日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1980 巻, 12 号
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  • 掛川 一幸, 毛利 純一, 高田 功, 高橋 紘一郎, 白崎 信一
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1813-1818
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    銀添加チタン酸バリウムの半導体化の機構を明らかにした。この系には少量の金属銀が遊離していたが,この電導性は金属銀によるものではなく,チタン酸ノ句ウム自体によるものであることを確認した。銀添加チタン酸バリウム半導体には希土類添加チタン酸バリウムと同様のPTCR(Positive temperature coefficien to fresistance)異常が認められた。このほかSeebeck効果,電極の種類による見かけの抵抗の差異などから,この系は希土類添加チタン酸バリウム半導体と本質的に同じ典型的なn型半導体であることが示された。銀添加チタン酸バリウムには原子価の小さいAg+ の置換固溶を補償するために発生したextrinsicな酸素空孔と熱的な解離により発生した空孔とが含まれていた。電導度の測定と酸素拡散の灘定により前者は後者にくらべて多量に存在するが,電導性は後者に起因していることが確かめられた。さらに,銀添加チタソ酸バリウムでは1300。C以上で酸素の解離が起こり,その状態から急冷すると解離により発生した酸素空孔が凍結され半導性を示すこと,1200。C付近の再加熱により凍結されていた空孔が消滅し半導性が失われることなどを明らかにした。
  • 高宮 信夫, 小泉 健, 高野 道雄
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1819-1823
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来から液相酸化触媒として知られている各種のポリ(金属フタロシアニン)を不均一気相触媒として用いピロールの水素化脱窒素反応を行ない,これらの触媒の活性について検討した。活性は中心金属種により異なり,活性の大きなものから,ポリ(コバルトフタロシアニソ),ポリ(白金フタロシアニン),他の8種のポリ(金属フタロシアニン),Mo,Fe,Ni,Mn,Zn,Cr,Pd,Cuの順となり,コパルト,白金以外ではあまり活性を示さなかった。また単一型で最高活性を示したCoにNi,Fe,Cu,Cr,Ptを混合した混合型ポリ(金属フタロシアニン)ではポリ(コパルトー白金フタロシアニン),ポリ(コバルト-鉄フタロシアニン)がおのおのの単一型であるポリ(コバルトフタロシアニン)やポリ(白金ブタ戸シアニン),ポリ(鉄フタロシアニン)より高活性を示し2種の金属による混合効果が認められた。またポリ(鉄一ニヅケルフタロシアニン)においても2種の金属による混合効果が認められた。ポリ(コバルトフタロシアニン)を用いて速度論的解析を行ない,速度式ro=k[C4H4NH]-0.4[Ho]0.8という結果を得た。また450~5256Cにおける見かけの活性化エネルギーは15.9kcal/molであった。
  • 山下 嗣人, 外島 忍
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1824-1829
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    亜鉛の析出および溶解の電極反応過程を界面インピーダンス法により検討した。硫酸亜鉛水溶液における電極反応は吸着過程を含む電荷移動(Zn2++2e-⇔Zn)過程が律速であった。亜鉛酸アルカリ水溶液におけるカソード反応はZn(OH)42-への電極界面への拡散過程が律速であり, 一方, アノード反応は電極表面に蓄積した中間生成物質である水酸化亜鉛のZn(OH)42-への溶解過程が支配的であった。温度の上昇により,電荷移動抵抗および拡散抵抗は減少し,反応速度は増加したが, 電極反応の律速過程には影響を与えなかった。なお亜鉛の電極反応は硫酸亜鉛水溶液では±10mV, 亜鉛酸アルカリ水溶液では±5mV以上の過電圧で, 電荷移動過程が律速であった。
  • 成田 栄一, 後藤 順一, 今井 力, 岡部 泰二郎
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1830-1835
