日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1979 巻, 4 号
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  • 岩島 聰, 本多 等, 青木 淳治, 竹川 実
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 443
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ペンゾアントロンから合成したテトラペンゾ[a,cd,j,lm]ペリレン(TBP)を高純度にするには,粗TBPを無水マレイン酸とクロラニルとともに無溶媒で煮沸後,活性炭-活性アルミナカラムを通す。つぎにジエチレングリコールと金属ナトリウムによる処理後,ふたたび活性炭-活性アルミナカラムを通す。さらに,ベンゼン中で煮沸後,不溶分をキシレンで再結晶することによって,インビオラントレンBとビオラントレンBの混入量が少なくとも10-7mol/mol以下の高純度TBPを得ることができる。
    高純度TBP蒸着薄膜の蛍光極大位置は,室温では486nmで,520nmと560nm付近に肩が観測され,液体窒素温度では490~493nmと527nm付近に蛍光極大位置が観測された。また,高純度TBPの蒸着薄膜の室温での蛍光寿命は16.0~21.6nsであり,低純度の場合は8.9~26.4nsの蛍光寿命を示す。
  • 宮谷 大作, 竹内 豊三郎
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 450-454
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリチウムをトレーサーに用いて,Raneyニッケル触媒の保有水素のエチレン水素化反応における反応性について調べた。Raneyニッケルの保有水素をあらかじめトリチウムで標識しておき反応時に反応物質として気相から導入する水素と区劉した。保有水素の反応性は水素化反応によって生成するエタンに含まれるトリチウム量の測定から求めた。保有水素のみによる水素化反応の場合,エチレンは保有水素と反応したが,保有水素と気相中の水素とが共存した場合の水素化反応では,大部分(99%以上)のエタンは気相中の水素から得られたものであった。
  • 野瀬 大治, 田口 貴雄, 井上 英一
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 455-460
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    タンパク質の熱変性現象を利用した新しい感熱記録材料の研究を行なった。印捌物から透過型の着色画像をつくることを目的として,タンパク質として卵白アルブミンを用いてポリエステルフぜルム上に塗布乾燥により感熱層を形成し,印刷物の黒色画燥と接触した感熱層にキセノン・フラッシュ光(2msec・3J/cm2)を与え,黒色画像部分に熱を発生させてタンパク質を変性させたのち,水で未変性部分を洗い流すことにより,レリーフ画像を得てこれを染色することにより着色画像をつくった。
    卵白アルブミンの水溶液状態での加熱による凝固変性は,古くからよく知られた現象であるが,乾燥固体状態では,100℃・3時間という条件下でも変性が起こらず,水が熱変性に関与していることが知られている。すなわち,水を含まない固体フィルム状態では,卵白アルブミンの熱変性は実質的には起こりえず,感熱記録フィルムをつくる上で問題点となった。
    著者らは・卵白アルブミンの固体状態での熱変性現象における水の役割が一般のポリマーに対する可塑剤の役割と対応するものと考えて,水にかわる不揮発性の低分子量物質,グリセリンや尿素を卵白アルブミンに対し・20-50wt%添加した卵白アルブミン感熱記録フィルムをつくり,熱変性の反応速度を水に対する溶解量の変化を測ることにより測定した。 その結果・乾燥固体フィルム状の卵白アルブミンの熱変性速度は,尿素とグリセリンの添加量に対し,それぞれ6・4乗・16乗で速くなることがわかった。また,感熱記録材料の保存性(シェルフ・ライフ)を決定づける見かけの活性化エネルギー値も,尿素とグリセリンの添加に対して,それぞれ70-92kcal/mo1,70~83kcal/mo1と高い値をたもっていることがわかった。
    尿素やグリセリンを添加することにより・卵白アルブミンの水を含まない固体状態でも熱変性を起こすことができ感熱記録フィルムへの応用が可能となった
  • 山本 善史, 山下 大二郎
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 461-466
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルカリ電池の正極板としての銀電極の容量増加を目的として,電解質としてのアルカリ溶液中に銅,亜鉛,イットリウムおよびスズの各金属塩を微量添加したとき,銀電極の酸化。還元挙動におよぼす影響について検討し,つぎのような結果を得た。
