日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1981 巻, 12 号
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  • 藤郷 〓, 田中 甫
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1835-1839
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    大谷石はゼオライトを主成分とし,多種類の鉱物を含むといわれているのでyこれをメチレンブルー水溶液に対する液相吸着剤として用い,吸着能力を検討した。試料は粉砕後,数種のふるい,NOble水簸装置で分級,整粒したものと,さらに80~800℃ に種々加熱処理したものを使用した。メチレンブルー水溶液濃度は254μg/mlを用いた。その吸着量と含有鉱物組成との関係をX線回折法,DTA法で検討した。
    その結果,大谷石粉末によってメチレンブルー分子はよく吸着されることがわかった。その吸着能は粒子径,加熱処理の影響を強く受け,分級によって,細かい粒子径を有する試料中により高い吸着能を有する鉱物類が存在することが判明した。高い吸着能を有する試料は加熱によって200℃ 以上の温度で徐々にその吸着能は低下を示した。X線,DTAの測定から,大谷石粉末の主成分はクライノタロフッ石であるが,これはメチレンブルーの吸着にほとんど関与しないこと,細かい粒子径の試料中に含まれるモンモリロン石,サポナイトなどスメクタイト族は耐熱性がなく,大谷石の挾雑物ではあるが,メチレンブルーの吸着に大きく作用していることが認められた。
  • 石川 達雄, 井上 勝也
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1840-1845
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    含水酸化鉄(α-,β-およびγ-FeOOH)上に吸着したSO2の昇温脱着(TPD)スペクトルを30~600℃ の温度範囲で測定した。α-およびγ-FeOOHのTPDスペクトルには,130,230および500℃ にピークが認められた。β-FeOOHでは,130,230,300および430℃ にピークが認められた。脱着ガスの組成分析から,130℃ ピークを除いて吸着SO2の一部がSO3として脱着することがわかった。130℃ ピークで脱着するSO2は表面OH-に結合していると推定した。
    FeOOHがα-Fe2O3に転移する温度で前処理した試料にSO2を吸着させ,それのTPD測定を行なった結果,SO3として脱着する割合が多く,脱着の活性化エネルギーが小さくなった。転移の途中では,表面O2-層のSO2に対する反応活性が高くなると考えられる。
  • 二宮 康平, 今浦 三男, 河野 尚志
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1846-1854
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヒドロキシルアミンを合成する目的でNOおよびNO2混合ガス(NOx10vol%)を亜硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素アンモニウムの混合水溶液に吸奴させ,その吸収機構を検討した。向流充てん塔を用い,気液とも連続で操作して吸収液のpHを一定にたもち,NO2/NOxモル比(0.24~0.75mol/mol),温度(0~40℃),pH(5.4~9.3),吸収液の亜硫酸塩濃度(0.045~1.58mol/l)を変化させた。主生成物はNO2-およびHON(SO2)2-2で,副生成物は,N2,N(SO3)33-,NO3-およびN2Oであった。pH8.0~9.3の溶液中にはHSO3-がほとんど存在しないにもかかわらず,NO2-とHSO3-の反応でHON(SO3)22-がかなり生成した。吸収液のpHをさらに下げると,HON(SO3)22-の生成割合が増加した。炭酸アンモニウム水溶液のようなアルカリ溶液に比較し,本実験では低亜硫酸塩濃度の場合を除きNO3-はほとんど生成しなかった。気液界面付近の液境膜での反応と拡散とを考えると現象をよく説明できた。
  • 黒田 浩二, 藤江 典紀, 水谷 惟恭, 加藤 誠軌
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1855-1860
