日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1980 巻, 8 号
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  • 野口 博司, 内山 軍蔵, 小沢泉 太郎, 荻野 義定
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1195-1201
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    温度30±0.1℃,圧力0~150MPaの範囲で,CaO触媒上でのマレイン酸ジエチル(A)からフマル酸ジエチル(B)への異性化反応を行ない,その反応速度に関し,以下のような知見を得た。反応は初期に速く後期にはきわめて遅い。初期の反応は,おもにCaOの固有塩基点[S]-への吸着が律速となって進行するが,生成物Bが[S]上に強く吸着するとともに速度が低下し,Bの吸着が飽和すると停止する。[S]に吸着したBは弱い塩基点[B**S]を形成し,後期はこの弱い活性点へのAの吸着が律速となる反応で,遅い0次反応となる。溶媒をペソタン,ヘキサソ,ヘプタン,オクタンと変えても,上に示した反応の性格は不変であり,かつ後期の反応速度は溶媒の粘度に関係なく一定であった。後期反応速度は圧力が増すと減少し,ヘプタソ中の反応の実験的活性化体積ΔVappは20±2ml・mol-1であった。またΔVapp=ΔVexp+βsRT(βs:溶媒圧縮率)で定義される見かけの活性化体積ΔVappの値は,16±3ml・mol-1(ペンタン),16±1ml・mol-1(ヘキサン),24±2ml・mol-1(ヘプタン),26±4ml・mol-1(オクタン)となった。活性化体積が正となるのは,電荷が極度に分散した遷移状態が形成されるので,脱溶媒和が生ずるためと解される。ΔVappと溶媒分子容の間の直線関係から,吸着固有の活性化体積ΔVadsとして~-21ml・mol-1が得られた。ΔVapsが負値をとることは,吸着の物理像とよく調和するものである。
  • 梅田 昭司
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1202-1211
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担持ニッケル粉体における担体の触媒的効果を比較検討するために数種の担体を選び,担持触媒の製造条件,およびニッケル濃度を一定にしてそれらの表面およびパルクの諸性質による作用を測定した。使用した触媒系として,アルミナ,シリカアルミナ,カオリン,酸性白土,ケイソウ土にニッケルを沈着させた粉体,およびシリカ担持触媒(既報で使用したもの)の表面積,ニッケル粒子の大きさ,磁気的性質,X線および示差熱解析,水素,エチレンの吸着特性,X線マイクロアナライザーによるニッケル,ケイ素,アルミニウムの面分析につき検討した。触媒の磁化測定より,触媒〔6〕,〔8〕,〔9〕およびシリカ担体の各触媒はいずれもsuperparamagnetismにしたがうことを確かめ,触媒〔7〕もその限界領域にあるこ之を知った。水素吸着にともなう磁化の変化は,触媒〔5〕,〔7〕を除く触媒系ではいずれも前期,後期部分の二段階が測定されたが,シリカ担持触媒にくらべ前期部分に相当する吸着がいちじるしく減少した。これらの触媒系におけるエチレンの吸着は,NiCH=CHNiおよび2原子の水素吸着の四点解離吸着であり,さらに吸着が進むと常温で低分子重合反応が起こるとした。この過程では磁化の変化はみられなかった。常温におけるエチレンと水素の吸着により水素化が起こると考えられるが,反応の経過は担体の種類により異なり,触媒の磁化の変化から検討した。常温における水素吸着量より表面におけるニッケルの分散度を求め,触媒〔1〕で約20%,その他の触媒では5~12%の範囲にある。これらの結果からニッケルの平均粒径を求め表1に示した。100℃における水素吸着において,平衡圧が100mmHgを越える領域で吸着水素の担体表面へのspilloverが起こると考えられ,とくに触媒〔5〕,〔8〕,〔9〕において顕著である。X線マイクロアナライザーによる面分析により触媒中におけるニッケルと担体物質の面分布図を得,担体の種類によるニッケルおよびケイ素,アルミニウムの分散状態の違いを明らかにした。
  • 山本 善史, 出下 大二郎, 宮宅 康郎, 増本 俊則
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1212-1218
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルカリ蓄電池の正極板としての銀-酸化銀電極の容量増加を目的とレて,電解質であるアルカリ溶液中に,亜硫酸カリウムまたは塩化パラジウムを微量添加したときの影響について検討し,つぎのような結果を得た。