    (1)充放電曲線および電流-電位曲線から,銅,亜鉛,イットリウムおよびスズのいずれの添加によっても,銀電極の容量が顕著に増大することが認められた。とくに,第1サイクルよりすべての酸化・還元ピークがいちじるしく増大し,銀電極の活物質量の増加が認められた。また,イットリウムを添加した場合の充放電特性は良好であつた。充電の第1段階での中間の小さな極大波は,いずれの金属塩添加溶液の場合にも,無添加溶液におけると同様に認められた。また,第2段の放電電位急落後OVより卑な電位での電位停滞部は,いずれの金属塩添加の場合にも認められなかった。
    (2)充放電曲線電流一電位曲線および電子顕微鏡観察から,添加された銅,亜鉛,イットリウムおよびスズの各金属は電析することなく,充電時にイオン状態またはコロイド状態で吸着され,銀電極の活性点での結晶生長を抑制し,他点への析出を強制することにより活物質を微細化し,その結果銀電極の容量が増大するものと推定した。
    (3)各種金属塩を添加した電解質のうちで,イットリウム添加の場合にみられるコロイド状電解質は,銀電極の充放電特性の改善にもっとも有効であった。
  • 内藤久 仁茂, 高木 茂, 江幡 秀人, 武井 信典
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 467-473
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫酸中の鉄(皿)イオンの酸素酸化に用いる活性炭触媒を得る目的で,加熱により気化,分解するアンモ出ウム塩,アミノ酸尿素,ヘキサミン,メラミンあるいは二酸化炭素やアンモニアによる活性炭の改良法を検討した。得られた活性炭触媒は,気化,分解する温度が高く,単位重量あたりの窒素量が大きい化合物を用いたときに高い活性を示す。用いた化合物の気化,分解により生成するアンモニアにより活性がいちじるしく増大する。活性炭触媒の活性は,液相吸着法により測定した比表面積や表面塩基性度よりも,改良時の重量減少率に関係がある。このような結果は,活性炭の消耗により形成された細孔に触媒活性点が分布していると考えると矛盾なく説明できる。窒素気流中で予備加熱した市販の活性炭および白製したPVC炭をアンモニア気流中で加熱,改良した活性炭触媒の活性は,改良時の重量減少率と予偽加熱時の活性炭の消耗量に強く依存する,本研究で検討した活性炭の改良法では,改良時の重量減少率が活塩増大を支配する重要な因子であることが判明した。
  • 三浦 則雄, 山添 昇, 清山 哲郎
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 474-478
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者らが以前に提案した3段からなる"Sb-1系水素製造プロセス"におけるつぎの(1)のステップの反応性の低さを,以下のような改良を重ねることにより,新たにつぎの5段からなる"Sb-1-Ca系1/2Sb203(s)+12(s)+H2O(l)→1/2Sb205(s)+2HI(aq)(1)
    改良プロセズ"を組み立てることに成功した。4/3sb203+12(s)→213sbI3+sb,o,(4)
    213sbI8+cao→caI2+113sb,o,(7c)
    Cal2+H,0→CaO+2HI(6c)
    2HI→H2+12(2')
    sb,o→sb203+11202(3')
    すなわち,まず(1)を気一固反応とすることを試みたが,Sbl3を生じる(4)のような副反応が先行したため,これを利用して(1)をつぎの(5),および(4)の2段反応に分解することを検討した。
    2/3Sbl3+H20→113Sb203+2HI(5)しかしながら(5)は高温でもほとんど進行しないことが判明したため・これに媒介元素Mを導入してさらに,つぎの2段に分解することを試みた。このMとしてMg・Fe・Caなどを検討した結果,(6)
    とMI2+H,0→MO+2HI(6)2/3sbl3+Mo→MI2+1/3sb203(7)
    (7)の両反応を十分縫め得るCaをとりあげ,上の改良プロセスを構成した。さらに熱力学的な検討からもこのプロセスがかなり有望であることを確かめた。
  • 三浦 則雄, 山添 昇, 清山 哲郎
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 479-485
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前報(2)で提案した"Sb-1-Ca系水素製造プロセス'の各ステップについての詳細な実験的検討を行ない,すべての反応および分離工程がうまく進行することを確認した。すなわち第1ステップのSb203粉末とガス状1,との反応では,約700K,2時間でSb203の反応率はほぼ100%に達し,さらにガス状で生成するSbl,と固体状のSb20,との分離も完全に行なりことができた。第2ステップの液体状Sbl,とCaO粉末との反応では633K,6時間で約75%の反応率が得られた。またここで生成する固体状のSb203とCaI,は,水に対する溶解度差を利用すれば容易に分離できた。第3ステップにおける液体状CaI,と水蒸気との反応は,その熱力学的データから判断すると平衡は非常に不利であるが,実際には反応性は大きく,He気流中1173KにおいてH,0の転化率は60%に達した。第4ステップのHIガスの熱分解については多くの研究報告があり,1173Kで28%分解する。最後のSb204の熱分解については,N2気流中,1293K,2時間で反応の完結を認めた。
