日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1982 巻, 10 号
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  • 柘植 英哉, 米勢 政勝
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1583-1587
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    親水性の糖骨格に疎水性の対イオンを有するコンドロイチン硫酸のテトラアルキルアンモニウム塩(R4NChS)を用い,その熱力学的性質を通じて,疎水性対イオンが高分子電解質溶液の物性にどのような影響を与えるかを調べた。コンドロイチソ硫酸のアンモニウムおよびテトラアルキルアンモニウム塩の水から尿素水溶液への溶媒間移行エンタルピー(ΔtrH)が,双子型微小熱量計により温度298.15Kおよび310.15Kにおいて測定された。尿素濃度は0.5~5.Omo1・kg-1であった。
    その結果,ΔtrH値は,アンモニウム塩で負の値(発熱)を示し,対イオンの炭素数が増加するにしたがって,減少し,テトラエチルアンモニウム塩で最小となり,それから増加し,テトラブチルデンモニウム塩では正の値(吸熱)となった。この結果を低分子電解質であるテトラアルキルアンモニウ薪プロミド塩と比較し,定量的にも,ΔtrH値がかなり一致していることが明らかになった。さらに,R4NChS塩の性質はR4N+イオンに依存しており,ChS高分子イオンのΔtrH値は約9kJ・mol-1と見積られた。そして,ΔtrH値は主としてChS塩のまわりの水量の変化を反映していると解釈した。
  • 高橋 禮子, 西部 ひな
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1588-1594
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    糖タンパク質のオリゴ糖鎖の分析法は,(1)オリゴ糖鎖を定量的にタンパク質から切り離す方法,(2)切り離したオリゴ糖鎖を相互に分離精製する方法,の二つに多くの問題点がある。著者は以下の方法を開発した。
    (1)として,糖タンパク質の糖部とタンパク部との結合部位(GlcNAc-Asn間)を特異的に切断する酵素,アーモンド・グリコペプチダーゼを使用した。この酵素は糖タンパク質から糖鎖を丸ごと切り離ずことのできる唯一のもので,1977年に初めて著者の発見した酵素である。(2)として,得られたオリゴ糖分画はペーパークロマトグラフィーで脱塩し,薄層クロマトグラフィーで同定した。オルシノ7レ醸酸確で肇色した糖を,標準物質と比較してオリゴ糖分子の大きさ,何種類あるか,それらの量比などの大要を知る。量比はデンシトメーターでより正確に測定できる。さらに試料の量が許せば薄層からかき取ったスポットを加水分解して高速液体クロマトグラフィーによりその単糖組成を知り,またメチル化分析などに進むこともできる。
    この論文ではh分ig子h-のma一nn箇型所にただ1種の類糖の鎖のついるタカアミラーゼ分子内の4箇所にすべて同じcomplex型糖鎖のついているヒト・フィブリノーゲン,および分子内の糖のつく場所は1箇所なのにそこについている糖鎖はhigh-mannase型とhybrid型がそれぞれ数種類あるニワトリ卵白アルブミンの分析例を示した。またヒト麟帯動脈静脈,マトリヅクスの糖鎖のパタソの比較から,恥この方法の比較生化学的応用への可能性も述べた。
  • 水谷 健二, 梶田 ひとみ, 田島 敬子, 田中 治
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1595-1602
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Stuartらによって報告された重水素化Raneyニヅケルによる糖類の遊離ヒドロキシル基のカルビニル水素の選択的重水素化反応について,さらに検討を行なった。まずmethylα-L-arabinopyτanoside[4],methy1β-D-xylopyranoside[5],およびmethylα-L-rhamnopyranoside[8]の本反応にさいしての異性化反応を明らかにした。また,本反応におけるRaneyニッケルの種類,溶媒,反応時間などと重水素置換反応の進行との関係を検討し,異性化を最少限にとどめ置換反応をできるだけ十分進行させる反応条件としてW7一重水素化Raneyニヅケルを用い,重水(または重水-ジオキサン,重-メタノール-d4)中9時間前後反応するのが適当であることを明らかとした。
    さらに, methyl β-sophoroside [13], methyl β-cellobioside [23],薬用人参サポニンのginsenoside-Rbi [24] の β-sophorosylおよびβ-gentiobiosy1部,methylβ-およびα-laminaribioside [18], [19] およびmethyl 2, 3-di-O-β-D-glucopyranosyl-β-D-glucopyranoside [22] などのoligo91ycoside,また多糖類としてα-1,6-91ucan[25]について本反慈を検討し,その結果からこれら化合物の13C-NMRのシグナルの帰属の再確認または一部訂正を行なった。
