日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
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1982 巻, 12 号
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  • 中垣 正幸, 横山 祥子, 山本 いつみ
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1865-1872
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫酸ドデシルナトリウム(SDS)とヘプタェチレングリコール=ドデシルエーテルとからなる混合ミセルに,蛍光プローブとして8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸アンモニウム(ANS)を作用させ,蛍光強度測定により表面電位(△ ψ)を求めた。そのさいに,ANSによる光の吸坂を考慮してANS蛍光強度を補正した。
    イオン強度(J)一定でSDSモル分率(xSDS)を大にすると(-△ψ)は大となり,xSDS一定でJを大にすると(-△ψ)は小となった。これはそれぞれ,SDSの硫酸エステル基による負荷電の増加のため,およびNa+がミセル表面にイオン雰囲気を形成しr有効表面電位を下げたためと考えられた。そこで,Gouy-Ghapmanの理論を用いて表面電荷密度(σ)を求めると,xSDS一定のときには0はJによらずほぼ一定となり,J一定では(-σ)の値はxSDSに比例した。したがって,ANSはミセル表面のStem層にはいり,その外側の拡散層の状態がGouy-Chapmanの理論でよく説明されると結論された。
  • 吉田 静夫, 宮田 靖, 新山 浩雄, 越後谷 悦郎
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1873-1878
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々の12-モリブドリン酸塩の一酸化炭素(CO)による還元機構について検討した。ニッケル塩銅塩はきわめて易還元性であり,また還元初期に誘導期が存在することが見いだされた。銅塩の還元過程をESR,COの昇温脱離などにより検討し,初期過程においては銅イオンが優先的に還元されるとことi還元された銅イオン上にはCOが強く吸着することが明らかとなった。誘導期はCO吸着座として銅イオンが自己触媒的に機能するためと理解された。
  • 嶋村 正良, 野崎 文男
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1879-1884
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Fe-Sb-Q複合酸化物触媒の1-ブテンからブタジエンへの酸化脱水素活性について検討した。触媒反応は常圧流通系装置で行ない,また酸化状態にある触媒をブテンパルスで逐次還元する過程をパルス法で追跡した,その結果,つぎのことがわかった。すなわち触媒はSb/Fe(原子比)>1.0の組成域で活性・選択性にすぐれ,Mo-Bi-O系触媒と違ってブテン異性化能は小さかった。反応速度はブテン圧にほぼ1次の依存性を示し,酸素圧にはほぼ0次であった,そしてパルス法による触媒の還元過程の追跡結果と流通系反応の結果との比較から流通系反応時における触媒表面は若干還元された状態にあるものと推察された。
  • 山添 昇, 徳重 諭, 久戸瀬 泰司, 清山 哲郎
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1885-1889
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    スズ-アンチモン酸化物触媒の複合効果を調べる目的で,組成比の異なるSnO2-Sb2O4触媒について,酸素の昇温脱離プロペンパルス反応,X線分析およびESCAによる表面分析を行なった。昇温脱離実験から,Sb含有量20~50%触媒の表面状態は単独酸化物であるSnO2ともSb2O4とも異なることを見いだした。昇温脱離と同条件で酸素吸着を行なった触媒に対するパルス反応においても,Sb30atomic%触媒がもっとも高い部分酸化活性・選択性を与えた。これらの結果は触媒を複合化したことによって触媒表面が改変されたためであると思われる。X線回折実験では,SnO2結晶はSb量に応じて減少するが,SbO4,相はSb3Oatomic%まで現われないという結果が得られた,またESCAによる表面分析において,触媒表面層へのSb濃縮が観測された。これらのことから,この系では少量のSbを固溶したSnO2の周囲にSbリッチ層が形成され,これがオレフィン酸化において高い選択性を発現すると推定される。
  • 堀越 徹, 久保田 昇, 佐藤 栄一