    以上の実験結果に基づくと,この新プロセスは五つの反応と三つの相変化から構成されることが判明した。さらにプロセス全体の熱および作業物質のフローシートを作成し,これから総合熱効率(LHv)を試算すると,熱回収率を0.7~0.8に見積った場合30~40%という有望な値を得た。
  • 谷原 紘一
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 486-493
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    尿素とアミド硫酸アンモニウム(AAS)との常圧下での溶融反応によるグアニジユウムイオン(GH+)の生成機構について検討した。
    GH+への生成は,硫酸イオンとともに200℃付近で始まり,尿素のGH+への転化率は,尿素とアミド硫酸アンモニウム(モル比1:4)とを230℃で60分間反応させた場合,87%に達した。反応漉合物の赤外吸収スペクトルならびに反応中のアンモニア発生量の測定結果は,従来この反応の中間体と考えられていたウレイド硫酸アンモニウムの存在を示さず,GH+生成前の主反応は,イミドピス(硫酸)ニアンモニウム(DIS)を生成するAASの脱アンモニア反応であった。
    一方,AASと水または硫酸水素アンモニウムとの反応性を検討した結果,加水分解については,170℃の商温でも反応が遅く,それより相当低温でも加水分解を受けやすいDISとは対照的であった。また,AASと硫酸水素アンモニウムとの混合物(ともに,DISの加水分解生成物である)は,119℃で溶磁後,ただちに急激な発熱反応を起こしてDISと硫酸アンモニウムを生成することが認められた。以上の結果に基づいて,尿素とアミド硫酸アンモニウムからグアニジニウムイオンを生成する反応径路をつぎのように提案した。
  • 大谷 杉郎, 小島 昭, 小浜 裕司, 桜井 智
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 494-501
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    気相熱分解炭素(PC)の堆積温度をこれまでよりも低くすることを目的として,ジクロロエチレン,およびトリクロロエタンを原料とする方法を検討した。高周波誘導炉で700℃に加熱した円柱状炭素基材上にアルゴンガスをキャリヤーとして5種の異性体を送り,堆積速度を比較した。1,1,1-トリクロロエタンとcis-1,2-ジクロロエチレンがもっとも大きい堆積速度を示した。ついで,後者を原料として堆積条件[基材温度(500~1100℃)s原料ガス濃度(8~22vol%),ガス流量(50~840ml/min)]の影響を検討した。その結果から,比較的低温で堆積速度が大きく,副生成物の生成量の少ない実用的な堆積条件は,基材温度700℃原料ガス濃度8~19vo1%,ガス流量460ml/minであった。この条件での平均堆積速度は約60μm/hrであった。堆積したPCの断面構造は,基材温度と原料供給速度が増加するにつれて,Columnar型からGranular型へと変わり,X線パラメーター(d002,Lc)は従来のPCと比較して低い値を示したが,比重,弾性率,電気比抵抗などは同程度であった。これらの結果から,700~900℃の低い基材温度でもPCを堆積できることがわかった。
  • 吉村 芳武, 沖 久也, 土屋 亮吉
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 502-505
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    すでに水溶液内反応でサリチル酸銅(II)の淡青色単量体錯体Cu(Hsa1)2・4H2O[1](sal=C6H40COO)および淡緑色錯体Cu(sa1)H2O[3]は知られているが,その結晶化の条件はこれまで知られていなかった。本報では出発物質の混合溶液中における各濃度およびモル比,温度ならびにpHを変化させ,各錯体の水溶液中での結晶化の条件を明らかにした。このうちモル比の影響はみられなかったので,硫酸銅(II)とサリチル酸ナトリウムのモル比は1:2と固定し,pHは3.6において,硫酸銅(II)の各初濃度と各温度において結晶化する錯体種の種類を調べた。
