの目的のために利用できることが見いだされた。バッチ法において,RMHの硫酸溶液中に溶解している水銀(III)に対する吸着性は共存する酸濃度の増加とともに低下するが,硫酸濃度60%(約17N)に亙,ても十分な吸着性を示した。しかし,2N塩酸溶液中の塩化水銀(III)に対してはほとんど吸着性を示さない。またカラム法において,水銀(III)濃度2000mgμ,硫酸濃度20%の溶液を空間速度61hrで通液した場合にもRMHは良好な水銀(III)吸着性を示した。通液試料に過マンガン酸カリウムが含まれているときには,あらかじめ10%過酸化水素水で還元処理する必要がある。吸着された水銀(III)は12N塩酸を通液することによりほぼ100%溶離でき,吸着,溶離のリサイクルも完全になり立つことが明らかになった。
  • 三好 正信, 玉利 信幸, 加藤 昭夫
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1771-1773
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ZrN whiskers are grown on various substrates. It is found that Ni, SiO, and mullite substrates are effective in whisker density and in growth rate for the growth from a ZrCl4-H2-N, system. The presence of Si-carrying species in a vapor phase also accelerates the nucleation of whiskers. ZrN whiskers grow at the temperature range of 1000-1300°C and in the direction of (100) and (111).
  • 犬飼 吉彦
    1979 年 1979 巻 12 号 p. 1774-1776
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    To prepare pyrazolone-series monomeric azo dyes containing polymerizable group in the coupling com. ponent, 3-methyl-l-[p-(methacrylamido)phenyl]-2-pyrazolin-5-one C as the coupling agent has been synthesized. Then 4-arylazo derivatives [5] were prepared by the coupling reaction of [1] with aromatic diazonium salts in which the aromatic moieties are C6115, p-CH3C6H4, m-CH3C6H4, p-CH3OC6H4, m-CF-130C6H4, p-ClC8H4, m-ClC8H4, P-NO2C6114, m-NO2C61-14 and P-(CH3)2NC6H4. Tautomerism in [1] and [5] was investigated by IR and NMR spectra.
  • 1979 年 1979 巻 12 号 p. 1777a
    発行日: 1979年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 1979 巻 12 号 p. 1777b
    発行日: 1979年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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