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    CaMnO3-xの平衡酸素分圧(PO2=1~3×10-3atm)と温度(T=650~1300℃)および酸素欠損量(x)との関係を測定してPO2-T-x状態図を作成した。この研究で確認された単相はほぼ化学量論組成の立方晶および多量の酸素欠損をもつ正方鹸と斜方晶のペロブスカイト相であった。酸素欠損量は温度が高いほど,酸素分圧の値が低いほど増大した。これらの試料についてピクノメーターで測定した密度とX線的密度とはよく一致しており,その値は酸素欠損量の増大とともに減少する。PO2-T-x状態図からこの複酸化物の欠陥種のモデルを検討した結果,酸素欠陥は2価(Vo)に荷電していると考えるのが妥当であるとの結論を得た。
  • 渋谷 康彦, 坪井 幹生, 松本 忠也, 新良 宏一郎
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1861-1866
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    近年,少量の銅塩を含むチオ尿素水溶液を用いる湿式排煙脱硝法が特許として公告されている。これに関連して,チオ尿素(tu)の配位した各種金属錯体と亜硝酸との反応により,生成するチオシアン酸量を測定した。その結果,銅(I)錯体は他の錯体にくらべて比較的安定であることが認められた。この銅(I)錯体に,弱アルカリ性溶液中で,亜硝酸あるいは二酸化窒素ガスを反応させ,淡黄色銅(I)錯体を得た。また,チオ尿素が過剰に存在する酸性溶液中で亜硝酸を反応させ,白色難溶性銅(I)錯体を得た。
    これら,新しい二つの錯体について,元素分析,電子スペクトルおよび赤外吸収スペクトルから,その組成を明らかにした。淡黄色錯体はニトリトチオ尿素銅(I)錯体Cu(tu)(ONO)であり,また,白色難溶性錯体は,トリス(チオ尿素)銅(I)硫酸塩[Cu(tu)3]2SO4と結論した。
  • 井上 貞信, 佐々木 満雄
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1867-1871
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水銀(II)はジメルカプトマレオニトリル(以下mntまたはH2Lと略記する)と反応し,水溶性の錯体,HgL22-(λmax=387,326nm)を生成する。水銀-mnt錯体の安定度定数β2HgL2をシアン化物イオンによる配位子交換反応を利用して,吸光光度法で測定した。その結果β2HgL2=[HgL22-]/[Hg2+][L2-]2=1043.31(I=0.3(NaClO4),25±0.1℃)を得た。また水銀-mnt錯体に,ニッケル(II)イオンを添加しても金属交換反応は起こらず,多核錯体[Ni(HgL2)2]2-(λmax=315nm)を生成する。その生成定数はK=[Ni(HgL2)22-]/[HgL22-]2[Ni2+]=108.31(I=0.3(NaClO4),25±0.1℃)であった。本研究で得た水銀錯体を,亜鉛-およびニッケル-mnt錯体のそれと比較して考察した。
  • 朝倉 祝治
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1872-1877
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩酸のような揮発性の強酸は高濃度においてpH測定用のガラス電極をおかすので正しい濃度の計測ができない。高濃度の塩酸溶液中で,純度99.5%のアルミニウムの自然腐食電位Ecorrを測ったところ,lmol・dm-3程度まで,濃度[HCl]の対数とよい直線関係を示した。ここで,A≒-790mV(飽和甘コウ電極基準),およびB≒-120mVで温度への依存は小さい。この関係は酸化性および還元性の雰囲気およびかきまぜの影響をまったく受けず,また時間的ドリフトも小さい。アルミニウム電極系の抵抗は塩酸濃度1mol・dm-3以上では,2Ω ・cm2以下になる。これらの諸性質はアルミニウムを塩酸濃度検出用のセンサーとして用いたときに望ましいものである。
  • 久下 芳生, 服部 幸和, 中本 雅雄, 山田 祥一郎
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1878-1882
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アセチルアセトンおよびそのフッ素誘導体を配位子とするクロム(III)錯体について,ガスクロマトグラフの電子捕獲型検出器(ECD)を用いた場合の検出器内における電子捕獲反応について研究を行なった。
    配位子の違いによるこれらの金属錯体の電子捕獲反応はアセチルアセトンのクロム(III)キレート,Cr(III)(acac)3については解離型であり,トリフルオロアセチルアセトンおよびヘキサフルオロアセチルアセトンのCr(III)キレート,Cr(III)(tfa)3およびCr(III)(hfa)3,は非解離型であることが判明した。またCr(III)(acac)3の解離反応の活性化エネルギーは51.5kJ/mol Cr(tfa)3およびCr(hfa)3の電子親和力はそれぞれ55.6および39.7kJfmolという値が得らた。またカラム内における金属錯体の熱力学的挙動を知るために, これら3種類の化合物のOV-1(ジメチルポリシロキサン)に対する溶解熱も測定した。Cr(acac)3,fac-およびmer-Cr(tfa)3,およびCr(hfa)3に対してそれぞれ640,68.6および68.6,および42.3kJ/molという値が得られた。