    まず50℃以下では硫酸銅(II)の濃度に関係なく錯体[1]が析出し,50℃以上,硫酸銅(ll)の濃度0.13mo1。Z一ユ以上の濃度では[3]が得られた。また50℃以上,0.15~0.2mmol・l-1の高濃度においては,いままで水溶液中から合成されていない青緑色二量体錯体Cu2(Hsal)4[2]が[3]と混合析出した。さらに50℃以上,0.13mol.l-1は水溶液から新しく合成されたものであり,[4]は新化合物である。
  • 吉村 芳武, 沖 久也, 土屋 亮吉
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 506-510
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    サリチル酸銅(II)錯体の熱分解において,井上らは淡青色単量体Cu(Hsa1),・4H,O〔1〕の熱分解により,単量体Cu(Hsa1)a〔5〕および二塁体Cu2(Hsa1)4〔6〕の無水和物を合成している(3)。本研究では井上らが合成した〔5〕および〔6〕の生成条件をさらに定量的に検討し,その後の熱分解過程を調べるとともに,既報(4)で水溶液から得た他のサリチル酸銅(豆)錯体,すなわち〔2〕,〔3〕および〔4〕について熱分解過程を追跡し,生成物を赤外吸収スペクトル,拡散反射スペクトル,磁化率およびX線回折パターンより同定した。
    単量体無水物〔5〕は〔1〕の昇温速度2℃・min-1以上,二量体〔6〕は0・80C・min-1以下の加熱により得られた。前者は単なる脱水であり,後者については,気相一固相反応が関与していることを示唆する結果を得た。また〔5〕および〔6〕からそれぞれサリチル酸が1/3mo1離脱した〔7〕と〔9〕は組成は同じであるが,別種の単量体であり,さらにそれぞれ1/3mo1ずつサリチル酸が離脱した〔8〕および〔10〕は同じ単量体であった。水溶液中で得た二量体〔2〕と〔1〕の熱分解で得た〔6〕は一致した。また同じ組成で異種の〔3〕および〔4〕の熱分解で得た無水和物〔11〕および〔12〕もまた異なる錯体であった。
  • 大津 裕, 松本 勲
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 511-516
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    キサンテン系染料におけるハロゲン置換数の異なる表示成分および副生物の迅速分離定量法を高速液体クロマトグラフィー(HLC)を用いて検討し,さらに市販品の分析に応用した。標準試料は大口径のカラムを用いたイオン交換法により市販品および合成品から分離し,さらにゲル戸過法により精製した。これらの高純度の標準試料を用いて,各ハロゲン別にハロゲン置換数ごとの迅速分離条件を検討した。その結果,カラムに日立ゲル3011を用い,移動相溶媒として過塩素酸,水,アセトニトリルを添加したメタノールを用いた逆相クロマトグラフィーにより,迅速な分離が可能であった。得られたクロマトグラムの再現性と検量線は,実試料の定量を行なうに満足する結果を得た。さらに市販品のハロゲン分布測定に応用し,これまでの分析法からは得られなかった興味ある情報を得た。
  • 山口 八郎, 吉岡 範明
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 517-521
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫酸水素(2-アミノプロピル)(IE)および硫酸水素(2-アミノ-1-メチルエチル)(IIE)と硫化水素アンモニウムとからは同一化合物,2-アミノ-1-プロパンチオール(IM)の生成することを明らかにした。
    IEおよびIIEから生成するアミノアルカンチオールおよびこれを酸化して得られるビス(アミノアルキル)ジスルフィドは塩酸塩類として,さらに酸化の進んだ化合物アミノアルカンスルホン酸はそのままの形で標晶と比較同定した。標品として2-アミノ-1-プロパンチオール(IM)および1-アミノ-2鼎プロパンチオール(llM)の塩酸塩および2-アミノ-1-プロパンスルホン酸(IS)を別合成した。同定にはTLCのRf値,IR吸収,NMR吸収を比較し,元素分析値を計算値と比較した。
    硫酸水素(アミノアルキル)の2種類の異性体IEおよびIIEから得られるアミノアルカンチオールが同一のIMである事実から,この反応の機構として,硫酸水素(アミノアルキル)はアミノ基の隣接基効果により硫酸イオンを脱離してIEとIIEといずれからも同一のメチルアジリジニウムイオン(MAZ)を生成し,これに硫化水素イオンが求核的に攻撃するさいアジリジニウム環を形成する2個の炭素原子のうち電子密度がより低く,立体的混み合いのより少ないメチレン基の炭素原子を攻撃したものと考えた。
  • 上岡 龍一, 森 秀美, 米沢 香一郎, 加藤 正巳, 大津家 裕司, 山田 仁穂
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 522-527