  • 加藤 武彦, 飯沼 文夫, 木下 俊夫
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1603-1608
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    タウリンを発蛍光試薬として,糖類の薄層および高速液体クロマトグラフィーを検討し,簡便,迅速,高感度な分離分析法を確立した。糖類はタウリン試薬と中性付近のpHで加熱されると短時間で強い蛍光を発する。使用したタウリンは安価で安定性のよい試薬であり,かつ試薬自身はほとんど螢光がないのでより実用的な試薬である。本発蛍光反応は還元糖に射して特異的である。しかしながら還元糖のうちオリゴ糖は単糖にくらべて,やや感度が低くなる。薄層クロマトグラフィーにおけるD-グルコ- スの検出限界はo.1nmol/spotで従来法より高感度である。また再現性はD-グルコース015μg/spotにおいて変動係数3.6%(n=10)であった。つぎに高速液体クロマトグラフィーにおけるD-グルコースの検出限界は,0.27nmol/10μ1で従来の強酸性下での検出感度にくらべて100倍の感度を有する。また再現性はD-グルコース1nmol/10μlで変動係数1.8%(n=10)であった。
  • 木幡 勝則, 大滝 恵美理, 鈴木 千枝子, 目黒 黙
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1609-1616
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-チオグリコピラノシドおよびグリコピラノシドを用い,そのアノマ-立体構造解析を 1H-NMR13C-NMRおよびORD-CD法より行ない,アグリコン,グリコシドヘテロ原子,糖部分構造のおよぼす影響について系統的に比較検討した。
    その結果,1H-NMRのH-1とH-2の結合定数(J1.2)法,H-1化学シフト法および18C-NMRのΣ13C(C-1~C-6化学シフトの総和)法はいずれも従来の経験則と一致していた。とくにH-1化学シフトはORD-CD法から得られた環酸素バンドの旋光強度と良好な直線関係を与え,この二つの測定値がH-1と環酸素の空間配置関係をよく反映していることを示した。,注意すべき点は,13C-NMRのC-1化学シフト法で,従来のδβα則はグリコシドヘテロ原子を酸素から硫黄に置換したphenyl1-thioglycopyranasideでは成立しなかった。このδαβ の逆転の傾向は,アグリコンがアルコキシル基・フェノキシル基p- ニトロフェノキシル基にかわることにより助長され,アグリコン部の電子軌道の広がりとほぼ一致することから,おそらくアキシアル配向アグリコンによる正の磁気異方性効果(デシールド効果)によるものと推定した。.
  • 原田 健一, 武田 直仁, 鈴木 真言, 重政 好弘, 中島 路可
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1617-1621
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来から用いられているEIMSと比較して,よりソフトなイオン化に基づくCIMSを,最近注目を集めているホルモースの構造解析に適用した。その結果,アンモニアを試薬ガスに用いた場合,分子イオン種であるM・NH4+が確実に生成し,EIMSではほとんど困難であった分子量の決定がきわめむねゑて容易になった。さらに,アンモニァ-d3によるシフト法も有効な手段であり,その実施により分子内の活性水素水の決定も可能となった。このような一連のCIMSの適用は,生成ホルモースの構造解析の有力な手段となりうるであろう。
  • 平野 茂博, 近藤 陽太郎
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1622-1625
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    キトサンの緩和なアシル化法を開発し,アフィニティクロマトグラフィー担体やキチナーゼ,リゾチーム酵素基質構造特異性の研究に重要な新しいハロアシル誘導体を調製するを目的とした。キトサンをトリフルオロ酢酸,クロロ酢酸またはギ酸に溶かす。これに無水酢酸を加え,75~80℃ で数分から2時間処理,または,トリフルオロ酢酸,ベルフルオロプロピオン酸,ペルフルオ減酪酸,クロロ酢酸のいずれかの酸無水物を加え,室温で18時間処理した。キトサンのハロアシルおよびホルミル誘導体(置換度=1.9~3.01GlcN)が生成し,72~97%収量で単離された。さらにO-脱アシル化すると相当するN-アシル誘導体(置換度1.0/GlcN)が75~86%収量で単離された。これら誘導体はいずれも永および一般有機溶媒に不溶であった。
  • 重政 好弘, 坂井 仁, 中島 路可