  • 本里 義明, 松本 和秋, 平山 忠一
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1883-1889
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジクロロメタン-エタノール混合溶媒に三酢酸セルロースを溶かした溶液を乾式紡糸しi得られたフィラメントを切断して長さ0.5mm,容積0.1~0.15mm3ほどのチップにした。これを加熱されたシリコーンオィル中で融解することにより,三酢酸セルロース球状粒子が得られた。一方,ジクロロメタンまたはジクロロメタン-エタノール混合溶媒に,それぞれ三酢酸セル冒一スまたは二酢酸セルF-スを溶かし,かきまぜながらゼラチン水溶液に懸濁させ,加熱して溶媒を除去することにより,三酢酸セルロースまたは二酢酸セルロース球状粒子が得られた。同様に三酢酸セルロース・三酢酸デンプン複合球状粒子を得ることができた。これらの二つの方法によって得られた球状粒子をケン化するか,さらに脱デンプンすることによりセルロース球状粒子および多孔質セルロース球状粒子がつくられた。とくに懸濁法では5~500μmの範囲の粒子径の球状粒子がつくられた。またこれらのセルロース球状ゲルはゲルクロマトグラフィー用充てん剤として有周であることが判明した。
  • 松本 和秋, 平山 忠一, 本里 義明
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1890-1898
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    セルロース球状粒子あるいは橋かけセルロース球状粒子または橋かけ多孔質セルロース球状粒子を基体として,各種セルロース球状イオン交換体を調製した。これら基体に2-クロロトリエチルアミン塩酸塩を反応させたジエチルアミノエチル(DEAE)セルロース,トリエタノールアミンとエピクロロヒドリンを反応させたECTEOLAセルロースを調製した。得られたアニオン交換体の交換容量はそれぞれ~2.7,~0.5meq/g,膨潤度はそれぞれ~29,~6.2mZ/gであった。一方,これら基体にクロロ酢酸,クロロメタンスルホン酸ナトリウム,塩化ホスホリルをそれぞれ反応させ,カルボキシメチル(CM)セルロース,スルホメチル(SM)セルロース,リン酸(P)セルロースを調製した。得られたカチオン交換体の交換容量はそれぞれ~2.2,~0.9,~1.8meq/g,膨潤度はそれぞれ~47,~19,~l0ml/gであった。またDEAEセルロース球状イオン交換体の排除限界分子量をゲルクロマトグラフィーによって測定した結果,橋かけ多孔質セルロース球状粒子からのDEAE交換体の排除限界分子量(Mlim)は橋かけセルロース球状粒子からのDEAE交換体のそれより,約4倍の値を示した。
  • 新井 五郎, 小野塚 峰子
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1899-1903
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前報では,p-キノン類の酸化還元電位(EpQ)が亜硫酸ナトリウムの酸化電位(Ess)より,より卑にある反応系(ΔE<0)のうち,電子供与性基のついたナフトキノン類と亜硫酸ナトリウムとの反応を検討し,HSO3-イオンの求核性および求電子性がΔEの正負に依存することを報告した。本報では,電子求引基のついた1,4-ナフトキノン-2-スルポナート(NQS)と亜硫酸ナトリウムとの反応(NQSNa2SO3系)を研究し,これと類似するが,ΔE>0の反応系である,p-ベンゾキノンスルポナート(PQS)と亜硫酸ナトリウムとの反応系(PQS-Na2SO3系)と比較することにより,その反応機構との正負との関係を検討した。その結果,PQS-Na2SO3系でみられたエノール化は,NQS-Na2SO3 ΔE系では認められず,主生成物は1,4-ジオキソ-1,2,3,-テトラヒドロ-2,3-ナフタレンジスルホナートであることを確認し,エノール化とΔEとの関係を明らかにし,さらに,スルポナト基のついたキノン類と亜硫酸ナトリウムとの反応で共通してみられる易酸化型の副生成物をポーラログラフ法で検出した。
  • 横尾 泰日児, 櫻井 孝男, 佐分利 正彦, 吉川 貞雄
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1904-1910
