石炭から高性能活性炭を高収率で製造する至適条件の見直し,ならびに確立の資とするために,固定炭素分(F.C。)ノ揮発分(V.M,)の比が1。8~7.7で,粘結性の大きく異なる8種の石炭試料(平均粒径1.Omm)について,石炭の直接賦活や,炭化条件が後続の賦活にどのような効果を与えるかを,活性炭収率Y(9(生成活性炭)ノ9(原料石炭))と表面積Sg(m2/9(生成活性炭))の向上に主眼をおいて, Sp=YS,(m2(生成活性炭)/9(原料石炭))あるいはS,=Y59/α(m2(生成活性炭)/9(原料石炭中のF,C,+灰分))を評価の基準にして検討した。すなわち,空気,HCl(5%)-空気,あるいはCO,中における乾式炭化(300~400℃)および熱濃硫酸による湿式炭化(150℃)と,後続のスチー-ム,CO
2, H£O-CO,混合ガス,N,による賦活(700~1000。C,主として900。C)などを組み合わせた2段処理法と石炭の直接賦活法の比較を行ない,つぎのような結果,知見を得た。
(1) 2段処理法では炭化の方法。条件が,また直接賦活法では原料石炭の炭化度や性状が賦活時の細孔開発工程(SP対YあるいはS。対Y/α)に大きく影響し,生成活性炭のX線的な炭素質構造も賦活前の炭化物あるいは石炭の状態により,ほぼ決定される。
(2)炭化度の低い石炭(F.C.ノV. M.あるいはF.C.+灰分75%)では, HCl-空気混合ガスによる乾式炭化,賦活の2段処理法あるいは直接賦活法が,またこれより炭化度の高い石炭では,湿式炭化,賦活の2段処理法が,Y, Sgともに大きい製造法として適しており, Y=40~70%で, Sg =soo~1000m2/9の活性炭が得られる。
(3) スチーム(10%H,O-N,)賦活は,低温度(700~800。C),長時間よりは,高温(900。C),短時間(1時間程度)の処理が望ましい。また,賦活前に炭化物を不活性ガス(N,)中であらかじめ高温(900。C)で熱処理しておくと,部分的なハードカーボン化が起こり,Yを向上させる。
(4)生成活性炭の液相(12(分子状),UO
22÷, PO,3-)での吸着量qは原料石炭や製造法にあまり関係なく,q(mg(1,)/9(生成活性炭))=1.20 Sg,9(mg(U)ノ9(生成活性炭))=0,18 Sg, qmg(PO,3-)ノ9(生成活性炭)ニ0.012 Sgで,それぞれ表わされ,既報のポリ塩化ビニルやポリカルボナートからつくった活性炭とくらべると,PO,3-が2倍の吸着量を示す以外は,吸着能はまったく同じで,また市販の高級ヤシ殻系活性炭とも遜色はみられない。
(5)触媒能(硫酸酸性溶液中のFe2+のFe3÷への空気酸化能)は,プラスチックからの活性炭ではほとんど認められないのに対して,石炭からの本活性炭では,市販の高級ヤシ殻系活性炭と同程度である。
抄録全体を表示