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1626-1632
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メタノール溶媒で選択的に合成された2,4-bis(hydroxymethyl)-3-pentulose(2,4-BH-3-P)の生成因子に関して検討を加えた。触媒として用いたバリウム塩のアニオン部は溶存パリウムイオン濃度に影響を与え,ホルモース反応速度を支配ナるが,2,4-BH-3-Pの生成に関してはその種類によらない。臭化パヅ1ウムー水酸化カリウム系触媒での水の添加効果は,水の添加量,15vo1%以下では2,4-BH-3-Pが主生成物であるが,25vol%以上になると,2,4-BH-3-Pの還元物である2,4-bis(hydroxymetyl)pentitol(2,4-BHP)などの糖アルコールが主生成物となった。種々のアルカリ土類金属塩-水酸化カリウム触媒を使用した場合,水媒体ではCannizzar反応が進行しやすく,ホルモース反応を生起させるためには反応系のpHの低下を防ぐこと,あるいは[触媒]/[HCHO]比を所定の値以上にすることが必要である。また,メタノール溶媒では,ストロンチウム,バリウムはカルシウムよりもすぐれた触媒能を有し,その触媒能は触媒の溶解性とよい対応を示した。ストロンチウムは3-(hydroxymethyl)pentofuranoseと2,4-BH-3-Pを,バリウムは2,4-BH-3-Pを主生成物として与えた。
  • 小林 一清, 住友 宏
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1633-1637
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,6-Anhydro-2,4-di-O-benzyl-β-D-glucopyranose[1]を出発物質として3-位にドデシル基を導入し,新規モノマーである1,6-anhydro-2,4-di-O-benzyl-3-O-dodecy-β-D-g1ucopyranose[2]を得た。[2]のカチオン開環重合を-60℃ で行ない,糖脂質モデル高分子を合成するための中間体となる2,4-di-O-benzyl-3-O-dodecy1-(1→6)-α-D-g1ucopymnan[3]を合成した。[2]の重合反応性は高く,短時間に重合が完結し,高分子量の立体規則性多糖誘導体が生成した。
  • 瓜生 敏之, 畑中 研一, 阪本 吉弘, 針間 一成, 萩野 新, 伊藤 克博, 船本 明士, 松崎 啓
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1638-1644
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Levoglucosan(1, 6-anhydro-R-D-gluqopyranose) および levomannosan(1, 6-anhydro-8-D-manno-0pyranose)のヒドロキシル基を種々の概換基に変えたモノマーのカチオン開環重合性および得られたポリマーの構造と物性について研究した。Tri-O-benzyllevoglucosanからは,五フッ化リンのほかにフくミッ化ニオブ(V),シッ化タンタル(V),2-ヨードプロパンーヘキサフルオロリン酸銀塩触媒も立体規則性のデキストラン誘導体を与えた。Tri-0-methy1-およびtri-O-ethyllevoglucosanは大きいヵチォン重合性を示したが,tri-O-(2-butenyl)leva,glucosanは重合性をもたなかった。レボグルコサンの2-位のヒドロキシル基をN-トシルアミノ基で置換したモノマーは,カチオン触媒でオリゴマーを与えた。Tri-0-methyl-およびtri-O-ethyllevomanosanは高い重合性を示したが,2,3-O-benZylidene-Ievamannasanの重合性はきわめて低かった。この結果,1,6-アンヒドロ糖誘導体の重合性におよぼす2-位の置換基の影響が大きいことがわかった。poly(tri-O-methyl-およびethyllevoglucosan)とpoly(tri-O-methyllevomannosan)は高い結晶性を示した。
  • 大野 泰雄, 佐藤 俊彦, 槌谷 純, 矢口 時也
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1645-1650
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    D-グルコスを出発物質とし,溶媒としてジメチルスルポキシド(DMSO),N,N-ジメチルホルムアミド(DMF),縮合剤としてポリリン酸(PPA),ポリリン酸エステル(PPE)を用い,種々の組み合わせによって重縮合反応を行ない,無色でもっとも収率よくグルカンを得る最適反応条件を求めるとともに,その合成グルカンの構造につき種々検討を加えた。
