石炭,チャー,汚泥などの低NO
x化流動燃焼法の確立の資とするために,NO-NH
3-CO-H
2-O
2-H
20-N
2系の高濃度CO,H
2の共存する還元性雰囲気(O
2不足)下のNOのNH
3による無触媒還元反応について基礎的検討を行ない,反応条件と脱硝率,脱窒率の関係,NOの還元に対するNH
3,CO,H
2の各酸化反応の機構との関連性などを明らかにした。実験は特殊形状の石英製反応管を用い常圧流通法で行なった。反応温度は,600~1050℃(主として850℃)で,入ロガス組成は0~750ppmNO-500~1500PPmNH
3-O~20%CO-0~5%H
2-O~3%O
2-O~10%H
20-N
2,全ガス流速は1000,2000Ncm3/min,滞留時間は0.19~1.45Nsである。得られたおもな結果は,つぎのとおりである。1)NOの還元反応やNH
3の酸花反応による脱窒効果をあげるためには,それぞれ至適なO
2濃度が必要で,同一系では,至適O
2濃度は脱窒に対する方が脱硝のみに対するよりも高い。最大の脱硝率,脱窒率を得る至適入口O
2濃度は,CO+H
2,H
2,H
2Oの各濃度の高いほど,反応温度の低いほど,滞留時間の短いほど高濃度側に移行する。2)COとH
2Oのほかに微量のO
2が存在すれば,CO+O
2→CO
2+O,H
20+0→2OH,CO+OH→CO
2+H,H+O
2→OH+O,H
20+H→H
2+OHなどの反応でOH,O,Hラジカルを生成しながら見かけ上CO+H
20→CO
2+H
2の反応が進行し,さらにH
2の酸化過程(H
2+0→OH+H,OH+H
2→H+H
20,H+O
2→0+OH)でもOH,0,Hラジカルが生成する。これらのうち,おもにOH,0ラジカルがNH
3の酸化反応(NH,→NH
2→NH)を促進する。したがって,CO,H
2,H
2Oがともに存在すると,NH
3のNHへの酸化,つづいてNOの還元反応(NH+NO→N
2+OH)も促進され,600℃付近の低温でも脱硝が進行する。なお,COとH
2あるいはH
2だけが共存する場合も600℃付近から脱硝が進行するが,CO,H,が共存しない場合は,900℃付近以上の高温でしか脱硝は進行しない。
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