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    含水酸化マソガソ(IV)(含水MnO2)を水酸化カリウム溶液に懸濁させ,これに酸化開始剤として少量の過マンガン酸カリウムを添加した系の無隔膜電解酸化について,ニッケル陽極を用い, 3.2Aldm2の定電流で検討を行なった。その結果,アルカリ性溶液から生成した多量のアルカリと結合水を含有するMnO2は反応性が良好であり,マンガン(VI)酸を経て過マンガソ酸まで酸化された。電解槽内ではつぎの二つの反応,すなわち化学的酸化と電解酸化が同時に起こっているものと考えられた。
    MnO2+2MnO4-+4OH=3MnO42-+2H2O〓MnO4-=MnO4-+e
    電流効率はMnO2の含量,遊離KOH濃度および温度の増加とともに高くなることがわかった。これは化学的酸化が律速反応であることに起因している。しかしながら,遊離KOH濃度が5mol/l以上に高くなると,過マンガン酸からマンガソ(VI)酸への分解が顕著に認められた。
    良好な電流効率が得られる条件として,MnO2含量0.65mol/l,遊離KOH濃度4.2mol/l,温度800℃が得られた。また共存物質の影響も調べた。
  • 纐纈 銃吾
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1836-1843
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    いくつかのリンおよびヒ素を含む化合物の13C-NMRを測定した。プロトンと13C-NMRに対するフェニル基のしやへい効果の差を利用することにより, ジフエニルアルキルホスフィンにおいて容易にアルキル基の吸収の帰属が可能であり,この結果をもとにして,非対称第三級ホスフィンの吸収の帰属を行なった。さらにこれら3価のリン,ヒ素化合物およびそれらのオニウムイオソのアルキル基部分の化学シフトと脂肪族炭化水素の化学シフトの間には良好な直線関係が見いだされた。またリン原子自身のα,β,γおよびδ効果の知見を得るために第一級ホスフィンの化学シフトも検討した。
  • 御園生 誠, 武安 弘光, 米田 幸夫
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1844-1849
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-ハロブタンおよび2-ブテンの塩素置換および塩素付加反応を,塩化銅(II)を用いて気-固反応系で行ない,反応の立体化学,位置・立体選択性を検討した。パルス法による量論反応を主として調べたが,プテンへの塩素付加反応については,二元金属塩化物を用い塩化水素と酸素を再酸化剤とする触媒的なオキシ塩素化が可能であることを示した。
    2-ハロブタンの場合,100℃付近では酸塩基的なハロゲン交換,脱ハロゲン化水素が主反応であるが,反応温度が上昇するにしたがい,3位水素が塩素と置換するようになる。さらに温度をあげると2,3-ジクロロブタンが生成する。塩素置換は3位のみに起こり,かつ,threo体が優勢に生成する。ブテンは,200℃付近で容易に塩素付加され,その立体化学はほぼ100%アンチ付加であった。
    以上の立体化学,位置・立体選択性は,環状ハロゲン橋かけ中間体を経由する反応図式において,均一系で安定なE体ではなく,固体表面との立体反発の小さいZ体が安定であるとして,合理的に説明された。
  • 浜本 俊一, 黒田 信行, 高光 永明, 梅村 純郎
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1850-1854
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫酸触媒の存在下に,イソブチルメチルケトソと過酸化水素からin situで誘導されるイソブチルメチルケトンペルオキシドと大過剰のフェノールとの反応について動力学的に研究した。
    この反応はすみかかに進み,その速度ぼイソブメルメチルケトソと硫酸触媒の各濃度に関してそれぞれ1次,過酸化水素濃度に関して2次および水濃度に関して-1次であった。さらに,この反応の見かけの活性化エネルギーは11.5kcal/molであった。これらの結果に基づいて,フェノールとin situイソブチルメチルケトソペルオキシドとの反応によるカテコールとヒドロキノンの生成機構について考察した。
  • 三田 勝久, 山岸 敬道, 飛田 満彦
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1855-1861