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    重合度の異なるテロマー型ヒドロキサム酸(THA)による種々のフェニルエステルの加水分解反応を試み,モノマーヒドロキサム酸を比較のために用いた。テロマー型ヒドロキサム酸は種々の酵素類似の挙動を示し,なかでも重合度10・3の典型的なオリゴマーに属するヒドロキサム酸(THA-1)は水溶性高分子とモノマー界面活性剤の両方の特性を有し,カチオン性界面活性剤との混合触媒系で大きな反応加速効果が観測された。
  • 長尾 幸徳, 田辺 順子, 御園生 尭久
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 528-534
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3,4:9,10-ペリレンテトラカルボン酸無水物[1]をアミン[4](a;アンモニア,b;メチルアミン,c;エチルアミン・d;・プロピルアミン,e;ブチルアミン)と縮合し,N,N'-二置換(-R)-3,4:9,10-ベリレンテトラカルボン酸ジイミド(R=H,CH3,,CH2,CH3,CH2,CH2,CH3,CH2,CH2,CH2,CH3,)[3a-e]を生ずる反応の各中間生成物であるN置換(-R)-3,4:9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(R=H,CH3,CH2CH3,CH2CH2CH3,CH2CH2CH2CH3)[2a-e]を合成した。
    つぎに反応温度5-50。Cで[1]と[4a-e]を各種反応モル比で反応させ,その経時変化を分光無度溝で調べた。すべての反応で[2]は時間とともに増加し最大値を示したのち減少した。そこでこの最大値を[2]の最高生成率と呼んで比較した。各反応の[2a-e]の最高生成率は[2a];5060%,[2b];40-50%,[2c];60-70%,[2d];65-75%,[2e];80-85%となった。このようちに最高生成率はアルキルアミンのアルキル基が長いほど増加し,このことはアルキル基の大きさが反応に関与していると考えた。さらにこの反応の速度論的考察も行なった。
  • 山上 允之, 福元 次夫
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 535-539
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    難燃性ポリマーをうる目的でビス(2一クロロエチル)=ビニルポスホナートのγ線塊状重合を行なった。定常状態での重合速度は線量率の一次に比例(Rp 1.0)した。重合禁止剤の効果はラジカル機構を支持した。また重合中の連鎖移動が重合速度を遅くし,ポリマーの分子量をも低下させることから,生長鎖からモノマーへの退化的連鎖移動による1分子停止反応を想定した。開始剤重合の研究例では高重合体は得られないが,本研究では10Mradの大線量の照射により分子量16400のポリマーが得られた。さらに20Mradの照射では不溶性のゲルが得られることが明らかになった。その理由として,放射線重合では生成ポリマーも照射されて新たな活性ラジカルを生じ,これがモノマーと枝わかれ反応を起こすか,または同種のポリマーラジカルと橋かけ反応を起こすために高重合体になるものと結論した。
  • 松村 年郎, 井上 哲男, 樋口 英二, 山手 昇
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 540-545
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者らが開発したホルムアルデヒド自動計測器を東京都内の国設自動車解説ガス霞ケ関測定所に収納し,1968年から常時測定を実施している。本報は最近9年間(1968~1976)のホルムアルデヒド濃度の測定結果をまとめたもので,つぎのようなことがわかった。
    ホルムアルデヒド濃度の1時間値は1ppbから73ppb,日平均値は1ppbから27ppb,月平均値は3.1ppbから19.1ppb,年平均値は4.6ppbから10.5ppbであった。ホルムアルデヒド濃度の日平均値は対数正規分布を示すことが認められた。ホルムアルデヒド濃度の日平均値とその目の瞬間最高値との関係はおおよそ1:2である。ホルムアルデヒド濃度は正午頃がもっとも高く,季節的には6月から8月の夏季に濃度が高く,とくに高濃度ホルムアルデヒド(1時間値20ppb以上)の出現には光化学反応が関与していることが認められた。
  • 宮本 弘, 山本 道雄, 丸山 由美子
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 546-548
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The solubility of iodates of Mn (ll), Ni (ll) and Cu (ll) in N, N-dimethylformamide-water mixtures has been determined iodometrically at 20, 25 and 30°C.
