ナフトキノンのベンゼン環の5,8-位にアミノ基を有し,さらに2,3-位に種々の置換基(CI, Br, CH
3,0CH
3,NH
2)をもつナフトキノン誘導体[7a~e]を合成した。そのうちジクロロ体については,5-アセチルアミノ-2,3-ジクロロ-1,4-ナフトキノン[4a]をニトロ化し,5-アセチルアミノ-2,3-ジクロロ-8-ニトロ-1,4-ナフトキノン[5a]を得,ついで加水分解して5-アミノ-2,3-ジクロロ-8-ニトロ-1,4-ナフトキノン[6a]としたのち,還元し5,8-ジアミノ-2,3-ジクロロ-1,4-ナフトキノン[7a]を得た。ジブロモ体[7b],ジメチル体[7c]についてもジクロロ体と同様の方法を用いて合成した。
[5a],[6a],[7a]と求核試薬たとえばアンモニアとの反応を検討した結果,[5a]がもっとも反応性が高いことを知ったので,ジメトキシ体[7d]については[5a]をメトキシル化し,ついで加水分解,還元の工程を経て合成し,またジアミノ体[7e]については[5a]をGabriel反応を用いてアミノ化したのち,加水分解して合成した。これら紫外,可視吸収スペクトルの結果は,[7d]がもっとも長波長側に吸収をもち,[7d]がモル吸光係数がもっとも大きいことがわかった。また,2,3-位の置換基は電子求引性基ほど深色効果が大きいことがわかった。
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