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1890-1895
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    テトラシアノ金(III)酸イオンからの金の電析挙動について,回転円板電極を用いて濃度分極(ηc)を含まないカソード電流一電位曲線を求めて検討した。また,回転円板電極を用いた場合の溶液側の因子となる伝導率および動粘姓率についても測定した,いずれのK[Au(CN)4]-KCN-K2CO3系溶液においても,およそ-85~-1.00V(vs.SCE)の電位範囲で傾き-0.17VのTafelの関係が見いだされた。さらにTafel直線を可逆電位まで補外して,金(III)析出の交換電流密度ちを求めた。
    つまり,テトラシアノ金(III)酸イオンからの電析は,中間生成物としてジシアノ金(I)酸イオンを経由して起こるものと思われる。さらに,溶液2(K[Au(CN)4]-0.588×10-2mol・dm-3,K2CO30.434mol・dm-3)における拡散電流密度から求めたテトラシアノ金(III)酸イオンの拡散係数は,25℃ において2.44×10-6cm2・s-1であった。
  • 高島 正之, 加納 源太郎, 小西 始
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1896-1902
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    希土類金属の酸化物とフッ化物との高温固相反応によって,各種フッ化酸化物あるいは固溶体が生成することを確かめた。各種生成物のうち,ネオジムフッ化酸化物を中心に,生成反応と燃料電池用電極触媒あるいは固体電解質としての性質について検討した。フッ化酸化ネオジムは1100℃ 以上で生成し,化学量論化合物(NdFO)となり,その結晶構造は焼成温度と冷却条件によって,斜方面体晶,立方晶および正方晶のいずれかと濾ことがわかった.前二者間では格子定数5.66Åの蛍石型離を高温相とする結晶構造の可逆的な転移が起こる。転移のエンタルピーは1.46kJlmo1であった。サイクリックボルタンメトリーによって,燃料電池用電極触媒としての性質を調べた。NdFOおよび(NdFO)0.9(Nb2O5)0.1は水素の酸化のみならず酸素の還元に対しても活性を示した。酸化物イオン導電性の立場から電気伝導性を調べ,NdFOはジルコニア系酸化物固溶体の約100倍の電導性を示し,その酸化ニオブ(V)との固溶体では酸化物イオン輸率も1.0に近い値を示すものが得られた。
  • 山崎 仲道, 叶原 悟司, 柳澤 和道, 松岡 清
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1903-1908
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    250~420℃ の温度域での水熱アルカリ条件下で酸素ガス酸化によるクロム鉱石かちのクロム(VI)酸イオンの抽出反応について速度論的な検討を行なった。走査型電子顕微鏡観察から抽出庚応前後における鉱石粒子の粒径および形状の変化はほとんど見られず外形不変の抽出型コアモデルに基づいて検討すると,酸化抽出率曲線は化学反応律速の場合の式,よく適合することがわかった。
    Arrheniusプロットは360~3800℃,400~420℃ の二つの温度域で異なった直線勾配を示し,見かけの活性化エネルギ0はそれぞれ37.2,52.8kcal/malであり,二つの反応過程の競合する反応を推察した。抽出の程度の異なるいくつかの抽出残留物の分析から,低温部(360~380℃)ではクロムの直接酸化溶出反応,高温部(400~420℃)ではFe(II)→Fe(III)と同時にク目ムが酸化抽出さ慕る反応が支配的となることを推定した。合成MgCr2O4のアルカリ熱水酸化分解反応の見かけの活性化エネルギーは14.3kcal/mol,Al抽出の活姓化エネルギーは29.2kcal/molで(FeMg)(crA1)2O4からのクロヘアルミニウムの溶出がMgCr2O4からの溶出よりも高い活性化エネルギーを示し,Fe,Alの介在による不活性化をうらづけた。
  • 中川 良三
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1909-1913
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    現在,火山性噴気地帯などをともなわない地域(群馬県八塩,千葉県房総半島,栃木県塩原,福島県熱塩静岡県伊豆半島,東北地方北部)の温泉,72源泉について水銀含量を調べた。温泉はpH5.4~の範囲にある塩化物泉,硫酸塩泉,単純泉であり,水銀含量は0.001以下~3.5μg/lで8.8 あった。このうち,熱海間欠泉(Hg3.5μg/l),塩原元湯温泉(Hg0.86μg/l),福島県熱塩温泉(Hg0.12μg/l)の3源泉をのぞく他の源泉の水銀含量はすべて0.05μg/l以下であり,25源泉が0.005μg/l以下であった。泉温の高い源泉は水銀含量の高い源泉の割合が多い傾向を示した。これは,温泉水中に水銀が存在しているための条件の一つは泉温が高いことを示している。水銀と塩化物イオン含量との間には,相関性は認められない。とくに塩化物イオン含量が5g/l以上のナトリウムー塩化物泉は15源泉中10源泉が0.005μg/l以下の水銀含量であった。