    その結果,最適反応条件は,DMSO-PPA系,DMSO-PPE系,系およびDMF-PPE系,いずれの重縮合反応系でも,無水 D-グルコース20.0gに対し,縮合剤(PPAあるいはPPE)30.0g,溶媒(DMSOあるいはDMF)50.O ml,反応温度50℃,反応時間7時間で無色粉末の永溶性合成グルカンを得た。合成グルカンの収率および性状から,溶媒としてDMSOがDMFよりすぐれていることがわかった。さらに過ヨウ素酸酸化法およびSmith分解法によって合成グルカンの構造を検討した。過ヨウ素酸酸化では過ヨウ素酸消費量にくらべてギ酸生成量が比較的多いとと,Smith分解ではグリセリンの生成量が多いことから,この合成グルカンは非還元末端の多いこと,すなわちα-な結合をより多くもつ,水溶性の分枝の多いグルカンであった。DPSO-PPE系の合成グルカンは,結合リン含量が小さく収率も高く乳酸化もうけにくい点などを考慮すると,DMSO-PPA系の合成グルカンよりすぐれていると考えられる。
  • 厚東 伸借, 森島 直彦, 入沢 晃己, 橋本 洋介, 山崎 雅代, 膳 昭之助
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1651-1656
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アノマーヒドロキシル基以外のヒドロキシル基をベンジル基で保護した二糖類誘導体と,グリコシル化されるヒドロキシル基以外のヒドロキシル基をベンジル基で保護した単糖類誘導体とを脱水縮合させる方法によって直鎖型三糖類を3種合成した。Cellobiose,Xactose,およびlaminaribioseのオクダアセチル誘導体をそれぞれ遊離の1-位ヒドロキシル基を有するhepta-O-benzylcel1biose,-1actosb,および一1aminaribioseに誘導する行程を確立した。これらをそれぞれジクロロメタン中p-ニトロベンゼンスルポニル=クロリドートリフルオロメタンスルホン酸銀-トリエチルアミン系の存在下にbenzy12,3,4-tri-0-benzyl-α-D-glucopyranosideと脱水縮合させて得た主生成物を,接触還元によ劾脱ベンジル化して,6-0-β-cel1obiosyl--lactosyl-,および-α-laminaribiosyl-D-glucopyranaseを合成した。その結果,二糖類の1-OH誘導体中のグルコシル基の結合位置によって本試薬系による脱水ビオシル化反応の立体選択性が変化することがわかった。
  • 酒井 淳一, 沢木 雅彦, 竹田 忠紘
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1657-1660
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    抗腫瘍活性を有する地衣類水溶性多糖体リケナン((1→3),(1→4)-β-D-グルカン)のくり返し単位であるオリゴ糖Glc1→3Glc1→4Glc1→4Glc1→3Glc1→4Glc1→4Glcの合成を目的とし,五糖,Glc1→4Glc1→3Glc→4Glc1→4Glcのメチルグリコシドの合成を行なった。
  • 西川 嘉廣, 香取 達彦, 茎田 憲一, 池加 哲郎
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1661-1667
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者らはさきに,α,α-トレハロースの6,6'-distearateの簡便な合成法として,この二糖の2,2',3,3'-テトラベンジル誘導体を部分的にアシル化したのち,接触還元によって脱ベンジル化する経路を提出した。今回この方法を用いて,つぎの8種のトレハロース-6,6'-ジエステル同族体を合成した。Acetate:m151~154℃,Octanoate:mp170~171℃,Dec.anaate: mp157~163℃,Laurate:mp161~164。C,M yristate:mp157~161℃(以上文献未知),Palmitate:mp160~162℃,Stearate:mp151~154℃1..nate:mp129~134℃
    ここに得たdecanoate以外の化合物につき,2種の白血病細胞-L-5178YおよびL-1210-に対するin vitroの抗腫瘍性を細胞培養法により検定した結果,用いた検体はすべて両細胞に対しある程度の増殖阻止活性を現わすことが判明した。いずれの細胞に対しても,1aurate.がもっとも低いID50値を与え,アシル基の鎖長が12より長くもしくは短ぐなるにつれ,ID50値は高くなる傾向を示した。一方behenateを除く化合吻につき,マウスEhrlich腹水がんに対するin vivo抗腫瘍劾果を総細胞容積法により検定したところ,acetateとoctanoateはまたく無効であつたが,decanoateizyouno以上の同族体には強い活性が認められた。
  • 伊藤 嘉雄, 手島 節三
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1667-1672
