まず,MBBA,EBBA,PBBAおよびBBBAの4種類のネマチック液晶を固定相として,溶質との相互作用を検討するために,ガスクロマトグラフ法の操作条件の検索を行なった。
溶質として直鎖アルカンを用い,それらの無限希釈モル分率活量係数をカラム温度をかえて測定したところ,転移点近傍で顕著な変化が認められた。この事実から,ガスクロマトグラフ法による液晶の相転移温度の決定を試みた。
つぎに各種溶質について,ネマチック相とアイソトロピック相における溶解エンタルピーと溶解エントロピーを求め比較したところ,MBBAとBBBAでは,ネマチック相からアイソトロピック相へ変化するさいに,溶質の溶解エントロピーは変わらず,溶解エンタルピーのみが変化することを見いだした。EBBAとPBBAでは,逆に主として溶解エントロピーのみが変化して,溶解エンタルピーは変化しないことを見いだした。
直鎖アルカンについてガスクロマトグラフイー法から得られた値と,修正HJL理論から予言される値を比較したところ,主として溶解エントロピーのみが変化するEBBAとPBBAでは,実測値と予言値との間に相関関係が認められたが,溶解エンタルピーのみが変化するMBBAとBBBAでは相関関係が認められないことがわかった。
抄録全体を表示