  • 上田 穣一, 北谷 外志雄
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1914-1917
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    セミメチルキシレノールブルー(SMXB)は0酸性溶液中でガリウムと反応して,赤紫色の水溶性錯体を生成するので,これを利用する微量ガリウムの吸光光度定量法を検討した。SMXB-ガリウムの呈色溶液の極大吸収波長は561nm付近にあり,pH1.3~1.7において一定最大の吸収を示す。モル吸光係数および吸光度0.001に対する感度は,それぞれ,3.12×104および2.2×10-3μg/cm2であり,ガリウム濃度0.2~2.0μg/cm3の範囲においてBeerの法則にしたがう。連続変化法およびモル比法により求めたガリウムとSMXBとの組成比は1:1であった。共存イオンについては,アルミニウム,スズ(IV),ブスマス(III),スカンジウム,ジルコニウム,トリウム・バナジウム(V),鉄(III)勘害ずるが,アルミニウム,スズ(IV),スカンジウム,ジルコニウム,トリウムはフッ化物イオンでクでき,鉄(III)の影響はL-スコルビン酸で除去できる。また,ビスマス(III),バナジウム(V)マスについては,ガリウムの抽出分離を行ない,これらの妨害を除去した。
  • 玉野 美智子, 纐纈 銃吾
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1918-1923
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アントロン,ヒドロキシアントロンおよび天然物において見いだされるアントロン類の13C-NMRを測定し,すべての化学シフトの帰属を行なった。アントロン骨格の二つのベンゼン環に対して経験的加成則を適用して計算した化学シフトは9a,4a,10aおよび8aの炭素において多少のずれが見られるが,他の炭素については,かなりの精度で相関性が見いだされ,実測値を帰属するために用いることまた単純LCAO-MO法によるπ電子密度と13C-NMRの化学シフトとはあまり良好な相ができる。関性は見られないが,CNDO/2法による全電子密度とは,かなり良好な直線関係が存在する。
  • 末高 透, 宗森 信
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1924-1926
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クロマトグラフィー分析において,分析をはじめる前に行なわれ,かなりの手間を要するカラム選定操作の所要時間を短縮するために,気液系クロマトグラフィーの保持容量を推算することを目的とする研究を行なった。まず,気液系クロマトグラフィーの理想系すなわち移動相中の気体と固定相中の液体が正則溶液を形成するクロマトグラフィーについて気液平衡定数と実測保持容量との関係を考察した。移動相中の分離成分としてプロピレン,ブタン,1-ブデン,1,3-ブタジエン,ペンタン,イソペンタンをえらんだ。そして30℃ においてこれらの炭化水素の保持容量を種々のキャリヤーガス流量のもとで測定した。そして,これらの炭化水素の実測保持容量と正則溶液論に基づく気液平衡定数との関係を検討したところ,理論的に推察されるように保持容量は平衡定数に比例した。したがって,正則溶液論を用いてこれらゐ炭化水素の保持容量を推算することが可能である。また,極性液体のフタル酸ジオクチルでも移動相中の秀離成分が無極性あるいは准無極性であれば正則溶液論を用いて近似的にこれらの分離成分の保持容量を推算することが可能である。
  • 下茂 徹朗, 染州 賢一, 隈元 実忠
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1927-1932
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-ピロン類とp-ベンゾキノン類との反応を行ない,4種類のDiels-Alder反応(DA)付加物〔1〕および〔2〕1,4-ナフトキノン誘導体〔3〕,アントラキノン誘導体〔4〕ならびに2-メチル-1,4-ナフトキノンの[2+2]二量体〔5〕を得た。〔1〕は9-オキサトリシクロ[6.2.2.02,7]ドデカ-4,11-ジエ3,6,10-トリオン類(endo体)であり,〔2〕はそのexo体であった。