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1969年,柴田らはラット腎糸球体基底膜から,腎炎誘発作用をもつ糖ペプチドを単離した。その後の構造解析から,この糖ペプチドはN-グリコシド型であるにもかかわらず,糖鎖にグルコサミンを含まないことがわかった。著者らは,このような新しい形の糖ペプチドのモデル化合物を得る目的で,糖部分を化学合成や天然物からの単離が容易なオリゴ糖,すなわち,ゲンチオビオース,イソマルト-ス,マンニノトリオースを用いてオリゴ糖-L-アスパラギン化合物の合成を行なった。これらはいずれも,原料糖の完全アセチル化体をアセトハロゲノ体へ変換し,アジドィオンによる置換,アジド基の還元とアスパラギン酸誘導体との縮合,脱保護という過程を経て得ることができた。
  • 小倉 治夫, 高橋 洋, 小林 美苗
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1673-1681
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    含硫変型ヌクレオシドの合成研究の一環としてグリコシルイソチオシアナートを出発原料どしたヌクレオシド関連化合物の簡易な合成法の開発と生理活性物質の合成を目的として研究を進めてきた。今回,単糖類イソチオシアナートから二糖類イソチォシァナニトへその応用範囲を拡張じたので報告する。
  • 津々美 秀雄, 岡崎 敬, 浅井 美智子, 伊藤 清隆, 関 復華, 石戸 良治
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1682-1691
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    触媒量のメタノールの存在下,methy12,3,5-tr-O-benzyl--n-ribofuranosideあるいはそのα-アノマーを過剰の臭化アセチルと処理して得られる2,3,5-tri-0-benzyl-β-D-ribofuranosylbromideおよび塩化銅(1)の存在下,2,3-O-ispropylidene-あるいは-cyclohexylidene-5-O-trityl-D-ribofura・noseをジイソプロピルカルボジイミドと処理して得られるN,N'-diisopropy1-O-(.3-O-isoprpylidene-あるいは-cyclohexylidene-o-ribof uranosyl)isaureaが5,6-ジメチルベンゾイミダゾールと縮合して標記化合物誘導体をそれぞれ好収率で与えることを見いだした。関連する基礎的検討の結果とあわせて報告する。
  • 池田 大四郎, 宮坂 毅, 吉田 信, 堀内 幸生, 近藤 信一, 梅沢 浜夫
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1692-1695
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種細菌の発育を強く阻止するアミノ配糖体抗生物質,イスタマィシン(istamycin)AおよびBを生産するStreptomyces tenjimariensis が副成分として生産する2種の擬二糖類を分離し,イスタマィシンX0およびY0と命名した。いずれも弱い抗菌活性を有し,それらの構造がそれぞれ2種の新規な1,4ジアミノシクリトールと2,6-diamino-2,3,4,6-tetradeoxy-D-erthro-hexopyranoseとの配糖体であることを,それらのメタノリシスとスペクトル解析によって決定した。
  • 渡辺 勇, 出牛 武夫, 神谷 一博, 村上 彰, 岩崎 昭夫, 伊藤 久克, 森 俊人
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1696-1705
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体抗生物質サンナマイシン(sannamycin)A,B,Cの生産株Streptomyces sannanensisKC-7038株の培養液中より新しく7種の成分を単離し,サンナマィシンE〔4〕,F〔5〕,G〔6〕,H〔7〕,J〔8〕,K〔9〕,L〔10〕と命名し,それらの構造決定を行なった,その結果,〔4〕は3-0,6'-N-didemethy1-4-epi-sannamycinCであり〔7〕はその3-O-メチル体,〔9〕は〔4〕の4',5'-ジデヒドロ体,〔10〕は〔4〕の4-N-デメチル体であった。また〔5〕は2'-N-(N-formylglycyl).sannamyclnCであり,〔8〕は6'-NLdemethylsannamycinCであった。さらに〔6〕は6'-N-demethy1-4-epi-sannamycinBと決定された。
  • 三宅 俊昭, 高橋 良昭, 土屋 務, 梅沢 純夫, 梅沢 浜夫
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1706-1712