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    α-位に不斉炭素をもつアルデヒド類のキラルなエナミンを経由する光学活性化を行なった。アミン成分として,(S)-3-イソプロピル-1-メチルピペラジン〔2〕,および(S)-2-イソプロピル-1-メチルピペラジン〔1〕を,天然アミノ酸から合成した。これらをアルデヒドと脱水縮合してエナミンを合成し,酸加水分解により光学活性化されたアルデヒドを回収した。その結果,置換基の位置が第二級窒素原子から離れている〔1〕を用いる方が,〔2〕を用いるよりもかえって光学収率が高く,また,加水分解に用いる酸濃度によらず,ほぼ一定値となることがわかった。反応中間体である〔1〕のエナミンのイミニウム塩の1H-NMR測定によって,イミニウム塩の配座が分子内のアルキル-フェニル基間の引力的疎水性相互作用(CH-π 相互作用)により固定化ぎれることが,その理由の一つであろうと推定した。また,光学活性化の機構も,〔2〕を用いた場合に速度論支配であったものが,〔1〕を用いた場合には熱的平衡が関与してくることが,重水素標識実験から確認された。この事実も,CH-π 相互作用によるイミニウム塩の安定化によって説明される。'
  • 山本 二郎, 池田 善武, 猪原 忠教, 中田 英樹, 梅津 雅裕
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1911-1915
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化チタン(IV)を触媒として用いるベンジルアルコール類と二三の芳香族炭化水素とのFriede1-Crafts反応を試み,単離収率を明らかにした。ベンゼンのベンジルアルコールによるベンジル化反応において,塩化アルミニウムと塩化チタン(IV)を用いたときの触媒効果を比較したところ,いくらかTiCl4を使用した方が速く反応した。3-メチルフェニル=ベンゾアートと3-クロロフェニル=ベンゾアートを無溶媒およびニトロメタン中AlCl3およびTiCl4とでFries転位を行なって,以前行なわれた研究と対比させながらオルトパラ比について比較した。3種類のベンジルアルコールをエーテル中TiCl4で処理すると,それぞれ相当する塩化ベンジルを生成し収率にいちじるしい置換基効果がみられたが,AlCl3を使用したさいにはこの反応は起こらなかった。アゾキシベンゼンとTiCl4との等モル反応ではアゾベンゼンが生成するが,TiCl4の使用量を増すと4-クロロアゾベンゼンが生成し,AlCl3の場合でもほぼ同様の結果が得られた。ベンジルアルコールおよびアゾキシベンゼンのTiCl4による塩素化反応の経路について,若干の議論を加えた。
  • 中森 建夫, 千葉 恒雄, 笠井 俊保
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1916-1921
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,3-ジシアノ-1,4-ナフトキノン〔1〕は強い電子受容体としての性質を有し,アニリン類との反応では興味ある挙動を示す。そこで深色性の色素を得る目的で,〔1〕のベンゼン環の5-位にアミノ基を導入した5-アミノ-2,3-ジシアノ-1,4-ナフトキノン〔5〕を合成し,これとアニリン類(アニリン〔9〕,トトルイジン〔10〕,p-アニシジン〔11〕,p-クロロアニリン〔12〕,N,N-ジメチル-p-フェニレp-ンジアミン〔13〕)との反応を行なった。アニリン類〔9〕~ 〔13〕においてはナフトキノンの8-位にアニリン類のアミノ基で置換した化合物(8-位置換体)〔9a〕~〔13a〕が主生成物として得られ,同時に非常に低収率であるがシアノ基がアニリン類のアミノ基で置換した化合物(CN置換体)〔9b〕~ 〔12b〕が得られた。また,〔9b〕の構造は2-置換体であることを合成的に決定した。ナフトキノンの8-位が容易に置換されるこの特異な反応を詳細に検討するため,まず〔5〕とアニリンとの反応を種々条件をかえて行なった。これらの結果から〔9a〕と〔9b〕の生成機構をある程度明らかにした。また5-ニトロ-〔4〕,6-ニトロ-〔7〕および6-アミノ-2,3-ジシアノ-1,4-ナフトキノン〔8〕を合成し,これらとアニリンとの反応も行なったがCN置換体のみが得られ,8-位置換体は得られなかった。これら得られた化合物の可視吸収スペクトルの測定の結果,8-位置換体〔9a〕~〔12a〕はCN置換体〔9b〕~〔12b〕にくらべ300nm以上深色移動していた。
  • 井上 吉教, 徐 月珠, 加藤 洋子, 浜野 牧人, 加茂 康伸, 毛海 敬, 北嶋 英彦
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1922-1928
