横型管状炉を用いた外熱方式で,9種類のエチレンおよびエタンの塩素化物を原料にし,500,600および700℃に加熱した炭素基材上に低温気相熱分解炭素(LTPC)を堆積させた。そのさいの基材温度と堆積速度との関係から,これらの原料塩素化物は三群に分類することができた。第1群はcis-およびtrans-1,2一ジクロPtエチレン,第2群は1,1-ジクロロエチレン,1,1,2一トリクロロエチレン,1,1,1一および1,1,2一トリクロロエタンであった。LTPCの堆積は,第1群の場合は500℃,第2群の場合は600℃ から認められ,基材温度が高くなると堆積速度は増大した。得られたLTPCの比重,X線パラメー・ターおよび化学組成はいずれの場合も同じであった。またジクロロエチレン類を原料として基材温度700。Cの場合だけ,原料導入口に近い基材上に二層構造(上層:columnar型,下層:isotr。pic型)のLTPCが堆積した。第3群は,700℃でもほとんど堆積のみられない塩化ビニル,1,1一および1,2一ジクロロエタンで,比較原料として用いたベンゼンの場合と同じ堆積挙動を示した。このように,原料の種類によってLTPCの堆積状況に差の認められるのは,各原料塩素化物の分解初期過程に副生する中間体の組成に関係するものと推測した。
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