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ロジウム(I)錯体の存在下アントラキノン(AQ)がアミンにより直接アミノ化を受ける反応を見いだした。この新規なアミノ化反応では1-アルキルアミ/アントラキノン〔1〕が主生成物で,少量の1,4-ビス(アルキルアミノ)アントラキノン〔2〕が副生し,アントラキノンのα-位にのみ選択的にアミノ化が起こった。この反応は酸素を必要とするが,ジグリム中,Rh/AQ=0.11の場合あらかじめ窒素下で加熱したのち,空気下で反応させると収率が向上した。配位不飽和になりやすい複核錯体[RhCL(PPh3)2]2がもっとも高い活性を示し,ブチルアミンを用いてジグリム中,錯体濃度2.70mmol/lの条件で加熱還流させた場合,ロジウム基準で収率〔1〕136%,〔2〕26%を与え,錯体が触媒として循環した。ジグリム溶媒中,反応温度の効果,ロジウム(I)錯体,アミンおよびアントラキノン濃度依存性を検討し,各種アミン類との反応も試みたが,アミノ化収率の顕著な向上は見られなかった。一方,β-ピコリン溶媒中の化学量論反応における反応温度の影響を検討した結果,110℃ で[RhCl(PPh3)2]2濃度25.2mmol/l(Rh/AQ=1.0)の場合,アミノ化収率は〔1〕40%,〔2〕0.6%に向上した。
  • 笠井 俊保, 中森 建夫, 関口 京一
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1862-1869
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    5-位にニトロ基,アミノ基およびアセチルアミノ基をもつ2,3-ジクロロ-1,4-ナフトキノン〔1〕~〔3〕とアニリン類(アニリン,p-トルイジン,p-クロロアニリン)を縮合させ,生成が予想される2種の異性体〔4~12aおよび5〕を分離し,それらの構造を合成的に決定した。さらに5-位にアミノ基,アセチルアミノ基をもつ2,3,6,魯テトラクロロ-1,4-ナフトキノン〔13〕,〔14〕とアニリン類(アニリン,p-トルイジン,p-アニシジン,p-クロロアニリン)を縮合させ,生成が予想される2種の異性体(15~22aおよびb)を分離し,それらの構造を合成的に決定した。つぎに2-置換生成物および3-置換生成物の生成割合の比較,各種スペクトルなどから,ベンゼン環の置換基が2,3-位の反応性におよぼす影響について検討した。また応用研究の一環として,化学構造と色調との関係を調べた。
  • 中村 尊, 原田 哲也, 和井内 徹
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1870-1874
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    夕張新第二炭を用いて100~283℃の比較的低温度,真空下で定温加熱を行ない,発生したガスのうち水素,メタン,一酸化炭素について,その速度を測定した。さらに,石炭の粒径がそれらのガスの発生速度におよぼす影響,および夕張新第二炭のピリジソ抽出物を加熱したときに発生する水素,メタン,一酸化炭素め各発生量と加熱温度の関係などを合わせて比較検討することにより,つぎめことが結論された。
    (1)石炭粒子内に吸蔵されていた水素,メタン,一酸化炭素の大部分は約150℃以下の温度で発生する。(2)熱分解によるガスが発生し始める温度は,一酸化炭素,メタン,水素の順に高くなり,水素のそれは約200℃である。また,水素では熱分解ガスと吸蔵ガスの発生領域の境界がかなり明確である。(3)測定したそれぞれの発生ガスの速度は,活性化エネルギーに分布があると仮定して導出した一次速度式によって表わすことができる。
  • 山田 仁穂, 小出 善文, 金納 雅之, 正泉寺 秀人
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1875-1880
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    部分四級化4-ビニルピリジンテロマー型界面活性剤(LVP-BQ,LVP-EQ)を合成し,その銅錯体を用いて,水-ベンゼン混合溶媒中で2,6-キシレノール(XOH)の乳化重合について検討した。
    1-ドデカンチオールを溶媒,アゾピスイソブチロニトリルを開始剤として,4-ビニルピリジンの溶液重合により4-ビニルピリジンテロマー(LVP)を合成し,つぎにメタノール溶媒中で塩化ベンジルあるいは臭化エチルを作用させて部分四級化を行ない,LVP-BQおよびLVP-EQを得た。
    XOHの乳化重合に対するLVP-BQの触媒活性は,水-ベンゼン界面への吸着および乳化のため,高分子配位子の部分四級化ポリ(型ビニルピリジン)(IVP-BQ)あるいは単座配位子のピジジンより高くなかったが,触媒活性は銅とピリジノヒ基のモル比,溶媒組成,ゲフエスのふりまぜ速度,乳化剤,触媒の重合度四級化剤あるいは四級化率ゐ違いによってかなりの影響を受けた。各種の2,6-二置換フェノール類の重合速度と電子移動速度定数の対数値あるいは基質のHammett σ 値との間には直線関係が成立したことから, 均憎溶媒中と同じように,電子移動過程が反応の律速になるものと考えられる。