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4,6-二置換-2-(p-ニトロフェニルアゾ)-1,3,5-トリアジン類〔2a~j〕(置換基;a:N(CH3)2,N(CH3)2,b:N(C2H5)2,N(C2H5)2,c:N(CH3)2,N(C2H4CN)2,d:NC4H6,NC4H6,e:NC4H6O,NC4H6O,f:NH2,NH2,g:NHC6H5,NHC6H5,h:N(CH3)2,C6H5,i:OCH3,OCH3,j:OC6H5,OC6H5)の硫化ナトリウムによる還元と接触還元(触媒5%パラジウム-炭素)について検討した。硫化ナトリウムによる還元の場合,〔2a~e〕はニトロ基の還元が優先し,それぞれ相当する2-(かアミノフェニルアゾ)-1,3,5-トリアジン化合物〔3a~e〕が得られ,〔2f~j〕はアゾ基が還元され,それぞれ相当する2-(メトニトロフェニルヒドラジノ)-1,3,5-トリアジン化合物〔1f~j〕になった。一方,接触還元の場合は〔2c〕を除いてすべてニトロ基の選択的な還元が進行し,相当する〔3a〕,〔3b〕および〔3d~j〕が得られた。また〔3a~e〕のアミノ基のジメチル化によって相当するメチル誘導体〔4a~e〕を得,〔3a〕のアミノ基のジエチル化によって相当するエチル誘導体〔4a'〕を得た。〔3a~j〕,〔4a~e〕および〔4a'〕の可視吸収スペクトル(溶媒エタノール)を測定した結果,吸収極大は403~476nmであった。
  • 田中 光秋, 宇野 泰三
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1929-1932
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アニリンおよびN-メチルアニリンのN-(2-ヒドロキシエチル),およびN-(2-メトキシエチル)誘導体を用いて,アミノ化合物の導電機構を検討した。導電は,分子が接近したさい,NからHへの電荷移動によって起こり,そのさいの導電効率はN原子の電子密度,-N…H-間の水素結合力が関係すると考えられる。なおアミノ化合物は吸湿した場合,イオン伝導を示すのでイオン構造をとるものと思われる。
  • 小山 清, 橋田 勲, 平野 宏之, 金山 武史, 西村 正人
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1933-1938
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    膜中に第四級アンモニウム基をもつカチオン性荷電型複合膜による水溶液系での有機溶質の逆浸透排除性について研究した。種々の極性有機溶質(アルコール類,フェノール類,アルデヒド類,ケトン類,アニリン誘導体f酢酸,メチルアミン)の排除性と溶質の極性パラメーター(分子の酸性度,Taft数,解離定数,解離度)との相関性を検討した。アルコール類,アルデヒド類,ケトン類では,Taft数の増加とともに,また分子の酸性度の増加により排除率が低下する。フェノール類,アニリン誘導体,酢酸,メチルアミンでは,解離定数の増加とともに,また解離度の増加とともに排除率が増大する。この結果,カチオン性荷電型逆浸透膜による有機溶質の排除性は,膜の固定解離基によるイオン性溶質の静電的反発,溶質分子の酸性度,膜と溶質との化学的親和性と関連づけられることがわかった。この膜は,セルロースアセタート膜とくらべて,アルコール類に対して高い排除性を示した。
  • 古賀 秀人
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1939-1944
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    250~325メッシュにふるいわけられたGabonおよびAustralia産の2種類の酸化マンガン(IV)鉱石糧子を用い,これらの熱分解反応の動力学的検討を行なった。
    本研究においては,分解温度を逐次反癒が起こらない500~575℃ にえらび,10-3mmHg以下の減圧下において熱テンビンによる等温熱重量分析を行なった。得られたデータの解析にさいし,両鉱石試料とも放射伝熱係数が非常に小さく,減圧下であり,かつ試料の空隙率が大きいので,伝熱気境膜拡散,充てん層内拡散の各抵抗を無視し,ふるいわけられた試料が同一半径をもつたがいに独立な球形粒子の集合と見なし,未反応核モデルを適用し,その界面反応および粒子内拡散の2過程を組み合わせた速度式で解析を行なった。その結果,界面反応および粒子内拡散の活性化エネルギーが求められたが,これらの値はともにGabon鉱石がやや小さい。また,界面反応と粒子内拡散の2過程の抵抗分率の分解進行にともなう変化について調べたが,その結果,反応初期においては界面反応抵抗が全抵抗を支配するが,分解反応が進行すると粒子内拡散抵抗の分率が増大し,反応終期においては全抵抗の80%前後を占めることが判明した。
  • 笠岡 成光, 笹岡 英司, 船原 満, 浅野 邦芳
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1945-1950