    (1)充放電曲線から,亜硫酸カリウムの添加によって,銀-酸化銀電極の容量は約60%増加することが認められた。また,塩化パラジウム添加の場合には,高率充放電のとき銀-酸化銀電極の容量は約100~125%増加することが認められた。しかし,高率充放電でない場合には銀-酸化銀電極の容量は逆に低下し,放電第1段の電位がほとんど消失することが認められた。
    (2)電流-電位曲線から,亜硫酸カリウムまたは塩化パラジウムのいずれの添加によっても,銀-酸化銀電極の活物質の増加が認められた。また,亜硫酸カリウムの場合は電析しないが,塩化パラジウムの場合は電析する。
    (3)電子顕微鏡による電極表面状態の観察から,亜硫酸カリウムと塩化パラジウムの添加による効果は,亜硫酸カリウムの場合には充電時亜硫酸イオンの吸着により,また,塩化パラジウムの場合にはパラジウムイオンの充電時の吸着および放電時に電析することにより,銀電極の活性点での結晶生長を抑制し,他点への析出を強制することにより活物質を微細化し,その結果,銀電極の要領が増大するものと推定した。
  • 木下 真喜雄, 井上 誠
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1219-1223
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニリン酸ジルコニウムとアルカリ土類酸化物との固体状態における一連反応のうち,ZrP2O7とCaOとの反応および生成物について検討した。CaCO3濃度1O~9Omol%の種々の混合試料での定温反応(13OO℃,24h)および5Omol%混合試料での昇温過程の反応を行ない,これら反応における生成物および相変化を粉末X線回折や示差熱分析,IRスペクトル測定,化学分析によって調べた。定温反応においては,2種の複リン酸塩CaZr4(PO4)6およびCaZr(PO4)2がCaCO3O~65および33.3~75mol%の範囲でそれぞれ生成した。このほかの生成物はα-Ca3(PO4)2,β -Ca3(PO4)2,ZrO2(単斜および正方晶),CaZrO3およびCaO-P2O5 2成分無定形相であった。CaZr4(PO4)6の生成において,CaCO3 4Omol%以下の濃度ではCaO-P2O5無定形相がともに生成した。また,ここで生成したCaZr・(PO4)2は従来の報告のものと異なる新しい結晶栢であった。この系の主要な反応は最終的につぎの式のように表わすことができる。
    1)4ZrP2O7+4CaCO3→CaZr4(PO4)6+Ca3(PO4)2+4CO2
    2)CaZr4(PO4)6+Cas(PO4)2→4CaZr(PO4)2
    3)ZrP2O7+3CaCO3→Ca3(PO4)2+ZrO2+3CO2
    4)ZrP2O7+4CaCO3→Ca3(POa)2+CaZrO3+4CO2
  • 北岡 馨
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1224-1229
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    赤泥の酸処理に対する温度,処理時間,および酸濃度の影響を検討した。赤泥中には常温で塩酸(約6mol/l)にも溶けにくいカオリナイトなどが含まれていることを認めたが,X線回折像からも明らかにされた。製鉄原料としての酸化鉄を得るたあにはチタンを分離する必要があるので,低温で過酸化水素を試みたが,この方法は経済性に疑問がある。結局,赤泥を濃硫酸で処理して酸化ケイ素以外の全成分を溶解し,アンモニアの部分的中和によって各成分の分別沈に嬉よる分離を行なった。
  • 奥脇 昭嗣, 千田 佶
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1230-1242
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    マソガンノジュールの亜硫酸アソモニウム水溶液による浸出反応,浸出速度に対する温度(3O~6O℃),亜硫酸アンモニウム濃度(O.75~2.Omol/l)および粒子径(~-24+32メッシュ)の影響,さらに反応生成物の性質について班究した。
    浸出はおもにつぎの並発反応によって進行する。
    MnO2+3(NH4)2SO3+2H2O=(NH4)2Mn(SO3)2・H2O+(NH4)2SO6+2NH4OHMnO4+4(NH4)2SO3+3H2O=(NH4)2Mn(SO3)2・H2O+(NH4)2S2O6+4NH4OH
    そのさい,マソガソ相に分散している銅,ニッケルおよびコバルトの酸化物がアンミン錯イオソとして浸出される。ノジュール微粉末の浸出速度は酸化マンガソ(VI)還元率(XMn),ニッケルとコバルトの浸出率(XNi,Xco)の関数としてつぎの式により表現でき,
    -In(1-Xi)-Xi=Kt・C2・t
    i:Mn,Ni,Co
    Ki:見かけの速度定数,C:亜硫酸アンモニウム濃度,t=時間.