  • 安藤 靖子, 小見山 二郎, 飯島 俊郎
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1881-1887
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    牛血清アルブミンとメチルオレソジ(MO)の結合系を用いて薪しい透析セルが透析速度法に適用できることを確かめた。その新しい装置を使って,ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)と4-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノコアゾベンゼソ(D-II),MO,エチルおよびブチルオレンジ(EOおよびBO)との酢酸緩衝液(pH5.65,イオン強度0.02)中における結合等温線を得た。広い濃度範囲にわたるD-II,MOおよびEOとPVPの結合等温線は直線もしくはわずかに下に凸の曲線を示した。算出した固有の結合定数は,D-II<MO<EOの順に増大し,結合には非極性部のほかに,静電的結合が関与していると推論した・アルキル鎖長の長い側鎖をもつBOとPVPの結合等温線燐シグモイド型を示した。その等温線を協同的結合の理論式によって解析した。
  • 大内 辰郎, 栄 雅敏, 山崎 哲也, 山下 治夫, 井本 稔
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1888-1893
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水溶液中,85℃で低分子量のポリ(ビニルホスホン酸)(PVP),ポリ[リン酸(3-ヒドロキシプロピル)ナトリウム](PPP-Na),あるいは高分子量の部分ボスホソ酸化したポリスチレンのニナトリウム塩(PStP-2Na)によるメタクリル酸メチル(MMA)の重合を行なった。重合活性を示すために,PPPNaは銅(II)イオンを必要とするが,PVPおよびPStP-2Naは銅(II)イオンを必要としないことがわかった。ホスホリル基を含むポリマーによるMMAの重合で銅(II)イオンの存在が必要であるかどうかは,ポリマー中のホスホリル基間の距離によって決まることがわかった。また分子量の大きい含ホスホリルポリマーを用いた場合には,水相中で疎水領域をつくり,そこにモノマーが取り込まれて重合が開始されるため,重合は容易に起こる。しかるに,分子量の小さい含ホスホリルポリマーを用いた場合には,疎水領域を形成せず,水中で重合が進行するため,重合は容易には起こらなかった。
  • 北川 浩, 結城 仲治
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1894-1897
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    サラン廃棄物から製造した炭素質吸着剤による空気中め酸素の除去試験を行なった。サラン廃棄物の600℃炭化物に粘結剤(バインダー)としてコールタールピッチを4.5~27.3%造粒剤としてアビセル(微結晶セルロース)あるいは亜硫酸パルプ廃液を9.1%加えてよく混合してから,ディスク型ペレタイザーで球径1~2mmのペレヅトを製造した。ペレットをロータリーキルンを用いて窒素気流中で温度850~1000℃で加熱処理した。得られた炭素質吸着剤を2本の吸着塔(内径23mmφ,長さ50,100cm)に充てんして,空気の圧力スィソグ吸着を行なった。吸着条件は圧力2~5kg/cm2,吸着塔出ロガス流量25~1000Nml/min,吸着時間1~2分とした。その結果,サラン廃棄物から製造した炭素質吸着剤を用いて,空気中の酸素を0.1~0.2%まで減少させうることがわかった。また,吸着圧力が高いほど吸着塔出口ガス中の酸素濃度が減少すること,吸着塔出ロガス流量が大きいほど出口ガス中の酸素濃変が増加することなどが認められた。コールタールピッチの添加量は炭素質吸着剤の酸素除去能力に大きく影響し,添加量9.1%のものがもっとも性能がすぐれていることがわかった。
  • 加部 利明, 加部 八恵子, 袖山 享
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1898-1902
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    白金触触による低濃度での硫黄化合物(チオフェン,硫化ジエチル,硫化ジメチルおよび硫化水素)の酸化脱臭を行なうためにベンチスケールの脱臭装置を用い,3種の形状のPt-Al2O3触媒(粒状,ハニカム状,アルミニウム管状)の脱臭効果について比較検討した。