    本反応のDA付加物に対する2-ピロンの置換基,反応温度および溶媒の作用は微妙である。たとえぽ2-ピロン類とp-ベンゾキノンとのDA付加物は,2-ピロンの場合は80℃ で溶媒の極性に関係なく得られ,クマル酸メチルの場合は80,110℃ でも得られるが無極性溶媒にかぎられた。また4,6-ジメチル-2-ピロンの場合は60~110℃ および溶媒の極性に関係なくDA付加物は単離できず,1,4-ナフトキノンあるいはアントラキノン誘導体が得られた。すなわち,高い反応温度は脱炭酸を起こしやすくさせ,極性溶媒はDA反応をおさえる一方でそれからめ脱離反応(-CO2,-H2)を促進するらしい。また2-ピロンの電子求引性基はDA付加物の安定性を増すことがわかった。
  • 犬飼 吉彦
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1933-1935
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    樹脂への相溶性,耐ブリード性,耐光性のすぐれたナフトールAS系高分子アゾ色素をつくる目的で,N-[m-(メタクリロイルアミノ)フェニル]-4-フェニルアゾ-3-ヒドロキシ-2-ナフトアミド〔1〕とメタクリル酸メチルとの共重合を行ない,色素含量が0.42,1.02,2.01,420,4.44mo1%の5種の共重合物をつくった。ついで,その色素含量の耐光性およびアゾ-ヒドラゾン互変異性におよぼす影響を調べたところ,2.01mol%以下の共重合物はいずれもモノマー色素〔1〕と同じように耐光性も良好であったし,互変異性の挙動も同じであった。しかし,420mol%以上のものは耐光性は〔1〕より劣る結果となった。また,メタクリル酸メチルポリマーへの根溶性および耐ブリードはいずれの共重合物も良好であった。
  • 犬飼 吉彦
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1936-1939
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    耐光性と耐ブリード性のよい高分子色素をつくるため,4-アリールアゾ-3-メチル-1-[p-(メタクリロイルアミノ)フェニル]2-ピラゾリン-5-オンの単独重合物をつくった。ここで,アリール基はC6H5,p-CH3C6H4,m-CH3C6H4,p-CH3C6H4,m-CH3OC6H4,p-ClC6H4,m-ClC6H4,p-NO2CH4,m-NO2C6H4,p-(CH3)2NC6H4である。これら高分子色素はGPC分析の結果からオリゴマー領域のものであること,また,IRおよびNMRスペクトルの結果から原料のモノマー色素と同じようにヒドラゾン形で存在していることが確かめられた。耐光性は,ポリ(メタクリル酸メチル)のキャストフィルム中でカーボンアーク光に暴露することによって調べたところ,すべてのポリマー色素はその対応するモノマー色素よりもいくらか劣る結果となったが,その程度は4-位のアリール基の種類によって差があった。そして,ポリマー色素とモノマー色素との耐光性の差が少なく,かつ,耐光性の良好なものはアリール基がp-NO2C6H4とm-NO2C6H4であった。また,耐ブリード性はすべて良好であった。
  • 深沢 力, 岩附 正明, 伊藤 醇一, 林 英輔, 上柳 登紀夫
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1940-1945
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アンダーセン・サンプラーによって捕集した大気中浮遊粒子状物質の空気動力学的粒子径が実際の幾何学的粒子径とどの程度対応しているかをXMA2次電子籐と光学顕微鏡により調べるとともに,粒度分布曲線の,作成方法や装置による違い,秤量誤差の影響などを検討した。その結果,実際の大気中浮遊粒子状物質の幾何学的粒子径は,通常表示されている粒子密度を1.0g/cm3としたときの空気動力学的粒子径にくらべ,体積基準平均では約20%大きく,個数基準平均では約30%小さかった。また,累積重量分布曲線を微分して粒度分布曲線を作成するのにグラフを用いる方法では,分布曲線のピークの位置や高さが作成者により20%程度異なる場合があった。一方,(4~9)次のLagrange補間式を用いれば,次数による分布曲線のピークの位置や高さにおける変動は,相対標準偏差として3.5%パ以内であった。2台の同一型式のサンプラーを並べて同一条件で捕集した場合,両者の粒度分布曲線におけるピークの位置と高さのずれは12%以内であった。
  • 田中 茂, 小田切 幸成, 加藤 利明, 橋本 芳一
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1946-1952