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    極度の悪臭物質である(CH3)2Sの有効な除去法を開発するために,本研究では各種金属イオン交換Y型ゼオライト(M-NaY)による吸着法および再生法の検討を行なった。常圧流通式充てん層装置で各試料(平均粒径0.25,0.50mm;0.5,1.0ml)に対しt吸着実験では,(CH3)2S(100ppm)-H2O(0~8%)-N2系,500Ncm3/min,40~200℃ で平衡吸着量を測定し,つづいて同一温度下,H2O(0~8%)-N2系,500Ncm3/minの操作で(CH3)2Sの脱離量および保持量を求めた。他方,定速昇温脱離法によって吸着した(CH3)2Sの安定性などの検討を加えた。その結果,つぎのような有意な結果,知見を得た。
    1)水蒸気の共存しない系ではCu(II)-NaYとAg(I)-NaYが,水蒸気共存系ではAg(I)-NaYが100~150℃ で(CH3)2Sに対しすぐれた吸着能を示す。
    2)水蒸気の共存しない系のCu(II)-NaYおよびAg(I)-NaYに対しては,水蒸気脱離法で再生が可能であり,水蒸気共存系のAg(I)-NaYに対しては,空気流通下の昇温脱離法で再生が可能である。
    3)(CH3)2Sの吸着,保持には交換金属イオンが寄与し,とくにAg(I)-NaY上に保持された(CH3)2SはAg(I)イオンと熱的に安定に錯体を形成しているようで,160℃ 付近以上になってはじめて脱離する。
  • 林 勝己, 平島 恒亮, 北川 睦夫, 真鍋 修
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1951-1956
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヒドラジンと活性炭を用いて,ニクロム酸カリウム水溶液からクロム(VI)を除去する方法について検討した。クロム(VI)はpH5.5~7.0の範囲で,ヒドラジンにより短時間でクロム(III)に還元され,水酸化物としてほぼ完全に沈殿除去された。活性炭の存在下,このpH範囲ではクロム(VI)とヒドラジンの反応は次式のように進行すると維察された。
    活性炭は還元反応を促進する触媒として働き,生成した沈殿の一部を吸着するとともに凝集助剤として作用した。使用済活性炭は酸によりクロムを溶解除ますると,くり返し使用できることがわかった。
  • 山本 真, 山口 達明
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1957-1962
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    オートクレープ中,ポリ塩化ビニルのN,N-ジメチルホルムアミド溶液をアンモニア雰囲気下,100~190℃ に加熱したところ,溶媒のN,N-ジメチルホルムアミドとアンモニアがアミノ基交換反応を起こし,ジメチルアミンが発生し,ポリ塩化ビニルにジメチルアミノ基が導入されることを見いだし,生成ポリマーの収量および構造について検討した。
    生成物は溶媒可溶ポリマーと不溶ポリマーおよび脱離した塩化水素がアンモニアと結合した塩化アンモニウムであった。反応温度が170℃ 以上では生成ポリマーのほとんどが溶媒可溶性であった。溶媒可溶ポリマーを構成する各種モノマー単位の割合は,ジメチルアミノ基構造が30mol%で,二重結合構造およびカルボニル構造が70mol%であった。一方,最初からジメチルアミンが存在していると,溶媒可溶ポリマーの収量は減少し,そのジメチルアミノ基構造単位も20mol%以下になった。溶媒可溶生成ポリマーは,銅(II)イオンまたはニッケルイオン水溶液から,0.2mmol/g-iresin程度の金属イオン吸着能を示した。
  • 小林 慶規, 氏平 祐輔
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1963-1965
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Positronium reaction rate constants kp of pyridinium, quinolinium and 1, 10phenanthrolinium ions were determined in acid aqueous and acid methanolic solutions. Although rather large kp values were obtained for quinolinium and phenanthrolinium ions in water, the positronium quenching by these ions as well as by pyridinium ion was practically absent in methanolic solutions (see Table 1). This result is in qualitative agreement with the prediction based on the “internal pressure effect model” for the solvent effect in the positronium complex formation reaction.