    チオフェンの酸化反応速度はチオフェン濃度に対して100ppm以上ではほぼ0次であり,これより低濃度では正の濃度依存性が認められた。ハニカム触媒による硫化ジェチルの濃度依存性はチオフェンの場合と同様であるのに対して,硫化ジメチルの酸化反応速度は10~100PPmの範囲で1/2次であった。反応の見かけの活性化エネルギーは,触媒の種類によってやや差違が認められたが,硫化ジメチルおよび硫化水素ではチオフェンおよび硫化ジェチルの場合よりも数kcal/mol低かった。濃度10ppmにおける4種の硫黄化合物に射する活性序列はいずれの触媒でも200℃では硫化ジエチル>チオフェン≧ 硫化ジメチル≫硫化水素の順であった。以上の結果から,硫化水素および硫化ジメチルの酸化脱臭反応に対して白金触媒は200℃付近の比較的低温で除去率が低く,温度を多少上げても100%近い除去率を得ることはできないが,チナフェンおよび硫化ジエチルは比較的低温で容易に酸化脱臭できることがわかった。
  • 奥 彬, 上田 博之, 玉谷 浩章
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1903-1906
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    多塩素化ビフェニル(PCB,KC-400)をTHF中0℃でカリウム黒鉛挿入化合物(C8K)と反応させると,70分間でほぼ完全に脱塩素化した(脱塩素率99.95%)。還元剤中にPCBを滴加する方法とその逆(順および逆滴加法)との比較では顕著な差は認められず,低温(-75~-50℃)での脱塩素率も低く, また処理物中の残留有機性塩素の分析値がX線法とガスクロマトグラフ法とで異なることから, 本処理反応の速度がナフタレニド(Naph-)法にくらべて遅いこと,また多量化した処理生成物中の堪素の脱離がPCB成分にくらぺて遅いことなどが示された。処理物の組成は複雑であり平均分子量は230~270(Naでは360~530)と高いが,アルコール共存下では低下し(167~194)非置換ビフェニルが主成分であった。ナトリウみもカリウムと同様の結果を与え,脱塩素効率はむしろ良好であるが,還元剤の完全分散体を得るためにカリウムよりも多量の黒鉛を必要とした。本法ではPCB完全脱塩素化にはNaph-法と比較して多くの還元剤を必要とするが,黒鉛を容易に回収再利用できる点に特徴がある。
  • 白樫 高史, 栗山 光央, 柿井 一男
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1907-1912
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硝酸イオンがCr(II)-hedta 錯体によりすみやかに還元されることを利用し,Cr(III)-hedta錯体を触媒として水溶液中のNO3-を電解還元した。このときに要する電気量を灘定した結果,硝酸性窒素として0.28~8.4mg/l まで良好な直線関係が得られた。また,電解の初期条件を種々変化させた場合にも同一の結果が得られ,1.4mg/l の硝酸性窒素を分析するに要する時間は15分程度であった。本法ではNH4- の影響はまったくなく,NO2-も5mg/l程度まで影響を与えなかった。また金属類ではCa2+2+2+,Ni2++,Pb2+,Cu2+は5mg/lまで影響がなかった。尿素,グルタミン酸,クエン酸などは200mg/lまで影響しないが,EDDAは200mg/lで負の誤差を与えた。AsO2-は少量でも正の誤差を与えるがAsO23-は影響がなく,SO32-営も5mg/l まで影響がなかった。さらに,河州水,下水処理水について他の方法と比較した結果,よい一致がみられた。これらの結果から,本法は妨害物質の影響も少なく,水溶液中のNO3-を分析するための簡便かつ有効な方法であると結論した。
  • 三浦 則雄, 中州 修, 山添 舜, 清山 哲郎
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1913-1915
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    A new hybrid thermochemical hydrogen production process, Sb-Br hybrid process, is presented together with relevant preliminary experimental data. The process consists of the following three steps.