    活性化エネルギーは117kJ/molである。浸出速度に対する粒子径の影響は亜硫酸アンモニウムの細孔内拡散を考慮すると説明でき,その有効拡散係数は6.2×1O-8cm2/sである。亜硫酸マンガン(II)アンモニウム-水和物のIRスペクトルではNH4+のNH変角振動は亜硫酸アンモニウム複塩の特徴である15OO~125Ocm-1領域における二重線として測定される。固体のジチオン酸アンモニウムは176℃で二酸化硫黄と硫酸アソモニウムに分解する。
  • 今井 弘, 白岩 正, 田井 孝典, 森本 誠
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1243-1249
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-(p-置換フェニル)-1,3-ブタンジオン類(HL,L=p-XC6H4COCHCOCH3,X=NO2〔1〕,COOH;1〔2〕,C00CH3〔3〕,Br〔4〕,Cl〔5〕,H〔6〕,NHCOCH3〔7〕,C2H,〔8〕,CH3〔9〕,OCH3〔10〕,OH〔11〕)を配位子としたCoL2・2H2O〔1a〕~ 〔11a〕とCoL2〔1b〕~ 〔11b〕の二つの型の戸バルト(II)錯体を合成し,そして磁気モーメソトならびにスペクトル測定から,これらの錯体の立体配置を検討した。〔1a〕~ 〔11a〕は固体状態またはベンゼン,クロロホルム,ピリジン,DMSO中で単量体の八面体であった。ピリジソ中でこれらの二水和物はピリジン分子と配位子交換してCoL,・2pyになるものと思われる。四面体である〔7b〕以外の〔1b〕~ 〔11b〕は固体状態またはクロロホルム中で三量体化した八面体であったが,ピリジン中では2個のピリジン分子が配位して単量体の八面体になった。DMSO中でこれらの無水和物は四面体型であった。八面体の錯体に現われたv1とv3,そして四面体に現われたv2は置換基が電子求引性から供与性になるほど,直線的に高波数側へ移動したので,これらの錯体の安定性は〔1〕<〔2〕<〔3〕<〔4〕<〔5〕<〔6〕=〔7〕<〔8〕<〔9〕<〔10〕<〔11〕の順に増加することがわかった。
  • 新井 義夫, 見陣 章彦, 五十嵐 淑郎
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1250-1255
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シアン化物イオン(CN-)とエチレソジアミン(en)との混合配位子コバルト(II)錯体とニトロベンゼンとの反応を30℃,酸素の存在しないところで行なった。アゾキシベンゼソが選択的に生成した。水素雰囲気下よりも窒素雰囲気下でよい収率が得られたので,本実験は窒素雰囲気下で行なった。とくにCo:CN:enのモル比が1:3:1のときに最大奴率が得られた。上記比率の錯体の存在を確認するために,電導度と吸収スペクトルを測定した。 これらの結果から反応機構についても検討を加えた。
  • 土屋 正臣, 岩波 泰夫
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1256-1259
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-チオキソ-5-ニトロソ-1,3-ジエチルペルヒドロピリミジン-4,6-ジオン(TNEP)を合成し,各種金属イオンとの反応性を検討した結果,TNEPは鉄(II)と鋭敏に反応して,有機溶媒に溶け,水にもよく溶ける青色錯体を生成した。,鉄濃度と吸光度の問には良好な直線関係が認められ,水溶液法の検量線から求めたモル吸光係数および吸光度0.001に対する感度はそれぞれ2.24×104l・cm-1・mol-1および2.49×10-3μg・cm-2であった。最終pHを10とした場合,鉄定量に対する共存イオンの影響は少なく,コバルト(II)および銅(II)は100倍量の共存が許容された。これらの結果に基づき,TNEP-鉄(II)錯体の生成につき基礎的な諸条件を検討して微量鉄の定量方法を確立した。鉄(II)錯体の組成は連続変化法の結果から,金属:TNEP=1:3と推定した。また,鉄(II)-TNEP錯体の単離を行なって,Fe・(C8H10N3O3S)3・3H2Oの板状結晶を得た。本法をアルミニウム合金,マグネシウム合金およびダイカスト亜鉛合金中の鉄の定量に応用したところ好結果が得られた。
