極度の悪臭物質である(CH
3)
2Sの有効な除去法を開発するために,本研究では各種金属イオン交換Y型ゼオライト(M-NaY)による吸着法および再生法の検討を行なった。常圧流通式充てん層装置で各試料(平均粒径0.25,0.50mm;0.5,1.0ml)に対しt吸着実験では,(CH
3)
2S(100ppm)-H
2O(0~8%)-N
2系,500Ncm
3/min,40~200℃ で平衡吸着量を測定し,つづいて同一温度下,H
2O(0~8%)-N2系,500Ncm
3/minの操作で(CH
3)
2Sの脱離量および保持量を求めた。他方,定速昇温脱離法によって吸着した(CH
3)
2Sの安定性などの検討を加えた。その結果,つぎのような有意な結果,知見を得た。
1)水蒸気の共存しない系ではCu(II)-NaYとAg(I)-NaYが,水蒸気共存系ではAg(I)-NaYが100~150℃ で(CH
3)
2Sに対しすぐれた吸着能を示す。
2)水蒸気の共存しない系のCu(II)-NaYおよびAg(I)-NaYに対しては,水蒸気脱離法で再生が可能であり,水蒸気共存系のAg(I)-NaYに対しては,空気流通下の昇温脱離法で再生が可能である。
3)(CH
3)
2Sの吸着,保持には交換金属イオンが寄与し,とくにAg(I)-NaY上に保持された(CH
3)
2SはAg(I)イオンと熱的に安定に錯体を形成しているようで,160℃ 付近以上になってはじめて脱離する。
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