    1/2Sb2O3(s)+Br2(l)+H2O(l)Lowt temp./1/2Sb2O3(s)+2HBr(aq)(1)
    2HBr(aq)Electrolysis H2(g)+Br2(l)(2)
    1/2 Sb2O5(s) high temp. 1/2 Sb2O8(s) + 1/2 O2(g)(3)
    The main reaction (1) was completed in about 2 h at 303 K to produce a 32 wt% HBr solution at optimum conditions. Reactions (2) and (3) already verified make the Sb-Br hybrid process feasible. A flow sheet estimation showed that the overall efficiency of this process, ηLRVwas 35-40%. when heat recovery was 70-80%.
  • 岸岡 昭, 木下 真喜雄
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1916-1918
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The pure Na5P3O10, (phase I ) free from orthophosphatea s well as other polyphosphatews as preparedb y the followingp rocedure. Twenty gram of Na3P3O9, prepared by heating NaH2PO4 at 530°C, was dissolved in 200 cm3 of water and 25 cm3 of 6 mol dm-3 NaOH aqueous solution was added. After the solution was allowedt o stand at room temperaturef or 72---9h6, equalvolume of ethanol was added to produce the precipitate, which was separated by Biichner funnel, and washed with (1: 1) mixture of ethanol and water and finally with ethanol. The precipitatew as dried in air to obtain the Na5P3O10·6H2O, which changed to anhydrous form by heating at 550°C.
  • 石井 一, 高 英昌, 佐藤 勝彦
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1919-1921
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    A study on the metal-substitution reaction of metalloporphyrin complexes has been done I. f rom the viewpoint of acceleration of the complex formation of porphyrins with metal ions in aqueous solution. Cadmium (II), mercury (II) and lead (II) complexes of anionic porphyrins such as α, β, γ, δ-tetrakis (4-sulfophenyl) porphine andα, β, γ, δtetrakis (4-carboxyphenyl) porphine were found to be metal-substituted almost instantaneously by copper(II), zinc(II), cobalt (II)or manganese(II) even at room temperature in aqueous alkaline solution. However, the metal-substitution of their complexes of cationic porphyrins such as α, β, γ, δ-tetrakis (1-methylpyridinium3-yl)porphine and α, β, γ, δ-tetrakis(1-methylpyridiniurn-4-yl)porphine by the metal ions above was not so fast as expected. On the basis of this finding, a possible rapid spectrophotometric determination of copper, zinc, cobalt and manganese at ppb levels with the anionic porphyrins as color-producing reagents was suggested.
  • 岡島 義昭, 小山 進, 八野 耕明
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1922-1923
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The metal contamination of silicon surface during the acid etching process of silicon diodes equipped with electrodes has been studied by ion microanalyzer(IMA). Silicon diode devices consist of silicon pellets soldered by aluminium, tungsten electrodes and copper lead wires. Both aluminium and copper become dissolved in HF-HNO3, etchant. The analysis by IMA indicated that copper only deposited on the silicon surface and selectively on the n+ layer at the junction. Potentials in the HF-HNO3 etchant were measured on constituent materials in devices. Copper had a higher potential than silicon and the n+ layer indicated the lowest potential in the silicon surface of diode. It is concluded that copper in the etchants deposits selectively on the n+ layer having the lowest potential in the silicon surface.