  • 田中 光秋, 宇野 泰三
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1260-1263
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-ヒドロキシエチルアミノ基を有する導電性化合物をポリマー粗成の一部としてその側鎖に固定した場合(化学的分散)と単に混合分散させた場合(物理的分散)の導電性に与える効果を比較した。マトリックスにはポリ(メタクリル酸メチル)およびポリアミド-6を用いた。良好な導電性を得るための導電性化合物の濃度は,それぞれのマトリックス系で化学的分散の場合,96.0mol%(97.2wt%)および52.0mol%(60.1wt%)であり,物理的分散の場合,6.7mol%(9.6wt%)および0.6mol%(0.7wt%)であった。物理的分散が少量の添加で効果を示すのは,添加物がマトリックスで連続層を形成しているからではないかと推察される。
  • 坪川 紀夫, 武田 直樹, 工藤 金悦
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1264-1268
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カーボンブラック粒子表面で開始されるイソブチルビニルエーテル(IBVE)の重合反応を追跡し,重合開始にどのような官能基が関与するかを調べた。カーボンブラックの存在しない系では,IBVEの重合は進行しなかったが,Cafbolac1やNeospectraIIおよびFW200のようなカラー用チャンネルブラックの存在下では,比較的低温においてもすみやかに重合が開始されることがわかった。また,重合速度はカーボソブラヅク量の2次に依存し,モノマー濃度が2.5mol/lまではモノマー濃度の1次に依存するが,それ以上の濃度ではモノマー濃度に無関係となることがわかった。一方,カルボキシル基の少ないファーネス系のPhilblack O にはIBVEの重合を開始する能力がなかった。また,ジアゾメタンや炭酸水素ナトリウムで処理して,粒子表面のカルボキシル基をプロックすると,重合開始能力が消失した。こうしたことから,カラー用チャンネルブラックによるIBVEの重合開始に粒子表面の酸性点,とくにカルボキシル基が重要な役割を演じていることが明らかになった。
  • 西内 豊道, 勢川 慎一, 安 岡幸
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1269-1273
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    “ジアミノセルロース”(DAC)と硝酸銅や硝酸鉄(III)から合成された粉末状の錯体[DAC-Cu(II)およびDAC-Fe(III)]を用いて,水,CCl4共存下でメタクリル酸メチル(MMA),スチレソおよびアクリルアミドの重合を行なった. その結果,水29ml,CCl41mlの存在で0.05mmolの銅(II)を含む50mgのDAC-Cu(II)錯体によるMMA(6ml)重合系の場合に,とくに迅速に重合したが,この錯体中の-NH2基量およびキレートCu2+量が多いほど重合の触媒活性が大きかった。この系におけるMMA重合はもっぱら水相中で進む不均一反応で,ラジカル機構で進行すると考えられるが,その動力学的検討の結果,つぎの速度式が得られた。
    Rp=const. [DAC-Cu(II)]0.5・[MMA]1.0
    また,この重合系での見かけの全活性化エネルギーは11.7kcal/molと算出された. なお生成ポリマーは比較的単分散に近い分子量分布を示すものと思われる.