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3'-デオキシカナマイシンB(トブラマイシン)〔19〕を,カナマイシンBを出発物質として全収率約30%で合成した。2'-位にN-トシル基を有する3'-O-スルホニル体(〔6〕,〔7〕,〔9〕,〔12〕)は1'-位にかさ高いアキシアル置換基が存在するにもかかわらず,ヨウ化ナトリウムあるいは塩化リチウ0ムとN,Nジメチルホルムアミド中で容易に反応し,高収率で3'-ハロゲノ体を与えた。さらに得られた3'-ハロゲノ体は液体アンモニア中,金属ナトリウムと処理することにより脱N-トシル化をともなって高収率で3'-デオキシ体に導かれた。
  • 戸田 惣一郎, 内藤 隆之, 川口 洋
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1713-1720
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体抗生物質ネオマイシンB〔1〕を出発物質として,6'-な位または6'''-位アミノ基のベンジルオキシカルボニル(Cbz)基による選択的保護,残りのアミノ基のエトキシカルボニル(Cbe)化,脱Cbz化による6'-位または6'''-位アミノ基の再生,亜硝酸ナトリウムによる6'-位または6'''-位アミノ基のヒドロキシル基への変換,Cbe基の除去の5工程を得て,6,- deamino-6'-hydroxyneomycinB〔12〕および6"t-deamino-6,"-hydroxyneomyein B〔13〕を合成した。これらの化合物の脱アミノ基の位置は,主として13C-NMRスペクトルの解析により確定された。天然物との比較により〔12〕はパロモマイシン1〔2〕に同定された。〔1〕,〔2〕および〔13〕は類似の抗菌スペクトルを示したが,抗菌力は〔1〕がもっとも強く,〔13〕は〔2〕と同程度かやや劣っていた。急性毒性は〔13〕がもっとも低く,〔1〕の約1/5であった。
  • 小川 誠一郎, 末継 勝, 豊國 健, 須網 哲夫
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1721-1726
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    農業用抗生物質バリダマイシンの主成分であるバリダマイシンA〔1〕を酸加水分解するとD-グルコースとバリドキシルアミンA〔2〕が得られる.後者は分岐鎖をもつ2個の相異なるシクリト-ルがイミノ基を介し結合した擬似二糖類と見ることができる。バリダマイシン類の活性発現は,〔2〕とD-グルコースの結合位置および結合様式に影響されることが知られている。ここでは,これら抗生物質の構造と生物活性の相関を究明する目的で,〔2〕の異性体を合成した。分岐不飽智シクリトール部分の前駆体となるエポキシシクロヘキセン誘導体〔8〕とパリダミン〔5〕の保護体〔16〕(いずれもラセミ体)との反応生成物をアセチル化して単離し,第二級アミンのジアステレオマー混合物〔19a,b〕を71%の収率で得た.ついで,保護基を除去すると〔2〕の6'-エピマのジアステレオマー混合物〔3a,b〕が得られた。そのオクタアセタートはシリカゲルを用いるカ-ラムク質マトグラフィーで,それぞれジアステレオマーのラセミ体〔20a〕と〔20b〕に分離することができた。
  • 中村 好男
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1727-1729
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Indirect electrochemical oxidation of δ-D-gluconolactone to D-arabinose in aqueous sulfuric acid has been carried out by the use of cerium sulfate as a mediator and platinum plates ao an anode and a cathode. At low temperatures and low current densities, D-arabinose was obtained in a 65% yield.
  • 米田 利夫, 松野 富雄, 七星日 出隆, 深津 俊三
    1982 年 1982 巻 10 号 p. 1730-1732
    発行日: 1982/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Selective 2''-O-benzoylation of 4'-O-tetrahydropyranyl-4'', 6''-O-c yclohexylidene-tetrakis(N-ethotycarbonyl)kanamycin A with the aid of phase transfer catalysis and synthesis of 3'-deoxy2'-epikanamycin A vici-O-tetrallydropyranyl-2''-O-benzoyl-4'', 6''-O-cyclohexylidene-tetrakis (N-pthoxycarbonyl)kanamycin A are described.
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