  • 阿部 由郎
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1966-1968
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Polynitration of fluorene was examined.2, 4, 7-Trinitrofluorene (TNF), mp 207∼208°C, and 2, 4, 5, 7-tetranitrofluorene (TENF), mp 272∼273°C (dec. ), were obtained in yields of 40 and 50%, respectively, by nitration of fluorene with a mixture of nitric acid (d154=1.52) and sulfuric acid (95%) in acetic acid. UV spectra of the solutions of TNF and TENF in ethanol changed with the lapse of time. TNF and TENF formed molecular complexes with some polycyclic aromatic compounds.
  • 楠 泰夫, 岡崎 博
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1969-1970
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Palladium (II)-copper (II)-catalyzed synthesis of alkylpyridines from ethylene and alkylamines was studied. The reaction of methylamine with ethylene produced in good yields a mixture containing pyridine and 3-methylpyridine. Ethylamine gave 2-methylpyridine and 5-ethyl-2methylpyridine, whereas ethylenediamine did not react with ethylene under similar reaction conditions. Paraldehyde was found to be used in place of ethylene in these reactions to give the same products.
  • 楠 泰夫, 岡崎 博
    1981 年 1981 巻 12 号 p. 1971-1972
    発行日: 1981/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Synthsis of pyridine and 3-methylpyridine was successfully carried out by the reaction of C, compounds with ammonia and ethylene in the presence of Pd(II)-Cu (II) as catalyst. It was confirmed that 1, 3, 5-trioxane, paraformaldehyde, formalin, dichloromethane, methylal and methylamine, which would give formaldehyde under the reaction conditions, served as the C, compounds in the present synthesis.
  • 1981 年 1981 巻 12 号 p. 1973a
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 1981 巻 12 号 p. 1973b
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 1981 巻 12 号 p. 1973c
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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