  • 笠岡 成光, 笹岡 英句, 生駒 宗久
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1274-1281
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    石炭,チャー,汚泥などの流動燃焼などにおける低NOx化機構を解明する資とするために,還元性雰囲気下(O2不足)の高濃度CO2,H2共存系におけるNH3による無触媒酸化反応について基礎的検討を行ない,反応条件とNH3反応率,NO生成率,脱窒率の関係,NH3酸化に対するCO,H2の酸化の反応機構の関連性などを明らかにした。実験は特殊形状の石英製反応管を用い常圧流通法で行なった。反応条件は,600~1050℃(主として850℃)で入ロガス組成0~1500PPmNH3-O~20%CO-0~5%H2-O~3%02-0~10%H2O-N2,全ガス流速1000および2000Ncm3/min(滞留時間は主として0.37Ns)である。得られたおもな結果はつぎのとおりである。1)H2Oも共存する還元性雰囲気下のNH3の酸化反応は,CO,H2の酸化の過程で生成するO,OHラジカルによってNH3→NH2→NHの反応が低温から起こり,つづいてNH+O2→NO+OHおよびNH+NO→N,+OHの経路で,OHが連鎖キャリヤーとなって進行する。
    2)還元性雰囲気下の燃焼におけるNH3の酸化反応の挙動は流動燃焼全体の低NOx化に重要な役割をはたす。すなわち,還元性雰囲気下の燃焼において,NH3をできるだけN,へ分解しておき,つづいて行なわれる酸化性雰囲気下における燃焼で,NH3からのNO生成を防ぐことにより,流動燃焼全体のNOx生成を抑創できる。そして,このためには,還元性雰囲気下の燃焼における空気比を,脱窒率が最大となる至適な値にする必要がある。この値は,反応温度を低くするほど,滞留時間が短いほど,入口CO/H2モル比の低いほど,(CO+H2)濃度の高いほど,NH3・H2O濃度の高いほど大きくなり,この逆の場合には小さくなる。
  • 笠岡 成光, 笹岡 英司, 生駒 宗久
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1282-1290
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    石炭,チャー,汚泥などの低NOx化流動燃焼法の確立の資とするために,NO-NH3-CO-H2-O2-H20-N2系の高濃度CO,H2の共存する還元性雰囲気(O2不足)下のNOのNH3による無触媒還元反応について基礎的検討を行ない,反応条件と脱硝率,脱窒率の関係,NOの還元に対するNH3,CO,H2の各酸化反応の機構との関連性などを明らかにした。実験は特殊形状の石英製反応管を用い常圧流通法で行なった。反応温度は,600~1050℃(主として850℃)で,入ロガス組成は0~750ppmNO-500~1500PPmNH3-O~20%CO-0~5%H2-O~3%O2-O~10%H20-N2,全ガス流速は1000,2000Ncm3/min,滞留時間は0.19~1.45Nsである。得られたおもな結果は,つぎのとおりである。1)NOの還元反応やNH3の酸花反応による脱窒効果をあげるためには,それぞれ至適なO2濃度が必要で,同一系では,至適O2濃度は脱窒に対する方が脱硝のみに対するよりも高い。最大の脱硝率,脱窒率を得る至適入口O2濃度は,CO+H2,H2,H2Oの各濃度の高いほど,反応温度の低いほど,滞留時間の短いほど高濃度側に移行する。2)COとH2Oのほかに微量のO2が存在すれば,CO+O2→CO2+O,H20+0→2OH,CO+OH→CO2+H,H+O2→OH+O,H20+H→H2+OHなどの反応でOH,O,Hラジカルを生成しながら見かけ上CO+H20→CO2+H2の反応が進行し,さらにH2の酸化過程(H2+0→OH+H,OH+H2→H+H20,H+O2→0+OH)でもOH,0,Hラジカルが生成する。これらのうち,おもにOH,0ラジカルがNH3の酸化反応(NH,→NH2→NH)を促進する。したがって,CO,H2,H2Oがともに存在すると,NH3のNHへの酸化,つづいてNOの還元反応(NH+NO→N2+OH)も促進され,600℃付近の低温でも脱硝が進行する。なお,COとH2あるいはH2だけが共存する場合も600℃付近から脱硝が進行するが,CO,H,が共存しない場合は,900℃付近以上の高温でしか脱硝は進行しない。
  • 大河内 正一, 佐々木 壮吉
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1291-1294
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水銀(I)イオンが水銀(II)イオンと水銀(0)に解離する不均化反応で不均化平衡定数[Hg2+][Hg]/[Hg22+]を水銀(I)イオン濃度10-7~10-8mol/lで測定した。実験は水銀(I)イオンが不均化して生成した水銀(0)の気-液分配平衡を冷原子吸光装置で測定することによって行なわれた。その結果,非常に短時間で不均化して生成した水銀(0)が気-液分配平衡に達し,不均化反応の物質収支より導いた式によって不均化平衡定数を決定することができた。不均化平衡定数は25℃,イオソ強度μ=0。1以下で(3.0±0.2)×10-9mol/lであった。また,水に溶解した水銀(O)の気-液分配平衡定数[Hg]gas/[Hg]aqを測定し0.40±0.02の値を25℃ で得た。
  • 尾崎 正孝, 栗田 公康, 木幡 康則
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1295-1297
