水蒸気共存下のNH
3吸着剤としての銅(II)イオン交換Y型ゼオライト(Cu(II)-NaY)の低濃度NH
3に対する吸着能と,さらにH
2Sが共存する場合の影響,ならびに一部再生法についても検討を行なった。すなわち,実験は主として常圧流通式充てん層装置を用い,入口ガス0~240ppm,0.1,1,%NH
3-0~300ppmH
2S-3.9~11.6%H
2O-N
2.試料(0.4~1.0mm)1.0,1.85mlに対し,入口ガス流速500,1000Nm3/min,温度50~200℃における破過曲線を測定した。なお,これらの操作のあと,試料をN2流中で500℃まで定速昇温(2.5℃/min)し,昇温脱離曲線を求め,また赤外吸収スペクトル測定と併わせてNH
3の吸着点などを検討した。
その結果,つぎのような結果,知見を得た。1)Cu(II)-NaYは,水蒸気共存下でも20ppm以下の低濃度NH
3に対してもすぐれた吸着能を示し,この場合の吸着点としてイオン交換時に生成したCuOH+およびH+の固体酸点が大きく寄与する。2)H
2Sが共存すると,イオン交換時に生成した固体酸点(CuOH+)は,H
2Sとの反応によって変質するが,新たに生成したCuSH+あるいはH+といった酸点がNH
3の吸着点として有効に作用する。3)NH
3-H
2O-N2系の吸着操作後,N2流中で0の昇温脱離によって再生,くり返し使用の可能性が得られたが,H
2S共存の場合には,乾式加熱再生は不適で,今後の検討の余地が大きい。
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