  • 米森 重明, 能代 誠
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1924-1925
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Conformations of 4-alkyl- and 4-alkoxycyclohexanecarboxylic acid isomers with relatively long and linear carbon chains have been examined by 13C-NMR. The alkyl (butyl) derivative obtained from the corresponding benzoic acid by PtO2, hydrogenation consists of a mixture of two configurations, trans-form and cis-form (Fig.1). Both had alkyl-equatorial conformations. Th e alkoxy (butoxy, pentyloxy, hexyloxy) products obtained by catalytic reduction over PdC contain a mixture of two forms (Fig.2). However, the cis-alkoxy compound has a different conformation from the cis-alkyl compound; the alkoxyl group is exclusively in the axial orientation.
  • 鈴木 敏信, 三橋 啓了
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1926-1928
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    In the presence of pyridine and triethylamine, m- and p-substituted anilines were allowed to react with an excess of benzoyl chloride in refluxing chloroform to give the corresponding N, N-dibenzoylated derivatives in appreciable yields. To investigate the substituent effect on the reaction, the benzoylation of the respective N-arylbenzamides was followed by high pressure liquid chromatography. As a result, it was clarified that the electron-attractive substituents accelerate the benzoylation of N-arylbenzamides, contrary to the known monobenzoylation of substituted anilines. The reaction mechanism was discussed.
  • 小林 今朝良, 鈴木 彰, 清水 正基, 白井 汪芳, 北條 舒正
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1929-1932
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    New polyamideimides containing a bicyclo[2.2.2]octene ring in their main chains were synthesized by the method of low temperature solution polymerization of various diamines with N, N'-bis[p- (chlorof ormyl) phenyl] bicyclo [2.2.2] oct-7-ene-2, 3; 5, 6-bis (dicarboximide) [1]. The thermal stabilities as well as solubilities of the polymers obtained were investigated. Inherent viscosities of these polymers are 0.24-0.43g·dl-1 (in 0.5 gg·dl-1 DMF solution, at 25± 0.01°C). Most of these polymers are soluble in such an organic solvent as DMF, DMA, DMSO or mcresol. On the basis of the thermal analyses, it was found that all these polymers decompose at 360-400°C in air. However, the thermal stabilities of polymers obtained from [1] and aromatic diamines are superior to those obtained from [1] and aliphatic diamines
  • 松村 年郎, 樋口 英二, 亀谷 勝昭, 内海 喩
    1980 年 1980 巻 12 号 p. 1933-1936
    発行日: 1980/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    A study was made on the determination: of sulfuric acid aerosol in an atmosphere. A sulfuric acid aerosol and air-borne particulate matter in an atmosphere were captured on a teflon filter. A teflon filter was placed in a glass-stoppered test. tube and 2-propanol was added to it to extract sulfuric acid aerosol. The 2-propanol extract was centrifuged. A 7 mi of supernatant solution was put into a glass-stoppered test tube and 2.7 ml of water and O.3 ml of buffer solution (pH 5.6) were added to it. After addition of 50 mg of powdered barium chloranilate to it, the test tube was shaken and then allowed to stand. After filtration, the absorbance of the filtrate at a wavelength of 330 nm was measured. It was found that the detection limit of this method was 2 μg/m3 when air was sampled during 50 min at a rate of 20 1 per min. The method was applied to a practical determination of sulfuric acid aerosol in air at Setagaya, Tokyo. As a sesult, it was found that the concentration of sulfuric acid aerosol was 2-11μg/m3 and the proportion of sulfates was 10-53%. The concentration of sulfuric acid aerosol increased with increasing photochemical smog in summer.
  • 1980 年 1980 巻 12 号 p. 1937
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/05/30
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