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Amphoteric latices with carboxyl and amino surface groups were synthesized with a water soluble, cationic initiator, 2, 2'-azobis(2-amidinopropane) hydrochloride. The electrochemical nature of the surface of the latices was studied with conductometric and potentiometric titrations. Clear inflections were found on the conductometric titration curves at their points of zero charge. The inflection was explained as a point where a change in surface charge from desorption to adsorption of counter ions occured. The surface charge density of the latices obtained from the conductometric titrations was less than that obtained from, potentiometric titrations. It was concluded that the accurate surface charge density of an amphoteric latex can be obtained from potentiometric titrations rather than conductometric titrations.
  • 岡原 治男, 井阪 清嗣, 金田 芳弘, 外村 徳三
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1298-1299
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Self-association of phthalimide in dioxane lioscopic measurements. Trimer is formed 2.17 at 11.8°C and 2.41 at 101.4°C. From (Gibbs free energy), ΔS (entropy change)-reaction were calculated. solution has been studied by cryoscopic and ebulin the solution, its association constants being these data, thermodynamic quanties such as ΔG and ΔH (enthalpy change) for this association reaction were calculated .
  • 森岡 元信, 竹内 豊, 水野 英雄, 鈴木 盛夫
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1300-1303
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The catalytic hydrogenation of chalcones with pentacyanocobaltate(II) afforded r-2-benzoyl, t-3, c-4-triphenylcyclopentanols, dimeric products from chalcones. The use of 50% aqueous t-butyl alcohol as a solvent and the addition of potassium hydroxide resulted in the increase of the dimeric product yields. The replacement of hydrogen at 4-position of chalcone with chlorine increased the yield of the corresponding dimeric product whereas the methoxy groupe at 4- or 4'-position of chalcone entirely suppressed the reaction.
  • 細州 研三, 藤井 省造, 犬飼 鑑
    1980 年 1980 巻 8 号 p. 1304-1306
    発行日: 1980/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The oxidation of (trifluoromethy) naphthalene s[1] with CrO3 in acetic acid has been eicamined for the synthesis of (trifluoromethyl)phthalic acids [2]. (Trifluoromethyl) naphthalenes generally nuderwent cleavage of the ring having no trifluoromethyl group, and the resulting (trifluoromethyl) phthalic acids were isolated in 14-63% yield from naphthalenes: 1-CF3, 2-CF3-C10H7, 1-CF3-4-F-, 1-CF3-4-F-, 1-CF3-2-F-, 8-CF1-CF3-2-F-, 1-CF3-4-CL-, 1-CF1-CF3-4-NO2, 2-CF3-1-NO2-and 1-CFC-2-OCH3-CCF10HCF6. However, 4-methoxy-1-(trifluoromethyl)-naphthalene gave 3-(trifluoromethyl)phthalide [3] together with 3-(trifluoromethyl)-3-1-xydroxyphthalide [4], and 5-nitro-1-(trifluoromthyl)-naphthalene remaind intact under these conditions.
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