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    海洋大気中の酸性ガス成分による海塩粒子からの塩素の脱離(クロリンロス)を確認し・その機構を解明するために,室内実験を行ない,また,海洋犬気中での観測を行なった。室内実験においては,海水を含浸乾燥させたフィルターに酸性ガス(SO2,NO2)を通気させ,塩化水素ガス発生の確認を行なった。その結果,SO2,NO2のいずれに関しても酸性ガスの通気により,海永含浸フィルターから塩化水素ガ冬の発生が起こり,さらにガス濃度あるいは湿度を増加させうと,発生する塩化水素ガス濃度は増加することが確認された。しかしながら,SO2,NO2ともに,ガス濃度,湿度を変化させても反応率は,SO2の場合約18%,NO2の場合約9%でほぼ一定であった。
    海洋大気中での測定は,人為酌な塩化水素ガス発生源による影響をできるだけさけるために,八丈島および父島において,1981年1月13日から20日までの間測定を行なった。その結果,粒径2μm以下の微小粒子を中心に海塩粒子の塩素脱離現象が観測された。塩素脱離は八丈島,父島において0.21~0.36μg/m3であり,海塩粒子中の全塩素量に対する塩素脱離は,4~7%であった。そして,塩素脱離量から算出すると発生する塩化水素ガスの濃度は,5.9×10-3~10×10-3μmol/m3であり,海洋大気中での実測値4.8×10-3~15×10-3μmol/m3とほぼ一致した。
  • 杉山 一男, 那住 純一
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1953-1955
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The thermal decomposition of 1, 4-dimethyl-1, 4-diphenyl-2-tetrazene [1] in toluene at 110 °C leads to production of two N-methylanilino radicals with a loss of nitrogen. A part of the nitorogen radicals abstract hydrogen atom from toluene to give benzyl radicals. As a result, N-methylaniline, N, N'-dimethylhydrazobenzene [2], N-methyl-N-phenylbenzylamine [3], aniline, and biphenyl are obtained. The thermal decomposition of [1] was also carried out in the presence of 1-butanethiol as a radical trapping agent in toluene. The yield of [2]decreases with the increasing amount of the scavenger. This means that the decomposition of [1] dods not proceed via a concerted mechanism but by a stepwise one.
  • 亀沢 誠, 小原 和子, 橘 芳純
    1982 年 1982 巻 12 号 p. 1956-1958
    発行日: 1982/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The reaction of resorcinol [1] with. methyl acetoacetate [2] in the presence of 10 mol% of concentrated sulfuric acid has been studied. In addition to the expected 7-hydroxy-4-methylcoumarin [3] as the major product, a small amount of by-product (9.2%) [4] was obtained. The structure of [4] was found to be 7, 7'-dihydroxy-4, 4'-dimethyl-3, 4-dihydro-4, 6'-bicoumarin, a dimer of [3], based on microanalytical data, MS, IR, and NMR spectra of [4]and its bis(ethoxycarbonylmethyl)ether [5]. The plausible mechanism for the formation of [4] is discussed briefly.
  • 1982 年 1982 巻 12 号 p. 1959
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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