    The logarithm of the solubility of the sparingly soluble salts decreased almost linearly with the reciprocal of the dielectric constant of the solvents, as expected from the Born equation. The solvation radius of the iodates were computed with the observed data of the solubilities and the Born equation.
  • 磯崎 昭徳, 添田 直樹, 奥谷 忠雄, 内海 喩
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 549-551
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    A simple method for the determination of copper (ppb level) by the introduction of chelating resin into carbon tube atomizer was attemped. After the copper ion in the test solution (250 ml) has been adequately concentrated and 0.10 g of chelating resin (below 400 mesh) added, the resin was then separated from aqueous solution. Aliquots (10 Al) of resin-suspension, which was prepared by adding 5.0 ml of water to the above resin, were introduced into the atomizer. The optimum operating conditions are shown in Table 1. The calibration graph was linear up to 4.0 ppb of copper, and the relative standard deviation was 2.5% at 3.0 ppb level of copper.
  • 池田 早苗, 佐竹 弘
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 552-554
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Six kinds of dithiocarbamate were determined with silver nitrate by the short-circuit am- perometric titration using a rotating platinum wire electrode (1200 rpm) and a mercury-mer- cury(ll) iodide electrode.
    It was found that water-soluble dithiocarbamates (sodium dimethyldithiocarbamate, dimethyl- ammonium dimethyldithiocarbamate, sodium diethyldithiocarbamate, diethylammonium diethyl- dithiocarbamate, potassium dibenzyldithiocarbamate, and ammonium 1-pyrolidinecarbodithioate) could be titrated at a room temperature with silver nitrate standard solution in the presence of ammonia and Triton X-405. The recommended procedure was as follows: About 15 mg of dithiocarbamate was introduced into the titration cell. Ammonia and Triton X-405 were added to it until the final concentrations of them became 0.3 mol/1 and O.05%, respectively, then water was added to it up to 100 ml. The solution was titrated with 0.1 molfi silver nitrate solution amperometrically. Ten minutes was required to complete the whole procedure. Dithiocarbamates (ca.10-3 mol/l) were precisely determined within less than 0.2% of both relative error and coefficient of variation. The effects of various ions were examined and the methods used in the presence of interfering ions were shown.
  • 村田 科久, 松田 昭男
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 555-557
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Solvent effect on the oxo reaction rate of propylene was examined using Co2(C0)8 and a small amount of pyridine as a catalyst. The initial rate of formation of butyraldehyde in the oxo reaction of propylene in polar solvents greatly decreased in the presence of pyridine. As a result, the maximal rate in diethyl ether was about 400 times minimal that in acetone. Also, similar result was obtained for the initial rate of gas absorption in hydroesterification. The decrease in these rates was correlated, to a certain extent, to the increase in dielectric constants of solvents.
    The infrared spectra at-30°C of the catalyst system consisting of Co2 (CO)5 (2 mmol), pyridine (6.67 mmol) and diethyl ether indicated two characteristic bands, i. e., bridging carbonyl at 1850 cm-1 and terminal carbonyl at 2000∼2100 cm-1 with weak tetracarbonylcobaltate anion band at 1890 cm-1 which was responsible for the drop of reaction rate. On the other hand, the spectra in acetone under the same conditions indicated no bands at both 1850 and 20O0∼ 2100 cm-1 and only the strong band at 1890 cm-1 was observed.
  • 世古 洋康, 徳田 芳和, 松岡 学
    1979 年 1979 巻 4 号 p. 558-559
    発行日: 1979/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The vapor phase oxidation of p-methoxytoluene to p-anisaldehyde has been studied. A V205-P205 catalyst scarecely exhibited an activity to give p-anisaldehyde. The activity of the catalyst was improved and continued for a long time by appropriate addition of CuO. However, the addition of CuO led to the increase of combustion products, and resulted in a drop in the selectivity to p-anisaldehyde. The addition of K2SO4 to V205-P205-CuO catalyst decreased combustion products and improved the selectivity.
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